
同窓会のように感じた田中先生の講演会
8月29日(土)に兵庫県神戸市で開かれた 『りぼんネット』 の愛称で知られる明石市のNPO法人市民サポートセンター明石主催の田中康雄先生(ハートをつなごうでお馴染み、発達障害者の支援をされている北海道大学大学院 教授:児童精神科医)講演会。
かねてから、この日を待ちわびていた奥さんと2人で出向いた。このNPO法人のメンバーには、偶然、奥さんの友人 (もともと、わたしたち夫婦が知り合ったツーリングクラブの仲間) がいることもあり、7月上旬には奥さん、さっそく申し込みを済ませていたのだった。
講演テーマは 「なるようになる なるようにしかならない?ライフサイクルに合わせた理解と対応?」。まさしく発達障害に関わるうえで、知っておきたいと感じさせるものだった。
そして、8月29日当日。ふだんはサイト上でお付き合いがある、うちと似たような特性のあるお子さんがいる関東から来た5人家族とも、会場の駐車場で合流し、講演会開始まで楽しくお話しできた。
開演の1時間以上前には、到着していたので、奥さんの宣言どおり一番前の席を確保。参加者の多くは発達障害者の支援者となる立場の方々、次いで保護者だったと後に聞いた。
講演内容は、専門家が、わたしたちの目線で語りかけるような、わかりやすい、楽しいお話だった。
田中先生は 「発達障害」 を 「生活障害」 だと表現されていたけれど、これはまさに親にとって、生活の場面々々で、切実に感じていること。具体的にどんな生活の場面かといえば、例えば田中先生の話のなかでわたしが印象に残ったところを一つ挙げると、歯磨きに自らチャレンジした発達障害の子どものエピソードがあった。そのときに紹介されたイラストでは、子どもの横で両親が 「よくやったね」 と喜んでいる姿も描かれている。子どもは歯磨きにチャレンジしたことを褒められて得意気。けれども洗面台の上によじ上り、洗面所は散乱し、何やらコードが垂れ下がり、引き出しも出たまま、ぐしゃぐしゃ。親から観ると、注意したくなるような箇所ばかりが目に付く、そんな状況が描かれているものだった。このイラストは 「こんなふうにほめましょう」 という、場面のたとえ話しに使われたもの。
年齢に応じて、本来できていくことが、感覚過敏や、こだわりや、いろんな理由で、なかなか、うまくいかないことを、親は身に染みて感じている。で、まず、本人の自己肯定感を大切にしたい親は 「よくやった!」 と褒める。実際、発達障害の特性を持つ子ども自身が一番何に苦しんでいるかといえば自己肯定感が持てないことだったりするから。ここまでは、親は皆できるけれど 「でも(散らかさないでね)」 「だけど(洗面台に上ったら危ないじゃないか)」 「じゃ(今度から、もう、ちゃんとできるよね)」 と、つい余計なひと言をつけてしまう、この 「皮肉」 を言わないことが大事。と言うようなたとえを列挙しながら 「これが全部できる親御さんがいたら、ぜひ一度お目にかかってみたいと思います」 と、さらりとジョークを述べ、会場の笑いを誘う。このひと言で、親や支援者は 「やらねばならない」 感から 「みんな、完璧にできないのは同じなんだ」 という安堵感に包まれたと思う。
わたしたちと一緒に、最前列に座っていた5人家族、その3人の子どもたちを田中先生は意識して 「たいくつしないように、話さなくては」 と、思われたことを後で伺った。それで、子どもに語りかけるような軽快な話し方だったのか、と思った。
その5人家族のお父さんは、田中先生の講演を聴き、これまで、分かっているようで分からなかったことにたくさん気づくことができ、「まるでハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けた、今日のお話を聴けてほんとうによかった」 と、後からメールで感想を述べておられた。5人家族のお母さんの方は、現役の保育士さんで、発達障害についての知識も豊富。うちも、そうだけど、その知識を奥さんから聞きながらも、子どもと夜や休日にしか接点のない父親の方は、なかなか、この生活面での困り感が、実感しにくいから 「そういう困り感だったのか」 「こうすればいいのか」 「でも、教科書どおりには、いかないんだ」 と、心の中でうなずく場面がたくさんあった。
そんな、わかりやすいケーススタディも盛りだくさんで、2時間の予定もあっという間に過ぎ、二百余名の参加者からの大きな拍手で講演は無事に終了。その後、スタッフのみなさんと、田中先生とで、昼食のお弁当をいただく会に、わたしたち夫婦も入れていただいた (もちろん、お弁当代は持ち寄り)。
最初は、緊張気味だった15人ほどのスタッフ、そのなかで奥さんは、次々、田中先生に質疑し、結果的に、場の雰囲気を柔らかくしていった。やるな。
途中、兵庫県姫路市のコミュニティFMの 「すきすき!やんちゃザウルス」 という、発達障害をさまざま応援する番組の、田中先生インタビュー取材も行われた。この番組には、奥さんも子ども連れで (時には三男を抱っこしたまま) 何回か出演している馴染みのあるもの。田中先生は、(ラジオなのに) 身振り手振りを交えて、一生懸命に思いを語っておられた。(この番組は、イマドキらしく、後からウェブで聴くことができる)
最後は、各人が順番に田中先生の講演内容などに、感想や自身の思いを述べて、自然に笑いも溢れ出て、2時間の昼食懇談も、短く感じられるようだった。
講演の中で、特に奥さんが心に留めた一言は 「支援する側と、支援される側は、上下関係で結ばれるのではなく、お互いに支えあい、共に育ち合う関係・・・」 だったという。
この気負いのない深い言葉に、改めて、懐の広さと人柄を感じてしまったと。
「田中先生の、懐の広さや、温かい優しさを、わたしたちは受けているけれど、田中先生は、自分自身にはとてもストイックで厳しいひとなんだと思う、そんな気がする」 と、奥さんが述べたのも、わたしには印象的だった。




田中先生のお話し、本当に素晴らしく心にしみわたりました。
「なるようになる なるようにしかならない~」
わかっているようで、わかっていないな・・・と感じ、反省しました。
やはりどこかで「どうにかがんばれば、どうにかなるかも・・・」 と思い、子どもたちにはもちろんのこと、じぶんたちをも追い詰めていることに、あらためて気づかせていてだきました。
我が子のことについて、どうしたらよいかと思い悩み、今まで何人もの医師に相談してきましたが、田中先生のように、子どもたちだけではなく、親の思い・悩み・がんばり・・・そこまで手を差し伸べてくださった先生は、ほとんどいません。 (あなたたち「親」が、ちゃんとしないからいけない。勉強不足です!だから、子どもたちが育たない・・・と、怒られたことも。その先生は、こちらでは発達障害を診断、療育している先生としてはとても知られている・・・)
実際に田中先生に診察していただいた訳ではありませんが、親の一番不安な思いに寄り添った言葉をいただけるだけで、こんなにも安心と勇気をもらえるなんて・・・ 本当に幸せなひとときでした。 田中先生は、いとうひろしさんの絵本「だいじょうぶ だいじょうぶ」に登場するおじいちゃんのようだと思った私です。
こんな私たち家族を、笹森さんの『ハートネットピープル』に登場させていただき、とても光栄に思います(^-^) なかなかお会いすることはできませんが、これからもどうぞよろしくお願い致します。
(神戸から帰宅し、主人はすぐに『ハートをつなごう』の笹森さん一家の放送回をみていました。主人は、「素晴らしい方と知り合いになれて、本当によかった!」と、史朗さんとの出会いを喜んでいました。)
はりけさん
コメントありがとうございます。当日は、お目にかかれてうれしかったです。
田中先生のお話し「気づき」がたくさん感じられました、わたしも。
ほんとうに、本人の困り感に相対する前に、親(また支援者)の思い・悩み・がんばり、そのイッパイイッパイな気持ちに応えてくださることは、ありがたいなと率直に思いました。
いとうひろしさんの絵本「だいじょうぶ だいじょうぶ」に登場するおじいちゃんのようだとは、いいたとえですね、読んでいませんでしたが、いまほどネットでチェックしました。そのうち三男に読んであげたいと思います。
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは^^
「なべみかん」です!お久しぶりです。
奥さまのブログでご主人様が更新されてると知りました!
田中先生、温かいお顔されてますね・・・
私もぜひ一度講演聴いてみたい!と思って検索してるのですが、こちら(関東)での講演予定がまだ見当たらないので引き続きチェックしていこうと思ってます!
「皮肉」言ってしまいますね・・・
褒めることを意識してますが、その後、一言嫌~なおまけをつけてしまいます。
頭では分かっていても、心から息子の思いを理解できていないからだと反省しました。
でもこれの繰り返しです。
息子にとって良い対応を出来る時と頭では分かっているけど感情的になってしまう時の割合が初めは1対9くらいで、またこういうお話や講演を聴くなどして2対8になり、3対7になり・・・という感じです(笑)
なのでとても勉強になります^^
一言おまけをつけないと覚えないのでは?という不安から皮肉っぽいことを言ったりもしますが、そんなことよりまず自己肯定感を育てること第一でいきたいです!
なべみかんさん
こんにちは。お久しぶりです。
半分書いて、三男にパソコンぶち切られ、ショックから立ち直り、書き直しています。
奥さんのブログから、わざわざ読みに来ていただき、うれしいです。
田中先生、温かい笑顔を自然にされる方だなあと、いつも感じてしまいます。
関東なら、いつかは田中先生の講演を聴けるチャンスあると思いますよ。
こどもに、家族に「皮肉」言ってしまいますよねぇ。
もう、気持ちが平穏平静なら、OKでも、突き上げる衝動と、こっちもギリギリの戦い状態ですよ。
まさに、よくなり悪くなりの繰り返しですね。
割合が初めは1対9くらいで、2対8になり、3対7になり・・・というのは、わかりやすいです。実感。
親子肯定感と夫婦肯定感と、どっちも大事だとしみじみ感じている今日この頃です。
ありがとうございました。
パソコン苦手で三度目のコメントトライです>>
はじめまして 奥さんのブログの読者mimiです。
うちも発達障害の子ども達と、戦争のような日々を送っています。
自己肯定感って大事なことですね。
小六の広汎性発達障害・学習障害の子がいるのですが、自信がつくと、ぐんと伸びる姿を何度も見てきました。
なので子どもにとって自己肯定感は大事というのは同感なのですが、肝心の支援者である親の自己肯定感も同じく大事だと思います。
親の方も子どもの失敗や他の子との差を目の当たりにして、自己嫌悪に陥ったり、悲しくなったりすることが多いのではないでしょうか?
障害があると分かってはいても、毎日がそういった葛藤の繰り返しですよね・・・。
親が自信を持って明るく前向きに過ごせるような環境を作りも、障害のある子どもを育てるにあたり、子どもの成長を左右する大きな要因かと思います。
親の心理状態の良いときほど、多少の失敗は許し、良いところを見つけ出して褒めることが出来るような気がするのです。イライラしているときなんて、悪いところしか目につきませんよね。
そういったわけで、心のコントロールは私の一番大きな課題です。
しかしそういう「感情」が入ってしまう所こそ、いかにも親子って感じで、そして人間っぽくて、いいのかもしれませんね。
ちなみに私は幼児もいて、まだ外に出て行けるような状態ではなく、その上に障害のある子が三人ということで、非常に閉塞感が強いです。
それでも最近パソコンを使って皆さんと繋がっていることを実感し、とても嬉しくそして心強く思いました。
発達障害として診断はあっても、支援はまだまだの地域です。引っ越したいなあ・・と思うこともあるのですが笹森家の様子をテレビやブログで知りとても勇気付けられ、私もあちらこちらに自分で問い合わせ、支援の道を探っているところです。
今後とも宜しくお願いします。
こんにちは。
待ちかねた更新でした!
いつも奥様のブログにお邪魔して、先日はお忙しい中、丁寧にメッセージまで頂きました。
本当に嬉しかったです。
実は以前の三日月湖ブログがいまの私の手引書になっています。
クーちゃんとホッピーくんが、いまのうちの息子と同じ年齢の頃なので、悩みとか対応方法とか、とても参考になっているんです。
永久保存して頂きたいブログですね!
私は実は未だ講演会というものに出たことがありません。
田中康夫先生の御高名存じておりますが、息子自体をきちんと把握出来ない状態で講演会に行っても・・・という思いがあってなかなか出席まで至って居りません。
でも、このところで星槎から色々講演会情報が入るようになったので、今度行ってみようと思っています。
ブログ内容とはズレてしまいますが、今回感じたのは、やはり同じ立場の親御さんで親しめるご家族がおいでになるのって、とてもいいな、ということです。
私は未だそういった仲間が得られず孤立した状態なのでとても羨ましい…。
親の会や、何某かの活動の場を拡げないとなかなか難しいのかもしれません。
やはり、“活動=障害をオープンにする”という形になるので、躊躇される方も多いのかもしれません。
繋がりを拡げるなかで、「男親」の仲間を得るというのは、とても大事なことではないかと思っています。
どうしても諸所が母親負担に偏ったものになりがちな中で、医学的にも男児の多い障害なだけに父親のサポートは母親に対してだけでなく、当事者(子供)にとってとても重要ですよね。
母親だから出来ること・感じること、父親だからこそ思うこと、感じること、必ずあるはずですから。
私が“仲間が欲しい”と強く思っているのと同時に、旦那さんにも、同じ立場の“パパ友”を見つけてあげたい(見つけて欲しい)です。
実は、同じクラス(保育園)に恐らくは息子と同じ障害であろうと思われるお子さんがいます。
お母様とは少し話せたのですが、お父様の方は子供の障害を認め(たく)ない・成長と共にいずれ(障害は)無くなっていく(と思っている)から、と支援を受けることに拒否感を強くお持ちでした。
お気持ちは、痛い程わかります。
解るだけに、何とも寄り添い難い…。
難しいですね。
初めまして。
今年に入って、以前から気にかかっていた
息子のことで受診し 発達障害であることがわかりました。
子どものかかえる不自由さと、それを理解してあげられずに見ているだけの私に、なんとか方法が見出せないか・・・ということで。
診断をいただいて 心穏やかで過ごせたわけではありませんが、
医師の先生の言葉って本当に大切だと感じます。
不安でいっぱいいっぱいになっている
私たち親子。
先生が息子にたいして、「今困っていることを、これからいっしょに考えていこう」と、話されて……
『ここにきてよかった』と、心底思いました。
あせらないことや、見守ること、頑張っていることをわかってあげること。大切な人であること。
息子の成長とともに わたしも一歩いっぽすすめていきたいと思います。
ありがとうございます。
*これから三木市に奥様の講演会に行ってきます。楽しみです。
mimiさん
こんばんは。
パソコン苦手なのに三度目のコメントトライとは、うれしいです。
わたし、いまの携帯からはなぜかコメントできなくて、思わずパソコン打ちに降りてきました。
奥さんのブログでmimiさんのネームお見かけします。
子ども達と、戦争のような日々を送っていますか、分かりすぎますねぇ。
自己肯定感の大事さは、みな、わかっちゃいるけれど、この戦争のような生活の中で培うことの難しさも実感なんですよね。
親のストレス、おっしゃるとおり心のコントロールは大きなポイントと思います。
「感情」が入ってしまうのは、有名な言葉のまんま「人間だもの」ですよ。
幼児もいての閉塞感が強い、これまた、わかります。パソコン(ネット)はこういうとき、ありがたいですね。ネットに批判も多い時代ですが、ネットはコミュニケーションではバリアフリーでしょう。しゃべりや、面談が苦手でも、ネットでは、またネットなら、ホンネがいえる。これも、大事な自分の世界観の一部と思います。
「壺中天あり(こちゅうてんあり)」という言葉が好きです。
これは日常の中に、別世界を持つ人は幸せ、そのたとえです。わたしにはSNSなども含まれます。 今後とも宜しくお願いします。
ゆちさん
こんばんは。待ちかねてという、ことば、有難い極みです。
奥さんの「三日月湖ブログ」は確かに原点ですよね。あのころの思いが、多くの人の共感につながるとわたしも思います。
この「三日月湖」から、再び「河」になり海へ広がるか、「沼」のように閉塞沈殿するか、この差は、単純な言葉ではなくて、生き様で語られていくものなんだろうと思っています。
同じ立場の親同士。これは会という組織に拘らずに、めぐり合えれば、ほんと、気兼ねなく付き合える貴重な存在と感じます。
男親の仲間、これは、親の会が数多ある現在に、いまだ未完の分野と思います。とても大事で、むーんと唸るくらいの難しい分野。
育児休暇取得率並みの男女格差を感じます。
ほんとに課題なんですよね。
難しいですね。
みのむん さん
初めまして。
困っている立場に、同じ目線で「これからいっしょに考えていこう」と、話された先生の言葉、うれしいなと、思いました。
そういう気持ちを、もらえればこそ、「あせらない」「見守る」「頑張る」「理解する」「大切な人である」ことができていくんだろうなと、思います。
親子で、一歩ずつ進めるのは、ほんと、そうありたいです、わたしたちも。
今日、三木市の奥さんの講演会に行ってくださったんですか。ありがとうございました。講演の状況はさっき、奥さんに聴きました。
これからもよろしくお願いいたします。
こんにちは。
田中先生の講演いいですね!
私も『なるようになる、なるようにしかならない』のくだりが心に引っかかりました。
分かっていてもできないことの方が多いですけどね・・・。
来年1月に田中先生の診察を受けることになっているので何だかワクワクしてきました。
はしまゆさん
こんにちは。
田中先生の講演タイトルにもなった「なるようになる、なるようにしかならない」は、主催団体のHPを読むと、田中先生の座右の銘でもあるようです。この言葉、考えるほどに味わい深さを感じてしまいました。
来年1月に田中先生の診察を受けられるのですか。それは、かなり貴重ですね。