温かい資本主義を目指す

番組概要

韓国随一のエリート校、ソウル大学。熾烈極まる競争を勝ち抜いた秀才3万2千人が、16の学部と80に及ぶ研究所で学んでいる。この大学で、学生による投票で「ソウル大優秀講義」に選ばれたのが、生活科学学部のキム・ナンド教授である。
2010年キム教授が書いたエッセイ「つらいから青春だ」は、韓国で180万部を超えるベストセラーを記録している。世界でも有数の競争社会の渦に呑まれ、生きづらさを抱える若者たちに向けたこのエッセイは、若者たちの心に強く訴えかけた。
韓国の大学進学率は72.5%(2011年)で、日本の50.8%を大きく上回る。1997年の通貨危機の後、韓国の人々の間では一握りのエリートを目指す動きが広がり、有名大学への進学熱はすさまじいものになった。2008年の金融危機後、格差が急速に広がる中で、競争はさらに激化、親は子の受験準備に収入の半分以上をつぎ込むという事態が起っている。大学入試を勝ち抜いた者には、今度は就職のための競争が待っている。今の韓国では大卒者の5割程度しか就職できないという。昨年の大統領選挙でも、格差の是正と就職難の解消は中心テーマだった。
こうした韓国社会において、キム・ナンド教授は「温かい資本主義」を提唱している。勝者だけが富を独占するのではなく、敗者にもチャンスを与え一緒に成長していける社会の仕組みが、長い目で見れば効率を高められるという考えである。今の韓国社会が抱えるものを消費や経営という観点から研究をしてきたナンド教授ならではの講義である。
今回、キム教授は、「韓国社会の生きづらさをどう乗り越えるか」というテーマで、番組のために4回の特別講義を行う。4回の参加者は、【受験競争を勝ち抜いた学生】、【卒業して働き始めた社会人】、【挫折の時代を生きる大人、特に女性たち】、【子どもの将来を心配する親】の4つの層。一般募集に応募して集まった人たちに向けて、情熱的な問題提起と胸を熱くする励ましを繰り出し、悩みを引き出しながらハートウォーミングな議論を行う。
韓国の強烈な競争社会、学歴社会による人々の苦しみが等身大の姿で浮かび上がると同時に、そこに励ましを与えるキム教授のメッセージは日本の視聴者の心にも届くはずである。

キム・ナンド教授

ソウル大学生活科学学部消費者学科教授。
ソウル大学で学士、修士を終え、米国・南カリフォルニア大学で行政学博士号を取得。1997年から、母校で教鞭を執る。現在、ソウル大学生活科学研究所消費トレンド分析センター、センター長。学生が直接評価する「ソウル大優秀講義」に選ばれ、大学が公式に授与する「ソウル大学教育賞」を2006年に受賞。キム教授の聴講申し込みはあっという間に締め切られることでも有名である。研究報告書「トレンドコリア」を毎年発表し、行政機関や有名企業の研究プロジェクトや諮問活動も数多く手がける。2010年の著書『つらいから青春だ』(ディスカヴァー社刊)は、韓国出版史上最速でベストセラーを記録し、累計180万部(2012年2月現在)を突破。日本、中国、ヨーロッパなどでも翻訳・出版されている。