
二男パニック、ドキュメンタリー
【今回は、夫婦で部分的に交代執筆しています】
<執筆:ここから笹森史朗>
二男は、まもなく11歳の小学校5年生。愛称は 「ホッピー」。
約6年前にADHDの診断を受け、脳波検査すると覚醒レベルでも、バリバリと波が現れ 「てんかん」 の診断名も受けている。ただ、幼児期に数回、大発作 (卒倒、意識不明、けいれん) を起こして以来、大きな発作は発症していない。
いまでも、脳波検査をすると、あいかわらずの状態で、その要因もあり、「易怒性 (いどせい)」 が高く、特に家の中では、閾値 (いきち) を超えやすい傾向がある。つまり、パニックを起こしやすい。もう一つ、関連する原因に、睡眠障害が伴っている。とにかく寝つきが家族で一番悪い。このたび、病院の思春期外来に通い出し、脳波を落ち着かせながら、入眠しやすくなる処方薬をいただいた。けれど、これまた課題になるのが本人の 「拒薬」。錠剤を飲み込むことに抵抗感がかなり強いし、シロップ薬は、味に強く抵抗を示す。つまりは飲まなくなる。
これらの要素が輻輳 (ふくそう) し、夕方は、疲れや寝不足から、ふっと居間で寝入ってしまうことがある二男。こうなると、その後、起きたとき、かなり高い確率でパニックを起こしてしまう。激しく、わめき、泣き、物にあたり、理も非も通じない状態が続く。
理由は、じつに瑣末 (さまつ) なことが多い。で、これまでは、本人の特性を思い、わたしたち両親も長男も、責めるでもなく、無視するでもなく、闇雲に従うでもなく、なんとか、ギリギリ、嵐の過ぎるのを待っているような感じだった。
そんな二男に最近、パニックからのリカバリについて、以前にはない 「兆し」 が見えてきた。
一つは、十歳、歳の離れた三男の誕生。怒りにまみれた状態のとき 「しーちゃん (三男) 貸して!」 と言い、抱きとめ、しばらく、見つめ、なんとか気持ちを落ち着かせようとしている姿がある。うまくいくと、この三男効果で、我に返るきっかけをつかめる。
もう一つは、解決策への糸口を見つけだせるようになってきたこと。いままでは、「そんなんムリ!」 「でけへん!」 と、ひたすらの全否定モードから抜け出せなかった。最近は、奥さんが、わめく二男に、いくつかの代替案や解決策を、提示する。そのときは、ただ、わめいて拒絶していたのだけれど、実はしっかりとその言葉を聞いてはいた。
先日、夕方、保育所に三男を迎えに行った奥さん。たまたま、コンビニ前で、長男、二男に出くわし、その日のおやつ代を渡そうとした。ところが二男は 「いらない」 というので、奥さんは 「そう?」 と言って、何の気なしに帰宅した。これは、おやつ代を、おやつ食べないときには貯金する、という約束があって、奥さんは、その日のおやつは貯金に回すからいらないのだろう、と思った。ところが、その後、夕食後に 「今日のおやつは?」 と二男が奥さんに尋ねたのだった。
<執筆:ここから笹森理絵>
それがなぜか、いきなり、夜になってお菓子はないのかといって二男、大暴れ、悪態ついて、わめいて、泣いて、もう大変。
しーたん (三男) も怖がって泣くし、家の中、大騒ぎ。
今までは、余計な刺激を入れないために、声かけはあまりしないようにしていたんですが、最近、いくつかの提案をするようになった。
「お父さんにメールして帰りに何か買ってきてもらいなさい」 とか、まだ六時半だったから、「今から買いに行くなら間に合うよ」 とか。
もちろん、必ず泣きわめいて、涙をボロボロこぼしながら、暴れながら否定します。
「俺はメールなんかうてない!」
「真っ暗だから、今からなんか買いに行けない!」
三男が大泣きだから、部屋を出ていたら、途中で携帯電話を持って長男が来た。
「お母さん、送り方がわからない。ほっぴー (二男) に送れって言われるんだけど」
よく見たら、一文だけうってある。
「●●●普通サイズ買ってきて」
お菓子の名前とサイズがかいてある。それを私が送信したら、ホッとしたのか、少しずつ落ち着き、あとは慣れたクーちゃん (長男) がうまく対応してくれた。
さっきの大荒れが全く別人のような穏やかな、でも快活な笑顔…このギャップは何年経っても慣れない…(;^_^A
しかし、パニック中に提案した解決策を、彼はわめいて一度は否定しながらも、何とかやろうと試みるようになったのは進歩。今までなら、まずそれは難しかったから。
<執筆:ここから笹森史朗>
わたしは、ちょうど会社からの帰路途上、電車の中でそのメールを受け取った。
二男 「●●●普通サイズ買ってきて」
わたし 「たぶん、あれが普通サイズかな、わかった」 と即返信。
自宅の最寄駅に着いてから、コンビニに行くと、確かに指定のお菓子はあったけれど、「●●●ミニ」 とかいてある。ミニか・・・、確かに袋も随分小さいし、これは違うかもしれない。これしかないから、買うか? いや、しかし、わざわざサイズ指定してきたのに拘りを感じる。など思いをめぐらせながら、念のため、近くのスーパーなどを回り、店のスタッフに訊いて単に 「●●●」 と書いた普通?サイズのものを無事に見つけることができた。
帰宅したら、家は泥棒が入った後のような散らかり様。状況は容易に察知できた。
二男 「●●●は?」 とお菓子を買ってきたか、わたしに確認する。
わたし 「はい、普通サイズ。1つはクー (長男) に渡してな」
二男 「(小さい声で) わかった、アンキュ (サンキューの意味)・・・」
やはり、普通サイズを探してよかったみたい。この、コダワリの理解と、ワガママの境目は、難しくて誤解もされやすいと思う。ささやかなことだけど、大事なことのように思う。そして、夫婦共通で次男のこだわり特性を理解しているか否かで、運命を左右したのかもしれない。この日はこれで見事にリカバリした二男だった。
後日、わたしが会社の送別会で遅くに帰宅したとき、疲れ果てた奥さんと三男は、中2階ですでに爆睡。1階の居間で、二男も寝入ってしまっていた。長男も既にウトウトしながら 「おかえりなさい」 と迎えてくれた。寝る準備を整え、2階まで寝入った二男を連れて行くために声をかける。
「階段が危ないからオンブして連れて行ってやろう」 と言い、なんとか背中に二男をオンブし、落とさないよう気をつけて2階に移動、その間、長男が後ろから支えて手伝ってくれた。無事2階の布団に下ろしてから二男 「ああー! 今日の宿題! まだしてない!」 と叫んだ。パニック寸前!?
すかさず長男が 「明日の朝、お母さんに頼んで、連絡帳にできなかった理由を書いてもらえば?」 「それとも、明日、早起きして、宿題するとか?」
それを聞いた二男、しばらく考え、それ以上、パニくることなく再び、寝た・・・
このとっさの長男ナチュラルサポートぶりには、感心してしまった。
念のため 「連絡帳に宿題できなかった理由を書いてあげて」 と寝ている奥さんにメッセージを送っておいた。その翌朝、わたしは、子どもたちを起こしてから早くに家を出たのだけれど、会社に着いたころに奥さんが報告のメールをくれた。
「結局、朝、宿題やって行ったから連絡帳は書かずに行った。機嫌よく、食パン食べて、足りないから、さらに食べ足して。しーたんのベビーカーを保育所まで押してくれて、元気に校門に消えて行ったわ」
こんな風に、沈んだり、浮いたりを繰り返しながら変わっていければ、いいか、と再確認した出来事だった。大切なのは、夫婦で、家族で、それぞれの特性を理解したいと思い続けることかな。




良くやってらっしゃるなあ!!
なみだが出てきてしまいました。 。 。
お父さんとお母さんの姿勢を見て、長男君もそういった声かけが自然にできているのでしょうね。
いつも頑張っておられるお二人から、元気をいただきました。
本当にありがとうございます。
笹森理恵様
なかなか返事が来なくて淋しい思いをしている毎日が続いているところであるが、次男坊がパニックを起こしたと聞き、理恵さんや長男坊にパニックが移ったことはないでしょうか?
自閉症の特徴自体、知的障害の有無は全く関係なく、一人がパニックを起こせば、「大声を出された」と思い、イライラしてパニックがどんどんエスカレートするらしいので、私もそのこと自体はよく分かります。
私も「アスペルガー症候群」で、見た目だけではその病気があることが分からないので、髪質が「天然パーマ」理由でいじめやからかいがエスカレート状態。しかも授業中にいたずらをしてくる男子がいた為、その男子のせいで私もパニックを起こしてしまいました。
もちろん「発達障害」の支援法は全くなかった為、私だけが担任教師に叱られるどころか、通知表にもその事実を書かれました。そんなことをされれば母親にも通知表を見られて叱られるのは当然。やはり「弱り目に祟り目」「泣き面に蜂」と言いたいところです。
今思えば「パニック障害」「解離性障害」など、「二次障害」で悩まされていたことが考えられます。
私が最もパニックを起こしやすい状況と言ったら、家事で忙しい時に息子にやたらに声をかけられたりすることです。他には「ピンポン方式」で誰かとの会話中に別の人に声をかけられ(要するに割り込まれ)、何を話したいのか分からなくなってしまい、それで自分の頭の中がパニックになったことが何回かあります。
それに短大時代、私が母と弟と3人で自転車に(もちろん1人1台、要するに3台分)乗って1列ずつ歩道を通っている時に私だけが知らないおばさんにグイっと肩をわしづかみされるように呼び止められ、母に「おいてきぼり」にされる(要するに「おいて行かれる」)恐怖心のあまり、感情的に怒ったこともありました。
それを見た母は私の「パニック状態」を全く理解せず、かつ、私を「障害児」と思わず、「あんたなんかバイトできない」「バイトは我慢しなきゃいかん」「よそでも(嫌なことが顔や口に)出たからバイトは無理」と言って私に対する「不満」をぶちまけるだけでした。全く「無理解」で頭に来ました。
理恵さんはどんな時に「パニック」になりやすかったでしょうか?今までの辛かったこと、何でもいいからメールなどでどんどんさらけ出すとスカッとしますでしょう。
では、また。
すごいです!!
ご夫婦でお子さんの特性をしっかりと理解している所・ご長男が日常生活でどう対応すれば良いかを学んで実践している所・そしてパニックを起こしながらも人の話に耳を傾け何とか自分でできそうなことをやってみようとしている次男さん。
子供の成長力のすばらしさとそれに寄り添って焦らずそのペースについて行ってる笹森さんご夫妻の姿励みになります。
うちのチビ(3歳♂アスペルガー)も昨年は引越しがあったりして環境が変わったせいか色々とパニックを起こすことが多くてこずってましたが今年に入りかなり落ち着いてきました。
でも、彼にとって現居住地は生きにくい場所のようで元の土地に戻りたいと強く希望しているため私と子供で元のところに戻る決意をしました。
来春は幼稚園入園があったりしてまたパニックを起こしやすくなるかもしれませんね。
その時は笹森さんを思い出して頑張ります。
話は変わりますが、脳波検査受けさせてみようかな?と思いました。
これで発作を起こす可能性とかがわかるって事ですよね?
睡眠障害のこともわかるのでしょうか?
どうもありがとうございます。
パニック・・・身近に体験している方には、痛切な思いがありますよね。
薄皮を剥がすような思いの積み重ねでも、年の単位で見返すと、びっくりするほどの「育ち」を感じています。
みっちゃんのママさん、こんばんは。
レスを付けてくださっていたのに、なかなか気がつかずにいて、申し訳ありませんでした。
携帯電話を機種変更したら、うまく表示ができなくなって、普段、なかなかPCを開けられないので、遅くなってしまいました。すみません。
パニックのことですが、私の場合、混乱してしまうような事象が起こった場合は、友達というよりも、やはりいわゆる専門家の先生方や、かかりつけの神経科の精神保健福祉士のカウンセラーの先生などの方々に聴いていただいて、客観的に整理してフィードバックしてもらうように心がけています。
ただ、そのような窓口の少ないことが、現在の成人支援の課題であると考えております。
はしまゆ さん
「励みになる」と言っていただいて、こちらも、励みになりました。
ありがとうございます。
引越しがあったりして環境が変わるのは、キツイと思います、ほんとに。
落ち着いてきて、よかったですね。
脳波検査は、子どもの場合、多くは眠ってもらい計測するのが、なかなか大変ですが、大事だと思います。
ただ「てんかん」も「睡眠障害」も、その専門医が診断してこそ、わかるものなので、そのような医師は数少なくて、とても混んでいるのが、現実、難しいのです。
白桔梗 さん
さきほど、白桔梗さん名で投稿していました、わたし。すみません。
注意不足と、短期記憶の悪さ(コピペする場所間違い)でした。失礼しました。
こんにちは。
更新が早めで、ちょっと嬉しいです(*^_^*)
この件は、奥様のブログで先に拝見させて頂いていたのですが、ホッピー君の明らかな進化の兆し、それと家族みんなの合致したナチュラル・サポート、それらをおふたり揃ってがっちり感じ取れた、・・・っていうのがものすごく解ります。
「そう、そこだよね!」っていうご夫妻の思い。
ひとつひとつは簡単なこと。
でも、そこに観点を見出す・実践する、っていうのは、“知らないひと”には相当難しい。
ココはこう・ああな場合はこう・・・って、積み重ねで会得していくある種“感覚”だな、って思います。
今までもひとつずつ、そしてこれからもひとつずつ、そうやって急がず・少しずつ積み重ねていく中で、ホッピー君もクーちゃんも、そしてしーちゃんも、ご家族みんながどんどん進化していくんでしょうね。
いつも思うのですが、笹森さんご一家の魅力は、「流れに逆らわず」なところだな・・・と感じます。
抗うのではなく、流れに沿いながら、でもしっかり進んでいく。
三日月湖は、いつか水を蓄えて新たに水流を持つようになったような、そんな気がします。
我が家はいま、就学に向けてあちこち相談に行ったりのピーク。
この選択が、まるで彼の人生を決める最終決断でもあるかのような悲壮感でした。
・・・当初は。
でも、違うんですよね。
彼の人生は、まだまだこれから。
“失敗したくない”の思いは正直あります。
でも、“失敗出来ない”じゃあ、ない。
“失敗してもいい”と思えることが、私達には大事なんだなー・・・と考えるようになりました。
支援が必要、と感じた時に、極力スムーズに手配が出来るようにしておくこと。
支援が必要なことなのか、が気づかなかったり迷ったりしない為にも、なるべく外部のひとと情報を共有すること、またその努力を惜しまないこと。
これらは奥様から学びました。
何か問題があって、どうにかならないかと苦悶して、悲観して、疲弊して・・・の経験を家族して積むのではなく、冷静に受け止めて、具体的な対処方法を考えて、協力を仰いで、そして実践して、積みあげていく。
それは、息子だけでなく、家族皆が生きていく為に必要なものなのだと考えています。
凹んでも、ですね。
ゆちさん
こんばんは。
なんか、教科書で「その作者の思いは?」との問いに、作者以上の思いのたけを、詳細な解説いただいたみたいに、いろんな思いを抱き、記していただいてありがとうございます。
三日月湖は、道を作りつつあると確かに感じる思いです。
ゆちさんも、いま、考えて悩んで思っている真っ最中ですね。
毎日毎日はたいへんですけれど、「いいじゃないか~」という気持ち、大事にしたいと思っています。
ありがとうございました。
笹森理絵様
前回のメッセージであなたの名前を間違えたまま投稿してしまってすみませんでした。
急いでいて、申し訳ございません。
これからもメールでメッセージのやり取りを続けましょう。
では、さようなら。