ハートネットメニューへ移動 メインコンテンツへ移動
もっと増やそう両思い! 障害者雇用プロジェクト始まります

もっと増やそう両思い! 障害者雇用プロジェクト始まります

記事公開日:2018年04月02日

人手不足が深刻な日本で、いま注目される「障害者雇用」。この4月からは法律が見直され、企業に求められる障害者の雇用率も厳しくなりました。しかし、現実には対象となる企業のうち、達成できているのはまだ半数。また、雇用が成立しても、コミュニケーション不足などから、障害者側も雇用者側も悩みを深めているケースがあります。そんな中、始まった「ブレイクスルー2020→ 障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」とは…。

障害者雇用で社会を変える!

今年4月、障害者雇用促進法が見直されました。

新しい法律では、従業員45.5人以上のすべての企業に求められる障害者雇用率が2.2%まで引き上げられ、初めて精神障害者(発達障害も含む)も対象になりました。

photo

常用労働者100人超の企業は雇用率を達成できない場合、1人につき5万円を納付しなければいけません。現実には2017年の時点で、雇用率を達成できている企業は半分です。

そうしたなか、障害者雇用をもっと実りあるものにするため、盛り上げていこうと宣言したのが、NHKハートネットTV内の「ブレイクスルー2020→」でMCをつとめる俳優の風間俊介さんとアーティスト のAIさん。2020年「以後」の社会をブレイクスルーしていくことを目指す「ブレイクスルー2020→」では、視聴者と共に様々なプロジェクトを進行し、放送やSNSなどで継続的に発信していくことにしていますが、その第一弾として「障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」を立ち上げることにしたのです。

今回のプロジェクトリーダーを務めるのが、北京パラリンピック視覚障害者柔道に出場し、現在は障害者の就労コンサルティングを行う初瀬勇輔さんです。

photo

「働きたい障害のある方もたくさんいらっしゃるなかで、雇用したい雇用主もたくさんいらっしゃる。でもそのなかで、なかなか両思いが生まれていないんですよね。でも両思いが生まれるときっとものすごいブレイクスルーがおこって、きっと社会が劇的に変わると思っているんですね。」(初瀬さん)

障害者と雇用主それぞれの課題

働きたい障害者と雇用したい雇用主の間にある課題にはどのようなモノがあるのでしょうか?

2018年1月28日。プロジェクトのキックオフ座談会に、「障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」に賛同する人たちにリーダー、初瀬さんのもとに集まっていただきました。

集まったのは以下のメンバー。
慶野千尋さん(25) 3年前にADHD診断を受け精神障害者手帳を取得。
         精神障害があることを明かして企業で働いていましたが、うまくいかずに最近退職。
木村理崇さん(43) 広汎性発達障害と診断。3年半勤めた会社で孤立を感じてきた。
名田憲史さん(24) この春から社会人。大学で発達障害のある学生団体代表を勤める。
中川博英さん(53) うつ病と診断。飲食事業を展開する会社で障害者を雇用する部署の主任を務める。
大野雅孝さん(50)  金属プレス加工・プレス金型設計製作をする町工場で障害者雇用に取り組む。
         従業員25人中4人が障害者。
久保修一さん(53)日本初、障害者のための労働組合の書記長。

まず、働きたい側の課題です。

障害者が企業に入るには、一般の採用枠以外に障害者雇用枠があります。しかし、障害者雇用枠による採用は必要な配慮を受けやすい一方で、障害者枠を設ける企業はまだまだ限定的。仕事の種類も少なく、自分にあった仕事に出会いづらいという課題があります。

「障害者雇用で探すと配慮してくれそうとかで、そこからピックアップして選んでいくので、自分がやりたいとか、これだったら興味を持てるなというよりは、また別の、『これならいいか』という狭い選択肢のなかから選んでいるなという感じはして、なんかこれ違うよなと、就活しながらずっと感じていました。」(慶野さん)

慶野さんは障害者枠で条件を優先して仕事を探した結果、自身が最も苦手な事務をやることになりました。

photo

「私の特性上、やっぱりどうしても事務というのが苦手で、ミスもしまくって。やっぱりミスしたりとか苦手なことをずっとし続けていると、すごい気持ち的に落ち込んでくるんですよね。」(慶野さん)

道路や駐車場に白線を引く仕事をする会社で図面をおこす仕事を3年半続けてきたのは木村さん。しかし、孤立を感じ、周囲の反応を見ると将来のキャリアに不安があると言います。

「周囲の反応とか見ていて、自分のやっている仕事は生産性がそんなに高くないんだなと。ひょっとしたら図面しか描いていない私に対して、『この人こんなことしかできないんだから』ということで下に見られているのかなというのが。会社に対する帰属意識というんですかね、そういったものもあまり生まれないですし、このままずっといても、あまりいまと変わらないんだろうなという不安とかはありますね。」

一方、雇う側の課題とは何でしょうか。

雇う側の立場の中川さんは、会社は生産性を求めておりトレーニング機関ではないとしながらも、最近は採用活動をしてもなかなか良い出会いがありませんでした。働きたい障害者と雇用したい雇用主との溝を埋める制度などがなければ、お互いの理解は進まないと中川さんは話します。

「そもそもやっぱり小さいとき、幼少期からずっと引きこもりだったりとかして社会を全く知らない方がポンと出てきて、挨拶の仕方すら分からない。となると会社としてはやっぱり、『えっ?』となっちゃうんですよね。どういうふうに接していいんだろう、教育していいんだろうというところからスタートしてしまう。」(中川さん)

町工場の社長を務める大野さんは、一零細企業として感じる課題を話してくれました。

photo

「あまりいい発言ではないかもしれないですけど、ちょっと福祉的な圧力がかかる。なんていうんですか。『なんとかお願いします』みたいな話になっちゃうんですよ、そうすると、いやお願いされてもそんなうち余裕ないしなみたいな。ですから普通面接すると『何の資格持ってるの?』とか、できることを聞くはずなのに、障害の方がくるとできないことをすごい言ってくるので(笑)そうするともう零細企業の社長なんかは『勘弁して』みたいな話になっちゃうとか」

ところが、現在、大野さんの会社は積極的に雇用を進め、従業員25人中4人が障害者です。その理由とは一体何でしょうか。

photo

「(うちみたいな)末端の製造業でハローワークのようなところに求人を出しても、なかなか良い人材に出会えないんです。ところが、地域のマッチング会(※)に行ったら、宝の山みたいな感じでした。その人のできること、できないこと、『手はしびれないの?』などを『全然分からないから、ごめん。』って言いながらも、失礼なくらい質問しました。」(大野さん)
※マッチング会・・働きたい障害者が集まる場

日本初の働いている障害者のための労働組合で書記長を務め、これまで500件のトラブル相談を受けてきた久保修一さんも働く障害者と雇う側とのコミュニケーションの問題について、考える必要があると訴えます。

photo

「コミュニケーションしなければいけないけど、どういうふうにやろうかという工夫があんまりない。遠慮しちゃってるのかな、両方とも。もっとズケズケ会社も聞けばいいのになって感じですかね。社員というか従業員としてみるべきところを障害者として見ちゃう。でも僕はそんなに難しいとはあんまり思っていなくて、たとえば、40キロで走る道路がありますよね。ほとんどの人がみんな50キロで走っている。そこに、どんな忙しいときでも、朝の渋滞しているときでも40キロでかたくなに走っている人が精神障害者だとすると、後ろからぴゅーっとならして流れに沿えよって言ってるのが職場の健常者みたいな状態なんですね。これを、どっちが悪いかとやっちゃうので、『いやちゃんと法律守ってるよ』と。こっちは『いや一般常識に添えよ』という、そういうバトルになってるんですね。だから、そこでどっちが合っているとかどっちが悪いとかいう議論に持ち込まないような知恵と工夫があれば、おそらくそんなに問題にならないんじゃないかなと思うんですよね」(久保さん)

「職場体験」「職場での悩みとその解決プロセス公開」「企業の後押し」も実行?

「障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」では、6人の方に今後のアイディアも考えていただきました。

慶野さん、名田さん、中川さんからは様々な仕事や働き方に触れられる機会を増やしたいとの提案がありました。

photo

「色んな職場が体験できたら楽しそうだと思うし、自分自身もこういうことができないから、こういうところ言おうとか、そういうのが分かるかなと思って。」(慶野さん)

「分からないものに対して不安感とか怖さというのをすごく感じる。それで分からないから、はねのけるというのがあるかなと思うので、1週間だけでも一緒にやってみたら全くイメージも変わると思うし。」(名田さん)

初瀬さんも同様に、障害者の職業体験の少なさを指摘します。

「障害のある方の職業体験することがほとんどないんですよ。発達障害だけど、私これは向いてたとかが見つかったりすると、大人の職業体験は面白いなと思いますね。」(初瀬さん)

久保さんは、労働相談から解決までを公開するというアイディアを提案します。

photo

全国から職場で悩みを抱えている障害者を募集し、久保さんが相談を受け、職場での交渉方法などを公開するというもの。公開することによって企業も、悩みを抱える障害者のどちらにも通じるヒントが見つかるのでは、と久保さんは話します。

最後にリーダーの初瀬さんと大野さんからは、採用に尻込みしている企業を発掘し、後押ししようというアイディアがあげられました。

「中小企業のゼロからの障害者雇用のお手伝い。中小の社長さんたちはやりたいなという思いが強い方が多いですけど、『やれるのかな?』と躊躇している方が多い。ゼロからチャレンジするというところで不安も多いと思うので、それがもしプロジェクトとしてお手伝いができれば、全国の中小の企業さんが『やろう』と思ってくれるかな。」(初瀬さん)

大野さんからも、町工場で障害者雇用のモデルを広げていければという提案がありました。

働きたい障害者と雇用したい雇用主を応援する「障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」。トライアンドエラーを繰り返しながら、進行状況をまたお伝えしていきます!

photo

NHKハートネット(福祉情報総合サイト)の中にある「みんなの声」では、
このプロジェクトに関するご意見、体験談のほか、職場体験を行いたい障害者および企業を募集します。詳しくはこちらへ…障害者雇用 あなたの「声」を聞かせてください!

※この記事はハートネットTV 2018年4月2日(月)放送「ブレイクスルー2020 第1回障害者雇用 もっと両思いを増やそう!プロジェクト」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

合わせて読みたい

新着記事