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ハート ネット ピープル

いらないわたし

[写真] 「あい」 とのツーショット。
[写真] 「あい」 とのツーショット。

「ハートをつなごう」 2009年1月放送の依存症第2弾でスタジオに登場し、恋愛依存について自身の経験を語ってくださった咲 セリさんが新たにピープルに仲間入りです。「自分は生きる価値がない」 子どもの頃から自己肯定ができず愛を求めて依存や自傷を繰り返してきたというセリさん。そんな彼女が変わっていくきっかけとなったのが一匹の猫 「あい」 との出会いでした。「みんな生きるために生まれてくる」 では、過去と今について、想っていることを綴ってくださいます。

この世の中に 「いらない」 命。

わたしはずっと、自分のことをそう思って生きてきた。
何の役にもたたない。誰からも必要とされていない。
生きている “価値” も “意味” もない人間。

「なんでそんなふうに思うの?」 と聞かれるたび、
「だって、そうなんだもの」 と言うことしかできない。
わたしからすれば、そう思わずにすむことの方が不思議だ。

物心ついた時から、わたしは、わたしほどダメな人間はいないと信じていた。
人が普通にできることができない。「できそこない」 の 「おちこぼれ」。
―父、曰く。

たとえば、テストで99点を取れば 「なぜ100点じゃないのか」 と怒られた。
100点をとって胸を張れば 「100点なんて当然だ」 と怒られた。
「こんなこともできないのか」 「本当に俺の子か」 父にそう言われるたび、
なじられた母が、わたしをかばうことなく、泣いて父に謝るたび、
胸がちぎれそうなほど、かなしかったけど―

かなしむ資格なんて、わたしにはない。
できないわたしが、悪いんだ。

10歳の時に、弟が生まれた。
歳を取ってからできた男の子に、父は目じりを溶かして溺愛し、
わたしじゃ到底叶えられないであろう「弁護士か医者」という父の夢を弟に託した。
さみしい反面、正直、わたしはほっとした。
弟さえいれば、父を苛立たせずにすむ。母を泣かせずにすむ。

じっさい弟は、わたしにとっても、天使のようにかわいかった。
こんなにダメなわたしにも、「ねっちゃん、ねっちゃん」 と心の底から慕ってくれる。
弟といると、わたしの心までキレイになった気がして、子供心に胸が熱くなった。

だから、それは、そんなあどけない風景の中のひとつだった。
ひさしぶりに家族四人がそろった夕食の席で、父はいつものようにお酒を飲んでいた。
わたしの隣には弟。まだ上手に食器を使えない彼に、わたしはお姉さんぶった口調で、食事のマナーについて注意をした、らしい。
ほほえましい光景だった、と母は言う。
だけど、それを見た父は、烈火のごとく怒りだした。
「おまえにそんなこと言う資格はない! 『失敗作』 のくせに!」

この日の記憶は、まるでケシゴムで消されたように、わたしの中にはまったくない。

なんで、わたしは、生きてるのかなあ。

その頃からだろうか。漠然とそう思うようになった。

誰にも必要とされてないのに。
誰からも愛されていないのに。

どうして、生きなきゃ、いけないのかなあ。

最初におこなった自傷は、たしか、たぶん、ハサミだった。
誰に教わったわけでもないのに、学校の文具バサミで左腕をぎゅうっとおさえてみた。
血が出たのか、痛かったのか、よく思い出せない。
だけど、それはほどなくオーソドックスなカッターナイフになって、
頭痛薬の一気飲みになって、突然、髪の毛をばっさり切り刻む…になった。

父と、母の、気を惹きたかったんだと、今にすれば思う。
心配をされたかった。注目をされたかった。
どこかの青春ドラマみたいに、「ごめんね、愛してるよ」 と言われたかった。
だけど、現実はあまくない。
「死んでやる!」 と泣き喚いたわたしの腕を掴んだ父は、
引きずるように風呂場に向かい、水を張った浴槽にわたしを頭ごと沈めた。
「そんなに死にたいなら、いますぐ、死ね!」

もう、
愛される方法が、
わからなかった。


(次回へ続きます)

コメント

私は、子供の頃、父によく殴られました。
それは、6歳離れた弟が出来てから、よけいにです。男の子供が欲しかった・・と言っていました。まだ、弟が赤ちゃんで、何かの音にびっくりして泣いた時、父が飛んできて「お前が殴ったに違いない」と有無を言わさず殴られた事。2階の踊り場で背中を蹴られ、階段から転げ落ちそうになり、必死に手すりをつかんだ事。お前の顔を見ると腹が立つと顔面を殴られた事。私は殴られても、弟は何をやっても殴られる事はありませんでした。高校を卒業するぐらいから、父も年をとり、私も要領を得、殴られる事も無くなりましたが、思春期に入ってぐらいから、私は自分が人と違う事に気づきました。いつ死んでもかまわないと思う気持ち。自分が人に必要とされていないと言う孤独感がいつもあり、男の人と付き合っても、まだまだ、もっと愛してくれる人がいるはず・・と、目の前の人の愛情が信じられない。誰と付き合っても、孤独感が消えませんでした。中学ぐらいから時々、飲酒をしましたが、両親は、「この子は大人になったら呑み助になるな」程度で飲酒には寛容だった事もあり二十歳前半からは毎日飲むようになりました。次第に量が増えて、30代の中頃、自分でも少し怖くなり、お酒の量をコントロールできるのでは・・と催眠術のカウンセリングを受けた事がありました。カウンセリングの中で「今のあなたが、子供の頃のあなたに会いに行き、子供の頃のあなたを抱きしめましょう」と言われ、何故か涙が溢れ出て止まらなくなりました。今は夫と子供に恵まれ、孤独感は消えました。夫は父と真逆で、温厚で、子供に対して誠実に接してくれます。それが、心の中の「子供の私」を安心させてくれたからだと思います。解決できない孤独感や、自分の命をも大切に思う事のできない投げやりな気持ち。私が死ぬまでに、それは何だったのか、なんとなく分かって良かったと思います。

セリさん、こんにちは。
「いらないわたし」読んでビックリしました。
セリさんが体験されたこと、実は私も体験してるんです。私の場合は、母からですけど。
100点取らないといけない答案用紙、同じです。どんなに難しいテストでも関係ありませんでした。
それに母の怒りを買うと、酷い時には蚊取り線香に火をつけて押しあてられたこともあります。
苦しかったんですねー。
私も ず~っと苦しかったです。
結婚して ようやく自由になれた気がしましたもの。
続きが出たら、また読ませていただきますね~。

こんばんは(*^-^*)
コメントを書いてくださって、ありがとうございます。


> 虹子 様

お父様との関係、弟さんの存在、そしてお酒のこと…まるで自分のことを読んでいるようで、涙が溢れました。
「目の前の人の愛情が信じられない」「自分の命をも大切に思う事のできない投げやりな気持ち」…痛いほどわかります。
虹子さんも、お父様と正反対の方とご結婚して、穏やかな日々を迎えられたのですね。私もです。
虹子さんが、虹子さんを抱きしめ、そして旦那様も虹子さんを抱きしめてくれる…孤独だった「子供の虹子さん」が、いっぱいの愛に包まれて、私もしあわせです。


> みーはー熊 様

みーはー熊さんは、お母様から…。
蚊取り線香に火をつけて押しあてられた…その時のみーはー熊さんのお気持ちを想像すると、言葉がみつかりません…。
「苦しかった」ですよね。今、私も声に出してみたら、涙が出て、そしてなんだか救われました。
みーはー熊さんもご結婚されて自由になられたとのこと、私も、今、とても自分らしく自由でいられている気がします。


苦しい時を乗り越えて、今、生きているお二人と出会えて、本当にうれしいです。
ありがとう。

セリさんのブログでこちらのリンクと注意文を拝見して、悩みつつ、来てみました。

同じような幼少期を過ごしている人は、意外といるものですね。
まだ過去を受け入れた気はありませんが、とりあえず生きています。

こんにちは(*^-^*)
コメントを書いてくださって、ありがとうございます。


> ぶーこ 様

お悩みの上、ここに来てくださって、文章を読んでくださって…本当にありがとうございます。
ぶーこさんも、幼少期に痛みを抱えておられたのですね…。
今回、不安を抱えつつもここに書かせていただいて、想像以上に「私もそうだった」というお言葉を聞き、びっくりしながらも、心が軽くなりました。
「とりあえず生きています」…すてきです。
私も同じ…気がつけば10年後、20年後、「とりあえず、で、こんなに長生きしちゃったね」と笑いあいたいですね(*^-^*)

セリさん、はじめまして。
もうすぐ31歳になる♀です(もしかしてセリさんと同い年?)。
実は、今年1月に放送された、セリさんが出演された番組を見て「私は生きてていいんだ」と気付くことができました!

私も両親から否定的な言葉を言われながら育ってきて、ずっと「自分には生きる価値がない」と思っていました。

でも、偶然かもしれませんが、私も猫との出会いがきっかけで少しずつ「気づき」を得てきた経緯があったので、セリさんが猫の「あい」ちゃんと出会って癒されていく様子がまるで自分のことのようで、見ていて涙がこぼれました。

猫には不思議な力があるように思います。
あいちゃん、すごく可愛らしいですね♪
あいちゃんに寄り添うセリさんの表情も素敵です(^-^)

「私は生きてていいんだ」と気づくきっかけを与えてくれて、ありがとうございます。
これからの連載も楽しみにしてますね!

こんにちは(*^-^*)
コメントを書いてくださって、ありがとうございます。


> みお 様

すごい、同い年ですね!私も来年の一月に31歳になります。
1月に放送された「ハートをつなごう」さんも見てくださったとのこと…
私と同じように、生きる価値がないと思いながら生きてこられたみおさんが、これまた同じように、猫ちゃんとの出会いをきっかけにきづきを手にされたとのお話、胸が熱くなりました。
猫たちの、あの無防備でまっすぐなぬくもりは、頑なな心をほぐし、あたためてくれますよね。
優しく力強い言葉の数々、私こそ、本当にありがとうございます!

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