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ハート ネット ピープル

生きよ! 堕ちよ! そして生きよ!

[写真] 朗読する渡辺浩一さん。
[写真] 朗読する渡辺浩一さん。

文豪・坂口安吾は 「こわれ者」 らしい。

「坂口安吾作品朗読会・安吾絶唱」 は9月11日に新潟市総合福祉会館の研修室で開催された。
筋ジストロフィーの渡辺浩一さんはじめ、統合失調症のYOPPY、強迫神経症でDV体験のあるアイコさん、詩人の鈴木良一さん、歌人の福島泰樹さん、などなどそうそうたる顔ぶれの出演者となった。

坂口安吾は新潟出身の作家だ。
『白痴』 『堕落論』 『桜の森の満開の下』 ・・・、などの作品で知られる文豪だ。
新潟県ではご当地出身の作家ということもあり人気がある。
新潟市では 『安吾賞』 という賞を設定して毎年 「世相に喝を入れた安吾的な生き方をした人」 を表彰している。
自薦、他薦された方々の中から選ばれる。
1年目は劇作家の野田秀樹さん、2年目はアルピニストの野口健さん、3年目は作家の瀬戸内寂聴さんと物凄い全国的な顔ぶれの方々が受賞している。

僕も坂口安吾が大好きで、作品もそうだがその 「生きざま」 も好きだ。
このお方、実はかなり 「こわれ者」 らしいのだ。
若い頃には勉強のやり過ぎで神経衰弱になったり、薬物依存症により東京大学医学部付属病院に入院したりしている。
ご長男が生まれた日に、警察の留置場に拘束されていたりする。
そんな苦しみの中で、物凄い作品をぼんぼんと書き上げていたわけで、そのバイタリティーには驚くばかりだ。

ここだけの話だが、10年後位に万が一、僕が全国的な活動ができるようになったら、なんといっても欲しいのがこの 『安吾賞』 だ。
でも、「世相に喝を入れる」 どころか、「自分に喝を入れることができない」、僕じゃ役不足だろうか?
10年後位には、立身出世して受賞したいもんだ。
これは、ここだけの話なので誰にも言わないで下さい。

さて、そんな坂口安吾作品を朗読することをテーマにした今回の朗読会、会場には約100人の方々が集まり盛況となった。
これもやはり安吾人気の賜物だろうか。

筋ジストロフィーの渡辺浩一さんは期待通り鬼気迫る朗読をしてくれた。伴奏は統合失調症のYOPPYがギターで弾いてくれた。
有名な安吾作品 『白痴』 の中から、戦争の空襲の中、逃げ惑う男女の姿を巧みに描写して朗読した。
朗読を聞きながら、僕は、渡辺浩一さんとYOPPYが手を繋ぎながら、空襲の中を走り抜けていく場面が見えたような気がした。差別や偏見、それは二人が被ってきた火の粉だ。
少しずつ体が弱ってきた渡辺浩一さん、精神科病棟に8回入院したYOPPY、辛いこともきっとたくさんあっただろう。でも、一つの道を信じてここまで、人生を駆け抜けてきた。
それは正に安吾的生き方だ。11年後の 『安吾賞』 はきっと渡辺浩一さんとYOPPYのダブル受賞だ!

僕はこの日、安吾作品の中から 『青春論』 と 『堕落論』 を朗読した。

[写真] 朗読する月乃光司です。
[写真] 朗読する月乃光司です。

「こんなに空虚な実のない生活をしていながら、それでいて生きているのが精一杯で、祈りもしたい、酔いもしたい、忘れもしたい、叫びもしたい、走りもしたい。僕には余裕がないのである。生きることが、ただ全部なのだ。」
『青春論』 坂口安吾

「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」 『堕落論』 坂口安吾

朗読しながら、54年前に亡くなった無頼派と呼ばれた作家の坂口安吾と僕の心が一体化したような気がした。
ラストは僕の詩と安吾作品をコラボレーションして、絶叫朗読した。

「サバイバルは生き残っていくこと
人生はサバイバルゲーム
僕は生き残ってしまった
自殺未遂しても死ななかった
リストカットをしても、死ななかった
ウィスキーを1本、ラッパ飲みしても死ななかった

僕たちの国では
1年間で3万人の人々が、みずから死んでしまう
1日で100人、15分で1人が自殺する
今日一日、生き残れば
どんな人でもサバイバーだ
僕たちは生き残った者たちだ

リストラされても死ななかった 
ふられても死ななかった 
冷蔵庫の前で食べ続けても死ななかった
体重が40キロを切っても死ななかった
セクシャル・マイノリティでも死ななかった
発達障害でも死ななかった 
心から血が噴出しても死ななかった
見捨てられても死ななかった 
誰にも相手にされなくても死ななかった
仕事がなくても死ななかった 
病気を抱えても死ななかった
今日一日は死ななかった

人生は生き残りゲーム
手首から血を流しながらも
42.195キロを走りぬいて
ゴールに飛び込んだら、どんな気持ちいいだろうか

自殺未遂したって、どんなに死にたいって思ったって
死ねなかったのならば
死ぬことと生きることの戦いで、
生きることが、きっと勝ったんだ

僕たちは生き残ったものたちだ

夫に殴られても死ななかった 
車椅子に乗っても死ななかった
引きこもりでも死ななかった 
前科があっても死ななかった
精神科病棟に入院しても死ななかった
「死んだ方がいい」と言われても死ななかった
死にたくて死にたくて死にたくてしょうがなくても、死ななかった
反吐が出るくらい生き苦しくても死ななかった
デートに一度も誘われたことがない、でも死ななかった
私の王子様はまだこない、でも死ななかった
所持金273円でも死ななかった
いじめられて
馬鹿にされて
無視されて
笑われても
死ななかった
死ななかった 死ななかった 死ななかった 死ななかった

生きよ、堕ちよ、生きよ、堕ちよ、
堕ちきることによって、人生の意味を、僕たちは見つけだすんだ」
 『僕はサバイバー』 月乃光司

叫びきった時に、何ともいえない開放感で僕は一杯になった。
渡辺浩一さんとYOPPYが、真剣な眼差しで舞台上の僕を見ていた。

「浩一さん、YOPPY、また一緒にイベントをやりましょう!」

コメント

福島での月乃さんの講演で拝見しました。
詩にとっても感動しました。
本当に今日を生き残ればサバイバーですね。
坂口安吾さんも読んでみたいです。

ヤオイ様

福島ではありがとうございました。
今、新潟に帰ってきました。

福島は新潟から隣県なので
これからもいろいろ伺いたいです!

いい詩ですね!
胸にグッときました!

KASU様

ありがとうございます。
機会がありましたら、生の朗読をぜひ聞いてやって下さい!

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