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2021年6月2日(水)

東京五輪・パラ 医療体制は?
責任者に問う

東京五輪・パラ 医療体制は? 責任者に問う

開催まで2か月を切った東京五輪パラ。しかし、新型ウイルスの感染状況は厳しく、競技会場周辺の医療現場は不安を抱える。海外選手の事前合宿地となる全国の自治体では、脆弱な医療体制のため受け入れは困難として辞退が相次いでいる。大会を支える医療体制をどう組もうとしているのか現場をルポすると共に、大会組織委員会の責任者に生出演してもらい、“安全安心”な大会をどう実現するのか問う。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 中村英正さん (東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 MOC・チーフ)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

東京五輪・パラ医療体制は? 生出演 責任者に問う

井上:東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会で、大会の運営全体を統括する中村英正さんに話を聞いていきます。
東京オリンピック・パラリンピックを巡って、政府の分科会の尾身茂会長はこう話しました。「今のパンデミックの状況で、開催するのは普通はない」、こういう状況の中でやるというのであれば、「開催の規模をできるだけ小さくして、管理の体制をできるだけ強化するのが主催する人の義務」だと述べました。主催者側の1人ですけれども、どう受け止めますか。

中村英正さん (東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 MOC・チーフ)

中村さん:オリンピック・パラリンピックも非常に大きなイベントではありますが、やはり社会の中では1つのイベントに過ぎないと思っています。したがって、コロナでこれだけ社会が変わりましたので、オリンピック・パラリンピックも変わっていかなくてはいけないと思っています。そういう意味では尾身会長がおっしゃったように、コンパクトに、シンプルにということで、われわれ準備を進めてきましたし、加えて最後、義務だということをおっしゃいましたけれども、やはり「これならできる」、「安全な大会だ」ということを説明する義務がわれわれにはあると思っていまして、そういうこともお話しできればよいと思っております。よろしくお願いいたします。

井上:皆さんの不安は、何がいちばんあると認識されていますか。

中村さん:コロナがまだ収束していない状況で、私自身も不安なところがございますけれども、まだ7月23日にどういう状況か分かっておりませんので、われわれも準備の状況を、今はこういう時点でこういう状況だと。来月はどういう状況。そして、直前にはどういう状況ということを順序立てて、きちんと説明していく必要があると思っています。

保里:2か月を切る中で、安全について説明をしていく義務がある。その点についても触れられましたけれども、その安全・安心。これは実現していけるものなのか。医療体制は守れるのか。そして、感染拡大は防げるのかについて見ていきたいと思います。
まずは医療です。当初の計画では、大会運営に必要な医療体制について、医師や看護師など1万人程度が必要としていましたが、3割程度を削減して、およそ7,000人を目指しています。先月、橋本会長は、このうち8割程度は確保のめどが立ったとしましたが、医療の現場では不安や危機感を訴える声が上がっています。

来月開幕なのに… 医療体制が決まらない

大会への医療スタッフの派遣は、大学病院などが中心となって検討が進められています。昭和大学病院は、5つの競技会場や選手村などを担当します。

トライアスロンの競技会場で、医療責任者=VMOを務めることになっている八木正晴医師。会場で選手がけがをした際や、観客の中に熱中症や新型コロナの疑いが出た場合に、対応に当たる医療チームを統括します。

先週、派遣するスタッフの人数や、期間などを検討する会議が開かれました。

昭和大学病院 八木正晴医師
「スタッフに関しては、そちら(組織委員会)の希望に達していないので、そこが埋まるのかどうかというところ」

系列病院から、夏季休暇を使って参加できる人材を募集。医師30人、看護師50人が確保できたものの、組織委員会の要請には9人不足していることが分かりました。

VMO(バレーボール会場)
「個人の都合を考えると、行けないコマというのが10個ぐらい出てくるんですよね」

理事
「(シフトを)動かすんだったら早めに動かないと、先生できませんよ。無理ですからね、基本的には。現場の病院から引っ張らないでくださいよ」

競技会場ではVMOの下、選手用医務室と観客用医務室が設けられます。選手用医務室には、競技団体が確保したスポーツドクターなどが配置されます。一方、観客用医務室は、VMOが所属する大学病院などがスタッフを派遣することになっています。

さらに、発熱など新型コロナの感染が疑われる場合に備え、隔離室を追加する計画も。競技が行われる期間、この体制をローテーションを組んで維持しなければなりません。

しかし、開幕まで2か月を切った今も、詳しい観客数の見通しは示されていないといいます。

八木正晴医師
「無観客になったら、負担は減ります」

「無くなるということ?」

八木正晴医師
「無くならないです。メディアの人とか、オリンピックファミリー(IOC関係者)の方がいるので。正直この状況で本当にできるのかなという、自分たちも疑問を持ちながらやっているので、ちょっとやっぱり情報として開催するしないも含めて、あと観客を入れるか入れないか。具体的な説明が、ちょっと不足している印象はありますよね」

取材を進めると、会場の医療責任者=VMOの確保にも課題が出ていることが明らかになりました。東京医科大学病院の織田順医師です。日本救急医学会の理事も務めています。

先月上旬、組織委員会から学会に、ある依頼が寄せられました。

東京医科大学病院 織田順医師
「いくつかの医療機関が、『VMO』を出す人員が足りなくなってきたというようなお話しがありまして」

VMOを担える、救急医療に精通した医師を7人程度推薦してほしい。当初予定していた医師たちが、多忙などを理由に辞退していたのです。

織田順医師
「救急をやっている者からすると、現場で今まさに、みんなしっかりやっているところ。現場から人をはがして手配するということが、なかなか難しいなという話になりまして。引き受けていただく先生の負担が、かなり大きい」

さらに、地域医療に影響が及ぶ可能性も見えてきました。

葛飾区にある、平成立石病院。地域の拠点病院として一般の診療を行いながら、600人以上のコロナ患者も受け入れてきました。コロナが広がる前から大会への協力を決め、緊急時の対応など、専門の講習を受けて準備を進めてきました。

2週間前、担当する会場が告げられましたが…。

「当院(の担当)が、江東区のボート・カヌー会場に変更されました。(午前)5時15分から、(午後)2時40分」

「部長、(午前)5時15分ですと、たとえば交通機関によっては前日に会場入りというか…」

「いやいや、ほとんどは自分で運転とか」

「自分の車を持っているようであれば」

「(午前)5時15分、ちょっと早いけど」

「しょうがないですね」

医師8人、看護師16人を派遣する予定ですが、スタッフの多くは連日、コロナの対応に当たっています。さらに、先月からは新たな業務も。

「ワクチン(接種)ですか?」

この病院を掛かりつけにしている、地域の高齢者のワクチン接種です。

「お待たせしました。今、調子はどうですか?体の具合は大丈夫?」

「年齢なりに」

「お熱も36度4分ですから、大丈夫ですね」

オリンピックの期間中も、ワクチン接種は並行して行わなければなりません。

看護師
「通常の仕事がちょっと滞っている。今はこれを優先的にということなので」

平成立石病院 大澤秀一院長
「別に余力があるから、オリンピックに協力しましょうと言っているわけじゃない。コロナのこともやって、一般(の医療)もやって、ワクチンもやって、さらにオリパラもやるという。大変ですよ」

どうなる医療体制? 責任者に問う

井上:「余力はない」という現場の声、どう受け止めますか。

中村さん:まず今日、東京そして社会を支えてくださっている医療現場で頑張っておられる方に、非常に敬意を払っていかなきゃいけないなと、VTRを見て思いました。その上で、最初にオリパラは社会の一部だと申し上げましたが、社会を支える医療がここまで厳しい状況にあるということは、われわれは本当に重く受け止めなくてはいけないと思っています。

井上:中村さん、確認したいのですが、感染拡大でどんどん状況が悪化したとしても、やはり現場の医療を最優先ということは守られるのでしょうか。

中村さん:先ほど申し上げたように、社会があってのオリンピックですので、社会が揺るぐような形の中でオリンピックを強行するということはしてはいけないことだと思います。

井上:いちばんしわ寄せが行く地域医療とか、そういった弱いところの医療、この辺はどう考えていらっしゃるのですか。

中村さん:コロナ、そしてワクチンという、最も日本の社会にとって大事な活動が今、行われてますので、そこに支障が及ばないような形を取っていきたいと思っています。社会、そして地域の医療と、大会の医療体制の確保をどうやったら両立できるかというところがポイントだと思います。

保里:今、大会に必要な医療スタッフは、3割削減して7,000人とも言われています。今後の感染状況の行方によっては、確保というのは難しくなっていく可能性もありますよね。

中村さん:先ほどのVTRにありましたとおり、50人のところを9人とか、本当に一人一人のご協力を求めている状況ですので、今後、非常に厳しい状況が続くと思いますが、ちょうど5月21日にこういう形で今の状況を数字で皆さまにお伝えする必要があると思っています。1か月たって、ちょうど6月21日とかになりますと大会の1か月前、そのときにはこの数字がどうなっているのか。そして、どういうお願いをしているのか。そして、大会の直前にどういう状況になっているのか。例えば1か月に1回、きちんと状況を皆さまにご説明するような、そういう取り組みはしていかないといけないと思います。

保里:2日の時点でお答えいただける範囲で、この7,000人という目安の数字についてはいかがですか。

中村さん:検査の仕方であるとか、診察のしかたとか、効率化を踏まえて3割下げまして、そのうち8割が埋まっていると。その中で先ほど申し上げたように住み分けがすごく大事だと思っていまして、オリンピック・パラリンピックはスポーツの大会ですので、コロナに直接携わっていられないような整形外科のドクターの方々にお声がけをしたり、看護師の方も潜在看護師で、コロナの治療であるとかワクチンに携わる予定がない方を中心にお声がけすることで、なんとか両立を図っていければと思っています。

保里:今お伝えしたVTRからは、医療現場で本当に余力がない、限界なんだと訴える声が聞こえてきました。この数字については今後、場合によっては減らしていく、そういった可能性もあるのでしょうか。

中村さん:より効率化はしていきたいと思っていますし、ちょうど先月、IOCやIPCとの会議がありまして、IOCのほうから選手団にドクターが来るのですが、その増派・増員を提案していただきましたので、そういうところも活用しながら、できるだけ地域の医療にしわ寄せが行かないように1つでも多く取り組んでいきたいと思います。

保里:医療現場への負担については、しっかりと考えていかれるということですね。

中村さん:最大の最優先課題だと思います。

保里:そうした中、もう一つ大きな懸念が。多くの人が来日するという中で感染拡大を防げるか、この点です。海外選手の事前合宿が行われる自治体の対応を、取材しました。

東京五輪・パラ 感染拡大防げるのか 事前合宿 自治体・海外の葛藤

6月1日、東京オリンピックの海外選手団が大会延期後、初めて来日しました。オーストラリアのソフトボール代表チームです。選手やスタッフ、およそ30人が群馬県太田市で、これから1か月半にわたり事前合宿を行います。

地元の住民からは…。

市民
「大丈夫かなっていう心配はあります。いい方に行ってもらえれば。それで感染が出なければ本当にいいんですけれど」

市民
「群馬も、まん延防止でいろいろ制限されているので、よけい感染が広がったりとか、変異株が増えたりすることで、もっとひっ迫した状況になっていくんじゃないかという不安はあります」

気になる感染対策。選手は滞在中、自治体の責任で「バブル」と呼ばれる泡の中に隔離されたような状態に置かれます。行動は、ホテルと練習場の往復に制限され、住民との接触は許されていません。

選手は、入国前に2回ワクチンを接種。その上で、滞在中はPCR検査を毎日行います。

ソフトボール オーストラリア代表
「日本の人たちと私たち自身の安全のため、すべてのルールを守りたい」

東京大会では、184の国と地域の選手団が全国528の自治体で、事前合宿や交流事業を行うことになっていました。しかしNHKの取材では、これまでに100を超える自治体が受け入れの中止を決めたことが分かりました。その8割が、相手国側からの申し入れでした。

選手へのコロナのリスクを最小限にするため。日本国内で感染が拡大している。日本の感染状況に対して、海外の選手団側も懸念を示していることが明らかになったのです。

合宿中止の判断はどのように行われたのか。感染者数が減少傾向にある、イタリア。過去に金メダリストも輩出したカヌー協会の責任者が、取材に応じました。選手のコンディションに直結する事前合宿の中止は、重い決断だったと語ります。

イタリアカヌー協会 ルチアーノ・ボンフィリオ会長
「(事前合宿ができないと)地元のアスリートが有利になります。パンデミックが起きなければ、こういう話はしていなかったでしょう。われわれは、選手団の安全に注意を払う必要があります。(感染リスクを)警戒し、厳しい対応をとることにしたのです」

イタリア代表を受け入れる予定だった、人口1,300人の青森県・西目屋村(にしめやむら)。

「西目屋村は病院等がないので、いまでは。行くとしたら弘前市になるんですけれど」

受け入れに必要な医療体制を、どう整えればいいのか。検討を続けるさなかでの中止の通告でした。

西目屋村にとって、イタリア代表を受け入れることは特別な意味を持っていました。豊かな渓流を生かそうと、カヌーで地域おこしに取り組んできた村。事前合宿がその起爆剤になればと、3年前から選手を招き、準備を重ねてきました。

そして、選手団の受け入れは村の子どもたちにとって、めったにない国際交流の機会になるはずでした。

西目屋村教育委員会 矢澤一輝さん
「オリンピック選手との交流というのも、生徒たちにとって非常にいい経験になると予定していたんですけれど。新型コロナウイルス感染拡大の状況はこちらでも非常に理解しているので、イタリアチームの判断は受け入れなければいけないかなと」

感染対策への不安が払しょくされず、期待された交流も実現しない現状に、専門家は大会の意義が損なわれていると指摘します。

東京女子体育大学 笹生心太准教授
「選手たちを心の底から応援できるかというと、人によってさまざまだとは思うが、懸念が残る面があるかなと。国際交流がオリンピックの本来の目的であるのに、コロナというものがあるせいで相手国に対してマイナスの感情を抱いてしまう。簡単な道ではないが、オリンピックを通じた分断をいかに減らすか。これがいちばん大事な視点だと思います」

東京五輪・パラ 開催の意義は? 生出演 責任者に問う

保里:オリンピックを通じた分断をいかに減らすか。オリンピックの意義、そのものが損なわれているのではないかという指摘。どのように受け止めましたか。

中村さん:オリンピック自体が、分断をこえて人々の結び付きを深めていく機会であるはずなのに、それが分断の原因になっているという指摘は非常に重たいものがあると思っています。ただ、コロナの中でいろんな分断が生じておりますが、そういう中で、どうやってオリンピック・パラリンピックを作っていくのか。それは今までの形のオリンピックができないからやめてしまおうということではなくて、コロナ禍に合った交流のしかた、こういうことを模索していきたいと思います。

保里:ただ、仕事を失ったりとか健康を脅かされている、苦しい状況に置かれている人がたくさんいるわけです。そうした中で、オリンピックの意義を追い求めていくこと自体が、新たな分断を生んでしまっている。こうした指摘についてはどうこたえますか。

中村さん:非常に厳しく重たい指摘だと思います。ただこの1年半、東京、そしてもっと言うと日本、人類全体が何をしてきたかというと、このコロナで厳しい状況のもと、なんとか安全・安心を図りながら諦めることなく大事なものを守ってきた、そういう社会だったと思っています。オリパラも社会の1つだとすると、やはり困難だからやめてしまおう、もう一つの考え方は困難だからこそ頑張ろう、2つあると思うのです。私たちは安全・安心を確保し、医療に負担をかけない。そういう中で、なんとか社会が頑張ってきたように、諦めるのではなくて新たなオリンピック・パラリンピックを作っていって、それが日本、東京がコロナとどう向き合ったのかという姿の1つにして、世界に示すことができればと思っています。

保里:この困難の中で、さまざまなことを涙をのんで諦めてきた方もたくさんいますが、そうした中で特別扱いではないけれども、やっていきたいということなんですね。

中村さん:特別扱いではない中で、なんとか乗り越える。コロナに合ったやり方を模索することで、いろいろ苦労されている方と一緒にオリンピック・パラリンピックを作っていければと思います。

井上:そして今、気になっているのが感染拡大を防げるのかということになります。組織委員会などによりますと、選手はおよそ1万5,000人。さらに海外の大会関係者は、およそ7万8,000人です。それぞれ検査の徹底だったり、国内での行動についてルールが決められているわけですが、こうしたルールがどれだけ実際守られるのか。

この実効性について、中村さんはどのように感じていますか。懸念はありませんか。

中村さん:ルールを示すだけではなくて、まずこのルールがなぜ必要か。これを守ることで選手自身の安心もそうですし、地域の住民の方の安全・安心にもつながることをよく説明する必要があると思います。その上で人任せにするのではなくて、やはり第三者的なチェックも必要ですし、あとは違反したときには大会参加資格を奪うというような厳しい措置とあわせて守っていく必要があると思います。

井上:IOCだったり、NOCメディア、たくさんの方がやってくるわけですよね。そういう一人一人の行動監視、どうチェックしていくのでしょうか。

中村さん:組織委員会だけでは限界もあると思いますので、そういった監視の人を新たに置くであるとか、ホテルの方の協力を求めるとか、できるだけ多くの方に参画していただきながらルールを守るようにしていきたいと思います。

井上:ただ東京だけではなくて、当然、近隣会場がありますよね。また、その近隣県、東北、北海道もあります。そういった人たちの人流抑制は可能なのでしょうか。

中村さん:そこは今、専門家の方々にもいろいろ分析をお願いしております。いろんなイベントがすでにこの日本で行われていまして、プロ野球もサッカーも、これまで1,000を超えるイベントが行われている中、人流をきちんと呼びかけることで抑制し、安全な形でイベントが行われています。そういったノウハウも、われわれは参考にしながら安全・安心にやっていきたいと思います。

井上:実際そういった中で、医療がひっ迫した場合ですが、例えば医療スタッフが確保できなくなってしまう。そうなったときにはオリンピックへの可否ですとか、あとは観客を入れるのか入れないのか、こういったとこに影響はどう出てくるのでしょうか。

中村さん:やはり最初から申し上げてますけれども、オリパラも社会の1つの存在であり、イベントでありますので、そういうものがイベントの結果が許されないというルールのもとでは、特別扱いをするべきではないと思います。

井上:そういう意味では、例えば宣言解除してリバウンドしたとします。そういったときに、途中で中断ということはありえるのでしょうか。

中村さん:コンティンジェンシーという意味では、あらゆる可能性があると思います。

井上:不測の事態。

中村さん:それはコロナに限ったことではなくて、例えば台風がきた、地震がきた、すべてそうですが大会がきちんとできる状況でないときには、そういった判断は必要になると思います。

井上:それはIOCも納得するのでしょうか。

中村さん:納得させなくてはいけませんし、そういうルールのもとでのオリンピック・パラリンピックということが大前提だと思います。

保里:そういう意味では中断、あるいは観客をいったん入れると決めたあとで、場合によってはそのあとの無観客、そういったあらゆる可能性があるということなのでしょうか。

中村さん:観客については6月中に方針を決めるということになっていますが、当然、今申し上げたように、ほかの自然災害と同じように何かあったときには、きちんとそれに対して適切な対応をとらなきゃいけない。これは当然のことだと思います。

井上:この先、何が一番大事になってくると思いますか。

中村さん:先ほど申し上げたように、われわれは今の準備状況がどういうことかを定点観測的にきちんとご説明して、納得をいただくというプロセスが非常に大事だと思っております。