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2021年4月6日(火)
生理の貧困 社会を動かす女性たち

生理の貧困
社会を動かす女性たち

経済的な理由などから生理用品を入手することが困難な状態にある「生理の貧困」。3月4日の「おはよう日本」で、「学生の5人に1人が生理用品の入手に苦労している」など、日本でも「生理の貧困」が広がっている実態を報道して以降、この問題は急速に注目を集めるようになった。実は「生理の貧困」をめぐっては、ここ数年、世界各地で大きな“うねり”が起きており、制度や法律を変えるほどになっている。背景にあるのは、ネットを通じて女性たちの“声なき声”がシェアされるようになったこと、さらに、各国では女性議員の数が増えており、女性の視点を入れた法改正が進むようになったことなどがある。経済的な貧しさや格差の問題だけでなく、「女性全体にかかわる不平等」として捉えるべきだとの声もあがる「生理の貧困」。世界同時多発的なムーブメントが意味するものを考える。

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“生理の貧困” 私たちはどう向き合う

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • ローラ・コリトンさん (#EndTamponTax 発起人)
  • 谷口歩実さん (#みんなの生理 共同代表)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

生理の貧困 学生の5人に1人が 食事か生理用品か…苦悩の実態

5人に1人の学生が直面している、「生理の貧困」。

サクラさん(仮名・19歳)
「トイレットペーパーで代用して」

19歳の専門学校生サクラさんも生理用品が買えず、トイレットペーパーなどで代用しています。ラップを挟み込み、漏れないように工夫したナプキン。トイレットペーパーを固く巻いて作った、タンポン。

サクラさん
「タンポン代わりのものを作る時は、(トイレットペーパーを)ぐるぐる巻いて、これを4・5個、突っ込む」

健康や衛生面への影響を考えると、使うたびに不安が募るといいます。
新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、月に13万円ほどあったアルバイト収入。しかし、先月は1万2,000円ほどに減りました。

サクラさん
「コンビニとか求人出てるなって思って申し込もうとすると、平日昼間、空いてる大学生の方が優遇される。(専門学校生は)雇ってもらえないことも多い」

節約のため、スマホの通信契約は解約。友人やバイト先とのやり取りは、無料の公衆無線LANでしのいでいます。学費のために借りている奨学金を取り崩し、ぎりぎりの生活を続けるサクラさん。これ以上、何を節約できるか…。悩んだ末、諦めることにしたのが生理用品でした。

サクラさん
「一番優先するものは学費。その次が食費。その下に必要最低限のものとして(生理用品が)ある。いまの自分にとって、もったいないことかなって」

サクラさんは父親と2人暮らし。幼いころから折り合いが悪く、家賃や光熱費は自分のバイト代で賄ってきました。父親に生理用品が買えないほど困っていることを話しましたが、取り合ってもらえませんでした。

サクラさん
「『飯食えているじゃん』って言われたので。そうなんだけど。ご飯食べられているから垂れ流しでいいのかって言われたら、絶対そうじゃない」

新型コロナが長引く中、これまで社会が見過ごしてきた「生理の貧困」の実態が明らかになってきています。先月発表された実態調査では、経済的な理由で生理用品を買うのに苦労したことがあると答えた人は20%。節約のため、生理用品の交換頻度を減らした人は37%に上りました。

月に2回、学生向けに行われている支援活動。食品とともに生理用品も配布されています。この日は、4時間余りで100人以上が受け取りました。

大学生
「生理用品ってなくちゃダメな物。ちょっと高いので、ありがたいです」

学生コロナ支援「食材もってけ市」実行委員
「生理用品が必需品であるっていうことが、見過ごされることって時々あると思う。これだけの学生が必要としているんだって」

「生理の貧困」は私たちに何を問いかけているのか考えます。

生理の貧困 女性たちに何が?社会全体にとってなぜ問題なのか?

保里:生理用品を購入・入手することが困難な「生理の貧困」について、私たちはこの1か月、ニュースやウェブサイトで繰り返しお伝えしてきました。

井上:正直、初めは生理ということば自体、タンポン・ナプキンもそうですが口にすることを身構えていました。

保里:ふだんしないとそうですよね。

井上:知れば知るほど、この問題というのは「生理の貧困」にとどまらず、人の尊厳に関わるということが見えてきました。「生理の貧困」が及ぼす深刻な影響、さらになぜ今、社会で大きなうねりとなっているのか。解決の鍵についても考えていきます。

保里:生理用品にかかる費用について個人差はありますが、毎回少なくとも数百円から、経血の量が多い人などは、数千円かかるという人もいます。必要な生理用品が十分に入手できないという切実な声が今、次々と上がってきているという状況です。

井上:体の負担だけではなく、食べることとてんびんにかけなくてはならない。そういった金銭的な苦痛であったり、さらには精神的な苦痛。これが二重、三重に来るというのを痛感しました。

保里:生理用品を満足に使えないことは、学びの場や仕事を奪われたり、夢を諦めざるを得ない深刻な状況をもたらしていることも見えてきました。

生理の貧困 学びや仕事が…女性の将来が奪われる

冒頭で紹介したサクラさん(仮名・19歳)。生理中は、勉強も日々の暮らしもままならないといいます。経血が漏れやすく、1時間に何度も交換しなくてはなりません。生理について記録する携帯アプリには、心の内がつづられています。

サクラさん日記より
「うわぁ、久しぶりに横モレ…。ストック作らなきゃ。吸わないよねぇ、トイレットペーパーじゃ。生理用品欲しい」

交換するときには、惨めな気持ちになるといいます。

サクラさん
「替えるときに、タンポンだったらひもがついてる。ついてないもの(トイレットペーパー)を中に入れることは、指を突っ込まなきゃいけない。出したあと、手がやっぱり汚れる。血がついたまま人に見られるような所(公衆トイレ)で(手を)洗わなきゃいけない」

高校時代は、活発な生徒だったサクラさん。しかし今は生理期間中、古いバスタオルの上でうずくまって過ごしています。

「生理の貧困」は、将来にも暗い影を落とし始めています。作業療法士を目指している、サクラさん。ことし病院での実習が行われますが、生理中は参加できないかもしれないと、不安が募っています。

サクラさん
「教えてもらってる立場なのに、ちょくちょく(トイレで)離席できないし。実習に生理が当たらないように祈るしかない。本当どうしようしかないです」

4月6日、明らかになった新たな調査では、「生理の貧困」が機会損失につながる実態が分かりました。国際NGOが、日本の15歳から24歳の2,000人を対象に行った調査。「生理用品を購入できなかったり、ためらったりした」と答えたのは36%、717人に上りました。そのうちの12%が「生理期間中、毎回または頻繁に学校や職場を休む」などしていることが分かったのです。

国際NGO プラン・インターナショナル 長島美紀さん
「(「生理の貧困」は)金銭的な話に行きやすいけれども、どちらかというと機会の喪失。女性がそれ(生理)によって外に出られなくなる。可能性を広げたい、チャンスをもっとやってみたいと思っても、可能性の芽がとられてしまったり、広い意味で考えると機会損失になってしまう」

生理の貧困 "声なき声"が力に 社会が動き始めた

実は、これまでも存在していた「生理の貧困」。なぜ今、急速に知られるようになったのか。

大学生だった2年前から、生理に関する啓発活動を続けてきた谷口歩実さん(23歳)。

#みんなの生理 共同代表 谷口歩実さん
「どんな人でも、生理に対するニーズが満たされる社会を私たちは目指している」

コロナ禍が長引く中、2月からインターネットで調査を実施。学生の5人に1人が、生理用品の入手に苦労しているという実態を初めて明らかにしました。

谷口歩実さん
「節約のために不衛生な状態を強いられている人がいるっていうのが、すごく衝撃でした。"生理を快適に過ごす"って当たり前っていうか、人権に関わる部分だと思うんですけど、そこが担保されていないのってすごくおかしいなって」

谷口さんたちが調査結果を発信したところ、「#生理の貧困」ということばがSNSで拡散。すると、これまで埋もれてきた「私も苦しんでいる」という声が、続々と上がり始めたのです。

ネット上の声は、多くの女性たちを動かし始めています。千葉県で女性の支援活動を10年以上続ける大谷明子さんは、「生理の貧困」で困っている人がいないか聞き取りを始めました。

マザーズ・コンフォート 代表理事 大谷明子さん
「(生理が)大変なときはどうしていました?」

「トイレットペーパーをぐるぐる巻きにして…」

40代の女性は、家計を握る夫が生理用品を買わせてくれなかったと打ち明けました。

支援仲間にも初潮を迎えたとき母親から汚いと言われ、生理用品を買ってほしいと言えなくなった人もいました。

大谷明子さん
「お金がないから買えないというよりも、もっと根深くて、そこだけじゃないんだなと。じゃあ私たちに何ができるかなというと、(「生理の貧困」)に直面する人たちにどんどん伝えていきたい」

日ごとに大きくなる女性たちの声は、行政を動かし始めています。

東京都・豊島区では、全国でいち早く生理用品の無償配布に乗り出しました。中心となっているのは、コロナ禍で苦しむ女性の支援を行うプロジェクトチーム。

豊島区・副区長 高際みゆきさん
「どういうところで、どういうような困っている子たちがいるのかなって」

チームに参加する10人の課長のうち、9人が女性です。「生理の貧困」は尊厳に関わる問題だと考え、すぐに対策に乗り出しました。入れ替え時期が迫っていた防災備蓄品のナプキンを、1,000パック近く配布したのです。

「ありがとうございます。助かります」

豊島区 子ども若者課 小澤さおり課長
「これをやったらこうなりますよって、簡単なものではないと思うんですけど。何が必要かということを、また検証しながら考えていきたい」

この1か月、国会でも相次いで取り上げられた「生理の貧困」。政府は急きょ、コロナ禍で女性を支援する団体に生理用品の配布などを行う費用の交付を決めました。

坂本 一億総活躍担当相
「『生理の貧困』のような問題は、従来の男社会の中では政治や行政も十分に理解ができず、女性も声をあげにくく、支援が行き届かなかった問題」

生理の貧困 女性たちに何が? 社会全体にとってなぜ問題なのか

井上:「生理の貧困」について、もう一つ皆さんに知っていただきたいデータがあります。先ほどご紹介した、国際NGOが行った調査結果です。生理用品の購入をためらったり入手できなかったりした人にその理由について聞いたところ、多くは経済的な理由だったのですが、親が買ってくれないという「ネグレクト」を思わせる回答も5%に上っていることが分かりました。

保里さん、「生理の貧困」といってもさまざまな背景があり、無関心だったり無理解というものがありますよね。

保里:そうですね。生理中というのはただでさえ痛みがあるなど、とてもストレスがかかります。そうした中で十分に生理用品を使うことができなければ、行きたくても学校や仕事に毎日行くことが難しくなってしまい、本来社会で発揮できるはずの力を発揮できなくなってしまう。それは本人にとってとてもつらいことですし、そうした人が数多くいるとすれば、それは可能性のある社会が先細ってしまうのではないか。そうした危機感を覚えます。

井上:私自身、取材を通して最もハッとし、最も重く受け止めた事実を切り取ってみたいと思います。海外では「生理の貧困」の問題をきっかけに、男性視点で社会の仕組みが作られているのではという疑問が投げかけられているのです。アメリカではある映像をきっかけに、生理用品が課税されているのは不平等ではないかという議論がわき起こりました。これが大きな変革へとつながりました。

生理の貧困 社会を動かす女性たち 問題の根源に何があるのか

2016年、当時のオバマ大統領と人気YouTuberの対談。そのやりとりが、全米の注目を集めました。

「アメリカでは40の州で生理用品が課税されていて、ぜいたく品と同じ扱いになっていると知り、びっくりしました。なぜ、こんなことになっているんですか?」

オバマ大統領(当時)
「僕にも全くわからない。なぜ多くの州が、生理用品をぜいたく品扱いしているのか。きっと男たちが政策を決めてきたからだろう」

当時、ネット上で生理用品への課税を批判する声が高まっていました。課税廃止を求めて動いた1人が、弁護士のジェニファー・ワイズウルフさんです。

「生理の貧困」の実態を知ったことをきっかけに、生理用品への課税、いわゆるタンポン税を問題視するようになったといいます。

州政府が徴収する税金を調べてみたところ、食品や薬など生活必需品とみなされたものは非課税であるにもかかわらず、生理用品はほとんどの州で必需品とみなされず課税対象になっていました。驚いたことに、野球のチケットやゴルフ場の会員権など、多くの男性が買うものは非課税になっていたのです。

Period Equity 代表 弁護士 ジェニファー・ワイズウルフさん
「びっくりしました。生活に欠かせないものだけが非課税のはずなのに、これは納得できないですよね」

ワイズウルフさんは、これまでの政治が男性中心に行われてきたことが、こうした不平等を生んでいるのではないかと考えました。

ジェニファー・ワイズウルフさん
「生理というものが、法律の中でほとんど認識されていなかったのです。政治家たちに(生理という)人間の基本的なニーズに応えないことが、いかに問題か知らせるべきだと思いました」

2015年、ワイズウルフさんはタンポン税廃止を求めるSNSでのキャンペーンを立ち上げ、オンラインでの署名活動を始めました。

すると、多くの女性から共感の声が寄せられました。

「政治家は生理の血を、とめられるとでも思っているの?」

「女性が女性であることで、より多く税金を払わされるのはおかしい」

こうした声を受けて、全米各地で女性議員を中心に、タンポン税廃止を求める法案が次々と出されました。

このとき壁となったのが、男性の無理解です。「税収が減る」、「女性の負担だけ減らすのは逆差別だ」といった理由で、法案は各地で反対されたのです。

しかしSNSでのキャンペーンが広がる中で、理解者も徐々に増えていきました。バージニア州のマーク・キーム議員は、女性スタッフの話を聞いて重要な問題だと感じ、男性として初めてタンポン税廃止法案を提出しました。当初は、ほかの男性議員から反発を受けましたが、少しずつ意識が変わっていったといいます。

バージニア州 マーク・キーム議員
「タンポンということばを口にすることすらためらい、『君のあの法案だけど、あれには投票できないよ』という議員もいました。しかし、みんなが生理について話すようになり、次第に抵抗がなくなってきたのでしょう。女性たちの声を突きつけられ、彼らの考え方も転換したのです」

全米に広がった、タンポン税廃止を求める声。法案は、各地で次々と可決されていきました。

「ナプキンにもタンポンにも、税金はかかっていません」

新たに生理用品を非課税にした州は、5年間で13に上りました。さらに議論は、税の問題を超えて広がっていきました。

「トイレに入ったら、トイレットペーパーがあるのは当たり前ですよね。でも女子トイレの92%には、同じくらい大事な物がない。生理用品です」

女性団体が作った、「もしトイレットペーパーが有料だったら」という動画です。学校や公共施設のトイレに、トイレットペーパーと同じように生理用品も無料で置くべきだと求めました。

こうした声が広がり、多くの州や自治体が学校などでの無償提供を決めました。

地域の保健担当者
「生徒たちは『安心して勉強できる』、『体育の授業にも心配せずに参加できるようになった』と言っています。より自信が持て、生理へのタブー意識も減りました」

生理が社会全体の問題として捉えられるようになった、アメリカ。今、生理用品を寄付する民間団体には、男性ボランティアも数多く参加しています。

ボランティアの男性
「大事な問題です。女性にとって、自然なことなので」

ジェニファー・ワイズウルフさん
「生理をめぐる活動は、ジェンダーの平等を実現するためのひとつのステップなのです。大切なのは社会の法律やシステムを見つめ直し、そこに組み込まれ、これまで誰も疑問に思わなかった不平等を明らかにすることです。私たちが見落としている問題は、まだまだあると思います」

生理の貧困 社会を動かす女性たち 各国で新たな動き

井上:こうしたうねり、アメリカだけではありません。世界各国で「生理の貧困」を社会全体の問題と捉えて、解消に向けた取り組みが進められています。
生理用品が非課税の国は、ここ数年で急増しています。

また、ニュージーランドやフランスなどは、国費を投入して学校での無料提供を決定しました。さらにイギリス、スコットランドの議会は、自治体などに無料提供を義務づけました。

保里:こうした世界の動きに影響を与えたのが、イギリスのローラ・コリトンさん(27歳)です。大学生だった7年前、生理用品への課税廃止を求める署名活動をインターネット上で始め、ことし撤廃が実現しました。日本で始まった「生理の貧困」をめぐる取り組みは、今後どうあるべきか。「#みんなの生理」の共同代表・谷口さんと聞きました。

生理の貧困 解決のカギは? 先頭に立つ女性の訴え

#みんなの生理 共同代表 谷口歩実さん
「日本でも最近コロナ禍の支援として、いくつかの自治体が生理用品の提供を始めています。でもコロナが終わった後も、みんな生理になります。たった1回、生理用品が配られたことが大きく報じられていますが、それでは十分ではないと思います。どうすれば日本で継続的な支援が実現できるか悩んでいます」

イギリスでタンポン税廃止を実現 ローラ・コリトンさん
「『生理の貧困』は世界共通の問題ですから、取り組みが進んでいる国のことを伝えればいいのです。『スコットランドはできたのに、なぜ日本ではできないの?』、『インドも他の多くの国もやっていますよ』と、海外の成功をうまく利用することで日本での活動を後押しできるのではないでしょうか」

今、谷口さんを悩ませているのが活動に対するSNS上での批判です。

保里
「ネット上には、批判的な意見が数多く上がっていますよね」

谷口歩実さん
「批判を見ると落ち込みますし、これがずっと続くのでしょうか」

ローラ・コリトンさん
「イギリスでも反発はありました。ある男性は生理の出血は(トイレに行くまで)我慢できるはずだといって、SNSにタンポン税廃止運動に反対する投稿をしていました。でも彼らに悪意はなく、生理がどういうものなのか知識がないだけなのです。学校の性教育も男女別々に行われているので、知らないのはしかたありません。男性も話をすれば聞いてくれますし、学びたいと思っています。『生理の貧困』の問題がなぜ重要なのか、彼らに理解してもらえるように話すことが大事なのです」

最後にコリトンさんは、今の時代だからこそ希望があると強調しました。

ローラ・コリトンさん
「長年、女性の問題は個人的なもので、社会にはもっと重要な問題がたくさんあるとされてきました。でもネット上で発信できるようになり、女性の声は無視できなくなりました。SNSを動かしているのは、女性たちです。オンラインの署名活動で成功したものは、ほとんどが女性が始めたものです。署名するのも、シェアするのも女性たち。いまはこれまで聞いてもらえなかった声を届けられる、新たな場所があるのです。幼い頃は、特別な人だけが法律や政治を動かせると思っていました。でも今は誰でもできる時代です。大事なのは声を上げ続けること。不可能に見えても、いつか必ず実現できますから」

谷口歩実さん
「生理について考えることがそれだけにとどまらず、職場や政治など、さまざまな場所のジェンダー平等を考え、改善していくきっかけになればと思います」

生理の貧困 解決のカギは? 問われる社会のあり方

保里:コリトンさんがもう一つ強調していたのが、ネットで高まった声を政治の場に届ける女性議員の存在です。イギリスでは過去最高の割合になっているということですが、先週発表されたジェンダーギャップ指数で、日本はG7最下位の120位という結果となりました。

井上:要因の1つは、女性議員の数の少なさということですよね。今、徐々に国会でもこの問題に目を向け始めてはいますが、谷口さんがおっしゃったようにナプキン1枚配るのではなくて、それを一過性にせず、大きな問題として捉えないといけませんね。

保里:これが出発点だということですね。コリトンさんのように今、これまで見過ごされてきた、受け取られてこなかった声を今、インターネット上で上げることができます。そうした声を私たちNHKのクローズアップ現代+、少しでも多く取材してお伝えしていきたいと思っています。皆さんの周りに、こうした問題はないでしょうか。ぜひ声を上げてください。これからも取材を続けていきます。