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誰にとっての“安心”? 銀行カードローンの裏事情

誰にとっての“安心”? 銀行カードローンの裏事情

2017年4月18日

安心と利便性を売りに急拡大している銀行カードローン。貸付残高は、この5年で一気に伸び、5兆円以上に達した。銀行の収益の柱に成長しつつある一方で、過剰融資による利用者の自己破産も急増している実態が分かった。高い利ざやを求め、カードローンビジネスにのめり込んでいく銀行。何が起きているのか。

銀行は損しない!?銀行カードローンの仕組み

地方都市に暮らす、50代のシングルマザー。銀行カードローンで多重債務に陥り、去年、自己破産した。女性は7年前、離婚をきっかけに50万円を年利14.8%で借り入れ、その4年後、子供の学費として、別の銀行からさらに100万円を借金。すると、銀行から追加融資の勧誘があり、最終的に4つの銀行からカードローンを借りることとなる。その総額は年収の200万円を大幅に上回る250万円まで膨らんだ。
この女性のように、返済能力を超える借金を背負ってしまう人が増えている。日弁連による調査では「年収の3倍以上を融資」「収入がない人に170万円」といった、銀行による過剰融資の事例があがっている。

返済不能になれば銀行に損失が出るはずだが、なぜ、銀行は過剰融資を行うのか。実は、銀行カードローンビジネスは、消費者金融とタッグを組んでいる場合が多い。

銀行は消費者金融に、利用者にどれだけ貸せるか審査を依頼する。審査を請負う消費者金融は、利用者が返済不能になった場合、銀行の損失を全額保証する。つまり、利用者が返済不能になっても、銀行は損をしない仕組みになっているのだ。

消費者金融側も、銀行から多額の手数料を受け取れるため、一部の利用者が返済不能になっても、全体としてのもうけは維持できるという。消費者金融の元社員は、「銀行さんという、ひとつの大きな冠をいただいた、その裏で消費者金融が保証している。今まで取り込めなかったお客さまが、自分たちのお客さまになってくれる」と話す。

銀行カードローンが過去と同じ問題を引き起こす

銀行カードローンの過剰融資は、10年以上前の消費者金融問題と深くつながっている。「高金利」「過剰な貸出」「過酷な取り立て」が社会問題化し、2006年に貸金業法が改正された。利用者の年収の3分の1を超える融資を禁じる「総量規制」などが導入されたが、このとき問題視されたのは、消費者金融だったため、銀行に規制をかけることはなかった。しかし、今、過剰融資や多重債務の問題が、銀行カードローンによって再び起きていると指摘するのは、弁護士の宇都宮健児さんだ。

「2006年当時、こういう状態が起こると全く予測できなかった。貸金業の総量規制の適用のない銀行カードローンの過剰融資が大きな原因になっている」

こうした問題の背景には、多くの銀行がカードローンを収益の柱に据えざるを得ない状況がある。その理由の一つが、マイナス金利に象徴される超低金利政策だ。銀行収益の1つの柱だった国債の運用益は、利回りの低下で大きく落ち込んでいる。企業への融資も、資金需要が低迷している上、金利が低く、利ざやがほとんど稼げない。その結果、高い利ざやが稼げるカードローンが急拡大している。銀行の決算などからカードローンが収益に占める割合を試算すると、ある大手の銀行では収益の半分、別の地方銀行では2割を占めている。

「銀行カードローンの利益は長続きしない」という警鐘

超低金利により、カードローンに頼らざるを得ない銀行の状況が見えてきたが、本来の銀行のあり方としてこれでいいのだろうか。明治大学准教授の飯田泰之さんは「現在のカードローンビジネスでは、銀行はリスクテークも審査もやっていない。事実上、看板貸しに近いものも少なくない。いまは、利益は出ているが、いずれ競争が激しくなり、貸し倒れの可能性が高い人に貸すか、金利を下げるしかなくなる。個人向けカードローンの利益というのは、そんなに長続きする、永続するものではない」と警鐘をならす。

銀行は、個人向けの融資ばかりに注力するのではなく、適切な審査をし、リスクをとって地域のビジネスに融資するというような、本来の使命をまっとうできる金融ビジネスに努めていく必要があるだろう。

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