クローズアップ現代

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No.11 インターネット特集

インターネットは、1993年にウェブブラウザ「NCSA Mosaic」が登場したことにより、普及が拡大しました。
その同じ年に放送を開始したクローズアップ現代(※以下、クロ現)は、インターネットによって起こった暮らしの変化やさまざまな社会問題に注目し、現在までに70回以上にわたる放送を重ねてきました。
今回の特集では、クロ現がどのようにインターネットを捉え、伝えてきたのかを、6つのテーマごとに紹介します。

インターネット時代の幕開け

1993年、米国でクリントン政権が誕生。当時のアル・ゴア副大統領のもと、情報スーパーハイウェイ構想が提唱され、全米規模で高度情報通信ネットワーク整備が進んでいきました。
日本国内においても、光ファイバーの基盤整備がスタートし、クロ現では、「実現するかマルチメディア社会~情報ハイウェー始動~」(1994年5月31日)の放送で、いち早くその動向を紹介しました。
そして1995年から“インターネット”を番組のテーマに取り上げ、利用の実態やネットビジネスの胎動を紹介していきます。

世界のインターネット事情とその将来性を取材

1995年11月13日(月)放送

7000万人市場をねらえ
~ここまできたインターネット~

世界中のコンピューターとコンピューターが結びついたネットワーク・インターネット。インターネットの利用者が世界中で爆発的に増え、企業も次々にインターネットに参入している。この新しい通信網はどんなビジネスチャンスをもたらすのか。成長著しいインターネットのインパクトを報告する。
(※放送当時の記述)

1996年4月5日(金)放送

インターネットは誰のものか
~ブームの影の知られざる情報戦争~

話題のインターネット。加熱するブームのなかで、インターネットと国家の間に繰り広げられている情報戦争にスポットを当てる。情報を規制しようともくろむ国家、激しく反発しようとする人びと。その狭間をすりぬける政治集団。今、情報の世界で起きている複雑で激しい変化に迫る。
(※放送当時の記述)

「7000万人市場をねらえ~ここまできたインターネット~」が放送されたのは、日本のインターネット利用者が約100万人となり、普及拡大の前夜ともいえる時期。制作を担当したプロデューサーに、当時インターネットをどのように伝えようとしたのか、その制作秘話をうかがいました。

当時の制作担当プロデューサーの話
下田 大樹さん

写真1枚表示するのに3分、回線速度がとてつもなく遅かったのですが、「わくわくドキドキ、新しい時代が来たー!」と徹夜しながら夢中でネットサーフィン(死語ですね)していたことが思い出されます。今から17年前の1995年、クローズアップ現代が初めて「インターネット」をテーマに、その最新情報を伝えたのがこの番組でした。「パソコン通信とどこが違うの?」「電話の代わり?何ができるの?」国谷裕子キャスターはじめ、プロデューサーからは矢継ぎ早の質問攻勢。ホワイトハウスやCNNのホームページを見せながら、説明するのに、四苦八苦しました。今では、信じられないのですがインターネットという言葉はキワモノでした。それを取材するディレクターはオタクで“変わり者”と見られた時代です。
番組では、連絡用にインターネットを駆使している国際医療団体や印刷コストを下げたい自動車会社の取り組み、アメリカ最先端のネット銀行、そして店舗を持たない本屋を紹介しました。そう、あのAmazonです。巨大な倉庫の中に無造作に積み上げられた本が印象的でした。大変だったのは、「インターネットとは?」をわかりやすく、伝えることです。
1分半ほどの短いVTR(CG)を作ったのですが、費用が想定を超えてしまって…。でも、その後、いろいろな番組で再利用してもらい、何とか責めを負わず助かりました。

インターネットをビジネスに取り入れようと、企業が本腰を入れて取り組み始める一方、2000年問題の対策に迫られていた時代。
番組では、インターネットにまつわるさまざまな話題を取り上げています。

手のひらでインターネット~携帯電話の進化~

1999年、携帯電話からインターネットへ直接アクセスできる「iモード」がサービス開始。携帯電話でのメール送受信とインターネット利用が拡大し、場所や時間にとらわれない利用が進みました。
当時のクロ現は、携帯電話の多機能化によって、人びとのコミュニケーションのあり方がどのように変化しているのかを伝えています。
携帯電話にはその後、カメラ、テレビ電話、GPS、電子マネーといった新機能が次々に追加され、ビジネスへの利用が拡大していきます。
2008年のiPhone日本発売を機にスマートフォンへの乗り換えが徐々に加速。モバイル端末をめぐる動きは新たな展開を迎えています。

携帯インターネットの利用率


ライフスタイルを変えたネットビジネス

インターネット技術の著しい発展や、情報量の拡大を背景に、企業は新たなビジネスモデルを続々と打ち出します。
ネットショッピング、株式投資やネットバンキングなど日々の暮らしに関わることから、音楽や映像の配信など趣味・娯楽の分野に至るまで、ビジネスの進化はライフスタイルに大きな変化をもたらしました。
クロ現では、時代のキーマンをゲストとして番組にお招きし、国谷裕子キャスターによるインタビューによって、ネットビジネスの本質と未来を探っています。

パッケージソフトから “ダウンロード”へ

2000年5月10日(水)放送

音楽の世界にも革命
~広がるインターネット配信~

デジタル技術の飛躍的な進歩で、インターネットによる音楽配信が始まり、ユーザーのみならず、ミュージシャン、音楽産業界、通信業界等の各方面に革命的ともいえる変革が押し寄せている。 早くからインターネットに注目し利用してきた音楽家の坂本龍一さんに、音楽ネット配信の可能性とその影響について聞く。
(※放送当時の記述)

番組のオープニングで、ピアノの生演奏を披露してくれた音楽家の坂本龍一さん。
坂本さんをゲストにお招きした背景と、彼が音楽ネット配信について語った話の意味を振り返ってみましょう。

当時の制作担当プロデューサーの話
柴田俊一さん

この回は、あるレコード会社から転職したばかりのディレクターが、前職での問題意識を生かして提案した番組でした。今でこそiTunesやYouTubeで音楽や映像がネット配信されることが当たり前のようになっていますが、当時はまさに開発されたばかりの技術で、音楽業界やアーティストたちの社会がどう変化していくのか、全く見えない状況でした。 そんな中で、最も音楽のデジタイズとネット配信に関心を持っている大物アーティストとして、坂本龍一さんに出演をお願いしました。坂本さんは、CDが登場したころからデータ化された音楽とその著作権について注目しており、「送信可能化権」という現在は当たり前になっている概念をいち早く取り上げて、私たちを啓蒙してくれました。
「3分の曲をダウンロードするのに15分かかる」、「携帯では倍の6分かかる」など、時代を感じさせるコメントもありますが、坂本さんの「CDはいずれなくなるだろうが、かなり長い間ネット配信と共存し、徐々に比率が変化していくだろう」という発言は先見性を感じさせます。また、「音楽の値段はCDというマテリアルと流通コストの値段であり、ネット配信されるようになって初めて音楽そのものの値段が問われるようになった。自分としては0円から無限大まで、ありうると思っている」という言葉は、作品に対するアーティストの思いを率直に表しており、興味深いものがあります。「アマチュアとプロの垣根がなくなる」ということも指摘していますが、今となれば“アマチュアからプロへの道筋が多様化する”ということであったように思います。 余談ですが、国谷キャスターが「坂本龍一さんがスタジオに来るんですか?」と結構興奮気味で、ピアノの生演奏までしてくれたことに感激していました。

スティーブ・ジョブズさんの言葉

iPhoneやiPadなど独創的な製品を生みだし、「アップル」社のカリスマ経営者として知られたスティーブ・ジョブズ前CEO(最高経営責任者)。クロ現では、2001年にジョブズさんの単独インタビューを行いました。“ライフスタイルがデジタル化する時代”を予見し、新たな製品でどんな未来を切り開こうとしているのかを語るジョブズさん。アップルにおけるリーダーシップや製品開発のビジョンを今に知ることができる、貴重な映像です。

2001年3月29日(木)放送

パソコン界の先駆者 そのベンチャー精神に迫る

全世界に6億台、今や人類の10人に1人に普及したパーソナルコンピューター。パソコンの原型になったのが、24年前に発表されたアップルだ。開発したのは当時21歳のスティーブ・ジョブズさん。独創的なアイディアや技術でパソコンの利用者を専門家から一般の人々へと拡大してきた。現在、従業員1万人のアップル・コンピュータ社を率いるジョブズさん。パソコン界のカリスマ・予言者とも呼ばれている。番組では、ジョブズのベンチャー精神に迫る。
(※放送当時の記述)

2011年10月5日、ジョブズさんが亡くなり、クロ現はその一週間後に追悼の番組を放送しました。ジョブズさんを身近で知る人々の証言を交えてその素顔に迫るとともに、彼が残したメッセージを綴っています。

日本国内のインターネット業界では、2006年に“ライブドア ショック”が起こりました。
番組ではシリーズで事件を取り上げ、インターネット新興企業の急成長とそこに生じた諸問題を検証しました。

インターネットから生まれた社会問題

インターネットによって革新的なビジネスが生まれ、暮らしが便利になる一方、社会に負の側面があらわれました。迷惑メールや個人情報の流出、闇サイトやネットいじめなど、匿名性やインターネット特有のコミュニケーションに端を発する被害が拡大。クロ現は放送を開始した当初から、その実態と対策の最前線を伝えてきました。
近年では、国境を越えた不正アクセスなどサイバー攻撃が増加。被害の甚大さから企業や国家をも揺るがしかねない問題について取り上げています。

サイバー犯罪相談窓口への主な相談


個人が“メディア”になる時代

インターネットの発展とともに、ブログやネット放送が登場。個人がコンテンツを不特定多数に発信することが、本格的に可能になりました。
また、質問サイトや誰もが編集できる百科事典など、個々人の「知」が集合し、活用されることで新たなサービスも生まれました。インターネットは、まさに個人が“メディア”になる時代をもたらしたのです。
クロ現は、個人がメディア化することが社会に何をもたらそうとしているのかを探り出す一方、従来のマスメディアがその役割を模索する姿についても取り上げてきました。

何がユーザーを魅了するのか、新メディアに迫る

2011年3月10日(木)放送

テレビはいらない?!
~急成長するインターネット放送~

およそ2000万人の会員を誇るニコニコ動画やUstreamなど、インターネット放送が急成長をとげている。尖閣諸島の漁船衝突ビデオや、政治家の記者会見、さらにはネットを情報源とする報道が相次ぎ、娯楽番組でも、素人制作のインターネット番組が人気を集めている。編集をしないリアリティ、自らもコメントなどで番組参加できる双方向性。テレビは「遠い」けど、インターネット放送は「近い」と、若者たちのテレビ離れが加速している。番組では、インターネット放送の最前線を追いながら、中継で、ニコニコ生放送のスタジオとも結び、急増するインターネット放送が私たちの生活をどう変えていくのか、放送の役割とは何なのか考える。
(※放送当時の記述)

テーマは「インターネット放送」。番組作りのプロとして、当時の制作担当プロデューサーにはどういう思いとこだわりがあったのでしょうか。

当時の制作担当プロデューサーの話
細田美和子さん

この番組を制作するにあたり、自分に課したことがあります。それは、自分たちを「棚に上げない」ということ。テレビの番組を制作する際、客観的な視点で物事を捉えることが重要です。しかし今回は、自分たちが「当事者」であることを意識して作りたいと思ったのです。当事者感覚で作るということは、自己批判をするということ。自分たちのこれまでの仕事のあり方を見つめ直し、これからのテレビを考える機会にしたいと強く思いました。そう考えていた折、ニコニコ生放送(※以下、ニコ生)を運営するドワンゴの方から「ニコ生とNHKのコラボ」を提案されました。考えてもいなかったので驚きましたが、すぐにとても面白い実験ではないかと思いました。
クロ現の放送では問題提起を行い、その後のニコ生で、多くの人を巻き込んだ深い議論を展開する。なんでもテレビでやるのではなく、テレビだからできること・意味があることと、放送時間などの制約があるテレビではできないことを真正面から向き合ってみたいと思ったのです。この実現のために、局内のさまざまな立場の人たちとも議論しました。正直、壁は高いかなと思いましたが、意外にも局内の多くの人が、テレビとネットの共存を模索したいと考えていました。ただ一人、かなり強く反対した人がいました。それは、夫です。ニコ生に私が出演したら、PC画面が私自身を否定する激しい言葉で埋め尽くされるはずで、それを夫としては見ていられないと言うのです。
しかし、フタを開けてみれば、それも杞憂でした。ネットユーザーの多くの人たちが、私たちの「勇気」(?)を評価してくれました。どうも私たちは、新しいことをやる前にいろいろ心配しすぎなのですね。NHKとしてテレビとして大事にすべきことはしなければなりませんが、新たな試みをさまざまな人たちと一緒になってどんどん挑戦していくことが必要で、それは可能なのだと実感しています。

クロ現では、ツイッターに代表されるソーシャルメディアや、CGキャラクター「初音ミク」の音声合成技術をはじめとした最先端の動向も紹介しています。

震災報道 / 社会を動かすインターネットの力

東日本大震災によって、人と人をつなげるインターネット=ソーシャルメディアの力が改めて注目されました。クロ現は、今や生活に欠くことができないインターネットについて、災害や支援のあり方の試みを伝えました。
ソーシャルメディアについては、オバマ大統領の選挙活動や、中東の民主化運動「アラブの春」の動きの中でも伝えています。

震災後にツイッターから得た情報