
子どもたちの生きる力を引き出すキャンプ
先月、豪雪の北海道・滝川市に行ってきた。そのころ、さほど遠くない旭川ではマイナス18度を記録。どんなに寒いだろうと緊張して出かけたのだが、帰るころには心がポカポカに暖まっていた。
そんな気持ちにさせてくれたのは、「そらぷちキッズキャンプ」 という難病の子どもたちのための自然体験キャンプだ。聖路加国際病院小児病棟で出会った子どもたち2人とその家族を含め、札幌や函館、東京から6家族が参加。私は写真担当として、ボランティアの看護師さんやお医者さんたちに交じって参加した。
「そらぷちキッズキャンプ」 は、充実した医療支援とおおぜいのボランティアの手厚いサポートをバックに、小児がんなどの難病と闘う子どもたちが、自然のなかで安全に楽しく過ごせるよう特別に配慮されている。以前 「出会えたことに感謝 —小児病棟の子どもたち—」 にも書いたが、長期の闘病生活を送る子どもたちが安心して自然とふれあえる場所は、これまで日本になかった。それが、子どもたちのキャンプ活動を進めてきた小児がん専門医たちと、病気の子どもたちが楽しめる公園を創ろうとしていた公園づくりの専門家たちが出会って手をたずさえ、2004年に 「そらぷち」 のプレキャンプがスタートすることになったのである。本格的にオープンするのは2012年で、それまでに宿泊棟、食堂などの建設がおこなわれる予定だ。
私は以前アメリカのキャンプはいくつか取材したことがあった。そのうちのひとつ、イルカと遊ぶフロリダのキャンプでは (『ありがとう、フォンジー』 という本になっている )、イルカと泳ぐ夢をかなえられた子どもたちの歓声、何年ぶりかで家族そろって休日を過ごせた親やきょうだいの笑顔など、さまざまなすばらしい場面を見たものだ。
日本のキャンプには初めて参加したが、こちらも感動の連続だった。たとえば、2007年に聖路加国際病院で出会ってからずっと交流が続いている9歳の凌平くん。彼は車いすで到着し、抱きかかえられて宿泊所に入った。それが、2日目から、支えられながらも自らの足で立って歩いたのである。
去年の秋に一時危ない状態になり、寝たきりが続いたために足が弱って歩けなくなってしまった凌平くんが、また歩き始めた。病院ではリハビリを嫌がってなかなか歩こうとしなかったのに。おおぜいの人たちが愛情いっぱいに見守るなかで、豊かな自然とふれあったとき、子どもたちの生きる力が引き出される。それはまさに、「そらぷち」 のスタッフが 「キャンプの魔法」 と呼ぶ現象そのものだった。
凌平くんの両親と妹さんにとっても、この4泊5日は2年ぶりの家族旅行だった。雪のなかのチューブすべり、乗馬、そりなどの遊びで、家族も久々に心を解放することができたようだ。「こんなに心から笑ったのは、凌平が病気になって以来初めてだったかもしれない」 と母親の由紀さんは言った。
聖路加で出会った子どもたちが参加するから。そう思って初ボランティアをした今回のキャンプだったが、私も魔法にかかってしまったような気がする。子どもたちのあの笑顔を記録するためなら、なんとかして仕事のスケジュールをやりくりして、ぜひまた参加したい。「そらぷち」 にはそんな人たちがおおぜいかかわっている。キャンプがこの先も長く活動を続けるには、人的にも資金的にも継続的な支援が必要だ。私もできるだけのことをしていこうと思っている。
北海道・滝川市丸加高原にある難病の子どもの自然体験施設
「そらぷちキッズキャンプ」 (別ウィンドウ ※クリックするとNHKのサイトを離れます)
関連ページ:
ハートネットピープル
大塚敦子「ともに生きる from the world」
・「出会えたことに感謝 ?小児病棟の子どもたち?」




滝川のキャンプの素敵な様子が伝わってきました。
個人の力はとても小さいけれど、何か私にもできることはないかな・・・と思わずにはおれません。
がんばっている子ども達の笑顔の日が少しでも増えますように。