
合気道と作業療法
合気道。この日本オリジナルの武術が、アメリカでは発達障害の子どもたちのための作業療法として活用されているらしい。日本では武道としてはおなじみでも、作業療法に生かされているとは聞いたことがなかった。いったいどんなことをするのだろうか? さっそく取材に出かけてみた。
訪問先はシアトルにある「ピュージェットサウンド合気会」。ここでは子どものための合気道クラスを開いており、そこに自閉症など広汎性発達障害と診断された子どもたちが何人か参加している。
8歳のアイザックは、1か月ちょっと前から、医師の勧めで合気道を始めたばかり。生後6か月のとき広汎性発達障害との診断を受けた。この障害の特徴は、感覚統合がうまくいかないこと、対人関係にむずかしさを抱えることなどだが、アイザックも、軽い言語発達の遅れ、ぎこちない動作、耳で聞いたことが正確に理解できないなどの問題がある。音にきわめて敏感なため、学校ではまわりの音刺激に耐えられず、自分のなかに引きこもってしまったという。そこで、いったん学校をやめ、両親が家で勉強を見ることになったばかりだ(アメリカにはホームスクーリングといって、家庭内で勉強する選択肢がある)。
道場でアイザックを担当する作業療法士は、なぜ合気道が発達障害の子どもの助けになるのか説明してくれた。
「合気道には、感覚を刺激する『受け身』、身体バランスを鍛える『座り技』など、感覚統合を促進する要素がたくさんあります。それに、投げ飛ばされても安全に転がれる、というのは、その子の精神的な強さを育てることにもつながるのです」
二人一組になり、「投げ」と「受け」を練習する稽古のスタイルも、お互いのやりとりを通してコミュニケーション能力を高めるという。なるほど、なぜ合気道が効果的なのかわかるような気がしてくる。
アイザックの父親は、合気道の効果をどう見ているのだろうか。
「息子は、つぎに何が起こるのか事前にわかっていないととても不安になる。だから、決まりごとがしっかりある武道は安心して楽しめるんです。まだ始めて1か月だけれど、話し言葉がしっかりしてきたし、身体のバランスもよくなってきた」
初めて道場に来たときは、他の子どもたちに混じって練習するのは刺激が強すぎて、パニックを起こしてしまったというアイザック。少し離れた場所にマットを置いて稽古することになったが、いまでは他の子たちの稽古を笑顔で見守れるようになった。彼がみんなと同じ場所で駆けまわれるようになる日は、そう遠くないかもしれない。
道場のスタッフが言った。「合気道は非暴力の武術です。自分に向けられた暴力や敵意をうまくかわして身を守る。ここに来る子どもたちの親は、暴力的なビデオゲームの影響をうけやすい子どもたちが合気道の精神を学んで、人を傷つけない大人になってほしいと願っています」
日本発祥の武術が海外でこんな風に生かされていることを知り、嬉しくなった。そのうち日本の合気道道場も訪ねてみたいと思う。




大塚様、こんにちは。
合気道が発達障害などの人たちのリハビリテーションに役立っていることに驚いています。
また、発達障害などの人々が合気道を通じてどんな大人に成長していくのか知りたいです。
暑さが続きます。お身体を大切にお過ごしください。では失礼します。
息子19才がアスペルガーです。その妹10才が合気道を習っています。今回のこのテーマは驚きでした。運動が苦手だと息子も親も思い込んでいるので、武道もだめだと決め付けてました。なるほど合気道ならいけるかも、と思い本人に言った所「いやだ」と断られました。また妹の演武会などを見る機会もあるので、興味をもってくれればいいなと思いました。大変いい情報をありがとうございました。ぜひ日本の合気道道場にも行って頂いて、指導者の方たちに広めていただきたいです。
はじめまして!今回の話を聞いてまさに「目からウロコ」でした!
私は今から30年近くも前の高校生のとき合気道をやっていて、黒帯を持っています。確かに合気道は相手の押した力を利用して相手を倒したり、相手と呼吸を合わしたりする事が多く、発達障害の子にも良いかもしれませんね。
実は私、昨年息子のことやら(ADHDとLDを持っています)職場の人間関係などからうつになってしまい、4ヶ月ほど仕事を休みました。その際主人から、「いくら合気道をやったことがあっても 自分の身を守るだけではダメなんじゃないか? 攻め時を知る事も大切ではないか」と息子と主人のやっている剣道を勧められ、やり始めて9ヶ月くらいになります。やってみて、また息子の(現在中1 保育園年長から剣道をやっています)様子を見て思うに、剣道も発達障害を持っている子になかなか有効です。
まず球技と比べ、相手は一人だという事、他にも 面をつける事で余分な音をかなりシャットアウトできるという事、小手・面・胴の限られた決まり手の中で、相手がどうでてくるわかりやすい事、相手との間合いが大事になってくる事などがあげられます。もちろん合気道も剣道も奥深くちょっとかじっただけでこんなにえらそうにいえる資格なんてないのですが…
私のいまの目標は、40代で剣道の2段までとりたいこと…そして50代になったらもう一度合気道をやってみたいということでした。今回の話は、そんな私の夢を大きく励ましてくれるものになりそうです。是非今後の報告を楽しみにしています。私も息子のような子どもたちに武道を通して何か援助する事ができるよう頑張っていきたいです。
クマさん、こころさん、ぶーぶーかあさん、
コメントありがとうございました。合気道が発達障害の子どもたちの作業療法として役立っていること、私もアメリカで初めて知ったのですが、まさに目からウロコでした。日本で発祥した武術が海外でこのようにクリエイティブな生かされ方をしているというのは、ほんとうに嬉しいですよね。
ぶーぶーかあさん、剣道もとてもいいようですよ。基本的にはすべての武道がいい、とされているようです。アメリカでは、家庭が恵まれなかったり、学業不振だったり、いじめの加害者になったりする子どもたちにカンフーを教える団体もあります。他人を尊重すること、ネガティブな感情をコントロールすることなど、子どもたちが武道から学ぶことはほんとうに多いのだと思います。
日本でも興味を持ってくださる方がたくさんいるようなので、今後もこのテーマで取材を続けていきたいと思います。いつかまたご報告しますね。
大塚敦子
はじめまして。私は合気道歴3年半の成人発達障害者です。
合気道は日常生活ではやらない動作が出来るので楽しいですよ。
級があがれば賞状が貰えて、袴が履けるようになるので、モチベーションがあげられていいと思います。自信にも繋がりますし。
合気道は力で制する武道ではないです。相手の力を利用をして自分も相手も傷つけない武道です。
自分が力が入れば相手も力が入る、自分が力を抜けば相手も力が抜ける、と合気道から学びました。
人間関係や人と接する方法を学べるので、コミュニケーションで悩む当事者には良い武道かと思います。
でも、日本ではマイナースポーツなので、合気道のよさをもっと知って欲しいですね。