クローズアップ現代

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No.16 スタイリング特集

「クローズアップ現代」(以下、クロ現)の国谷裕子キャスターがいつも身につけている衣装。そのスタイリングを担当しているのはスタイリストの坂本久仁子さんです。坂本さんは2013年4月から新たにスタイリングを担当。今回のウェブ特集では、報道番組での衣装コーディネートは初めての挑戦という坂本さんに、国谷キャスターのスタイリングのポイントや「クロ現」に参加されて感じた手応えなどをうかがいました。

服が目立つのではなく、「なんか、国谷さん素敵だったなぁ」
と余韻が残るようなスタイリングを

坂本 久仁子さん

スタイリスト

桑沢デザイン研究所卒業。マリ・クレール、フィガロなどモード誌のスタイリングを担当。現在はクロワッサンプレミアムほか、多くの女性誌で活躍。岸惠子さん、原田美枝子さん、羽田美智子さんなど女優の衣装コーディネートも手がけている。テレビCMや広告のスタイリング多数。読売新聞家庭版や女性誌にファッションコラムも連載。スタイリスト分野の第一人者。2010年に桑沢スピリット賞受賞。

「クロ現」のスタイリストを引き受けられた経緯は?

坂本

テレビ番組にはこれまでほとんど関わってこなかったので、ルーキーというか、すごく新人な感じです。ある日、国谷さんのお知り合いで、共通の知人からお電話があって、今回の打診がありました。私はもともとモード系のスタイリストから出発したので、最初は、びっくりしました。「なになに? 毎日(月〜木)のNHKの番組?」って。そうしたら、すぐに国谷さんからお電話があって、お会いすることになりました。それで、お話ししてみたら、なんとも知的でチャーミングな方で、ファッションに対するご自分の今後の思いなども語ってくださったんです。
長くこの仕事を続けてきて、私のまったく知らない世界を学べるような気がして、思い切って(報道番組のスタイリングという)新しい扉をギーって開けたんです(笑)。 足を踏み入れる新しい世界は、ファッションというよりは、報道。そこが一番重要なので、ファッショナブルになりすぎない、トレンドを入れ込みすぎない、ということをものすごく意識しました。番組を見終わったあとで、「なんか、国谷さん素敵だったなぁ」というような余韻が残るような。そういう方向に持っていくことを目指そうと思って、お仕事をお受けしました。

報道キャスター・国谷裕子さんのスタイリングのポイントは?

坂本

知的さとエレガンスです。それがうまい具合にミックスされるといいですね。例えば、明るいテーマの時は、そこにはつらつさだとか元気さを加えていきたい。テーマによってプラスしたりまた抑えたりしてバランスを考えていくんです。
ファッションやモードの場合は、夢を与える部分が大きいですよね。私はすごい妄想家なので(笑)、これまでの仕事では、いろんなシチュエーションを考える過程が一番好きでした。でも、今回は報道なので、伝えようとしている内容に視聴者の関心をグッと引き寄せなければいけないと思っています。ファッションそのものに関する評価ではなく、全体的に「感じよかったな」と思っていただけるような舞台をつくる裏方であるということを一番大事にしています。

毎回のお仕事は、どのように進められるのですか?

坂本

まず、各回の番組のテーマがまずあります。その情報を元に、各回のテーマに合うような服を考え、それから、いろいろなネットワークを駆使して、服の下見に行きます。今日も、何社かのプレスルームに顔を出して、セレクトして、「これ!」と思うものを仮キープしてもらうんです。その後、番組の内容が細部まで決まってきたら、さらにプラスアルファの服やアクセサリーを見てまわります。それから、国谷さんと日にちを決めて、テーマに合わせて順次フィッテイングしていきます。そして、ロッカーの中に、今の段階で決定したものを、服から靴、アクセサリーまで日付順に並べておきます。


今後、6本分のフィッティング

たとえば今日は、今週(水・木)と来週(月〜木)のぶんで6着必要なんですが、フィッティングにはいつもその倍以上は用意しています。1回の放送に対して用意するのが1点ということはありません。たいたい2週間分をまとめてフィッティングするんですが、前もって2週間分テーマが決まっているということはなく、早めに情報をいただくように、いつも催促しています(笑)。早めに情報をいただけたら、早めに動きだせるので、突然番組のテーマが変わっても対応できますしね。
"番組のテーマ"と"国谷さん"と"今の季節"とを考えていくんです。あくまでさりげなく、後ろでバタバタ準備しているという雰囲気が出ないように、が基本ですね。

衣装コーディネートとして、気に入った回は?

坂本

私としては、アウン・サン・スー・チーさんの回に着ていただいた(2013年4月17日(水)放送)服は、その日のテーマと国谷さんにとても合っていたと思います。袖から出るレースのカッティング、ペンダントやピアスの上品な小さなアクセサリー。すごい服を着ているという印象ではないんですが、「エレガントできちんとしている」というイメージがしっかり出せたと思います。今、国際的に話題を集める政治家をお招きするにあたって、国谷さんご本人も安心して着ていられる、胸が張れるというスタイリングができたと思います。


2013年4月17日(水)放送
「"一人一人が勇気を"スー・チー氏からのメッセージ」より

バーチャルセット(CGで表現されたセット)がある場合、
スタイリングをされる上で影響は大きいですか?

坂本

それは、大きいですね。以前、被災地の画像(2013年5月15日(水)放送)でバーチャルセットだったことがあるんですが、悲惨な映像のなかで、国谷さんを際立たせるのか、もっとそこになじませるのか、国谷さんとも相談しながら、すごく考えました。バーチャルの場合は、どんな画像が入るのかで、当然、コーディネートはまったく変わってきますから。


2013年5月15日(水)放送
「1000年後の命を守るために~どう伝える 震災の教訓~」より

このお仕事をされていて、どういう瞬間に一番充実感を感じられますか?

坂本

やっぱりマッチングした時ですね。いろいろフィッティングしてみて、これだ!と思ったものが、スタジオに立った姿を見て、やっぱりよかった!と思う時。それから、座った姿で撮影することが多いのですが、つま先まで全体のスタイルに気を配っているので、たまたまカメラワークで国谷さんの全身が映り込んだりすると、心の中で「よしっ!」って拳を握っちゃいます(笑)

「クロ現」を担当されて2か月ちょっとたちましたが、手応えは?

坂本

初めて報道番組のスタイリングに携わって、すごく勉強になっています。これまではファッションのことばかり考えている時間が多かったんですけど、今は報道の番組のことも常に考えているわけですから。
そして、国谷さんにお会いできて、よかったなぁって。始めてから2週間が過ぎた頃、国谷さんから「衣装についての感想が驚くほど寄せられるようになりました。"エレガントでソフィスティケート(知的)された雰囲気の衣装ですね"という感想が一番嬉しいものでした」というメールをいただきました。
国谷さんとはどんどん希望を言い合えるような関係でいたいですね。こちらの思いが先行して、これで決めますよ〜みたいな感じではなく。やわらかな心でお互いに意見を出し合えれば、また次のいいフィッティングにつながりますから。

クロ現の放送では、国谷キャスターの衣装コーディネートもぜひチェックしてみてください。