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ハート ネット ピープル

手話が、自分を豊かにしてくれた

教育TV「みんなの手話」で生徒役を務める林家正蔵さん。2006年から、手話落語にも取り組んでいます。正蔵さんの手話に対する思いについて、町永アナウンサーがインタビューしました。


町永アナ:正蔵さんは、なぜ手話落語を始めることにしたのですか?


 正蔵さん:あるとき飛行機の機内で、耳の聞こえない方と偶然隣り合わせて、「落語を聞きたいけど、耳が聞こえないので寄席にいったことがない」という話を聞いたんです。また、いつも寄席に来るお客さまの中に一人だけ笑わないお嬢さんがいて、あとで知ったのですが、その方も耳の聞こえない方でした。唇をよめるので、落語の内容は分かるそうです。しかし私は、耳の聞こえない方に、もっと落語を届けたい、楽しんでもらいたいと思ったのです。そうしたところから、手話落語を始めることにしました。


町永アナ:「みんなの手話」に出演することは、いい勉強になりますね。


正蔵さん:今回、番組の中で自分のコーナーを持たせてもらっていて、「失恋」や「孤独」など、ちょっと変わった手話表現を、小噺(こばなし)とともに紹介しています。初心者にとっては珍しい表現が多いので、自分自身も楽しみながら勉強しているところです。この機会に手話を学びなおして、次回手話落語をやるときには、もっとお客さまたちに喜んでいただきたいですね。


町永アナ:手話落語というのは、耳の聞こえない方もそうでない人も、ともに楽しめるところが、すばらしいと思ったのですが。


正蔵さん:目標とするのは、そこですね。来ていただいた皆さんに楽しんで帰っていただくのは、落語家として当然の務めだと思うんです。ただ、もともと、「耳の聞こえない方に楽しんでもらいたい」と思って手話落語を始めたのですが、後になって、“それは違う” と感じました。手話落語を披露した当日、会場は耳の聞こえない方や、手話を勉強している方で満席だったのですが、私が手話を間違えるたびに、皆さんが一斉に “こうやって” と、手を動かして手話を教えてくださるのです。落語では、“客席をまきこむ一体感”が大切なのですが、それが手話落語の会場では、ものすごかった。この体験から、手話を学ぶことは、「誰かのため」 ではなく、自分自身の心の財産を増やしているのだ、という気がしたのです。


町永アナ:お客さんに分かってもらえること、楽しんでもらえることが、噺家として自分の財産になっていくということですね。


正蔵さん:お客さまに手話が伝わったときの喜びといったら、たまらないですよ。福祉って、人のために手をさしのべることだと考えられがちですが、実は、自分のためにもなることではないでしょうか。


映像初披露した手話落語
2006年、林家正蔵さんは手話を特訓し、7月の『大銀座落語祭』で手話落語を披露しました。この催しは、落語ファンの裾野を広げる目的で、外国語落語などさまざまな試みに挑戦するものです。この日、会場は満席になりました。

映像「みんなの手話」に生徒役でレギュラー出演しています。

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