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ハート ネット ピープル

ロボットスーツが福祉を変える !?

人が自ら体に装着して、思い通りの操作を行う「サイボーグ型ロボット」。この技術が将来、福祉の現場を変えるかもしれません。

最先端の技術を詰め込んだサイボーグ型ロボット「HAL」。まるでSFの映画に登場しそうなこのロボットが、今、介護や医療の現場で実際に利用されようとしています。
HALの特徴は、装着者が頭で「体を動かしたい」と考えると、皮膚につけたセンサーが反応して、思い通りの動きをロボットが行うというものです。また、ロボットに搭載された「パワーユニット」の働きで、装着する人にもよりますが、生身の人間の2倍?10倍の力を発揮することができます。
HALのこうした性能により、「足に障害のある人が、自分の足で立ち、歩く」、あるいは「介護者が、寝たきりの老人を軽々と抱き上げる」といった、今までにないサポートが実現すると考えられているのです。
HALは2005年、最先端の科学技術に贈られる「世界テクノロジー賞(ITハードウェア部門)」で、大賞に選ばれました。高い技術力が、世界から注目されています。

[写真] 山海嘉之教授。世界テクノロジー賞の授賞式にて。

HALを開発したのは、筑波大学大学院 教授の山海嘉之さんです。山海さんの研究室では、1992年より世界に先駆けてサイボーグ型ロボットの開発にとりかかりました。
山海さんはまず、人間が体を動かす際に、微弱な電気信号が脳から出ていることに注目しました。この電気信号は筋肉に体を動かす指令を伝えるものです。研究室では苦心の末、電気信号が筋肉に伝わるとき、皮膚表面に漏れ出てくる「生体電位信号」を、センサーでキャッチすることに成功。そしてこの信号を解析した指令をロボットに送って、人間が考える通りの動作を実現しようとしたのです。
しかし、いざ指令を送っても、ロボットの反応が遅かったり、早すぎたり。なかなか人間の体に合った動きができません。この研究に、5年以上の年月が費やされました。
2000年。ついに、人と一体となって動く「HAL3号」が完成します。“ロボットスーツ誕生”というニュースは世界を駆けめぐり、20か国以上の新聞や雑誌で取り上げられました。

やがて山海さんのもとには、障害のある人たちから、ロボットスーツをぜひ使ってみたいという手紙が国内、海外から数多く寄せられるようになりました。「HALを着用して、もう一度自分の足で立ち、歩いてみたい」。

下の映像は、交通事故でせきついを損傷して自力での歩行が困難となった男性が、実際にHALを身に付けて歩行を行っているところです。一歩、また一歩。久しぶりに味わった、立ち、歩くという感覚。男性の顔には笑顔が浮かびました。「横断歩道を普通に歩いてみたいですね」。


病院でのデモンストレーションも行われました。現在この病院では、HAL5号の導入が検討されています。過酷な肉体労働を強いられる介護の現場。体重40キロを超える人でも軽々持ち上げることができるHALの力が、もうすぐこの世界に変革をもたらすかもしれません。

もともとHALは介護の場面で使われることを考えてつくられたわけではありませんでした。しかし、山海さんは言います。
「テクノロジーは本当にそれが必要とされるところにこそ使われるもの。そしてロボットとは人を幸せにするためにあると思っています」。

現場の意見をとりいれて改良を加え、HALの実用化は目前です。

※本テキストは番組「福祉ネットワーク」2006年7月6日放送分を元に再構成しました。

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