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7月29日 第14回 「オンド・マルトノ奏者 市橋若菜さん(瑞穂市在住)」

ぎふカルチャー、担当の吉田真人です。
今回は、フランス生まれの電子楽器「オンド・マルトノ」をご紹介しました。

「オンド・マルトノ」という楽器、初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。
オンド・マルトノは、1928年、フランスで生まれた楽器です。

フランス生まれの電子楽器「オンド・マルトノ」を紹介

「オンド」はフランス語で“電波”という意味、「マルトノ」は発明者の名前、モリス・マルトノに由来しています。
モリス・マルトノは電気技師で、当時発明されたばかりの真空管を使って「オンド・マルトノ」を開発しました。

オンド・マルトノの演奏家は日本にわずか数人しかいません。
そのひとりが瑞穂市にいます。市橋若菜(いちはし・わかな)さんです。

市橋若菜(いちはし・わかな)さん

独特の音色を響かせるオンド・マルトノ。1台の楽器で様々な音色が出るのが特徴です。
オンド・マルトノは、オルガンのような形の本体と、3種類のスピーカーから成り立つ電子楽器です。

「オンド・マルトノ」

オンド・マルトノは鍵盤で演奏することもできますが、大きな特徴は指輪が付いたリボンというヒモを用いた演奏です。

指輪が付いたリボンというヒモを用いる

リボンについている指輪を動かすことで音の高さを変えることができます。
リボンと鍵盤を使い分けることによって多彩な演奏が可能です。
指を上下左右に揺らすことで弦楽器のようなビブラートを出すこともできます。

そして、音が出るのは3種類のスピーカー。本体から発せられた高周波の電気の振動がそれぞれのスピーカーを震わせ音を出します。

基本になるスピーカーが「プリンシパル」。中に金属のバネが入っていて、それが震えることで細かい響きが出ます。

「プリンシパル」

そして、表と裏に12本の弦が張られた「パルム」。弦と、木のボディが共鳴することで柔らかな残響が生み出されます。

「パルム」

金属のドラに振動を伝え音を出す「メタリック」。

「メタリック」

それぞれのスピーカーから出る音が重なり合うことで、独特の音の世界が生まれます。

波の音や、星のきらめき、幽霊が浮遊しているような音・・・、1台の楽器で多彩な音色を出すことができます。
そのため、映画などの効果音としてもよく用いられています。


市橋さんは、オンド・マルトノの魅力についてこう語ります。
「電子楽器だと誰が弾いても同じ音が出て、いい音が確実にすっと出る。しかし、この楽器は気温や湿度によって音が変わるなど不安定。それゆえに弾く人によっていろんな表現ができるので、電子楽器ではあるけど面白い」。

千葉県出身の市橋さん。オンド・マルトノとの出会いはピアノを専攻していた大学時代でした。

オンド・マルトノとの出会いはピアノを専攻していた大学時代

友人に誘われて訪問したのが、世界的オンド・マルトノ奏者の原田節(はらだ・たかし)さんでした。そこで初めて弾いたオンド・マルトノの音色に衝撃を受けます。
市橋さんは、「オンド・マルトノの伸びやかな音色はどこまでも繋がってどこまでもいけるような自由さを感じ衝撃を受けた」と振り返ります。

その音色に一気に魅了された市橋さんは、本場フランスの音楽学校に留学し、技術を習得しました。

フランス留学時代

帰国後は映画音楽の演奏を手掛けるなど第一線で活躍してきました。

結婚を機に岐阜へ活動の場を移した市橋さん。2人の子育てをしながら、今も精力的に演奏活動をしています。

オンド・マルトノを演奏する市橋さん

様々な経験を積む中で、音の表現の幅が広がってきていると言います。

「オンド・マルトノという楽器は、年齢を経て様々な経験を積むと、同じ音を弾いても違って感じとれるようになっていく。この未知なる部分が魅力。オンド・マルトノを通して、色々な世界を見ていきたい」と語る市橋さん。


オンド・マルトノを様々なジャンルの音楽にどんどん融合させて、世界を広げていきたいと意気込んでいます。

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