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5月28日(土)に放送した「ETVワイド〜ともに生きる〜」では、“うつに負けないで”というテーマで、特に「働き盛りのうつ」という観点から、うつの治療法や体験などをご紹介いたしました。番組に対しては、500件を超えるメールやファクスが届いております。
そこで、先週と今週の「福祉ネットワーク こころの相談室」では2回にわたり、こうした皆さんの声をご紹介しいたします。2回目のきょうは、主に「職場復帰」についてのご意見やご質問にお答えします。 |

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| 苦しみをわかってもらえないのがつらい |
私は今、抑うつ状態という診断を受け、療養しています。新しい上司や新人と一緒に働くことになってから、毎日が忙しく、体力・精神的にもかなりの疲労があり、倒れてしまいました。「心が弱いから」と言われることが多く、上司からも「それだけ給料をもらっているんだからもっと自覚を持って勤めてください!」と言われ深く考え込み、誰にも言えず、抑うつ状態になりました。この苦しみをなかなか人にわかってもらえないのが一番つらかったです。
(30代 女性) |
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| 島悟さん |
ゲスト:
東京経済大学教授
精神科医 島悟さん
医師の立場から、企業のメンタルヘルスのあり方についての提言をしている。 |
島: 今、日本の企業社会はグローバルな競争社会の中で、より少ない人間でより多くの仕事をしなければないという、非常にストレスの多い社会となっています。この方も非常に多忙、そして職場の仲間も変わるという中でうつ病になられたのですね。
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| 渡部卓さん |
ゲスト:
ライフバランスマネジメント社
社長 渡部卓さん
企業へ向けて、メンタルヘルスのコンサルティングをしている。 |
渡部: 今、うつの人が増えてきていますが、大企業を中心にこの問題を改善していこうという動きが出てきました。しかし、中堅中小企業はまだこれからです。
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| アルバイトの面接で「うつ病」を伝えたほうがいいのでしょうか? |
8年間うつ病で、投薬とカウンセリングを受けています。短期のアルバイトを探していますが、面接の時に「うつ病」と言っても理解されないのではないかと思うと、ついつい隠してしまいたくなります。面接の時に正直に病気のことを伝えたほうがいいのでしょうか。
(40代 女性) |
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「アルバイトからやってみよう」というやり方はいいですね
島: うつ病の方はまじめな人が多いので、中には「どうしても正社員だ」という方もいらっしゃいます。しかし、それではなかなかうまくいきません。「アルバイトからやってみよう」というこの方のやり方は、すごくいいですね。
世の中、いろいろな病気があります。例えば、虫歯のある方がそれを申告するということはありません。ですから、「もう治っているんだ」と自信を持ち、リラックスしていっていただきたいと思います。
アルバイトなら、聞かれなければ言う必要はないのでは
渡部: アルバイトの場合は、聞かれなければ言う必要はないと思います。ただし、正社員の場合は、うつ病と診断されているのに履歴書に「健康状態良好」と書くと、のちのち「入社時の書類虚偽」という問題が起こる可能性もあります。法律に詳しい方などに相談されるといいと思います。 |

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| 職場復帰に向け、どんな準備が必要ですか? |
現在、抑うつ状態と診断され、休業中です。小学校の教師なので、復帰した時、対応できるか心配です。職場復帰に向け、休業中にどんなことをしておけば復職がスムーズにできるでしょうか。
(休業中の教師) |
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<職場復帰にむけて>
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- 1.うつになった状況を繰り返さない
- 何でうつ病になったのかを考え、修正できる部分は修正するようにする。
- 2.症状がよくなっている
- 「8割くらい調子が戻っている」状態が1か月続けば、復職は大丈夫。
- 3.生活リズムを戻す(体と頭を使う)
- 「出社の時間に合わせて起きる」という生活を、2週間くらい前から続けてほしい。頭を使うとは、本や新聞を読む、人と話をするなど。
- 4.管理職とよく話し合う
- いきなり以前と同じように仕事をするのではなく、徐々に慣らしていく必要がある。その「慣らし勤務」について、特に管理職の方にはご理解いただきたい。
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「服薬=まだ治っていない」というわけではないということを理解して
島: うつ病の方は、治っても半年から1年間、再発防止のために薬をのみ続ける必要があります。ですから、職場の方は、「薬をのんでいるから、まだ治っていないのではないか?」ということはおっしゃらないでいただきたい。そう言われると、本人は薬をのまなくなってしまいます。ぜひご注意ください。 |

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| 職場復帰に上司の理解が得られません |
私はうつ病歴2年、休職中の音楽教室の講師です。今一番の悩みは復職に関してのことです。私の場合は7月から復職する予定でしたが、上司が難色を示し、予定どおり復職できるかわからない状態です。私はうつ病の原因が仕事ではなく、家庭にあり、退院後は順調に回復していますので、主治医は復職OKを出しています。上司には、精神的な病気に対する偏見が感じられます。どう立ち向かっていくかが今後の私の課題です。
(復職を控えた女性) |
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厚生労働省「職場復帰支援の手引き」
渡部: 昨年、厚生労働省が「職場復帰支援の手引き」というものを作りました。これは、各ステップごとに、産業医、主治医、ご本人、家族、上司、人事の方などがどのような動きをしたらいいのかということが、とても詳しくまとめられています。
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「職場の上司の理解が得られない」ということに関しては、従業員50人以上の企業の場合、必ず産業医がおります。その産業医が人事の担当の方に「職場復帰にあたって、このような点を気をつけてください」と意見をすることができる様式も手引きの中にあります。
厚生労働省のホームページからダウンロードできますので、利用しない手はありません。
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産業医をうまく活用してください
島: あまりご存じでない方が多いようですが、50人規模以上の事業所には必ず産業医がいます。産業医、保健師、看護師は、「専門的立場から職場としてやるべきことを事業主に勧告する」ということを行っております。つまり、ご本人と、職場や人事、そして主治医の間に立って調整する役割を果たしているのです。ですから、こういった産業医をぜひうまく活用していただきたいと思います。
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| 職場復帰しましたが「自分に甘いのでは」と悩んでいます。周囲の目も気になります |
うつ症状と診断されて1年。通院・服薬を続けながら少しずつ仕事を始めています。上司も職場の人たちもみんな病気であることは知っています。出勤日数なども希望どおりにしてもらっていますが、そのために「自分に甘くなりすぎているのではないか、まだ働けるのではないか」と自分を追い込んでしまいます。同僚に対しても「特別待遇されているように見えているのでは」という不安をぬぐえません。どのように仕事とつきあっていけばいいのかわかりません。
(30代 女性) |
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あらかじめリハビリ期間を決めておく
島: 復職に向けて、3か月を目安にあらかじめリハビリ期間を決めておくといいです。そうすれば、その間はご本人も居づらいということはないでしょうし、周囲も「いつまで配慮が必要」ということがわかります。万が一、その期間が過ぎてもリハビリが不十分という場合には、産業医が「延長」と判断すればいいのです。
もうひとつ、「自分に甘いのでは」と悩んでいるようですが、この方はご自分に厳しすぎるようですね。きちんとお仕事をされているのですから、ご自分をほめてあげてください。
GNN(義理・人情・なにわ節)
渡部: IT革命、デジタル化と言われている中、今、職場の中で「GNN(義理・人情・なにわ節)」の人間関係が忘れられているような気がします。それが、うつ病が広がっているひとつの事由になっているのではないでしょうか。 |

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| 中小企業に勤務 これ以上休職できません。働きながらうつを克服するには? |
地方の中小企業に勤務しているサラリーマンです。うつの診断は昨年4月に受け、1か月の休養をとって職場復帰しました。しかし年始めころからまた悪化しはじめましたが、外回りの仕事なので車の中で休み、なんとか仕事を続けています。私自身は残業をほとんどやめ、定時になれば帰宅してすぐに寝るという自己管理を続けています。中小企業に勤務する私としては、休職をこれ以上とるということは退職を意味することになります。仕事を続けながらうつを克服する方法はないでしょうか。
(30代 サラリーマン) |
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中小零細企業の社長さんはGNNの持ち主が多い 相談してみては?
島: 「仕事を続けながらうつを治したい」と言う方は多いですが、この方は残念ながら、少し悪くなっているようですね。専門的な立場からすると、もう一度休んで回復を目指していただきたいところですが、そうもいかない事情があるというのも事実です。
まずは、なるべく休養をとり、リラックスすることを心がけてください。
それから、中小零細企業の社長さんは面倒見のいい方が多いので、もしかしたら、職場の社長さんはこの方のことを気にしているかもしれません。率直に相談してみるという手もあると思います。
メンタルヘルス、中堅中小企業への啓発が課題
渡部: ある調査によると、従業員1,000人以上の会社の8割がメンタルヘルスの重要性を感じ、動き始めている一方、従業員300人以下の中堅中小企業の8割はまだ課題にもなっていないという結果が出ています。今後、中堅中小企業への啓発は大事ですし、そういうところで働いている方は、自分で気をつけていく、予防していく必要があると思います。 |

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| うつ病のため、退職を余儀なくされました |
うつ病になり、会社に診断書と1か月の休職願を出したら、退職勧奨されました。体の病気で1年休職されている従業員もいるのに、「こころの病気はだめか」という思いになりました。解雇されて2年、今も無職です。社会復帰の不安でうつの重さが増しました。
(30代 男性) |
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うつ病になり、長期休暇後、最終的に退社して、自宅療養を1年しています。長期休暇後の復職で、「君にできる仕事はないし、別の仕事をしてみるか?」と提案され、普通の人でも体力的に厳しい仕事に回され、半日で倒れ、退社になりました。世の中そんなに甘くないです。うつ病は怠け病としか思っていない人が非常に多いです。
(30代 男性) |
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企業の取り組みに問題あり
島: ほんとうにお気の毒です。最初の方の場合、職場の側に2つの問題があります。
1つは、体の病気と心の病気を分けて扱う、差別です。もう1つは、主治医から診断書が出ているにもかかわらず、退職勧奨してきた。理不尽です。ぜひ療養する機会を与えていただきたい。
あとの方は、通常、復職後は軽い仕事から始めるはずなのに、そうではなく、むしろ厳しい仕事が待っていた。これも理不尽です。
休職は解雇に関する就業規則を確認して
渡部: 企業には「就業規則」があります。その中に休職や解雇に関する取り決めがありますので、そこをしっかり確認してください。ご本人が見られないという場合には、ご家族や詳しい方に見ていただくといいでしょう。
ただ、うつによる休職者が増えているのも事実で、休職に関して少し就業規則を厳しくしようという動きもあるようです。労働組合や、厚生労働省管轄の相談窓口に問い合わせをしながら、会社にとっても従業員にとっても合理的でいい規則になるよう進んでいっていただきたいと思います。 |

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メンタルヘルス 法改正へ
島: 厚生労働省からは、2000年に職場のメンタルヘルスの指針が出されました。これはとてもインパクトがあったのですが、それにもかかわらず、その後もうつ病の方、自殺をされる方は減っていません。そこで、職場のメンタルヘルスを強化しようという法改正の動きが出ています。われわれはそれを期待しているところです。「企業はメンタルヘルスをやったようがいいですよ」ではなく「やりなさい」という方向になるわけですから。
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ワークライフバランス
渡部: うつ病や休職を経て、人生観がいい方向に変わったという人が多いです。アメリカでは企業のトップでも、「ワークライフバランスが大事だ」と言うようになりました。仕事と、それ以外の自分の人生のバランスをよくさせていくのが、うつの問題に取り組むひとつのヒントになるのではないかと思っています。
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