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ハート ネット ピープル

やりたいことがないんだったら人のために生きればいい

福祉ネットワーク2009年7月7日放送 「この人と福祉を語ろう」 でご紹介した、社会起業家の山本繁さん。NPO代表理事として、生きづらさを抱える若者たちをユニークな方法で支援しています。

オールニートニッポン
金曜の夜、東京都内のとある一軒家。

“ゆんな・ワホリのオールニートニッポ?ン
どうもどうもこんばんは。みなさんニートな毎日をいかがお過ごしでしょうか。
パーソナリティーのワホリで?す。ハイ、どうもどうも?。
今回テーマにあげるのは、「ニートの自立」です。”

[写真] ニートやひきこもりの経験者が集まり、つくるラジオ「オールニートニッポン」。
[写真] ニートやひきこもりの経験者が集まり、つくるラジオ 「オールニートニッポン」。

ゆるい雰囲気で始まったインターネットラジオ番組。しゃべり手、スタッフのほとんどがニートやひきこもりの経験者です。専用チャットには全国のリスナーから真剣なメッセージが届きます。
ダウンロードしても聴けるこの番組、登録者は2万人にものぼり、密かな人気になっているんです。

“ワホリさん的には、自分で自立っていうのは、こういうことじゃないかとか、そのへんってどうお考えだったりするんですか?”

ワホリ
わかんないですよ、自立なんて。定義なんて。わかるわけないじゃないですか。僕が自立できていないんですから。
でも前向きになりましたね、こうやって送り手としてしゃべって。

この番組 「オールニートニッポン」 の仕掛人は、社会起業家・山本繁さん。山本さんはこの他にも、漫画家になる夢を持った若者たちを支援する 「トキワ荘プロジェクト」、2015年までに大学・専門学校の中退者を4割減らすという壮大な目標を掲げた 「日本中退予防研究所」 などの活動も行っています。

テーマはコミュニティづくり
東京雑司ヶ谷にあるレトロな一軒家。山本さんの事務所兼活動拠点です。ここから 「オールニートニッポン」 は発信されています。

[写真] 事務所の縁側で語る社会起業家・山本繁さん(右)。
[写真] 事務所の縁側で語る社会起業家・山本繁さん (右)。

「ニートの若者たちが集う場所ってなかったんですよ。そもそも、孤立しているからニートになるわけじゃなくて、ニートになると社会のなかで孤立するわけです。なにか気まずい、そうなるとそれまでの人間関係と疎遠になって、家から出なくなって、という悪循環。また、ひきこもりから出ていきたいと思ったときにも、出て行く先がない。だからオールニートニッポンというのはコミュニティづくりですね。ここには自分と同じような経験を持っている人たちがたくさんいる。
僕だってそうですが、社会に生きていれば嫌なことはいっぱいある。でも、愚痴を言ったり弱音を吐いたりできるような人間関係があると、続けていけるじゃないですか。だからここは、社会的に排除されやすい若者たちが社会とつながるきっかけというか、もう一度働くための準備をする場所にしたいんです」

若者支援のユニークなビジネスモデル
実は山本さん自身、大学生の時、自分が将来何をしたらいいのか、見つけられませんでした。そんな時、山本さんの頭の中に浮かんできたのは、 “自分にやりたいことがないんだったら、人のために生きればいい”。
大学卒業後、アルバイトをしながら子どもに文章などを教えるボランティアに取り組み始めました。そこで出会う子どもたちは不登校やリストカット、心に息苦しさを抱えていました。この子たちの未来を救いたい。山本さんが次にやるべき仕事だと思いついたのが、自立できずにもがく若者たちへの支援でした。

[写真] 「新しい社会インフラを市民参加でつくっていくのが、社会起業家なのかなって思っているんです」。
[写真] 「新しい社会インフラを市民参加でつくっていくのが、社会起業家なのかなって思っているんです」。

オールニートニッポンと同時に、漫画家への夢を持つ若者たちを支援する 「トキワ荘プロジェクト」 という活動も行っています。山本さんが主催するNPOが都内の空き家を安く借り、住まいを探している漫画家志望の若者を募集。一軒に5,6人、敷金・礼金なしで一人当たり水道・光熱費込みで5万円弱という、都内では割安の値段で部屋を貸しています。山本さんのNPOは家賃収入で事業収益を上げ、若者は低家賃のため、アルバイトなどに多くの時間をとられることなく漫画に集中できる。現在、こうしたトキワ荘は都内に14軒。76人が暮らし、これまで7人がデビューを果たしました。

[写真] トキワ荘プロジェクトの家では、同じ夢をもつ仲間がともに暮らしています。
[写真] トキワ荘プロジェクトの家では、同じ夢をもつ仲間がともに暮らしています。

「同じ夢をもった友達と一緒に暮らしているっていうのは、すごく心強いし、結構漫画が行き詰まって悩んでいる時とかも、リビングに行けば誰かが話を聞いてくれる」 (トキワ荘プロジェクトの利用者)

「地方から東京に来て、昔は長屋がいっぱいあった。そこで人と人との繋がりもあったじゃないですか。また夢や目標を持っている若者っていうのも、今も昔もいると思います。今は再開発でどんどんワンルームマンションになって、そして隣近所誰が住んでいるかわからないし、一人ぽつんと天井を見てますみたいな環境になりがちだけど、ちゃんと交流できて、専門性を身に付けさせてあげられて、そして夢が叶えられる社会にしてあげたい。逆にいえばフリーター問題もこういった構造的な問題があるから起きている」 (山本)


川上で若者を救うことがしたい
山本さんはニートや引きこもりとなった若者の中に学校を中退した人が多いことに気が付きました。その背景には対人関係が不得意など、コミュニケーション能力の低下がある。山本さんはそう考え2009年3月、中退した人からの聞き取り調査や、学校と提携して中退予防のプログラムづくりをする 「日本中退予防研究所」 を設立しました。
山本さんをアドバイザーに迎えた東京のある専門学校。生徒数およそ1万4000人。毎年400人以上の生徒が中退しています。この学校では山本さんとの連携で、今年4月からコミュニケーションの技法を重点的に教える新たな学科をつくりました。

[写真] コミュニケーションの技法を教える学科の授業。
[写真] コミュニケーションの技法を教える学科の授業。

「面白いです。なんか勉強よりも人間関係を大事にしているっていう感じで。」 (生徒)

「ニートの若者たちの支援をやってきて痛感しているのですが、なってから支援するのってものすごく大変なんですね。だから予防をしたいと思っているんです。川で溺れた子どもを川下の方で助けても、そのときにはもうだいぶ衰弱している。でも、なんで川で溺れている子どもがいるのかと調べてみたら、川上の方にすごく足を踏み外しやすい場所があったり、あるいは子どもを川に投げ捨てている人がいるんですよ。だからそこまで行って、足を踏み外しやすい場所に、ちゃんと橋をかけてあげたりすることによって、川に落ちる子どもが減るじゃないですか。僕はそういうことの方が今重要なんじゃないかなと思っています。事実思春期や青年期に精神疾患の発症が一番多いわけですから、そういった時期にそういうふうにならないように、いろんな手を打って、2015年度までに、2008年と比べて中退する学生を4割減らしたい。みんながそういうことに問題意識をもって中退減らそうよと、若者たちのために。未来の日本のためにっていうふうになったら、実現すると思うんですね。」 (山本)

(2009年7月7日放送・福祉ネットワーク 「この人と福祉を語ろう 社会起業家 山本繁さん “やりたいことがないんだったら 人のために生きればいい”」 より再構成)

コメント

はじめまして。私は大分県に住む23歳です。

私は、高校生の頃から生きづらさを感じています。

そのせいか、2年の頃に不登校になって3年の頃に通信制の学校に転校しました。

短大に通っていましたが、3ヶ月ほどして中退してしまいました。

今は仕事をしていなくて家にいることが多く希望や光がなかなか見えません。

ひきこもりが長期化すると、なかなか改善されにくいと聞いたことがありますが私は今、そのような状態なんだなと感じています。

地元にそのような人たちを支援してもらえる場所などは無く(探すと、あるかもしれませんが)困ってます。

だけど、この文章を読んで私には人のために生きることができると少なからず感じました。

それが今日の私にとってのわずかな進歩です。

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