記事一覧

6月8日 第44回 「ガラスに新たないぶきを」

6月のぎふカルチャーは、飯沼祐月が担当しました。

大垣の老舗ビンメーカーとガラスアーティストが初めて共同で作品を制作し、東京日本橋の百貨店で展示されました。
さまざまな苦労があったという試みを取材しました。

老舗ビンメーカーとアーティストのコラボでつくるガラスのアート作品をご紹介


昭和5年創業、大垣市のビンメーカー。

昭和5年創業のビンメーカー 年間13億本を製造


1分間に700本以上のビンを製造する技術力があり、年間13億本を製造しています。
このメーカーでは、製品の70%にリサイクルガラスを使っています。


リサイクルガラスを使ったアート作品をつくる

工場の一角で作っているのは、リサイクルガラスを使ったアート作品です。

 

ガラスメーカー広報・堤祐子さん

「アートガラスでリサイクルを意識してもらいたいっていうのがありました。ガラスびんがアート作品になるってこれまでにないことなので」。(ガラスメーカー広報・堤祐子さん)

ガラスアーティスト西中千人さん

メーカーが協力を求めたのはガラスアーティストの西中千人(にしなか・ゆきと)さんです。


「呼継」という技法でつくる作品の数々

ガラスをあえて割って、再びくっつける「呼継」(よびつぎ)という技法で、今までにない器や花入れなどの作品を手がけてきました。
芸術家としてガラスに向き合い、新たな表現をうむ西中さんの力を借りたいと考えたからです。
西中さんにとっても、今回のプロジェクトは挑戦でした。
「1分間に730個を作って規格を通す。そういった技術力でものを作っているところと、私が考えるものづくりとどれだけ折り合いがつくかわからなかったですけど、どうなるかっていう自分の中での期待もありました」(話:西中千人さん)


作業するのは機械の整備やメンテナンスを担当する従業員ら

作品の制作は西中さんの指導のもと行われました。
まずは、砂をつかって大きな型を作ることから始まります。

砂の型を作ること自体が初めて

取り組むのは、ふだん機械の整備やメンテナンスを担当する従業員です。
これまで大量生産の機械と向き合ってきたため、砂の型を作ること自体が初めて。決まった形を持たないアート作品の制作は苦労の連続だったといいます。

 

「試行錯誤しながら…」桑原邦彰さん

「最初こういうことをやれっていわれたときは戸惑いがありました。初めてのことで試行錯誤しながら」(話:ビンメーカー・桑原邦彰さん)


1000度を超えるガラス生地を流し込む

できた型を窯で熱し、1000度を超えるガラス生地を流し込みます。
そして、温度を調整しながら冷やします。ビンの製造では、1時間足らずで熱をとるのに対し、今回の作品は1週間以上かけてゆっくりと温度を下げます。


大きなかたまりのガラスが割れないためには、ゆっくり温度を下げる必要があるからです。

冷めたあと、型から取り出す

しっかり冷めたあと、型から取り出します。


光を当てると…渦をまいたように動きがある

「泡が入っているんですよ。同じ素材なのに光のとどめ方がまったく違って渦をまいたように動きがあるんです。」(話:西中千人さん)


表情の違いを表現

細かく砕いたびんを溶かし込み、表情の違いを表現しています。


西中さんも大満足♪

西中さんも大満足の仕上がり。


「ガラスの新しい一面を見た」

「(ふだんは)ガラスびんというイメージでしか作っていないので、アート作品を通じてガラスの新しい一面を見せていただいた。やってよかったと思います」(話:ビンメーカー・桑原邦彰さん)


 

展示会場は東京日本橋の百貨店

展示は、東京日本橋の百貨店で行われました。


20個のオブジェを運び込む

およそ20個のオブジェが岐阜から運び込まれました。
大きいものは2メートル。
総重量は1トンを超えます。


堤さん、岐阜から駆けつけ

ビンメーカーの堤さんも岐阜から駆けつけ、最後の作業を見守ります。


作業は明け方まで続いた

作業は、明け方まで続きました。



完成したのは、日本庭園・枯山水をイメージしたガラスの空間。

日本庭園・枯山水をイメージ さまざまな表情が

びんの底など記憶が残る

作品には、びんの底の部分などが残され、過去の記憶をとどめているようです。


リサイクルガラスで!? 鑑賞する人ら

訪れた人からは、リサイクルガラスで作られた作品に驚きの声があがりました。

 

心で楽しんでもらえたらうれしい

「多くの人に楽しんでいただいて、見ることでガラスって面白いって。頭じゃなくて心で楽しんでもらえたら嬉しいです」(話:西中千人さん)


ガラスの新しい可能性を感じていただけるんじゃないか

「私たちが作ったガラスびんが変身したなって思います。この作品から多くの人にガラスの循環を体感していただいて、新しい可能性を感じていただけるんじゃないかと思います。」(話:ガラスメーカー広報・堤祐子さん)


産業とアートのコラボ 新たな命が吹き込まれ、輝きを放つ

産業とアートのコラボ。ガラスに新たな命が吹き込まれ、輝きを放ちます。

▲ ページの先頭へ