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2021年3月31日(水)

追跡!オンラインサロン
コロナ禍でハマる人たち

追跡!オンラインサロン コロナ禍でハマる人たち

人々がリアルの場で集まる機会が減る中、ネット上でのコミュニティーの場「オンラインサロン」に“居場所”を見つける人が増えている。共通の趣味や目的を持つ者同士が集まる会員制のコミュニティーで、そこでしか得られない情報やつながりが魅力だ。有名人がオンラインサロンを主催するケースも増えており、月に数千万を稼ぐ強者(つわもの)も登場している。 一方、トラブルも。クローズドな性質を利用しマルチ商法勧誘や詐欺被害の相談が相次いでいるのだ。 番組では、ディレクターが婚活のオンラインサロンに潜入取材。イベントやオンライン会議に参加した体験をルポするとともに、オンラインサロンで救われた人や違和感を持ちながらも依存する人など内側の声を取材。ふだんは閉ざされたサロンの内実に迫る。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 西田公昭さん (立正大学 心理学部教授)
  • NHKディレクター
  • NHK記者
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

オンラインサロン なぜ?コロナ禍で利用者急増

保里:31日は、2つのポイントからオンラインサロンの実情に迫っていきます。まずは、魅力はどこ?なぜハマるのか。そして恐いトラブルについても、しっかりと押さえていきます。

井上:保里さん、オンラインサロンですがファンサイトだという人もいるし、いやいや、これはもう街だよ、という人もいるのですが、ちょっと実態が見えにくいですね。

保里:分かりづらい部分がありますよね。分かりやすくするために、例えば私がプレゼン術を教えるオンラインサロンを開いたというていで説明していきたいと思います。まずは私のこのオンラインに興味を持ってプレゼン術を学びたいという人がいたとしたら、その人は会費を払ってサロンの会員にまずなります。

井上:ツイッターですとかインスタグラムは無料ですが、これは誰でものぞけるわけではなくて有料なんですよね。

保里:そうなんです。有料で会員制だからこそ、会員しか教えてもらえない特別な情報を知ることができたり、直接質問したりすることができることが、オンラインサロンの売り文句です。しかも、その会員どうしが横でつながって交流することもできるわけです。

井上:まさに横のつながりだからこそ、サロンという。

保里:例えば、芸能人が主催しているファンクラブのようなサロンもあれば、自治体が主催しているものまで、本当にいろんなタイプのサロンがたくさん作られている状況です。

井上:本当にこうして見ると一つ一つが別々のコミュニティーになっていて、いろいろありますよね。

保里:オンラインサロンを開くシステムを提供している大手2社によりますと、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた、去年2月末からの1年で、会員の数が倍近くに増えたということです。

オンラインサロンは会員制の閉じたコミュニティーなので、外からはその詳しい実態をつかむのがなかなか難しいわけです。そこで今回番組では、あるオンラインサロンの協力を得て若手ディレクターがみずから会員となり、体験取材に臨みました。

オンラインサロン ディレクターが体験してみた

NHKに入局して、もうすぐ丸2年。ディレクターとしての仕事にもプライベートにも不安を抱えている私、上田ひかり、24歳です。

そんな私が体験取材を申し込んだのが、女性限定のオンラインサロン。人気の婚活ブログを運営する吉乃菜穂さんが、恋愛や結婚の悩みに答えるサロンです。

婚活コーチ 吉乃菜穂さん
「"溺愛女子"の皆さん、こんばんは」

オンラインサロン参加者
「またデートを続けられる原動力になりました」

会費は毎月5,500円。20代から50代まで、463人の会員がいます。実は私も自分の恋愛運のなさが嫌になっていたので、これはぴったりのサロンだと思い選びました。

入局2年目 上田ひかりディレクター(24)
「こんばんは。すみません、参加してしまったんですけど」

オンラインサロン参加者
「早速来てくださって、ありがとうございます。ひかりちゃん」

サロンでは、自分の思いを男性にうまく伝えるためのコミュニケーション講座や、相談会が行われます。

質問者
「最近、彼から『金銭にかかわることで男女間の負担の考え方が違う』と怒らせてしまいました。おそらく彼の中では割り勘にしたり、『ちょっと出そうか』の一言は欲しいのかなと感じます」

吉乃菜穂さん
「出さないと怒られるんじゃないかという恐れからではなくて、本当に自分が『この喜びわかち合いたい』とか、『これ一緒に食べて幸せな気持ちになりたい』とか、そこがゴールなわけだから」

カリスマ的な人気の主催者が直接悩みに答えてくれたり、同じ悩みの人どうしとオフレコで深い話ができるのは確かにプレミアムな感じ。サロンに参加して気づいたのは、菜穂さんが連呼するこんな"ことば"です。

吉乃菜穂さん
「すごーい!いいじゃないですか、いいじゃないですか。あるよね、全然あるよ」

どんな相談でも、まずは肯定して受け止める。それがサロンの決まりでした。調べてみると、ほかのサロンでも同じことが暗黙のルールとなっているようです。

吉乃菜穂さん
「大丈夫だよ。一緒に頑張っていきましょう」

上田ひかりディレクター
「何か、すごいな。(肯定されて)気持ちよくなっちゃいそう」

優しく受け止めてくれる雰囲気に、私もいつの間にか悩みを打ち明けていました。

上田ひかりディレクター
「いまこう…、自分が好きなのかわからない人がいるんですけど。しばらくいい感じかなと思っていて、でも向こうに彼女がいることがわかって」

サロンメンバー
「別に遊ぶのはいいんじゃない。遊びたかったら、楽しかったら」

悩みを否定せず、とにかく背中を押してくれる。少し優しすぎるかなという気持ちもありましたが、確かに居心地の良さは感じました。

オンラインサロン なぜハマる?魅力は?

オンラインサロンに入って、人生が変わったと話す18歳に会いました。秋田県に住む、さとみさんです。現在、スノーボード好きが集まるオンラインサロンに入っています。

オンラインサロンのオーナー
「だいぶスノーボードに偏っちゃっているけど、こんなこともできたらおもしろいとか」

さとみさん
「バーベキューするみたいな。ああいうの夏とかもあれば、もっと楽しそうです」

オンラインサロンに入る前は、学校へ通うことにむなしさを感じていたといいます。人間関係に問題はありませんでしたが、学んでいる内容が役立つとは思えず、いつも学校を辞めることばかり考えていました。

さとみさん
「(学校は)つまらない。ひと言で言うと。あしたも同じ日になるんだなって。同じ道を毎日同じ時間に、同じことを思って帰っているのが。同じあしたになるっていう不安でした」

そんな中、インターネットで見つけた堀江貴文さんの動画をきっかけに、退学を決意しました。

さとみさん
「『学校に行く意味ないじゃん』みたいなことを言って、確かにそうだなって思って。その人がオンラインサロンをやっていたから興味が湧いて、(学校を)辞めました」

学校を辞めたさとみさんは、まず堀江さんのオンラインサロンに入会。そこで初めて、自分を理解してくれる大人に出会えたといいます。

さとみさん
「『高校生?』って聞かれて、ここに居る人だから言ってみようと思って、『学校辞めたんです』って言ったら、『いいじゃん』みたいに言われて、え!?ってなって、それで。そんなこと言う大人いるの?みたいな。それが衝撃で」

地元ではみんなに反対された退学を、肯定してくれる世界がある…。そう感じたさとみさんは、ここで出会った人が主催する、スノーボードのオンラインサロンに入会。月3,000円の会費は、アルバイトでためたお金で支払っています。サロンでは、地元の大人からは聞けないアドバイスが毎回刺激になるといいます。

さとみさん
「苦しいことを経験しないで、楽しいことばかりやっていたらあまりよくないんじゃないかみたいな。それって、私みたいな今の生活ってよくないんですか?」

オンラインサロンのオーナー
「僕の経験上で言えば、楽しいことをずっとやろうと思ったら、結果的に苦労もついてきたみたいな。だからつらい仕事をしに行けとか。そういう苦労は違うんじゃないかな」

さとみさん
「安心しました。このオンラインサロンに入れて、本当に幸せです」

自分を肯定してくれる居場所を見つけたという、さとみさん。現在は父親が営む中華料理店の手伝いをしながら、オンラインサロンの魅力を知ってもらうため、毎日ブログを更新。やりたいことが見つかり、充実した日々を過ごせているといいます。

最後まで退学には反対していた母親の、きはるさん。以前より娘の表情が明るくなったと感じる一方、将来については少し心配だといいます。

母・きはるさん
「自分を肯定してくれる人の中に居ても、居心地はいいかもしれないけど…。やっぱり世の中っていろいろな人がいるから、もっといろいろなものを見てほしいと思います」

さとみさん
「学校に行っていたときより、いろいろなものを見られているけどね」

母・きはるさん
「見聞は広まっていると思う。いろいろな所に行ったりして」

さとみさん
「それでいいじゃん」

母・きはるさん
「人との関わり方」

さとみさん
「嫌いな人とずっとつきあえってこと?」

母・きはるさん
「そういうことじゃない。ずっとつきあえというんじゃなくて、今行っているサロンはきっと同じような考えで、同じような楽しみがあって、すごく楽しい場所だと思う。だけど、人生ずっと長いでしょ。そういう所にずっといられるわけじゃないでしょ」

さとみさん
「そこで生活しているわけじゃないじゃん。それとほかに生活があって、やっているわけじゃん」

母・きはるさん
「でも、嫌なことも続けなくちゃいけないことってあるから」

さとみさん
「なんか古い考えだなって思う。一生理解しあえない。やっぱりこう言われても私は、私が思っていることを理解してくれている人、そういう人になりたいから私も。オンラインサロンで出会った人たちみたいに」

オンラインサロン "新たな場所"となるか?

井上:こう見えて私、昭和の人間なんですけど、お母さんがおっしゃってたことはとても理解できて。まだ大人としての情報を受け止める度量とか、いろんな人生経験がない中で、あの情報の渦に飛び込むことってちょっとリスクがあるんじゃないかなと。

保里:私も本当にお母さんの気持ちも痛いほど伝わってくる一方で、さとみさんの気持ちもとってもよく分かるなと思いました。特に思春期で、私自身も学校で過ごすのがなかなかしんどいなとか、楽しくないなと思ってしまうことが多いタイプの学生だったんです。だから、さとみさんの気持ちがすごく分かるし、そうした中、コロナ禍で今学校以外の居場所というのをなかなか見つけづらくなっている中で、さとみさんにとってオンラインサロンが1つの居場所になりえたということは素直に希望の光だなというふうには思います。

井上:そうですね。

保里:オンラインサロンを体験取材した上田ディレクターは、さとみさんとお母さんの気持ち、どのように見ていましたか。

上田ひかり NHKディレクター(入局2年目 24歳):私は、さとみさんがオンラインサロンを通じて笑顔になれる居場所を得たこと。あと自信をつけたということがとても価値があって、意味があることではないかなというふうに思っています。

ただ、私も最初入ったときに皆さん、私のことを肯定してくださるので、ちょっと安心感を得ていい気持ちになっていたんですけれども…。

保里:居心地のよさは同じように感じていましたよね。

上田:そうなんです。入って10日ほどしてから、少しずつ違和感を覚えるようになっていったんです。というのも、皆さんが私を肯定してくれている。これはサロンのルールだから肯定してくれているのであって、実は私個人の評価、本当の評価とは関係ないのではないかというふうに思いまして。このままこの居心地のよさだけにどっぷりつかっていってしまうと、自分を見失ってしまうんじゃないかと、逆に不安を感じたりもしたわけです。その点についてサロン主宰者の吉乃さんに尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

オンラインサロン オーナー 吉乃菜穂さん
「オンラインサロンの中だけでは、幸せになれないと思う。サロンに入って行動変容をして、実生活に生かせて、価値観が違う人にも自己主張できるようにならないと。本当に両軸ですよね、オンラインとリアルと。やっぱり人生を良くしたいんだったら、『ここだけで満足してはいけないよ』とサロンメンバーにも伝えたい。閉じた世界でしか存在価値を得られないようには、なって欲しくない」

井上:確かにおっしゃるとおりで、お互いオンラインとオフラインが交わらなくなっちゃうと、やはりリスクはいろいろ出てくるのかなと。さとみさんも実社会での生活、日常にこそやはりいい影響があってほしいなと思うので。

上田:そうですね。吉乃さんが、オンラインサロンを避難所のような場所とも思っていいのではないかということもおっしゃっていまして、日常でちょっと疲れたときに自分をもう少し前向きにしてくれる場所。活力を得て、日常に戻っていける場所として捉えるといいのではないかなと。

保里:そして、リモートで立正大学・心理学部教授の西田公昭さんにもご参加いただいています。西田さんはこのオンラインサロン、どう見ていらっしゃいますか。

西田公昭さん(立正大学 心理学部教授)

西田さん:オンラインサロンは、まず自分が現代社会の中で傷つきやすいというか、孤独の感じになりやすいんです。ですから、支えてくれるというか自己肯定感を与えてくれて、そして自分を変えてくれて、さらに応援してくれる。そんな人々が欲しい、サポーターが欲しいと誰もが思っていると思うのです。ところが、それがコロナによって職場の人間関係とか、学校の人間関係というのが使えなくなったというところが人気を得ることになっていったのかなというふうに推察します。

井上:逆に言うと気持ちのいいバブルのような閉ざされたバブルが、どんどん増えていく気もするのですが、その辺、リスクっていうのは何かないのでしょうか。

西田さん:そうですね。オンラインサロンにはまっていくと、確かにそのときは癒やされたり、非常に心地よかったりする。しかし、あくまでもある特定のルールの中でのサロンという、閉じた世界の中での"自分"なんです。それがそのまま現実の社会に戻ってきてうまくいくのかというと、結構つらいものを感じる。そしてまたサロンに戻って、サロンの中だけで生活したいななんていう感覚ができていってしまったりする。

上田:かなり居心地がいいのだけれど、これでいいんだっけというようなところもありながら、一方で今回婚活というオンラインサロンに入ったのですが、クローズドな空間だけでしか自分の悩みを言えない人とかもいるので、距離感をどういうふうに取っていくのかというのを考えたいなと思いました。

保里:こうして今盛り上がって広がっているオンラインサロンですが、中にはトラブルに巻き込まれるケースもあります。今回、体験談を番組特設サイトで募集したところ、あるオンラインサロンへの投稿が複数寄せられました。

オンラインサロン トラブルになるケースも

投稿をくれた一人、都内に住む20代の田中さん(仮名)です。そのオンラインサロンに出会ったのは、社会人1年目で上京した直後。知り合いを作ろうと参加した街コンをきっかけに、サロンへの勧誘を受けたといいます。

投稿者 田中さん(仮名)
「『ビジネスで成功している人たちが、それぞれ自分のオンラインサロンを開設していて、ビジネスでの考え方だったり、そういうものが一緒に共有できるし学べるから』って聞きました」

有名な経営者から話を聞けるサロンなので、入ればお金持ちになれる。そんなうたい文句に引かれ、田中さんはひと月1万1,000円の会費で入会しました。

田中さん
「サロンメンバーの中では、少しでも称賛、褒めてくれたり、人間って承認欲求の塊って言うじゃないですか。それをすごい満たしてくれますし。居心地はよかったです」

しかし、そのオンラインサロンはあくまでもきっかけでした。入会すると、会員どうしがリアルで集まる場に呼ばれ、新しいメンバーを勧誘するよう指示を受けたといいます。そして、徐々に要求は増えていきました。お金のため方を指導され、仕事や生活環境を変えたほうがいいと何度も勧められたといいます。すべては成功者になるために必要なことだと、繰り返し説明されました。

田中さん
「定時退社できるフリーターっていう形をとって、サロンでの活動に合わせて転職をしました。ふかんして考えることができていなかったので、気づいたら洗脳状態みたいなものに陥っていたので」

さらに、会の仲間だけが集まるチャットでは新規の会員を獲得すると、メンバーから称賛されるといいます。

一方、サロンを退会しようとすると、冷たいことばが浴びせられ抜けにくくなっていました。

そして入会から3か月後、高額な化粧品などを購入するよう持ち掛けられ、聞いていたサロンの内容と違うと感じました。

田中さん
「いわゆるマルチ商法みたいなものなのかなって疑問が、そのときに初めて大きな疑問として湧きました」

最初に全く説明がなかったことに不信感が募った田中さんは、退会を決意しました。

番組には、同じサロンに関わる投稿が複数寄せられました。そのうち、3年前からこのグループに関わっていたという元会員から話を聞くことができました。このサロンに関わっているのは、2年ほど前までマルチ商法を行っていたグループの一部だといいます。

元会員の男性
「トップがいるんですけども、その中でいろいろ枝分かれをして、その中に『大幹部』と呼ばれる人たちがいて、さらにその中に『師匠』。その中の自分はここにいる形です。末端ですね。『大師匠』と言われている人は、1.5億以上を稼いでいると言われていますね」

活動に疑問を感じたこの男性は退会しましたが、今もなお勧誘活動が続けられていることを知ってほしいと話します。

元会員の男性
「オンラインサロンが『学べるコミュニティー』っていうのがあると思うので、(入会する人の)ハードルがちょっと低くなると思うので取り入れたんだなって。今いろいろな著名人がやっていると思うので、それに乗っかっていくという形でした」

元会員がサロンに関係しているとした会社に、取材しました。会社は自分たちはシステムを提供しているプラットホームだとした上で、利用規約違反が確認された場合はしかるべき措置をとりたいなどとコメントしています。

オンラインサロン どう向き合うべきか

井上:取材した秋山記者に来てもらっています。秋山さん、今のを見て、とても巧妙な悪質なマルチ商法のようにも見えたのですが、これは違法ではないのでしょうか。

秋山度記者(科学文化部):悪質商法に詳しい弁護士などに話を聞いたのですが、今回取材したケース、直ちに違法だとは言いにくいということでした。ただ新規会員の勧誘ですとか、高額な商品の購入といったサロンの実態を事前に十分に運営者側が説明していないとすれば、その点については悪質だと指摘しています。

井上:ほかにはどんなトラブルが報告されているのでしょうか。

秋山:投資を呼びかけられて被害を受けたとか、サロンの活動にボランティアとして参加したものの参加費を取られた上いろいろな物を買わされたといった、さまざまな投稿が番組に寄せられています。中には、必ずもうかるといった常とう句も聞かれました。もし、だまされているのではないかといったオンラインサロンのトラブルに悩んでいらっしゃる方がいたら、まずは最寄りの消費生活センターなどに相談してほしいと思います。関連記事から、詳しい問い合わせ先の情報などを確認いただけます。

井上:さらに聞いていきたいのですが、西田さん。西田さんも長年マインドコントロールの分野も研究されていらっしゃいますが、VTRに洗脳状態にあったということばもありました。この辺はどういうふうに見ていらっしゃいますか。

西田さん:オンラインサロンというのは、お互いに肯定し合うルールを持っているということから、何か批判的なことを言うことができない雰囲気があるわけです。みんな誰も不安に思っていない、おかしいと思っているのは自分だけなのではないかと錯覚するというような現象も起きたりします。利用する側は実際に良いところばかりを見るのではなくて、負の側面もあるということをまず知って、恐る恐る近づくという慎重な姿勢ないし、ほかの人に相談しながら進めていくことが大事と思います。

保里:こうして見ていきますとオンラインサロンの持つトラブルについて、やはりリスクの面に目が行ってしまうですが、秋山さんは取材をして、オンラインサロンはどうすればうまく活用していくことができると感じますか。

秋山:取材をきっかけに、地方公務員が参加するサロンですとか、プロのギタリストがギターのテクニックを教えてくれるサロンですとか、本当にさまざまなコミュニティーがあるんだなということを知ることができました。家族や学校、職場といった、これまでの一般的なコミュニティーだけではなくて、地域や世代を越えてつながれる新しいコミュニティーの形が次々に生まれてきているんだなというふうに感じることができています。ただ、もちろん今おっしゃったようにリスクもあるので、オンラインサロンをうまく活用するためには、まず運営者の情報の事前の確認。これがまず大事だと思います。

井上:いいエネルギーをもらって、それを実際の社会に還元していく、還流させていくというハイブリッドな感じがやはり理想なのかなと思いました。

保里:皆さんありがとうございました。

井上:ありがとうございました。

保里:クローズアップ現代+では、4月からデジタル展開にもさらに力を入れてまいります。

井上:関連記事から、番組で紹介しきれなかったオンラインサロンに関する深い取材記事や、トラブルに巻き込まれた際の相談窓口の一覧にもアクセスできますので、どうぞご活用ください。

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