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プラスチックで覆われた荒川・河川敷 ~ごみ拾いのデータが示すもの~  

私たちの生活からあふれ出るプラスチックごみ。このままの状態が続けば、2050年までに海に漂うプラスチックごみの量は、魚の量を上回ると言われています。
「海のごみは、海で出たもの」
そんなイメージもあるかもしれませんが、元をたどれば街で出たごみが川を経由し海に流れ着いたものです。都内を流れる荒川には、大量のプラスチックごみが流れ込み、深刻な状況を引き起こしています。 

(地球のミライ 取材班 ディレクター 三木健太郎)

埼玉から東京湾へ注ぐ流域人口1,000万人の荒川。ひとたび河原に踏み込んでみると、一面プラスチックごみというショッキングな光景が広がっています。 そのほとんどは、様々な理由で川に流入したごみが、台風などで水かさが増したときに河原に打ち上げられたとみられています。

荒川河口域をすみかにしているトビハゼ(環境省準絶滅危惧種)も、巣の上にレジ袋が被されれば貧酸素状態になってしまう可能性があります。
クロベンケイガニがマイクロプロチックを噛み砕いて食べている姿もたびたび目撃されています。
私たちの暮らしから出たごみが荒川流域の生き物の命を脅かし始めているのです。

こうした現状に危機感を募らせているのが、NPO法人『荒川クリーンエイド・フォーラム』です。クリーンエイドは「clean:きれいにする」+「aid:助ける」という造語、“ごみを拾ってきれいにして自然が回復するのを助ける”をモットーに、1994年から荒川流域のごみ拾い活動を続けています。

その特徴は国土交通省荒川下流河川事務所や沿川の自治体と連携し、365日いつでも活動できる仕組みを整えている点です。市民団体や自治体、企業、学校などと共に活動し、回収したごみを行政が処理する、流域一丸となった活動モデルを構築しています。これまで延べ23万人が参加、2019年には190回のごみ拾い活動を実施し、『現場体験の場』を提供しています。

「“拾って変える未来”をスローガン掲げ、現場体験を大切にしているのですが実際に現場を見て拾ってみて、それぞれの人がプラスチック問題の解決策を考えるきっかけになったらいいなと思っています」
(荒川クリーンエイド・フォーラム 今村和志 理事/オフィスマネジャー)

AFCのごみ拾いには、年間30~50ほどの企業が啓発活動の一環として参加しています。
取材した2020年10月には、大手水産会社・ニッスイ(日本水産(株))の新人社員が研修としてごみ拾いをしていました。

参加者が特に驚いていたのは、土を少し掘り返すとマイクロプラスチックと土が細かく混ざり合っているという悲惨な状況です。

「もう土と一緒になっちゃって全然取れないですね。回収しきれないし、手の施しようがないんじゃないかなと思います。自分の身の回りもこうだったらと思うとぞっとするというか怖いですね」
(ニッスイ 新人社員)

ごみを集計することが状況の把握に

ただごみを拾うだけではありません。
荒川クリーンエイド・フォーラムでは5、6人のグループに分かれ、拾ったごみの種類や数を細かに記録し集計しています。

ごみを減らすにはどうすれば良いかを考える「調べるごみ拾い」と呼んでいます。実はこの手法は、国際的に定められたごみ拾いのルールにのっとったやり方で、その結果は研究者たちも参考とする貴重なデータとなっています。

荒川で回収されたごみ上位20(2019)提供 荒川クリーンエイド・フォーラム

2019年のデータを見ると、断トツで多いのがペットボトル、次いで食品のポリ袋、プラスチック容器と続き、食品に関するプラスチックごみが上位を占めています。
私たちのライフスタイルを映し出す鏡とも言えます。

ごみ拾いがプラスチック汚染解決に!?

ごみ拾いなんて地球規模プラスチック汚染の解決には無力だと思うかもしれません。
しかし研究者の試算によると、ペットボトル1つ拾うだけで1平方キロメートルに散乱するマイクロプラスチックを回収したことになり、レジ袋1枚拾うだけで数千個から数万個のマイクロプラスチックの流入を抑えたことになるといいます。

あなたの行動ひとつが海へプラスチックが流出する前の砦(とりで)となり、一匹でも多くの生き物の命を救う可能性があるのです。まずは近くの川へ足を運んでみて1つでもプラスチックごみを拾ってみてはいかがでしょうか?ごみと共にプラスチック汚染の問題について考えるきっかけを拾うことにつながるかもしれません。