教授紹介
- 宇佐美 誠 (うさみ まこと)
- 東京工業大学社会理工学研究科(大学院)教授
名古屋大学大学院法学研究科博士課程(前期)修了。博士(法学)。
1997年から2年間、ハーバード大学の客員研究員を務め、帰国後、本格的に討論型授業を取り入れる。中京大学教授を経て現職。専門は法哲学。著書に『正義の領域』(仮題、勁草書房、近刊)、『政策の原理と類型』(ミネルヴァ書房、近刊)、『決定』(東京大学出版会)、『公共的決定としての法』(木鐸社)など。編著・共編著に、『ドゥオーキン』『法学と経済学のあいだ』(以上、勁草書房)、『世代間関係から考える公共性』(東京大学出版会)、訳書に、『裁判の正義』(木鐸社)など。
*リンク先ページの「第6回 正義X:グローバルな正義」で講義の配布資料を見ることができます(クリックするとNHKサイトを離れます)
宇佐美 誠教授の「白熱教室」
東京工業大学大学院、宇佐美誠教授による「法哲学」の講義を取り上げます。この講義では、法律をつくる際の前提となる“正義”、“自由”、“平等”について考えます。東工大は、科学の発展を担う者には幅広い教養が不可欠という考えから人文系の教育にも力を入れています。授業は、貧困や環境問題など実生活で起こりうる具体的な社会問題をテーマに、4回にわたって討論形式で行われ、3・11震災後の日本社会のあり方についても広く議論していきます。
- 第1回 「正義は国境を越えられるか」 6月26日(日) Eテレ 午後6時
- 第1回の討論では、「いま日本が、途上国の貧困層への支援に多額の支出をするのは、疑問だ。東日本大震災国内の被災者へ支援は緊急の課題であり、ワーキング・プアの状況も深刻である。
こうした国内の不利な人々をまず十分に支援すべきで、海の向こうの人々のことはその次だ」という意見に賛成か、反対か、そしてその理由は何かを問います。途上国では10億人以上の貧困層が生命の危険にさらされている一方、国内の被災者たちも支援を必要としています。なぜ先進国は途上国に援助しなければならないのか?国内支援を優先するとすれば、その根拠は何か?学生たちは討論を通じて探っていきます。
- 第2回 「正義は世代を越えられるか」 7月3日(日) Eテレ 午後6時
- 討論のテーマは、題して「魔法のスイッチ」。押すと、財政赤字・少子化・所得格差など日本のあらゆる問題が解決、今後30年間にわたって良いことだけが起こります。しかしその代わり、300年後日本列島全体に破滅的な大惨事が発生する・・・というスイッチです。あなたは押すか、押さないか。そしてその理由を問います。地球温暖化・原発事故など世代を越えた問題が起きている中、なぜ将来の世代に配慮しなければならないのか? 正義の問題としていかに正当化できるのか? 討論を通じて探っていきます。
- 第3回 「自由の限界はどこにあるか」 7月10日(日) Eテレ 午後6時
- 東工大大学院、第3回は「自由」について考えます。個人の自由はどこまで許されるのか。今回、学生たちが討論するのは、「バスに4人の乗客がいました。1人目はCDプレイヤーで大音量の音楽をかけている。2人目は弁当箱を開けて生きた昆虫を食べている。3人目はナイフをもてあそんでいる。4人目は全裸である。あなたは、どこまでを“個人の自由”として認めますか」というもの。
市民生活で起こりうる、個人の自由と危害、道徳の衝突について議論を通して探っていきます。
- 第4回 「平等について考える」 7月17日(日) Eテレ 午後6時
- 現在日本でも大きな問題になっている「格差社会」。所得などの格差が広がり、懸念が高まっています。
普通、私たちは平等が保たれているのは良い社会だと考えがちですが、今回の講義ではあえて「平等は完全な理念なのか」と問いかけます。討論では、「所得など格差のある社会」、「所得などの格差の少ない社会」、「格差は無いが所得などの水準が一様に低い社会」という3つの社会の形を提示。学生たちは、どの社会が望ましいかを議論し、平等の意味について考えていきます。