
犬に読み聞かせをする -アメリカの読書介助犬-
アメリカでは、子どもたちが犬に読み聞かせをする、「R.E.A.D プログラム」 というのが盛んにおこなわれている。R.E.A.D. とは、"Reading Education Assistance Dogs" のこと。つまり「読書介助犬」 というような意味だ。1999年に、インターマウンティン・セラピー・アニマルズという非営利団体が、図書館で始めたのが最初で、いまでは全米のすべての州とカナダの一部、ヨーロッパにも広がり、犬とハンドラーのチームが2000近く活動している。
アメリカ図書館協会によると、字が読めない大人は全米でなんと2700万人もいるそうだ。英語を母語としない移民が多いということもあるが、読書障害のある子どもたちも少なからず含まれているという。
プログラムでは、子どもと犬とハンドラーが、床に座ってくつろぎながら、子どもが犬を相手に本の読み聞かせをする。ここで大切なのは、子どもと犬(とハンドラー)が1対1になれて、ほかの子どもの目を気にしなくてもいい環境を確保すること。読むことが苦手な子どもは、人前で声を出して読むのが恥ずかしい、まちがってからかわれたくない、というプレッシャーにさらされているので、ほかの子どもたちにからかわれる心配のないところで、犬(とハンドラー)という忠実な聞き手だけを相手に読み聞かせをすることが重要なポイントなのだ。その点、自分をそのままに受け入れてくれて、いっさい批判したり注意したりしない犬は、最高の聞き手と言える。犬が相手なら、子どもたちは安心して読むことに集中することができる。
興味深いことに、子どもたちの多くは本を犬のほうに向け、ほんとうに犬に向かって読み聞かせをする。それを見ていると、子どもたちが犬に読んであげることで大きな満足を得ていること、まるで自分が先生になったような気持ちを味わうことができて、セルフ・エスティーム(自己肯定感)を高めるのにもつながっていることがうかがえる。
子どもが理解できない言葉が出てきたら、ハンドラーは、「マット(犬の名前)はこの言葉、初めて聞くと思うよ。どんな意味なのか、マットに教えてあげて」 というような聞き方をする。そして、いっしょに辞書を引いて調べる。もしハンドラーが、「この言葉は何ていう意味かな?」 と子どもに直接尋ねたら、どうだろうか。きっとその子にプレッシャーをかけることになってしまうのではないでだろうか。それが、犬を介在させ、「犬に教えてあげる」 ことによって、子どもは自分に押しつけられていると感じずに、学習を続けることができるのだ。
日本でも、最近ディスレクシアなどの読書障害がようやく注目されるようになってきた。ただ単に読むのが苦手、という子もおおぜいいるだろう。子どもたちが楽しみながら読むことを学べるひとつの環境作りとして、まずは図書館やコミュニティ・センターなどの場で始めてみてはどうだろうか。
公益社団法人動物病院福祉協会は、動物介在教育に取り組んでいる。R.E.A.D.プログラムも試行されつつある。
もっと知りたい人は、下記へ:
JAHA ?公益社団法人 日本動物病院福祉協会?
(別ウィンドウ ※クリックするとNHKのサイトを離れます。)
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