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トラッドジャパン

講師からのメッセージ

江口裕之(えぐち ひろゆき)

「トラッドジャパン」 講師からのメッセージ


講師:江口裕之(えぐち ひろゆき)

「主観的」に日本文化を発見しよう


広がる日本文化
ここ10年間で日本文化は世界中でずいぶん人気になりました。茶の湯や陶磁器などの伝統文化だけでなく、アニメやマンガなどのポップカルチャーも広く伝播(でんぱ)しましたし、食にいたっては日本が世界のグルメの中心地とまで評価されるようになりました。

日本の文化をここまで広めたのは、日本に興味を持つ外国人の口コミに拠(よ)るところが大です。出版物やインターネットを通じて、英語で書かれた日本の情報は無数に発信されています。これらは確かに有用な情報ではありますが、多くは外国人の視点から客観的に見た日本文化です。

体験として語る
日本人が日本を英語で紹介する際に、それらの記述を参考にする場合も多くあるでしょうが、それだけではもったいないかもしれません。なぜかというと、日本人には日本人にしか発信できないメッセージが他にたくさんあると思われるからです。

例えば、みその英訳について考えると、fermented soybean paste となりますが、この訳は世界中のどの文化の人が説明しても同じ結果になります。ところが、 Miso is an essential seasoning in Japanese cooking.(みそは日本料理に欠かせません)や Miso soup goes very well with rice.(みそ汁はご飯によく合います)などのように、その重要性や味については、みそと共に育った日本人自らが主観的体験として語るべき事柄だと思われます。

愛情を持って、普遍的価値を伝える
もうひとつ、日本人にしか伝えることができないメッセージがあります。それは日本文化に対する「愛情」です。文化と国民は親子のようなものです。親と子は、互いに反発し合うこともありますが、他人には理解できない深い愛情の絆(きずな)で結ばれています。

粋、わびさび、こだわり、匠の技、おもてなしの心、礼儀、一期一会の精神などは、客観的な観察からではなく、親子の愛情に似た主観的な視点から説明しなければ、その背後にある普遍的価値までは伝わらないのではないかと思います。日本人当事者が日本のことを紹介する意義はそこにあるのです。

「トラッドジャパン」は、引き続きそのような観点を大切にして日本文化を探っていきます。皆さんもぜひ番組を通じて、自分だからこそ説明できる日本文化を発見していってください。