ここまででお分かりのように、大事なのは医学的に「依存症かどうか」ということではありません。診断がどうであれ、依存の対象が何であれ、その人の状態が「アディクションなのかどうか」という視点で考えていくことがポイントになります。
アディクションは医学的に定義されたものではなく、単なる趣味・嗜好や習慣との境界線もあいまいで、はっきりと区別することはなかなか困難です。ただ、目安としては、以下のような点が挙げられます。
- 適切な範囲を明らかに超えている
- 自分ではコントロールが効かない、「わかっているのにやめられない」
- それに没頭することで、嫌なことを忘れるなど、気分が大きく変化する
- 繰り返すうちに程度がエスカレートしていく
- 自分自身を傷つけたり、周囲の人を巻き込んで傷つけることになりがち
- 自分ではアディクションであることが分かりにくい
これらはいわゆる診断基準ではないため、「いくつ以上当てはまればアディクションである」と断定することはできません。特徴として、このような行動や状態が見られがちであるというふうに理解してください。 なお、アルコール+ギャンブル+恋愛など、複数のものに同時に依存したり、依存する対象が次々と移行していく「クロスアディクション」の状態もしばしば見られます。
アディクションの問題を考えるとき、最も肝心なことは、「そのことによって本人や家族が苦痛を感じていないか、生活に困りごとが生じていないか」ということです。
繰り返しになりますが、大事なのは診断の正確さや医学的な分類ではありません。アディクションの対象が何であれ、程度がどうであれ、そのことによって本人や家族が苦しんでいるのであれば、それは「助けを必要としている状態」であるといえるのです。