本文へメインメニューへ
ここから本文です

ハート ネット ピープル

希望をくれる自然あそび -がんのサバイバーの園芸活動-

子どもたちと自然あそびをする桜井なおみさん 
[写真] 子どもたちと自然あそびをする桜井なおみさん(撮影=大塚敦子)

「HOPEプロジェクト」という団体の名前を聞いたことがあるだろうか。自身ががんを生き抜いているサバイバーの人たちが中心となり、がんなどの難病とともに生きる人や子ども、その家族やケアする人びとを支援しているNPOだ。

HOPEプロジェクトには、「ボタニカルキッズクラブ」という園芸部門があって、自然とふれあうさまざまな遊びの場を提供している。初めてその話を聞いたとき、深く心引かれるものを感じた。四季おりおりの自然の営みには、癒しのメタファーがあふれている。その自然をネタに遊ぶとは、なんてすばらしいアイデアか。始めたのはどんな人だろう、と会いに行った桜井なおみさんは、乳がんのサバイバーだった。いまも治療を続けながら活動している。

桜井さんが治療で入院中、親しくなった患者仲間が幼い子どもを残して亡くなった。また、小児病棟には患児のきょうだいは入れないことを知った。子育て中のがん患者、がんの子どもたちとそのきょうだい・・・誰が病気であっても、家族がともに過ごす大切な時間が奪われてしまう。みんながいっしょに楽しめることは何だろう?

そこで思いついたのが、園芸だった。自然のなかでおこなう園芸には、遊びの素材も要素もたくさんある。遊びをとおして成長していく子どもたちにはぴったりだ。それに、植物には人の心を和ませ、癒す力がある。小さな種から、やがて収穫する日が来る喜び。冬の間死んだように見えていても、また春になるとよみがえる姿は、希望をもたらす再生のメッセージだ。

退院から2か月後、桜井さんは園芸療法の勉強を始めた。まだ髪の毛が生え戻っていなかったので帽子をかぶって通い、がんばって1年間の研修コースを終了した。いま「ボタニカルキッズクラブ」の活動をともに支えるのは、当時の同級生たちだ。

活動場所は、東京都立川市の国営昭和記念公園、三鷹市の井の頭公園など。ある気持ちのいい晴天の日、ボタニカルキッズクラブが出ている井の頭公園に行ってみた。ピクニックテーブルに、画用紙や絵筆が並べられ、お絵描きが始まる。絵の具は自然の素材、パンジーの花から抽出した色水だ。プランターから好きな色のパンジーを摘み、それをすりこぎで潰し、絞って取れた色水で絵を描くのである。それに重曹やレモン、酢などを重ねて描くと、魔法のように色が変わる。集まった子どもたちの目が丸くなり、やがて笑顔が弾ける。

活動には、病気の子どももそうでない子どもも入り混じって参加する。どの子ががんなのかは、いっさい聞かないという。
「病気のことを考える時間ばかりじゃなく、忘れて思いっきり遊べる時間が大切だから」と桜井さんは話す。
子どもたちのセンス・オブ・ワンダーをかきたてる自然あそびは、まさにそんな時間をくれる。こんな活動がもっとあちこちに広がる日が楽しみだ。

ボタニカルキッズクラブ(別ウィンドウ)
※クリックするとNHKのサイトを離れます。
HOPE プロジェクト (別ウィンドウ)
※クリックするとNHKのサイトを離れます。

関連ページ
ハートネットピープル
リレー・フォー・ライフ  「がんと生きる リレー・コラム」

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://cgi2.nhk.or.jp/cgiblog/tb.cgi/6258