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40代・50代でも遅くない! 転職市場は“おじさん”の力を求めている

40代・50代でも遅くない! 転職市場は“おじさん”の力を求めている

2017年9月28日

転職市場でささやかれてきた「35歳の壁」。その状況が大きく変わろうとしている。企業の人手不足の波がマネジメント層にも広がり、40代50代の転職者が増加しているのだ。45歳の化粧品メーカー課長が、コンタクトレンズ・ケア用品メーカーのマーケティング部長に転身。大手外食チェーンで13年間店長だった43歳は不動産会社に転職し、関西エリアの責任者に抜てきされた。引かれたレールが見える。行き詰まりを感じている。そんな、40代50代のあなたに、転機が訪れるかもしれない。

求む“オッサン” 日本は「中高年」を求めている!

今年(2017年)3月、中高年をターゲットにした求人広告が大きな反響を巻き起こした。

“案外、オッサン達がこの国の希望かもしれない。”

大阪にある医薬品メーカーの森下仁丹は、「年齢や専門性は一切不問」で人材を募集。10人の募集枠に、自動車エンジニアから学校の校長まで、さまざまなキャリアの2,200人が殺到した。

一時は巨額の負債を抱えていた森下仁丹を立て直した駒村純一社長は、変革の時代に新たなイノベーションの起爆剤となる人材を求め、今回の採用に踏み切ったという。

「我々のやっている事業に慣れ親しみすぎていない人、違う価値観を持っている人によって、社員の心境、モチベーションが上がって、もっと生産性を高めてくれるのではないか」

220倍の難関をくぐり抜けた10人は、40代から60代。その半数は、家電やホテル業界など、医薬品とは無縁の人たち。会社が重視したのは華々しい経歴や肩書きではなく「チャレンジ精神や周りの意見を柔軟に取り入れられるかどうか」という人間性だった。

ミドル専門転職コンサルタントの黒田真行さんは、森下仁丹のような積極的な活用事例はまだは少ないが、ミドル採用の動きは非常に広がっていると話す。

「人手不足が激しくなる中で、基本的には若手を採用したいが、若手だけでは足りないという、消極的なミドル採用というケースが増えている。結果的に『35歳の壁』が『40歳の壁』になりつつある状況です」

さらに、異業種、異職種への転職が増加。背景にあるのは、産業構造の変化だ。製造業から、IT、サービス業が中心となり、人材も業種を超えて流動しているのだ。


自分の能力、把握できてる? ポータブルスキル診断で洗い出せ

今年(2017年)の転職者数は300万人の大台を突破。特に40代以上はこの5年で2倍近くに増えた。しかし「自分のスキルで、つぶしがきくのか?」と感じている中高年は多い。長く同じ会社に勤めていると、その会社での役割が自分の能力のすべてであるかのように感じてしまうものだ。

自覚していない能力を見つけ出す手段として注目されているのが、“ポータブルスキル診断”だ。“ポータブルスキル”とは、業種や職種の垣根を越えて発揮できる、汎用性の高い能力のこと。ごく普通の中年のサラリーマンも、仕事で培ったなんらかのスキルがあるはず、という視点に基づくものだ。

例えば、通販会社のアパレル部門から、菓子メーカーの経営企画課長に転職した女性。評価されたポータブルスキルは“女性の好みに精通していること”だった。このスキルを生かして販売戦略を一新。商品の売り上げアップにつなげた。

また、生命保険会社の営業部長だった男性は、食品メーカーの品質管理部長に転職。そのポータブルスキルは、“パートやアルバイトの管理能力”。地道なルーティン業務を行う現場スタッフのモチベーションを高めた経験を、工場で働くパートの管理に生かしている。

ポータブルスキルはどのように診断されるのか。中高年の転職をサポートしている会社で、鎌倉キャスターが実際に診断を受けてみた。まず、これまでの仕事を丁寧に見つめ直すため、担当してきた業務やモチベーションの浮き沈みまで用紙に記入する。


次に、キャリアコンサルタントがそのときのエピソードをつぶさに聞いていく。4時間の面談で明らかになった、鎌倉キャスターのポータブルスキルは27個。


仕事で培った国際関係の知識やSNS情報力などのスキルだけでなく“小さなことを積み重ねる力”“人の役に立ちたい力”など、自身では気付かなかったスキルも明らかになった。こうして、洗い出されたポータブルスキルを組み合わせて転職先を検討していく。その結果、鎌倉キャスターの能力を発揮できるとされたのは「新興国担当の営業職」。本人の思いも寄らない職業だった。

「アナウンサーとしての専門能力、例えば人前で話すことが評価の対象になるかと思いきや、むしろ、自分でも自覚していなかった周辺の力が評価されたので、正直驚きました」(鎌倉キャスター)

一歩を踏み出す前に! “おじさん転職”のリスクをチェック

ミドル採用志向の高まりに、産業構造の変化による人材の流動化、そして新たなスキルの発掘。40代50代の転職が増える一方で、リスクはないのだろうか。転職コンサルタントの黒田さんは2つのリスクを指摘する。

「1つ目は、年収がダウンするリスクが高いこと。ただし、初年度の年収にこだわらないほうが、5年、10年たったときに、当初より年収が大きく上がるケースも多々あります。2つ目は転職活動が長引く可能性。退職してから転職活動をするのではなく、働きながら転職活動をされることを極力勧めています。特に、あまりにも他責型の“不満型転職”になると、面接でも見破られてしまい、なかなかいいサイクルに持ち込めず長期化するケースもあります」

黒田さんによれば、大企業を中心に“人余り”の状況で、リストラ予備軍は500万人に上るとも言われる。一方でベンチャーや中小企業を中心に、ベテラン人材が不足し、まだまだミドルの適材適所を進める余地がある。転職のリスクを踏まえた上で、それでも現状を変えたいと思っている人に、黒田さんはこうアドバイスする。

「自分の墓標に何を刻まれたいのか、何を成し遂げた者がここに眠るというふうに、自分の人生を終えたいのかということを想定して、そこから逆算して、仕事人生の後半を歩まれることをお勧めしたい」

仕事人生の後半戦に差し掛かっている40代50代は、転職する、しないに関わらず、一度自分を見つめ直してみるといいだろう。これまで気付かなかった自分の能力を発見することが、あなたの仕事人生を、前向きに、そして大きく変えるかもしれない。

この記事は2017年9月19日に放送した「50代でも遅くない!中年転職 最前線」を元に制作しています。

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