
福祉はコミュニケーション
「福祉ネットワーク」のオープニングで流れる映像、印象的で記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。耳に心地よいオルゴール風の音にあわせて、握手する手やハート、スマイルマークなどがレリーフ状に浮かび上がるこの映像を手がけたのは、在日インド人のクリエーター、マンジョット・べディさんです。番組をささえるクリエイターに、福祉への思いを語ってもらいました。
そもそも福祉とは何だろう? と考えたときに行き着いたのが、「福祉とは、コミュニケーションである」ということだったのです。伝えたい人がいて、伝えたいことがある。それが福祉というものの本質ではないだろうか?
それは私たちがものづくりをしていく上で最も大事にしたい、でも同時に失いがちな原点でもあります。だからこそ今回の仕事には個人的にも特別な思い入れがありました。
できるだけ多くの人とのコミュニケーションが始まっていくようなイメージに基づいて、今回のオープニングの映像では、みんなが触れて、それがどんどん広がっていくような映像を目指しました。テーマは「ヒューマニティ」。
シンプルでいながら、目で見ても、耳で聞いても、触り心地で感じても、さまざまに伝わる・体験できるそんな作品であってくれたらいい。
ではどうしたらそんな作品になれるのか、と考えていた矢先、フッとアメリカのおもちゃ、「ピンプレッション」のことが思い出されました。無数に並んだピンからできているごくごく簡単な仕掛けの玩具。ピンの山をうしろ側から押してやると、その形が表面に立体的ににゅっと飛び出してくる。単純だが、遊びゴコロがあって楽しくなれるのです。
60センチ四方の、大型ピンプレッション・ボードを今回の映像用に特別に制作しました。撮影時にはカタチを飛び出させてコマ撮りし、それをつなぎあわせることで一本の映像に仕上げています。したがって、実は非常に手間ひまがかかっているのです。とても非効率的です(笑)。同じようなことはCGでもできるし、そうすれば簡単です。しかし福祉が、人間のベーシックな部分に関わるテーマである以上、「じかに触れる」感覚を大事にしなければいけないと考えたのです。書くことの原点がPCでなく鉛筆と紙であるように、この福祉というコミュニケーションを、できるだけ原点に戻って、シンプルなかたちで始めたかった。
ピンプレッションで表現したかったもう一つのことは、「もっと外に飛び出して、違いを受け入れよう」です。
人は違ってあたりまえ。違うことは悪いことじゃない。でもコンプレックスを抱えたり、内にひきこもってしまったり、人はそうなりがちでしょう。
けれども、引っ込むのではなく、もっと前に出していこうよ。違いを受け入れていこうよ。今回の「福祉ネットワーク」オープニング映像では、そうしたメッセージを託したつもりなのです。
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