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ハート ネット ピープル

「やさしさとおだやかさ」

[写真] 講演前。楽しいひととき。

文/上村真紀(作業療法士)

11月も後半にさしかかった頃、今月はすでに2つも講演を終わらせたね、明日は3つめの講演だね、とデイケアでのんびり話しながら、太田さんに尋ねてみた。

-講演をすると、どんな感じ?
「う~ん、どこから言う?」
-どこからでも。思いつくまま。どんな感じなの?
「やっぱり、楽になるって感じかな」
-楽になる?
「うん、楽になる」
-何で?
「楽になるんだもん、気持ちが」
-講演をしたら、気持ちが楽になるの?
「楽になります」

-ふ~ん。何でやろうか?
「何でかな。今まで詰めていたものが、突き詰めていたものが、それが解放されるっていうか」
-吐き出すから?
「うん。
解放されるっていうことはありがたいね」

[写真] 革細工。太田さんがデイケアのプログラムで作った、やさしい作品たち。

講演会で菅﨑先生が、太田さんに尋ねます。「ケアに大切なことはなんだと思いますか?」
太田さんは、会場で聴いている人をまっすぐ見据えて言います。「やさしさとおだやかさ」

-太田さんが、講演会でキーワードは「やさしさとおだやかさ」って言うじゃない?
「やさしさ」ってどういうところからでてきたの?
「え~っとね、私は、ほら、あれなんよ。
自分がものすごく、何ていうか、小さい頃から、やっぱりね、あの~ 親もやさしかったんよ。両親もにこにこしていたし。楽にすごしとったんでしょうね」
-もともとの太田さんの環境がやさしい環境だった、ってこと?
「うん、やさしい環境だったと思いますね。
母親はにこにこにこにこしとったね」

-今、感じるやさしさってどんなやさしさ?
「むずかしいね。
認知症になっても今のところ楽に生活できとるでしょう?
その辺については、あんまり心配がないんですよ。女房は今、辛いやろうけど。やさしさに包まれている感じはするよ」

-おだやかさっていうのは?どんな感じなの?
「なあんも、いろんな人が関わらなくて、ふわってした世界」
-でも関わりがないと淋しいんじゃない?
「そりゃそうよ、全部いらないというわけじゃないから」
-どんなのがおだやかさなんやろう?
「私は、ひと。いつも、ひとを見てもらえているかどうか、私をね」
「見てもらえているっていうのが、おだやかなふわっとした感じ。直接、介入されなくてもね」

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