依存症ってなんだろう? どこからが「依存症」?

「これって依存症?」混乱している人はいないでしょうか?
最近、「依存症」という言葉は、ニュースやワイドショーなどで何かと使われるようになってきました。しかし、依存症に関する正しい知識はまだまだ世の中に広く知られているとはいえず、誤解や偏見も多いのが実情です。そうした中で、さまざまな情報が氾濫し、自分や家族の状態に「これって依存症?」と混乱する人が増えているようです。
そこで、まず、初めに「依存症」とはどういうものなのかを整理しておきましょう。私たちの心身の健康を損なう恐れがあるとされる依存の対象には、主に以下のようなものがあり、大きく2種類に分けられます。
- アルコール
- 覚醒剤・コカイン・合成麻薬
- 大麻・アヘン・シンナー
- 処方薬・市販薬
- 危険ドラッグ
- ニコチン
- カフェイン …など
- ギャンブル
- 過食・拒食・ダイエット
- 買い物・浪費・借金
- インターネット
- 自傷行為
- 放火・窃盗
- 仕事・運動
- 恋愛・セックス …など
このうち、まずは代表的な依存症として取り上げられることの多い「物質系」、すなわちアルコールや薬物への依存から見ていきましょう。
アルコール・薬物への依存については国際的な診断基準があり、以下の6項目のうち、3つ以上が同時に見られれば依存症(正式名称は「依存症候群」)と診断されます。
- アルコール・薬物を摂取したいという強い欲望、切迫感がある
- 量を控えよう、やめておこうと思っても、自分ではコントロールが効かない
- 摂取をやめると離脱症状が出る(発汗、震え、不眠など)
- 効果に慣れて「耐性」が生じている(以前と同じ量では効かなくなってきた)
- そのことで生活が占領されている(仕事など他のことへの影響)
- 心身の健康に悪影響が出ていると分かっているのに使用を続けている
さらに、依存症とは別に「有害な使用(乱用)」という言葉があります。これは、依存症の診断基準までは満たしていないけれど、アルコールや薬物を摂取することによって、本人や家族の生活に困りごとが生じている状態のことをいいます。例えば、遅刻・欠勤の繰り返し、家族との関係の悪化、暴力や借金問題、対人関係のトラブル、飲酒運転などが頻繁に起こっているのであれば、それは「アルコール乱用」「薬物乱用」の状態にあるといえます。
したがって、大事なことは「依存症かそうでないか」という診断の正確さではありません。医学的には「依存症未満」であっても、こうした生活上の困りごとが起こっている場合は、依存症と同じように対応を考えていく必要があるといえるのです。
続いて、次節では「非物質系」の依存について見ていきましょう。