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月乃: もう大丈夫だから、こんな病院、一生戻ってこないと思ったわけですよ。それでアルバイトとかしたんですけれど、現実慣れしていないから、務まらなくて。
傷つくのがだめなんですね。「傷つくことで覚えていく」という感覚がなくて、傷つくと、とにかく世の中が怖い。また結局部屋の中に戻ってしまうみたいな。
飲酒運転をして車を壊したりして、3回目の入院になったんですけれど、別に「入院して治してやろう」とか「ここでお酒をやめて頑張ろう」とか思った訳じゃないんです。父親にも当然怒られて、家にも居場所がなくなって……。病院というのは楽ですよね。全然やる気がなかったので、「また寝てよう」と思ったんです。
3度目の入院で、心情に変化が生まれました。その時の日記には、ありのままの自分を見つめようとする気持がつづられています。
『バカにされているのではないかという恐怖感があるが、実際ばかなのだからしょうがない。
みんな「苦しい」のだ。でも1日はちゃんと過ぎていくのだ』
入院中、月乃さんは同じアルコール依存症に苦しむ人たちと出会いました。仲間たちとは、人に言えなかった悩みや失敗を話し合うことができました。そして月乃さんは、回復のきっかけをつかみます。
だめな自分をさらけ出すことで楽になったと言う月乃さん。このイベントも、自分の体験を聞いてもらいたいと始めたのです。
詩の朗読:月乃光司さん(アルコール依存症・ひきこもり)
アルコール依存症でありがとう、引きこもりでありがとう
生きづらくてでありがとう、ぶざまでありがとう
みっともなくてありがとう、笑われてありがとう
リストカットでありがとう、自殺未遂でありがとう
こわれ者でありがとう、精神科病院でありがとう
ありがとう、神様!
アルコール依存症になってよかった! 引きこもりになってよかった!
神様、ぼくに生きづらさを与えてくださり感謝します! |
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舞台では、出演者それぞれが自分の生きづらい体験を語り、その中で客と共に生きるヒントを探っていきます。
女装して登場するKacco(カッコ)さん。現在、イラストなどの仕事を手がけているKaccoさんは、そううつ病と摂食障害で拒食と過食を繰り返していました。そのころのつらい体験を演じます。
詩の朗読:
Kaccoさん(そううつ病・摂食障害)
そんな時にはね
むなしさや いらだちや 憎しみや
ことばにできない感情が
いっぱいわき上がってきて
気がつけば 毎晩
こんなふうに食べちゃっているんだよ
おかしいでしょう 変でしょう
きたないでしょう
ねえ 何とか言ってよ
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不動産関係のサラリーマンだったKaccoさん。28歳の時、摂食障害、そううつ病と診断され、精神科に入院。絶望感から自殺を図ったこともありました。
舞台で女装をするのには理由があります。別の人格になることで、病気のころの自分をより客観的に見つめ直すことができるからです。
長期の入院、ひきこもり、自殺未遂……。女装することでその体験を赤裸々に語ります。
Kacco: 自分自身が一番つらかった時期を忘れちゃいけないと思うんです。それをなしにして、ただパフォーマンスイベントにしちゃったら、それは誰にでもできちゃうし、メッセージ性も薄いだろうし、共有する気持も薄いだろうし。
死のうとした自分が言うのもおかしいですけれど、救われたからこそ言わせてもらえるのなら、「何はともあれ、命が一番大事」。
今、命を絶とうとしている人がいるんだったら、イベントで何かを感じてほしい。そういうイベントにしていきたいし、来てくれるお客さんから、死者は1人でも出したくない。
詩の朗読:Kaccoさん(そううつ病・摂食障害)
そうだよね KaccoはKaccoでいいんだよね
背伸びなんてしなくていい 小さくなんてなってなくていい
等身大の自分でいいんだよ
周りの人のスピードについていけなくたっていい
前の人を追い越せなくていい ゆっくり歩いていこう
心からそう思えたらね とっても楽になれたんだよ
ほんとう びっくりするけれど 変われば変わるものだね
ここに「今 幸せですか」って聞かれたら
迷わず「幸せです!」と答えられるKaccoがいます
これがほんとうの幸せなんだよね
苦しくてダメダメだった5年間 ほんとうにありがとう
こんなにたくさんのことをKaccoに気づかせてくれて
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観客: 心の傷を隠さずに、「わたしはこれだけつらいんだ」とみんなに主張できるということ、心の傷を負い目に見ていないところが、とてもすばらしいと思います。
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