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ハート ネット ピープル

ブラジャーはしたくなかった

「頑張れば、普通の女子になれると思ってた」(文中より)。
違和感は感じていた、でも自分は男であるというハッキリとした自覚もなかった頃の話。

A: 私、ブラジャーデビュー高校1年生だったから。
B: ホント?
A: うん、それまでは、胸が嫌だったから絶対つけようとしなかった。自分では気付かなかったんだけど、猫背だったんだよ。胸が見えるのが嫌で。でもだんだん、みんながブラジャーデビューし始めてくると、今度は「Aちゃん、何でしてないの?」って言われるのが嫌で。ほら、背中に線が出ないから。
FtM C: 縄を付けときゃいいんだ。
FtM D: 縄かよ(笑)
A: 体育のときも最初4月は長ジャージなんだけど、5月になると「もう来週からジャージなし。体育着で来い。」って言われて。やばい、バレる、してないことがバレてしまう。しかも、女子高だったから、絶対に「何でしないの?」って言われると思って、次の体育がある来週の火曜日までに買わなきゃって。日曜日になっちゃって、「あぁどうしよう、明日買ってこないと、火曜日の朝になってしまう。」って。日曜日の夜に、夕飯食べ終わって、言わなきゃ・・、でもどうしよう・・みたいな。
みんなが寝始めて、おかんが最後に風呂入ってる時に、起きて、お風呂のドア越しに、コンコンって。「あのさ・・・下着買ってきてほしいんだけど・・・」そしたら、「え、パンツ?」って(笑)ブラジャーってどうしても言えなくて。
FtM C: 言えないね、確かに。その単語を口にすること自体が嫌だった。
A: なんかね、何で言えないのかとか、何で自分が嫌なのかとか、それを説明出来ないしどうしよう、みたいな。もう最後号泣で。おかんびっくりして、「なになに?どうしたの?」って言って。ついに「ブラジャー買ってきて。」と泣きながら言った。親は、いじめられてたんだ、みたいに思ったらしい。「明日買ってくるから。分かったから寝なさい。」。月曜日に学校から帰ってきたら、机の上に袋があって。
次の体育の日は、もうドキドキだよね。ジャージを脱いで、友達から「付けたんだ。」って言われて、「え? バレちゃいました?」って言って。ついにデビューしてしまった。それからその1ヵ月後ぐらいに、今度はパット入りのを買って。
FtM E: 努力してるなぁ。
A: その時は、今頑張れば、普通の女子になれると思ってたから。普通に、男の子と2人ぐらい付き合ったりもしたよ。
B: へえー。
A: 手つないでみたり。
FtM C: 僕も。男と付き合ってる時はすごい頑張って女子してた。でもね、結局だめだなと思って別れたの。
B: チャレンジ精神がね、旺盛だね。
FtM C: うん。で、その後、彼氏がいたことも忘れて女の子と付き合って。
FtM D: 普通にかぶったりしてたの? 男と女?
FtM C: うん。そのあと2年後ぐらいに久しぶりに電車でその男の子と遭遇して。「あ。」みたいな。
FtM D: でも確かに、結構チャレンジしているFtMもいるよね。男と付き合ってみる、っていうの。
FtM E: うん、多い。
FtM C: まわりには、男と付き合って普通にがんがんエッチしてた、っていうFtMも。
A: 自分は無理だったなぁ。
B: でも付き合おうとは思ったんでしょう? がんばって。
A: 変われるかなっていうのもあったし。仲がいい男子だったから、一緒にいる分には楽しいし。そのまま友だち状態の関係が続けば、ずっと付き合えたんだけど。
B: 男って友情と恋愛の境目がない感じがするよね。
A: そう。でも「手をつなぎたい」って言う意味がわからない、キスをしたい意味がわからない。
B: ああ。
A: 今思うとね、自分がそれをされる側だったらすげーショックだと思うんだけど。でもやっぱり自分の中ではわかんなかったし。その人とキスするのが嫌だ、手をつなぐのが気持ち悪いとか、その人がだめなのかなって。
FtM D: なるほどねー。結局それは恋愛ではなかったってことなのかな? でもみんな色々努力してるんだなぁ。

【解説】
・制服/体操着の悩み
制服や体操着によって、自分が属する性別を突きつけられるわけですから、これを不快に思った当事者は多いことと思います。GID当事者が集まって学校生活の話になると、必ず制服の話は出ます。制服着用が嫌で不登校や退学を選ぶという当事者もいるでしょう。また、今ではほとんど無くなったと思いますが、私たちが小学生・中学生の頃には「ブルマ」というパンツ型体操着があり、同年代の当事者とは「あれを考案した人って・・・」とよく盛り上がります。当時は本当に苦痛以外の何物でもなかったけど、今となっては笑い話です。
最近では、性同一性障害の認知度が高まり、話し合いによって制服や体操着の問題が解消された、という話も聞きますので、今このことで悩んでいる人は、話せる先生や養護の先生、スクールカウンセラーさんに思い切って相談してみるのも手かもしれません。ただし、これまでとは違う格好をするということは、周りの生徒に不思議がられるでしょうし、直接質問されるかもしれません。そういった時に自分できちんと説明することが出来るか、といった新たな問題が出てきますから、しっかり先生方と相談する必要があるでしょう。

・FtMの恋愛/彼女経験と彼氏経験の両方があることについて
まず初めに、女性を好きになるからといって、その人が男性であるという理由にはなりませんし、男性を好きになる人が女性でなければいけない、ということもありません。また、男性も女性も恋愛対象になるというFtMやMtFも当然ながらいるでしょう。『恋愛対象』と『自覚する性別』は無関係ではありませんが、性同一性障害の理由にはならない、ということは誤解のないように書かせていただきました。
しかし、やはりFtMの場合、「男性と付き合えば自分が女の子になれるんじゃないか」(MtFの場合は逆)と思い、試しに行動を起こしたことがある人もいるようです。具体的な割合は分かりませんが、意外と多いんじゃないかな、という感じを受けます。もちろんそれで男性とお付き合いすることに馴染めたとしても、その人が自分の性別に馴染めないという場合もあると思いますし、そういった人々はFtMゲイ、MtFレズビアンと名乗っています。「だったら女(MtFなら男)のままでいいじゃん」と思う人もいると思いますが、付き合う相手によって自覚する性別が変わるわけではないんですよね。また、MtFの場合はわかりませんが、FtMの場合、男性と試しに付き合うことで男の生態(笑)を知れた、なんて人もいるようです。試してみることで気づけることもあるのかもしれませんが、相手は誰でもいいというわけではありませんから、当然ながらそこは慎重に選んでくださいね。
(GIDmedia 園田 純)

キャンプ場内の川です。やっぱり田舎はいいです~。 
[写真] キャンプ場内の川です。やっぱり田舎はいいです~。

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