記事一覧

2月1日 第51回 「極めて小さな美術館 代表・長澤知明さん(大垣市在住)」

2月1日のぎふカルチャーは、飯沼の担当です。
池田山のふもとにある「極小美術館」をご紹介しました。

「極小美術館」をご紹介


美術館を開館したのは、大垣市在住の彫刻家・長澤知明(ながさわ・ちめい)さん、70歳です。

大垣市在住の彫刻家・長澤知明さん


開館から8年あまり、美術関係者から注目され、7年先の2025年まで、展示の予約が入っています。
全国のアーティストから「展示をしたい」という依頼が届きます。

7年先まで展示予約が埋まっている 過去の展示資料のファイリング


 

実は、長澤さんは10年前まで公立高校の美術教師をしていました。
かつての教え子たちに、作品を発表する場を作ってあげたいという思いから、定年後に自費で美術館を開館しました。

美術教師時代


「教え子から、いろんな展示会をしていますと情報をもらうたびに見に行くんですけどね、1週間貸し画廊を借りて、高いお金を出して、見に来るのは同級生と親せきだけ。あまりにもかわいそうだと思っていて」(話:長澤知明さん)



自身も彫刻家として50年以上活動


自身も彫刻家として50年以上活動してきた長澤さん。
作品の発表は、作家が成長するために欠かせないステップだと考えています。

「アトリエから出して、社会にさらすことは基本」


「アトリエから出して、社会にさらすことは基本ですね。それをやらないと、次のステップを踏んでいくことができない」(話:長澤知明さん)

 

極小美術館1階 極小美術館3階


極小美術館で、主に使用するのは1階と3階の2部屋。



それでも「ギャラリー」ではなく、あえて「美術館」という名前にしたのは、アーティストとしての強い思いがあったからです。


極小美術館について語る長澤知明さん


「『ギャラリー』という名前をつけると、案内をもらった人が1点くらい買ってあげないといけないかなっていう忖度(そんたく)がはたらく。うちは一切売買をしません、入館料もいただきません。本当にいい作品を見てもらう。『美術館』という名前にすればそういうイメージが払拭(ふっしょく)されるだろうと思って」(話:長澤知明さん)

 

書家・臼井千里さんの搬入作業


1月下旬。
新しく始まる展示を前に、作品の搬入が行われました。

大垣市出身の書家・臼井千里(うすい・ちさと)さん。
これまで各地で個展を開いてきましたが、極小美術館での展示は他の場所とは違う緊張があるといいます。


「コンセプトがしっかりしている」


「いい加減じゃなくて、コンセプトがしっかりしているので、それだけの緊張感があるんじゃないですかね」(話:書家・臼井千里さん)

搬入作業は、長澤さんの呼びかけで若手作家も手伝いに来ます。
作品1つ1つの良さを生かし、作家の世界観で展示室を満たす。
こうした過程は、現場でしか学べないことです。
長澤さんは、自分の持つ知識や技術を少しでも若手たちに伝えて残していきたいと考えています。



来るだけでテンションが上がって作りたいなって気持ちになるので」画家・片岡美保香さん


「岐阜とか田舎で、美術系の情報が少ない中で、どうやってモチベーションを保っていくのかって考えたときに、来るだけでテンションが上がって作りたいなって気持ちになるので」(話:画家・片岡美保香さん)



「貴重な場所だと思っています」画家・矢橋頌太郎さん


「若手を育ててくれる長澤さんみたいな人がいる場所ってなかなかなくて、とても貴重な場所だなって思ってます」(話:画家・矢橋頌太郎さん)

 

オープニングパーティーの様子


新しい展示が始まる日に、毎回行われるオープニングパーティー。
極小美術館の魅力にひかれ、全国から90人ほどが集まりました。
ここでしか見られない作品に期待する県外の美術館の館長や学芸員、アーティストたちがやってきます。



「大美術館にはない美術館のすばらしさがここにある」清須市はるひ美術館・高北幸矢館長


「(極小美術館は)すばらしい作品を大切にする、人と人とのつながりを大切にしている。大美術館にはないすばらしさがここにある」(話:清須市はるひ美術館・高北幸矢館長))



「ついでにっていうよりも、わざわざ来る。」豊田市美術館・村田眞宏館長


「ついでにっていうよりも、わざわざ来る。非常に個性があって、きらっと光るようなものを持たれている」(話:豊田市美術館・村田眞宏館長)

 

「『極小美術館』ってキャプションが入っているだけで、美術館が存在した意味があるんじゃないか」


「10年やって(作家は)1人出るかどうかだよ。そんな世界だから徒労に終わるんじゃないかって言われましたよ。僕はそれでもいいと思っていました。それは、年とか関係なく彫刻家として若い作家のエネルギーに触れて刺激を受けることが多くありますからね。「おーこんな作家がいるんだ」ってその作家暦を見たら、『極小美術館』ってキャプションが入っているだけで、こんなのがあったんだって思われるだけで、美術館が存在した意味があるんじゃないかなって、そんなささやかな気持ちを持っています」(話:長澤知明さん)



長澤さんの思いのこもった小さな美術館。作家たちが羽ばたいていく…


極小美術館では、これまでに100人ほどが展示を行い、東京や海外で活躍する作家も何人も出ているということです。
長澤さんの思いのこもった小さな美術館。作家たちが羽ばたいていきます。

▲ ページの先頭へ