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ハート ネット ピープル

この道具いいわね!

[写真] 「こんにちは」 でも、ちょっとお疲れ気味のヴァーニャさんとダボリンさん。

グリーンの畑は、全国からさまざまな見学者を迎えます。8月23日、この日は遠くボスニア・ヘルツェゴビナからダボリンさんとヴァーニャさんが訪れました。


文/編集部 奈良和江
1992年から3年半にわたり、旧ユーゴスラビア連邦で共存してきた3つの民族(イスラム教徒のボスニアク、セルビア人、クロアチア人)は、独立を巡って激しい争いを繰り広げました。

戦後、かつてのような多民族が混じり合って暮らすコミュニティが崩壊したボスニアで、2人は、野菜を育てながら、人と人の絆(きずな)を取り戻すCGA(コミュニティ・ガーデニング・アソシエーション・オブ・ボスニア・アンド・ヘルツェゴビナ)という団体のスタッフです。国内に16の農園をもち、キャベツやにんじん、じゃがいも、たまねぎなど20種以上の野菜を育てています。

今回は、日本でコミュニティ・ガーデンや農業を地域づくりに活かす活動をしているグループとの交流を目的に来日しました。


時差ぼけも取れないまま、会議やミーティングに追われた2人は、グリーンの田んぼや畑の土に触ってほっとした様子。サツマイモ、サトイモ、ゴーヤー 空芯菜などなど、はじめてみる作物に、ダボリンさんの質問はとまりません。

[写真] はじめてみる さつまいも。ダボリンさん。

「無農薬田んぼの除草はどうやっているの?」
「収穫はどのくらいあるの?」
「作業スケジュールは誰がきめるの?」
「サトイモの種芋を持って帰りたい!」

とうとう、ゴーヤーを生のままかじって、
「うーん、フレッシュな味。この種を絶対持ち帰るぞ!」


戦前は、地元で取れたさまざまな種類の野菜が並んでいた市場に、現在はトルコやギリシャからの輸入品ばかりで、種類も少なくなってしまったといいます。そんななかで、無農薬野菜や珍しい種類はとても人気が高く、たとえば普通のトマトなら1キロ1ユーロだけど、チェリートマトは1キロ6ユーロなのだそうです。


[写真] 「ちょっと使わせて」ヴァーニャさん。

ヴァーニャさんは、ナスの畑にしゃがんでもっぱら草取りに精を出すたかのさんに声をかけます。

「この作業は好きですか?」
「好き」

「どの野菜が好きなの?」
「ししとう」

たかのさんは、初めての友人からの質問にも快く答えてくれますが、草取りの手は決して休みません。ヴァーニャさん、たかのさんが手にする、草とりの鎌をみて、
「この道具いいわね。ちょっと使わせてくれる?」


ひりひりするくらいの暑さの中で午前中の仕事を終えると、ランチタイム。たかのさんお気に入りのししとう入りのハヤシライスです。食後には、三々五々お昼寝タイムが始まります。
「1日何時間くらい作業をするのですか?」
「3時間から4時間くらいです。それを週に5日、が基本です。」
グリーンでは、作業所のスタッフは極力手伝うことはしない。メンバーたちの作業ペースに合わせます。多少収穫が少なかったとしても、できないことはできなくていい。無理してやらない。あくまでスロー、がモットーです。

CGAの活動を支援する日本人写真家の大塚敦子さんが、旧知の石田所長を訪ねて実現したボスニアと日本の「多民族交流」。農作業から、障害や言葉や文化の垣根を越えたコミュニケーションがうまれた夏の1コマでした。

ヴァーニャさん、どんなに気に入っても、草刈ガマの機内持ち込みには、注意してね。

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