稲垣紀子さんは、2008年9月〜2011年12月のおよそ3年間にわたる旅が終わり帰国しました。
12月30日
この旅の最後にインドネシアはスマトラ島のオラウータンの住むジャングルの国立公園のあるケタンベという村に行ってきました。同じゲストハウスに泊まっていた、昆虫好きのキルギス人と日本に留学していたというドイツ人のカップルとでジャングルの中の温泉を目指して散策に行ってきました。雨は降っていなかったものの雨季のためか、地面がぬかるんでいて気を抜くとズルっとこけてしまうような小道をどんどん奥へ進んでいきます。周りにはみずみずし緑にあふれた背の低い植物から、立ち止まって目を見張ってしまうほどの大きな木、毒々しい色のキノコを発見したり、大きなクモがいたり、いろんな模様のチョウがまっていたりと上り下りの激しい道も苦にならない程におもしろいものがたくさんあります。
午後2時ごろになって引き返し始めたのですが、ジャングルの中には道がたくさんあって、
自分たちでは周りを見ながら進んできたつもりだったのですが、周りを見ると見通しが悪く似たような木ばかりでどこがどこなのかよくわからないまま、森の中をああでもない、こうでもないといいながら迷っていました。4時くらいになってもうすぐ夜が来るとドイツ人の彼があせり始め、みんなで必死にあっているのかどうなのかもわからない道を進んでいると、遠くに車の音が聞こえ皆でほっと胸をなでおろしました。オラウータンに会うことはできず、ジャングルの恐ろしさを知ったはずなのに、ジャングルのおもしろさに心ひかれてもっともっとジャングルを散歩したくなったのですが、こんな気ままな旅も終わりを迎えようとしています。
明日飛行機に乗って日本に帰ります。長い間、旅便りを書かせていただいて光栄でした。皆様本当にありがとうございました。
12月17日(土)
インドネシア、スマトラ島の一番北に浮かぶウエという島にやってきました。港から一番端の
村に来るまで40分と、思っていたより大きな島で、深い緑に囲まれた山と、透明で薄いブルーのきれいな海が周りに広がっていて、南国の島という言葉がぴったりな場所です。あいにく雨季が始まり、4日に1回は雨が降り、曇りがちな天気が続いているのが残念ではありますが、水温が28度くらいでダイビングをしていれば、雨を忘れさせてくれます。ここには大きなマンタがいるという噂でやってきたのですが、地元のダイバーに聞くと、そんなのがいたら自分も見てみたいと言われ、少しがっかりしてしまいました。しかしそんな期待を外してみれば、きれいな珊瑚といろんな種類の魚、いか、たこ、かめ、大きなウミウシ、ナポレオンフィッシュ、小さなマンタの群れと、豊かな水中世界が広がっているのを見ることができ、楽しいダイビングの日々です。
12月8日(木)
遺跡の残る村ハンピからバスに乗って、IT産業の中心地といわれるインドの近代的な都会バンガロールへ行き、飛行機に乗ってマレーシアのクアラルンプールを経由してインドネシアのスマトラ島の北バンダアチェという町にやってきました。ここは2004年のスマトラ沖地震の震源に近く多くの被害を受けたことで知られていますが、7年たった今では新しい道が作られ、新しい建物が立ち並び、新しい車が行きかい、一見発展中の新しい町のように見えます。地元の人に当時の話を聞くと、道に海から水が流れ込んできて、それは10メートルにもなる大きな濁流で人々は必死に高い丘の方に走って逃げたといいます。町にはツナミ博物館があり、そこで当時のドキュメンタリーを見ると、建物が濁流にもまれてばらばらになって流されている風景や、ツナミが去ったあとの泥とガラクタにまみれた荒野で、ショベルカーや象を使っての復興の様子を見ることができました。また、ツナミ前、ツナミ後のバンダアチェの町の模型が飾られていたのですが、ツナミによって随分陸地の形が変わってしまったことに気がつきました。その一方で博物館のお土産屋さんでは、ツナミにちなんだTシャツが売られており、自然の破壊力のすごさと、また人間のたくましさを感じました。
11月27日(日)
インドの中南部、世界遺産の寺院がある村ハンピにいます。世界中から世界遺産を見に外国人がやってくるので、人口1万人の小さい村なのに、個人個人がゲストハウスやら商店やらを開き、牛、ヤギ、鶏が行きかう路地と、旅行者用のレストラン、ゲストハウスがまぜこぜになっていておもしろい雰囲気です。村の古本屋にチョクチョク日本の本が並べられているのを見かけるので、世界遺産の遺跡というのは日本人も昔から好きなのだろうと想像させてくれます。そしてスクーターを借りて行動範囲を広げてお散歩です。スクーターで巨大な岩がごろごろしている岩砂漠のような風景を気持ちよくドライブしていたのですが、10分20分ドライブすると巨大な岩がなくなり、普通のインドの町がポコポコと出てきてほこりっぽくストレスフルなドライブとなっていき、本当にハンピの周りだけが巨大な岩が転がっていることに気がつきます。道も標識もない昔の人にとっては、いいランドマークになったのかもしれないなと思い、だから感謝してそこに寺院を建てたのだろうかなどと昔に思いをはせています。
11月18日(金)
インドのデカン高原南部にあるハンピという村にやってきました。大きい岩がごろごろと転がっている乾いた砂漠のような風景の中に岩山と中くらいの大きさの川が流れ、15.16世紀この町がメトロポリスとして繁栄したころの寺院が村の回りに散らばって残っています。川に沿うようにして、バナナプランテーションが緑のベルトをつくっており、川沿いを散歩しながらバナナ畑に迷い込むのも気持ちがいいです。夕方は夕焼けをみるいいポイントを探しに岩山に登ってみたり、遺跡を見に行ってみたり、作りかけの寺院に座って川で魚を釣っている人を眺めたりしています。中でもお気に入りの夕焼けのポイントは、Achyutaraya 寺院に行く途中から眺める、Achyutaraya 寺院です。岩山に囲まれた谷にココナッツとやしの木に囲まれた遺跡で、夕焼けの色に反射した色の変化がとても幻想的で美しいのです。
11月11日(金)
インドのゴア州はチャポラと言う村にいます。汗だくの散歩を卒業して、レンタルバイク店で、100ccのスクーターを借りて森の中のドライブを楽しんでいます。スクーターを借りると行動範囲が2倍にも3倍にも増えて、ツーリストがごちゃごちゃいるエリアから、静かな海まで散歩ができます。世の中にはびっくりするようなことがあるもので、以前エジプトのダハブで会った、インド系のケニア人ショーンという友人にばったり、道で再会したのです。偶然に感謝をして、炭と網と魚を買ってバーベキューをしました。ダハブの思い出話に花を咲かせながら、エビ、イカ、アジ、いわし、タイをいただきました。突然空から夏休みが降ってきたような楽しい海の時間をすごしています。
10月4日(火)
インドの南マイソールにいます。動のヨガ、アシュタンガヨガにもだいぶ身体がなれてきたようで、初めのうちは首や腰が痛かったのですが、最近ではそれにかわって、周りの生徒さんたちのように私ももっときれいにポーズをとりたいとがんばって、伸ばし痛に襲われています。町のほうでは、ダサラというマイソールのマハラジャを祭る祭りが行われており、いろいろな催し物、サーカスや、コンサート、写真展、ヨガのセミナーまであり、大勢の人が町じゅうを行きかっています。夜にはライトで飾られ、町じゅうがキラキラしていてクリスマスのようです。夜中は寝床につくまで、外からカラオケのような音楽や、太鼓をたたく音が鳴り響き、インド人の祭り好きを見せつけてくれています。
9月23日(日)
南インドの高原の町マイソールにいます。昼間は暑いのですが、大きな大きな街路樹が心地よい日陰を作ってくれています。今回マイソールに来た目的は、アシュタンガヨガを習うためでした。本やうわさで、おそらくインドにいるヨガの先生で一番高齢の84歳の先生が教えてるというのを知って是非ともその先生に習ってみたいと思ったのです。
インターネットや聞き込みで教えている場所を探しあてて、ようやくクラスに参加し始めました。
今までならっていたハタヨガが静のヨガだとしたら、アシュタンガヨガは動のヨガで流れるように動き続けています。たった一時間のクラスなのに汗がタラタラと流れていきます。先生は「ヨガの目的は、身体を精神を浄化することです」と言うのですが、なるほどと思うくらいヨガでかく汗はサラサラしていて、動き続けていると頭は真っ白になって呼吸に集中しているのに気がつきます。いきなり激しく体を動かして身体がびっくりしていますが、せっかくここまできたのでもう少しがんばってみたいと思います。
9月11日(日)
コロンボからチェンナイに飛行機で飛び、チェンナイからバスに乗って8時間マハラジャパレスで有名なマイソールにやってきました。インドに着くと、いろんな臭いがしてきて、ああインドにやってきたなという気持ちになります。それは香辛料の臭い、髪飾りの生の花のほのかな香り、お香の香り、ホコリの臭い、小便の臭い、どぶ川の臭いなど気持ちのいい臭いだけではありません。インド人にバスのことを聞くと色んな答えが返ってきます。いろいろなバスがあるのかもしれないし、そのうちのいくつかは間違っているかもしれないので、何人にも確かめます。そうこうしていると好奇心おう盛で明るいインド人は、「MADE IN CHINA?」と国籍を聞いてくるので、「MADE IN JAPAN」だなどと受け答えをしていると、インドにやってきたなと改めて思います。マサラ味にもウンザリしていたはずなのに、4ヶ月ぶりに食べるカレーはおいしく、皆がそれぞれにわが道を行くインドにいごこちの良さを感じています。
9月3日(土)
コロンボにいます。海沿いに古い列車が走っていたり、新しいビルの間にポツポツとイギリスの植民地時代の古い建物が現れて来たりするはいいものです。しかし人混みと、排気ガスが充満しているところは、やはり大都会です。ここでは、インドに行くためのビザ取得やフライトチケットを手配しているのですが、パスポートの受け取りに3時間は待たされるなど、一筋縄には行きません。いろいろと面倒なことが続いていますが、その半面、インド行きが始まったなと、少しうれしく思っている自分が不思議です。
8月22日(木)
ビパサナ瞑想法の10日間コースを受けるため、スリランカの古都、キャンディにやってきました。瞑想センターは山に上にあり、眺めも良く静かで気持ちの良い所です。コースの内容は大まかに言うと9日間人と目を合わせず沈黙を守り、朝4時半から夜9時まで食事とティータイム以外は指示に従って瞑想の練習をするというものです。瞑想が初めての私は、最初の3日間腰とまたの痛みに悩まされ、くじけそうになっていました。先生は「体の中の変化を感じなさい、体は絶えず変化し続けています」と教えます。私は痛みも変化していくと自分に言い聞かせて我慢していると、ふと痛みがなくなったり、しばらくしてまたずきずきとしてきたり、痛みを通して体の中の変化を感じることができました。仏教のことや瞑想のことで知らないことやわからないことはたくさんありますが、大変興味深く、今回のコースを通して、いろいろな自分に気がつくことができ、とても良い経験ができたなと思っています。
8月8日(月)
スリランカの東海岸、サーフィンで有名なアルガムベイというところにいます。
今までサーフィンに特に興味もなかったのですが、インドネシアで出会う旅人からサーフィンの気持ちよさというものを聞き、スキューバダイビングを始めてから、海で遊ぶのが好きになったこともあり、ちょっとサーフィンでもやってみようかなと思いここまでやってきました。夏ばても治ってきたので、早速サーフィンに挑戦してみました。見てると簡単そうなのに、やってみるとずいぶんむずかしいのです。波にひっくり返されて、巻き込まれて鼻から目から水が入ってきます。たまにうまく波をつかまえることができると、自分が鉄砲玉にでもなったようにピューんと進んでいきます。確かにこの感覚は気持ちがよいのですが、まだまだ波にもてあそばれていて、波を思うがままに乗りこなすまでの道のりはずいぶんと遠そうです。