クローズアップ現代

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どうする遺骨 あなたのご意見は?

どうする遺骨 あなたのご意見は?

2017年11月27日

親や先祖の遺骨を捨ててしまう…行き場のない遺骨が自治体にあふれかえる…多死社会を迎えるいま、全国各地で起きている「遺骨」を巡る問題を取材しました。

遺骨「置き去り」411件

妻の遺骨を置き去りにした70代の男性。妻が亡くなったあと遺骨を自宅に保管し続けていましたが、引っ越しでやり場に困り、東京駅のコインロッカーに入れたままにしていました。
遺骨「置き去り」があった現場はリサイクルショップの店先やサービスエリア、競輪場など様々。全国の警察にはこの5年間で411件が届けられています(NHK調べ)。

自分の遺骨どうする?

自分の死後についてはどう考えていますか?「NHKネットクラブ」のアンケートで、「自分の遺骨をどうしたいと考えていますか?」と、ことし5月に自由記述で伺ったところ、1280人の方が回答。518人が、「家族の墓」、「ふつうのお墓」など、従来型のお墓に入りたいと書きました。他に多かったのは「わからない・任せる(280人)」、「散骨(242人)」、「墓は不要・廃棄」(118人)」、「納骨堂(78人)」「樹木葬(56人)」など(複数回答)。残された人の迷惑になりたくない、という意見も目立ちました。

散骨の規定は?

「散骨」は、もともとは多様な葬送の形の1つとして広がり、亡くなった人の希望を叶えるという意味合いが強いものでしたが、いま広がっているのは遺骨の置き場に困った人たちが「処分の手段」として散骨を選ぶケースです。

散骨については、墓地と埋葬などに関する法律に具体的な規定がなく、散骨業者や団体が法律に抵触しない方法を模索しながら行っているのが現状です。遺骨をそのまま遺棄すると違法にるため(刑法190条)、たとえば散骨業者の業界団体では、ガイドラインを作り、「遺骨を2ミリ以下の粉末にして散骨する」としているところもあります。ただ、自治体によってルールが異なるため、確認が必要です。

“無縁遺骨” 自治体の苦悩

横須賀市役所の一角には、遺骨が安置されている倉庫。墓に入ることができず行き場を失った遺骨が次々に運ばれてきていました。9割は、身元が分かっても墓の場所が判明しない人たち。自治体が特定の宗教を選ぶことはできないため、供養は一切行われていません。対応する側の自治体も苦悩していました。




葬式も墓もなし!?広がる”ゼロ葬”

葬儀会社に遺骨を預けたまま音信不通になる遺族。遺骨を郵送で受け付けるサービスを始めた業者…家族が葬儀もせず、遺骨も引き取らない、墓も作らないことを、業界では「0(ゼロ)葬」とも呼ぶそうです。取材班はその実態を去年取材しました。

「遺骨」について、みなさんから頂いているメールの一部をご紹介します

【死んだらお墓に入りたい】
自分が亡くなって、自らの遺骨をどうするのかと考えた時、正直ロッカーなどに入れられるのは悲しいです。知人は有名なお寺が行っているお墓に入りました。私もそのようなお墓に入りたいです。(神奈川県・60代女性)

【遺骨は海に撒いて欲しい】
息子達には私の遺骨は海に撒いてくれるように伝えてます。遺骨、お墓の問題は次の世代に大きくのしかかります。未来永劫、跡を継ぐ人がいるという保証はどこにもありません。ならば亡くなった時点で完結していればいいのでは?お墓に参るという「想い」はお墓でなくてもいいのではないでしょうか?(福岡県・50代女性)

【「家」で遺骨を考える時代ではない?】
半年前に離婚し、高齢者の仲間入りを前に独身になりました。今更、故郷のお墓に入るのも負担をかけるし、息子たちには遠すぎます。今いる土地にある、樹木葬のお寺にお願いしようかと思います。もう「家」で遺骨を考える時代ではないのかもしれません。(大分県・50代女性)

遺骨を誰に託すべきか

福岡市の社会福祉協議会には、毎日のように「自分の死後、遺骨を拾ってもらえないか」と、高齢者からの問い合わせが入っています。東京に息子がいても疎遠だという70代の夫婦や、10人兄弟にも関わらず、誰も頼れないという70代の男性。


こうした要望にこたえるため、社会福祉協議会では、海に遺骨をまく「散骨」や、納骨堂などに遺骨を納める「納骨」を請け負っています。依頼者の9割以上が家族や親戚がいるにもかかわらず、社会福祉協議会に依頼するのはなぜか。担当者は「家族関係の希薄化によって、死後のことを他人に任せざるを得ない時代になった」と言います。

火葬後の遺骨は持ち帰らないといけない?専門家の答えは?

皆さんからのご質問のなかから、火葬後の遺骨について、国内外の墓地や葬送の現場を訪ね研究を続けている、小谷みどりさん(第一生命経済研究所主席研究員)にお答えいただきました。 →画像をクリックすると、PDFファイルが開きます。(ご覧になるには、PDF閲覧ソフトが必要です)

皆さんの声を受け 鎌倉キャスター台湾へ

「もう家で遺骨を考える時代ではないのでは」「海外の遺骨の取り扱いを知りたい」これまでに寄せられたこうした声にお答えしようと、お隣の台湾の事情を取材しています。
台湾では、自治体が住民の葬儀から火葬、散骨まで全て無料で行っているというのです。日本の課題解決の参考になるかもしれません。

台北市の行政主導の葬儀とは?

海外での遺骨の取り扱いにヒントは?自治体が無料で葬儀から埋葬まで行う台湾の葬儀について、鎌倉千秋キャスターの報告はこちら。
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台北市の無料「自然葬」墓地を見てきました

台北市は、合同葬儀だけでなく、墓地も無料で提供しています。樹木葬や散骨など遺骨が自然に回帰する形の「自然葬」の墓地です。 いま台北市では亡くなる人の5人に1人が「自然葬」を選ぶとのこと。そこにはひとりひとりの墓標すらありませんでした。(キャスター 鎌倉千秋)

台北で急増する「自然葬」埋葬に同行取材

台北市でいまや5人に1人がが選ぶという「自然葬」。墓ではなく、散骨や樹木葬など自然に還る葬送のかたちです。行政が負担するため誰でも無料で利用できる、その「自然葬」の現場を取材しました。
→画像をクリックすると、PDFファイルが開きます。(ご覧になるには、PDF閲覧ソフトが必要です)

“死者と生者が土地を争う” 台湾で自然葬が広がる背景

行政主導で「自然葬」が急増している台北市ですが、自然葬を積極的に推奨するもう一つの事情は、実は従来の埋葬を続けると土地が足りなくなるという切実なものでした。伝統的な墓地は基本的に1人1区画の立派なもの。行政の危機感も分かる気がしました。
(キャスター鎌倉千秋)

台湾の自然葬 「納骨堂問題」も背景に

土地に関してもうひとつ。実は、土葬が中心で伝統的にお墓が大きい台湾では、埋葬する場所の限界がくる前に、まず日本と同様に火葬の普及を促し、今では9割以上が火葬を受け入れています。それに伴い、遺骨を納骨堂に安置する形が定着しました。
しかし今や納骨堂の容量も限界に近づいてきていて、少ない空き区画をめぐって多額の売買が行われたり、新しい納骨堂の建設に地元住民が反対するなどの新たな課題に直面しています。限られた土地をどう使うかの模索の中で、自然葬が急速に市民の意識に広まり、受け入れられています。
(キャスター鎌倉千秋)

墓がなくても不安にならない?

鎌倉キャスターの台湾の葬送の現状報告最終回です。自然葬を選択する台北市民が、遺骨やお墓といった具体的な対象がない不安を、少しずつ受け入れ、時間とともに乗り越えようする姿に出会いました。
→画像をクリックすると、PDFファイルが開きます。(ご覧になるには、PDF閲覧ソフトが必要です)

放送後記① 番組に意見を下さった方を和歌山県に訪ねました

取材の過程から公開していたフェイスブックグループ「どうする遺骨 あなたのご意見は?」(12月31日に閉鎖しました)で、みなさんが最も多くのコメントを書いてくださった、「墓?散骨?」の議論。葛藤をうかがわせるコメントを寄せて下さっていたメンバーを訪ね、議論を通じて改めて感じたことを伺いました。



放送後記②「ご意見をありがとうございました」

「どうする遺骨」というテーマに、みなさまから様々なコメントを頂きました。 放送終了後に改めて、頂いたコメントやこれまでの経緯を振り返ってみました。
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この記事は2017年12月22日放送「2017冬 スペシャル ~“あの疑惑”徹底追跡~」に向けての取材を元に制作しています。

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