ディスカッションガイド
5月30日放送
第9回 「入学資格を議論する」
- 1974年に白人男性、アラン・バッケはカリフォルニア州立大学デイビス校の医学部に出願した。彼の成績は、その年合格したマイノリティの志願者の一部の成績よりも高かったが、不合格となった。
バッケは医学部を訴え、アメリカ最高裁は、彼を入学させるべきだという判決を下した。学校は合格者を決めるに際し、数ある要因の一つとして人種を考慮することはできるが、マイノリティの出願者だけのために、一定の枠を確保し、人種を合否の基準にするべきではないという判決だった。
この最高裁の判決は公正か?アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の道徳性を考えるに際し、以下の質問を考えてみよう。
- バッケは不公平に扱われていると思うか?彼は自分の学業と個人の実力のみで、合否を判定される権利があるのか?
- バッケが白人として生まれてきたことは、どうしようもない。それなのに彼は白人だというだけで、なぜ医学部に不合格にならなければならないのか?
- バッケが高い学業の能力に生まれついたことについて、自分では何もしていない。それなのになぜ彼は自分の学業と個人的な実力だけで、判断される資格があるのか?
- 多くの場合、生まれながらに恵まれた運動選手は、奨学金で大学に行く。しかし、その生来の才能は、彼ら自身の努力によるものではない。奨学金がほかでもなく、才能ある運動選手に与えられるのは公正か?
- アメリカにおいて、アフリカ系アメリカ人は、奴隷制と人種差別のために、歴史的に不利な状況にある。大学の入学審査におけるアファーマティブ・アクションは歴史的な不利な状況の補償として容認できるものか?
- 【プリンシパル・リーディング】
- ・アリストテレス 『政治学』 (邦訳 中央公論新社)
・ジョン・ロック 『統治二論』 (邦訳 岩波書店)
・カント 『Groundwork for the Metaphysics of Morals』 邦訳は2種類
『道徳形而上学原論』(岩波文庫)
『プロレゴーメナ 人倫の形而上学の基礎づけ』(中公クラシックス)
・ジョン・ロールズ『A Theory of Justice(正義論)』 (邦訳(紀伊國屋書店)は絶版)
・ジョン・スチュアート・ミル『Utilitarianism(功利主義)』 (邦訳なし) - 【今回の講義の参考書】
- ・アリストテレス 『政治学』 (中央公論新社)
・マイケル・サンデル 『リベラリズムと正義の限界』 (勁草書房)
・マイケル・サンデル『Justice: A Reader 』より
Bernstein, "Racial Discrimination or Righting Past Wrongs?"
Hopwood v. State of Texas (1996)
Grutter v. Bollinger (2003)
Dworkin, "Bakke’s Case: Are Quotas Unfair?"
Morley, "Double Reverse Discrimination"
Brus, "Proxy War: Liberals Denounce Racial Profiling. Conservatives Denounce
Affirmative Action. What’s the Difference?"
