
父の死
昨年の12月28日に父親が肺炎で亡くなった。
11月末から入院している父の余命が年内であることが、医師から告げられた。
父親は朦朧として、言葉も聞き取れない状態だった。
手を握ると、一瞬反応した。
思えば親不孝だったと思う。
私が25歳の時、父親は癌になった。
当時、東京でアパートで一人暮らしだった私のもとへ母から電話がきた。
「新潟へ一回帰郷して、入院中のおとうさんと会ってくれ」と母に言われたが、私は当時、アルコール依存症の連続飲酒のまっただなかで、金が無くなるまで、酒を飲みきったら自殺しようと考えていて、新潟へは帰らなかった。
手首を切り、縫合までしたが死に切れなかった。
結局、金も無くなり、死に切れず、その年の暮れに新潟へ帰った。
父は胃の一部を切除する手術をして、癌から逃れることができた。
自分の最大のピンチだった入院時に長男である私が顔を見せなったこと・・・、この事が父の私に対するかなりの不信感につながったようだ。
その後、2年位、私は自宅で引きこもり、飲んだくれながら、入退院を繰り返していた。
傍観していた父がある日、切れて、「おまえ、俺が死ねばいいと思っているんだろう!」と怒鳴りつけられた記憶がある。
その後、27歳から、私は断酒グループに入り、酒をやめて少しずつ社会復帰をするようになった。
断酒グループには、酒をやめてある程度時間が過ぎたら、「傷つけた人々に埋め合わせをする」というプログラムがあり、相談相手に、私が父の入院時に帰郷しなかったことで、父を傷つけ、わだかまりになっている話をしたところ、「そのままの話をして、おとうさんにあやまってみよう」と提案された。
父の車に私が乗せてもらい、当時の私のアルバイト先に送ってもらっている時に話した。
・おとうさんが癌になった時に面会に行けなかったことを申し訳ないと思っていること。
・当時、私は連続飲酒状態になり、手首も切り新潟へ帰れる状態でなかったこと。
車を運転していた父が泣き出して、涙をぬぐっていた。
その後、私はイベントなど、どんどん自分勝手な世界に入り浸るようになり、家を空けることも多くなった。
唯一、父に対する埋め合わせは、今の会社を辞めずに継続して続けて行くこと。この事は続けていこうと思っていた。
父は長年、会社員だった人で、その事は喜んでくれていた。
親孝行できたかもしれない瞬間はいくつかはあった。
これは謙虚ではなく、事実なのだが、私は会社員としての業務は全くできない男だ。
ところが上司の男性が、私の入院体験などの話を知りかなり同情していたのか「おまえ苦労しているなぁ」と私に語り、社内評価を高くつけてくれていた。「優秀社員表彰」を受け、
「賞与査定」の紙など実際内密なのだが、私にコピーをくれてそこには、「やらせればなんでもできるタイプで、性格もよく、将来が期待できる」などと書いてくださっていた。
私は父にその紙を見せていた。父は大変に喜び、母などにも「あいつは仕事は一生懸命やっている」と語っていたという。
本当は違うのだ。私は会社の業務についていくことがやっとで、同僚の評価も全然高くない。どっちかというと味噌っかすだ。
11月の入院時の当初、まだ意識のしっかりしていた父は、もう貯金が全然なく、年金がこの金額だけは2ヶ月に1回入る、もうこれからのことは全ておまえにまかすから、と語ってくれた。
帰りに、お酒をやめて、引きこもりを脱出して良かったと思った。飲酒を続けていたら死んだかもしれないし、父におまえにまかす、と言ってもらうことは無かっただろう。
ちなみに上記の上司と、最近、あまり人間関係がよくなくなっていて私の最大のストレスの一因となっていた。
ところが、その上司が急遽、転勤されることになった。
転勤される前に、「あなたが評価を高くつけてくれたことで、父に対する孝行になりました」とお礼をいおう。
漫画、自虐の詩に「すべてのことに意味がある」という言葉があるが、私も、例え偶然でも「すべてのことに意味がある」と思いたい。
そう信じていたい。




お父さんは、もう、気持ちをわかってくれていると思いますよ。あなたも、苦しんでいた事も、現在、頑張っている事も。私も、これからは、理解・協力・支援してくれる家族を、私の出来る限りで、大切にしようと思います。発達障害があるので、なかなか、難しい部分もありますが、出来る範囲で、家族達を愛し、大切にします。私もこれからも、応援しています。きっと、お父さんも、応援してくれていますよ。
こんばんは。月乃さんのことを知ったのはつい
最近なのですが、とても心強い存在です。
私はひきこもったり、少し社会に顔を出したり・・を
繰り返している対人恐怖ぎみ?30歳です。
もう自分でもいい加減、地に足つけて歩きたい。
親も定年間近、焦ります。
焦ってはいるのですが、なかなか行動が伴わない・・・。
この文章を、自分のことのように読みました。
月乃さんの飾らない文章が大好きです。
私も、これが私です!と顔を上げて生きていきたいです。継続は力なり、を実践したいです。
いつも勇気をもらってます。ありがとうございます。