町永: 若い世代から、老後をどうイメージするかということにつながってきませんか。
安藤: そうですよ。1960年代の寿命65歳の時代から、今は85歳でしょう。ということは、10代20代から85歳90歳までの人生設計をしなければならない。85歳までいくには、30代40代で自分の趣味、好奇心の持てるものを探さないかん。そういうのを探しておくと、75歳から80歳くらいになっても、「ちょっとサッカー見にいきます」「きょうは野球を見にいくんだ」と、帽子をかぶって行けばいい。
町永: そういうお年寄りが増えたら、活気があふれてきそうですね。
安藤: そこへ若いお孫さんたち世代がいっしょにサッカーや野球を見たり、喫茶店に行ったり、そういう人たちが対話をしている社会が、本来の美しい社会だと思います。
町永: そうか。世代も、年寄りは年寄り、若い人は若い人ではなく、うまく交ざり合っていかなければならないし、町もそういう形にしていかなければならない。
安藤: そうです。建物も、町も、人間もそうです。新しい建物を古い建物の横に建てると、古い建物が映えるように、老人も孫ができたら元気になります。ところが経済社会は古い建物を壊してしまいました。これは、町から高齢化社会をカットしたようなものです。
町永: 安藤さんは建物を設計する時に、必ず周りも取り込んだ形で設計すると伺っていますが、そういうことなのですね。
安藤: 高齢化社会。子どもから老人までが対話するように、建築も町の中に古いものと中間のもの、新しいものがうまく対応してできていないと、見ていておもしろくない。
町永: 東京の新しい町は、みんな同じようなものがバーっと。新しいビルばかりで。
安藤: もちろんきれいなんですけれど、「それだけでいいの?」という疑問はありますね。古いものと新しいものがあって、町の古いものを大切にしているということは、「われわれは老人を大切にしている国だ」と表現しているようなものでしょう。そこのところを考えないで、「われわれ老人を大切にしている」と言うだけではだめなわけで。
町永: 「老人を大切にしている」と言って、古いものを壊していったら、大切にしていないということになりますからね。
安藤: だから、古いものを大切にする気持を表現する。わたしは建築の設計家ですから、建築の設計で表現する。お医者さんたちはまた違った形で表現する。いろいろな人たちが自分たちの仕事の中で表現し、いかに老人社会と対話するかということだと思います。 |