「視覚障害」 基礎情報と相談窓口

もくじ

視覚障害とは

一般的に視覚障害とは、
・目が見えない
・見えにくい
ために、日常生活に支障が生じている状態のことです。

程度は人によって差があり、
・全く見えない
・明暗の区別はできる
・ロービジョン(弱視)
など様々です。ロービジョンの中には視野が欠けていて、中心だけ、あるいは周辺だけが見えるという人もいます。

日本には、およそ32万人(厚生労働省 2022年)の視覚障害者がいます。これは障害者手帳を取得した人の数で、実際には、視覚に障害がある人はおよそ164万人(日本眼科医会の調査 2009)いるという推計もあります。推計数から計算すると、日本で75人に1人ぐらいの割合で視覚に障害がある人がいるということになります。

よくある困りごと

・移動に不安を感じ、危険を伴う

「赤信号に気づかず渡ってしまう」「駅のホームから転落してしまう」「迷っているうちに高速道路に入り込んでしまう」「足元に飛び出してきた子どもを蹴ってしまいそうになる」など、危険を察知、回避することが難しくなります。日本盲人会連合が実施したアンケートによると、ホームから下に落ちた経験がある視覚障害者は4割に上ります。

・情報入手が困難

文字情報が読めない、あるいは読みづらいため、さまざまな場面で支障が出ます。たとえば、自動販売機で飲み物を買うのも一苦労だったり、トイレのマークが見えずに女性が男性用のトイレに入ってしまったりします。

コミュニケーションのポイント

・気軽に声をかける

「何がお手伝いできることはありますか?」など、気軽に明るく声をかけましょう。そのとき、視覚障害のある人に助けが必要な状況なのかどうか確認してから、手助けをすることが大切です。歩き慣れた道では案内が不要な人も多く、白杖を持っているからといって、必ず手助けがいるとは限りません。ただし、赤信号に気づかずに渡っているなど、危険を伴うような場合には、声かけより前に命を守るための行動が欠かせません。

・物の位置を変えない

視覚障害のある人は、物の位置を記憶して生活しています。位置が変わると、その物が行方不明になってしまいます。視覚障害のある人の家に行ったときはもちろん、職場や公共施設でも、物の位置をむやみに変えないようにしましょう。

・白杖への理解を深める

白杖は「目が見えない、あるいは見えづらい」ということを周囲に知らせるサインになるため、持つのにとても勇気がいります。ある日突然、周りの人が白杖を持ちはじめても、極端に反応したり気を使ったりせず、今まで通りに接しましょう。

・盲導犬への理解を深める

「公共施設や公共交通機関、および不特定多数の人が利用する施設においては、盲導犬の同伴を拒んではならない」と、法律で定められています。そのような施設を利用できるよう、盲導犬の清潔を保つ義務も法律に記されており、盲導犬ユーザーが責任をもって管理しています。盲導犬はユーザーにとってパートナーであり、目となる存在です。反射的に動物の入店を拒否したりせず、理解を深めましょう。また、盲導犬の気が散ってしまうため、仕事中のときは、見つめたり、声をかけたり、触ったりしないよう注意しましょう。

相談窓口・支援団体※NHKサイトを離れます

生活を支援する制度・サービス
日常生活用具の給付

身体障害者手帳を取得すると、拡大読書機や音声時計、パソコン読み上げソフトなど、支援機器の給付を受けることができます。お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。

生活訓練・職業訓練

失明して生活に支障をきたしている人に対し、多くの自治体で「中途失明者緊急訓練事業」を行っています。お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。リハビリテーションセンターや障害者福祉事業所で生活訓練や職業訓練を行っているところもあります。地域によって内容や実施機関が違いますので、お住まいの市区町村の担当窓口やかかりつけの医療機関などにお問い合わせてください。

移動の支援

「同行援護」「移動支援」といった制度で、移動のための人的サポート(ガイドヘルパー)を受けることができます。詳しくは、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。

読書を楽しむ

全国に「点字図書館」「視覚障害者情報センター」といった施設があり、点字図書や録音図書の貸し出し、対面朗読などを行っています。点字データや録音データをダウンロードして、手持ちの端末で読むことができるサービスもあります。最寄りの施設については、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。

こうした施設の一覧は、以下のホームページでご覧になれます。

盲学校(視覚特別支援学校)

盲学校(視覚特別支援学校)の中には子どもだけでなく、中途失明した成人の相談や支援を行っている学校もあります。

国立国会図書館の障害者サービス

国立国会図書館には読書支援機器や拡大読書器などが設置してあり、来館して資料を閲覧することができます。また、インターネット上で点字データや録音データを検索したり、一部のデータをインターネット経由で利用できたりします。海外で製作されたデータを取り寄せたり、海外在住の人が日本で製作されたデータを取り寄せたりするサービスもあります。

【電話での問い合わせ】国立国会図書館関西館 障害者図書館協力係 0774-98-1458
(月曜日から金曜日 9時から17時45分 国民の休日・祝日及び年末年始を除く)

相談窓口/支援団体
社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合(日視連)

視覚障害者団体が多数加盟している全国組織です。視覚障害者福祉の向上を目指し、さまざまな事業を行っています。

全日本視覚障害者協議会(全視協)

視覚障害者の平等な暮らしの実現と社会参加の推進を目指して活動しています。

日本弱視者ネットワーク(弱視者ネット)

「弱視者」にも暮らしやすい社会を実現するために、「弱視者」自身の手でできることからやってみようという思いで1977年に結成された会です。会報の発行、各地域での定例会、交流会などを行っています。

認定NPO法人 タートル

視覚障害というハンディキャップを乗り越えて働くことを目標に設立された団体です。会員の体験をもとに、視力低下によって仕事を続けることに悩みを抱える方の相談にのったり、支援を行ったりしています。

社会福祉法人 日本点字図書館

点字図書・録音図書や録音雑誌などを、全国および海外の視覚障害者へ郵送により無料貸し出ししている日本最大の点字図書館です。また、インターネット経由で点字データや録音データなどを利用することもできます。

社会福祉法人 日本ライトハウス

大阪にある、目の見えない方・見えにくい方のための総合福祉施設です。

公益財団法人 アイメイト協会

アイメイト(盲導犬)の育成と歩行指導を通して、視覚障害者の自立を支援する協会です。

認定NPO法人 全国盲導犬施設連合会

盲導犬の普及を推進し、視覚障害者の自立と社会参加に貢献することを目的に活動しています。

きょうされん(前身:共同作業所全国連絡会)

1977年に各地の共同作業所によって結成された組織です。現在は、就労系事業、グループホーム、相談支援事業所など、障害のある人が生きていく上で関わるすべての事業を対象に、約1,860カ所が加盟。障害のある人が安心して地域生活を送れることをめざし活動を続けています。

かるがもの会

視覚障害のある親やその家族が集まる育児サークルです。普段はメーリングリストを使って、視覚に障害のある親ならではの育児の悩みを相談し合ったり、日々の情報を交換し合ったりしています。

(民間の支援団体等については、番組の取材先を中心に掲載しています)

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