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ハート ネット ピープル

手遅れにならないうちに

前回、「君の気持ちは分かる」と書いた。

事件の現場を取材したわけでもないし、そんなことは言えたものではないと思う。でも、いじめに遭って、両親に言えず、自ら生命を絶った子どもたちの気持ちを思うと、ものすごく辛い思いになってくる。

思えば、僕も親にはいじめられたことをまったく言えず、苦しんだ経験がある。

以前にも書いたけど、両親は、僕にとって唯一の味方だった。学校は辛かったし、地獄だったけど、家は僕の救いの場であり、安らげる港だった。両親の愛情も、いっぱい、いっぱい感じていたように思う。

だから、その信頼できる、愛し、愛されている両親に、愛する息子が学校で虐げられ、同級生たちに相手にもされていないなんて、言えるわけがない!!!

この事実を知ったら、どんなに親は悲しむだろう。どんなに辛い思いをするだろう。僕を大事に思ってくれている親にだけは知られたくないし、心配をかけたくない。

小学4年生ぐらいのとき、僕もそんな思いでいっぱいだった。多分、今、苦しんでいる子どもたちも、同じ思いの方はたくさんいるのではないか。

学校では誰も理解されず、先生はその事実も、思いもキャッチしてくれない。その突き詰めた思いが、生命を絶つことにつながる……。その気持ちは理解できる。

僕の場合、5年生のころだったか、あるとき、学校での「いじめ」が発覚し、いじめた子どもの親が謝罪に来た。ずーっと隠していたのに、そこで初めて、学校でいじめられていることが親に知られた。

母親は顔を真っ赤にして、いじめた子の家まで文句を言いに出かけたことを覚えている。父親は僕を和室に呼んでこんなことを言った。

「いいか、いじめたヤツよりお前の方が優しいし、人として偉いんだよ。10年後、20年後、絶対お前が社会的にも勝っている。今は負けていると思うかもしれないが、もう勝負はついている。10年後、20年後、絶対差ははっきりする。だから、今は踏ん張れ! どうしても辛いなら、俺に言え。俺がそいつらをぶん殴ってやる」

びっくりした。そのときは正直、怒られると思ったが、両親は本当に僕の味方だった。それから僕は負けなかった。少しずつだが、いじめに「NO」と言え始めた。

子どもの世界は本当に残酷だ。子どもはまだ感情のコントロールができないからか、一回いじめて、その味をしめたら、どんどん究極までエスカレートする。僕は「丸太ごっこ」と称された「いじめ」で、教室で数人にわかれた2つのグループに交互に蹴られ、ゴロゴロと転がされていた。嫌なので目をつぶっていたが、一度、目を開けてみた。

そしたら、あいつら、みんな楽しそうなんだ!! 幸せそうな笑みを浮かべ、心から「いじめ」を楽しんでいる。そこには、人を虐げているという意識は、かけらもない! 多分、僕を転がしているところをカットして写真を撮れば、子どもたちが無邪気に楽しいボール遊びをしているようにしか見えまい。

もう、ここまで来ると、大人が介入するしかないと思う。以前、「信頼される大人がいることは強い」と書いたが、子どもにきちんと「いじめは悪い」と教え、解決できる存在は、学校では先生しかいないし、家では親しかいない。

だから、大人は子どものサインを見逃がさないでほしい。楽しそうに僕をいじめていた僕の同級生たちも、普段はどこにでもいる、天真爛漫ないい子どもたちだったのだから。

手遅れにならないうちに……。

(次回 11/15へ続く)

コメント

大橋さん、こんにちわ。
私なんかよりうんっと辛い思いをしてこられたのに、辛い立場にある人たちへ、体験談を通じてエールを送り、又どうしたらよいか、思い出したくもないであろう事を思い出し、教えてくださり有り難うございます。
私の両親が、私がいじめられていたことを知ったのは、結婚式の前夜でした。お祝いに来てくれた近くに住む同級生が、「いじめられていたときの君とは違うね。きれいになった。」と言ったときです。
その後も私は何も言いませんでしたが、ショックだったようです。
父はものすごく厳格で、怖くて、でも会社や近所では良くできる人で、何も言えなかったです。
大橋さんのお話を読んで、子供をありのままに受け止め、ゆっくり育てていきたいと思いました。「そんなことできてあたりまえ」「わかってあたりまえ」それこそが無知の始まりかもしれない。いろんな人からいろんな話を聴いて、私こそ勉強したいです。
わたしも子供を守りたい。

こんにちは。
大橋さん、寒くなりましたね、お疲れ様でございます。

ちょっと、違う切り口でいきます。
もちろん大人が、いじめを防止していかないといけないのですが、先生の自殺が多くなっているのが残念です。

私がショッキングに思ったのは、私のふるさと「北九州」で学校の校長先生が自殺した事です。
大人・先生の人間関係もギスギスしていると思います。
もちろん、子供を守る事も大事です。
でも、大人を守る事も大事です。

もっと、オープンなコミュニティーが出来ればいいですね。(ハートネットボイスでも?)
これ以上、自殺の連鎖は続けてはいけません。
生きていたら、楽しい事はたくさんあります。

ちょっと、脱線をしましたが、私が思っていることです。

それでは。

つらい体験を、思い出したくない体験を、書いて、いじめられている子には未来への希望を、親や大人には気づきの機会を与えて下さり、ありがとうございます。

トムがいじめられていた時の気持ちが、鮮明に表されているようで、読んでいて苦しくなりました。
でも、親は知らなくては、何も出来ないまま子どもの大事な時間がどんどん過ぎていってしまいます。


今、高1のトムも、小学校・中学校といじめにあい、「死にたい。」と言って不登校になりまた。

高校は、同じ中学校から進学する子がいない、いじめをゆるさない、教師の方の見守りのある学校を選び、休まず通っています。

「自分はどうせダメなやつ。」と自己評価のものすごく低かったトムが、高校生活で、少しずつ自分を認めはじめているように感じています。

ずいぶん遅い返信になってしまいました。すみません。

おちばさん、「私も子供を守りたい」。そのお心こそが、本当に大切だと思います。ぜひ、守ってあげてください。「お母さんが私の味方なんだ」という思いが、子供にとって、辛い学校社会を生き抜く、最大の武器になると思います。

ドッチツカズさん、実際「先生もどうすればいいかわからない」のか分からない、というのもあるのでしょうね。いじめに関しては、学校だけの問題にせず、その地域や社会全体の問題として取り組まないと、子供たちだけでなく、先生や親の苦しみも解決しないと思います。

トムのははさん、コメントいただいてから9カ月経ちますが、お元気ですか?僕も高校はあえて先輩も同輩も後輩もいない、自宅からかなり離れたところに進学しました。それはいじめられていた自分を誰もしらないところに行って、リセットしたかったから。

高校でも、1年のとき、いじめられそうになったのですが、中学時代まではなかなかNOと言えなかったのが、はっきり拒絶できました。それはリセットしたのだから、ここで踏ん張らないと、という気持ちが働いたからだと思います。

リセットも大事、と思います。それは決して逃げなんかじゃない。なかなか現状が難しい場合、無理して学校に行くより、具体的な回避策が必要な場合はあると思います。

大切なのは子どもたちを苦しい状況に置かないこと。その上で次にどうしたらいいか。そこを考えないと、子供たちはますます無理な状態に置かれて、苦しくなってしまいます。

ただし、僕もそうでしたが、親や先生たちに自分が苦しいことを「心配かけたくない」「恥ずかしいから知られたくない」と隠すこともあるので、難しいのも現状でしょうね。

それでもキャッチしてあげる必要がありますから、一番気づきやすいのは友達だと思いますので、学校社会で生きる皆さんには、もし身近にいじめを感じたら、黙らずにきちんと声をあげてほしい、と思います。

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