
さよなら、六町エコプチテラス
「ともに生きる from the world」で初めて書く日本の話。それは、私が大好きだった足立区のコミュニティ・ガーデン、「六町エコプチテラス」のことだ。2002年につくられて以来、高齢化の進む地域の人びとの大切な憩いの場となってきたこの畑は、今年の4月6日をもって短い歴史を閉じた。
まずは、コミュニティ・ガーデンとはどんなものか、というところから話を始めよう。一見したところは市民農園と似ているが、中身はかなり違う。自分の区画の耕作が中心で、全体との関わりが希薄になりがちな市民農園とは違い、コミュニティ・ガーデンは、地域の人びと自身が、よりよい地域づくりという共通目標を持って運営するところがポイントだ。ただ野菜や花を育てるだけではなく、人と人が出会い、恊働作業をとおして絆をつくり、顔の見える関係を築いていく「まちづくりの場」でもあるのだ。イギリスやアメリカではどんな町にもあり、さまざまな社会的役割を担っている。
六町エコプチテラスが生まれたのは、つくばエクスプレスの建設に伴って生じた区画整理地にゴミが投げ込まれ、雑草が生い茂るのを見て、「ただ空き地にしておくのはもったいない。ここで生ゴミのリサイクルでもできないか」と、ある地元の若者が行動を起こしたことがきっかけだった。六町エコプチテラスの運営主体である「足立グリーンプロジェクト」の代表、平田裕之さんがその若者だ。平田さんと地元の有志により、草ぼうぼうだった700坪の土地には、ヒートアイランド対策のためのキウイ棚、エコ農園、ビオトープなどがつくられ、年間9000人もの訪問者を引きつける魅力的なコミュニティ・ガーデンとなった。
いつ行ってもボランティアの皆さんが笑顔で迎えてくれて、帰るときには「また来てね〜」と野菜や花のおみやげを持たせてくれたエコプチ。こんな場所がなければ出会うこともなかった人たちを結びつけ、環境保全に貢献し、地域を活性化したエコプチは、まさに理想のコミュニティ・ガーデンだった。
だが、区画整理地の暫定利用という不安定な立場だったところに、突然神社が移転してくることになる。なぜいま神社の移転が必要なのか住民に十分な説明はなく、平田さんたちの署名運動にもかかわらず、結局一度決まってしまった移転計画を覆すことはできなかった。足立区からは、神社が建ったあとの残りの用地で存続もしくは代替地を探すとの提案もあったそうだが、平田さんたちはあえて手放す道を選んだ。そうすることによって、なぜエコプチが閉園に追い込まれたのか真の反省が生まれ、つぎにつながっていくと考えたからだ。彼らはそれを、「エコプチの種」と呼んでいる。
コミュニティ・ガーデンは、教育、福祉、環境、地域再生など、私たちの社会が抱えるさまざまな課題への優れた処方箋となるものだ。六町エコプチテラスは、日本でもそんなコミュニティ・ガーデンが可能であることを示してくれた。「エコプチの種」から、今後ぜひ第2、第3のエコプチが芽を出すことを祈りたい。
「足立グリーンプロジェクト」のホームページ(別ウインドウ) ※クリックするとNHKサイトを離れます。
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