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2021年1月19日(火)

与野党幹部に直撃 長引く苦境に政治は

与野党幹部に直撃 長引く苦境に政治は

緊急事態宣言を11都府県に拡大し、感染を抑え込みたいとする菅政権。内閣支持率が下落する中、政府与党のコロナ対応に国民の厳しい目が向けられている。一方、野党側は、政府の対策は後手に回っていると批判を強めているが、党への信頼をどう高めるのかが課題だ。政治がいま、果たすべき責任とは何か。そして、ことし必ず行われる衆議院選挙にどう臨むのか。与野党議員への独自取材、武田キャスターによる自民党・二階幹事長と立憲民主党・枝野代表への単独インタビューで迫る。

出演者

  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター)

二階氏・枝野氏に直撃 国民の声は届いている?

今、国民の声は政治に届いているのか。自由民主党、二階俊博幹事長が単独インタビューに応じました。

武田
「NHKの最新の世論調査では、菅内閣発足以降初めて、支持と不支持が逆転するということになっています。国民の政権に対する評価を、二階さんはどう受け止めていますか?」

自民党 二階俊博幹事長
「これはみんな、やり場がないんですよ。この今の状況を。どこへぶつけていきますか。野党の某政党に『責任はお前の政党にあるよ』と言ってみたって、しょうがないじゃないですか。」

武田
「政府の対策は十分なのか、さらに手を打つことがあるとすれば、何が必要でしょうか。」

二階俊博幹事長
「他の政党が何ができますか。他の政治家が何ができますか。今、全力を尽くしてやっているじゃないですか。いちいちそんなケチをつけるものじゃないですよ。与党になっていれば、いい時ばかりではないんですよ。いかなる時も、与党は与党としての責務を果たさなければいけない。それが与党の責任ですよ。」

感染拡大が収まらない中、自民党の議員たちには有権者から厳しい声が突きつけられています。

「政治家の人たちは全然知らないよ、実態を。普通の生活者の気持ちをくんでない。」

「いろんな対処が遅いのに関しては不満ですし、リーダーシップは感じないです。」

一方の野党。国民の不満の受け皿となる新たな選択肢を示すことができているのか、厳しく問われています。

武田
「立憲民主党の支持率は今月(1月)6.6%と、自民党に大きく水をあけられています。菅政権への批判の受け皿となり得ていないのではないかと思うのですが、何が足りないのでしょうか?」

立憲民主党 枝野幸男代表
「政党として再出発したのは、去年(2020年)9月15日です。簡単に支持率が飛躍的に上がるということは、むしろあり得ません。100点満点の答えを出せるとは思っていません。しかし少なくとも、今の状況から国民が将来に希望を持てる方向に転換することは必ずできると、自信を持っています。」

あす(20日)から始まる国会論戦。深刻さを増すコロナ禍で、政治はその役割をどう果たすのか迫ります。

政府与党はいま 国民の不安・不満に応えられている?

先月(12月)、自民党で選挙対策の指揮を執る、山口泰明選挙対策委員長が富山県を訪れていました。新型コロナが情勢にどんな影響を与えているのか、地方議員たちと意見を交わすためでした。

自民党 山口泰明選挙対策委員長
「選挙は油断が禁物であります。気を引き締めて、いろいろな意見交換をしながら、いい会にしていきたい。」

地方議員が口にしたのは、コロナが長期化する中、人々の不満が政府与党に向けられているという焦りでした。

自民党 宮本光明富山県連幹事長
「さすがに小規模の企業、中小、小規模企業、やっぱり多い関係で、相当経済的に皆さん苦しい状況で。」

山口泰明選挙対策委員長
「GoToトラベルやめないでくれってありましたけど、それは今はね、なかなかああいう決断をせざるを得ませんからね。」

宮本光明富山県連幹事長
「それはしかたがないと思うんですけど、ここ半年、この1年ぐらいもうずっとですもんね。」

地方の実情を幹部に訴えた宮本光明富山県連幹事長は、コロナの影響を受ける多くの業界から支援を求める陳情を受けてきました。

宮本光明富山県連幹事長
「たくさんの業界の皆さん、たくさん陳情いただいて。」

とりわけ観光業界からはGoToトラベルの開始や停止を巡って、政府の判断に振り回されたという声が寄せられています。

この日訪ねた旅行会社は、売り上げが前の年の6分の1にまで落ち込んでいます。客足の回復のため、GoToトラベルを活用した新たなツアーを企画し、準備も進めていました。しかし…。

宮本光明富山県連幹事長
「(予約)取り消しの資料がこれだけ山になっているんですよ。」

「取り消しだけで?」

宮本光明富山県連幹事長
「取り消しだけで、そうなんです。」

感染の波がぶり返すたびにキャンセルが相次ぎ、業績回復にはつながらなかったといいます。

旅行会社 社長
「需要喚起でキャンペーンがありましたけど、予約を積み上げては崩す、積み上げては崩す、この繰り返しだったんですね。」

宮本光明富山県連幹事長
「中途半端に動いて、また駄目になったり動いたりでは、余計大変ですもんね。」

旅行会社 社長
「『二兎(と)を追うものは一兎(と)をも得ず』という話ではないですけど、どちらが優先するか。コロナの収束があって、次なる観光を迎えることができると改めて認識していただきたい。政治家の皆さんにも、その辺を分かったなかで何を優先するかをいま一度考え直して動いていただきたい。」

宮本光明富山県連幹事長
「当然、党本部とのわれわれ(党県連)役員とのいろいろな要望活動とか、日頃からのおつきあいがありますので、しっかりと声を届けていくという作業はやっていかなくてはいけない。」

連日、各地の状況を聞き取っている、山口選対委員長。菅総理大臣とは初当選同期で、頻繁に連絡を取り合っている山口氏。今は、党内の結束が何より重要だといいます。

山口泰明選挙対策委員長
「政局というのは仕掛ける人がいなければ、政局にならないわけですから。今うちの党内で政局を仕掛けるような人はいませんから、全員一丸となってやらなければいけない。(菅首相は)もともと無口な方ですから、そういう面で若干まだ理解されない部分は私自身、残念と思いますけれど、内なるものはものすごいですよ。」

厳しさを増す政権与党への風当たり。ことし(2021年)衆議院選挙を控える若手議員の間には、危機感が広がっています。

自民党 山田美樹衆院議員
「地元を回っていて『今の政府は何をやっているんだ』と怒られたり、『政府の対策は後手に回っている』と言われたりとか、ありませんでしたか。私は相当かなりいろいろなところで。」

自民党 谷川とむ衆院議員
「僕もけっこう回っていますけど、政権に対しては厳しい声をよく聞きますね。」

自民党 根本幸典衆院議員
「4か月前は支持率通り、『期待は大きいよ』という声が圧倒的だった。やっぱり批判も増えてきているのは事実なので。」

自民党 藤原崇衆院議員
「常に厳しい、厳しくないにかかわらず、全力でやるしかないのかなと。」

山田美樹衆議院議員は、感染の拡大に歯止めがかからない東京都心の選挙区で活動しています。山田氏は今、政治が発することばが国民に響かなくなっているのではないかと危惧しています。

飲食店 店主
「飲食店、飲食店って言われるんですけど、そんな自分ら悪いことしたかなっていう。気持ちは分かってもらえてないなという思いはありますね。こちらの思いは全然通じていないのかなと思います。」

山田美樹衆院議員
「飲食の業界で働いている方々の気持ちも踏まえたうえでの、ものの言い方、そこも本当に重要ですよね。」

和装小物店 代表
「トップに立つ方の言っていることが本当にそうだなと信じられれば、こういう事情なんだから頼みますよ、ということを単なるプリントを読んで言うんじゃなくて、カメラ目線で真摯(しんし)に言っていただければ国民はついてくる。」

山田美樹衆院議員
「コロナの状況がもっとひどくなってしまうと、政治とのコミュニケーションを受け止めてくださる側もなく、受け止めるほうの心の扉が閉まってしまうのではないか。それが今一番心配ですね。少なくとも自分が接することができる範囲のなかでは、精いっぱいいろんな人とコミュニケーションをとっていきたい。」

武田
「これまでの対応について、お伺いします。GoToトラベルですが、対応の一貫性や政策を打つタイミング、あるいは国民への説明の仕方は適切だったのでしょうか。」

自民党 二階俊博幹事長
「後からなら誰でも何でも言えるわけです。こういう事態になったから、これは誰彼と言っている暇はないんだ。みんなでこの事態を乗り越えていく。国民の英知ですよ。思いついて調子のいい国民が喜びそうな時ばかり攻撃をしたらいいという、そういうやり方では駄目ですね。全体の責任を背負っているわけですから。」

武田
「感染を抑えるということ、一方で経済を回して人々の暮らしや仕事を守るということがありますが、どういうふうにバランスをとっていけばいいとお考えですか。」

二階俊博幹事長
「それは大変難しい課題ですよ。難しいから今日、こういう状況になっている。だけどね、これはやっぱり命を、生命財産、命を守るのは一番大事なことですから。このことにまず全力で注いでいくべきであるが、経済もしっかりやっていかなければ。みんなが生活に困窮するようなことがあったのでは、余計健康にも害するわけです。自民党はその期待、今こそ力、底力、今までの経験を積み重ねを今、国民の皆さんにお示しすべき時と思っています。」

武田
「この1年間、いろいろな現場の声、たくさんの声を聞いてきました。コロナ禍で仕事を失った方とか、シングルマザーとか、本当に明日の暮らしがどうなるかという方も私たちの取材の中ではいらっしゃいました。そういうところに寄り添うような政治というのが求められているかと思いますが、二階さんはそこはどうお考えですか。」

二階俊博幹事長
「それはそうですよ。そういう方がおられれば、直ちにそういうところへ寄り添って対応していく。政治はそうしたことに対して十分応えていくというのは、政治のいの一番の責任です。十分今日も応えておりますが、今後も応えていきます。」

野党はいま 国民の不安・不満の受け皿になれている?

一方、野党は国民の不安や不満に応えられているのか。立憲民主党の枝野幸男代表に問いました。

武田
「枝野さんはことしの初め、『日本の政治が機能していないことで命が失われている』と発言されていた。枝野さん自身も野党第一党の党首として日本の政治を担っているが、今、政治に何が足りないのでしょうか?」

立憲民主党 枝野幸男代表
「私どもも、GoToキャンペーンの停止、緊急事態宣言を早く出せ、特別措置法の改正案など、先手先手で提案してきましたけれども、残念ながら政府与党に受け入れさせることができず、結果につながっていないことを大変申し訳なく思っている。ぜひ我々の提案を実現させるということで、今の状況を転換させていきたいと思っています。」

武田
「野党が主張していることも、国民に十分に伝わっているのか?」

枝野幸男代表
「なかなか選挙のとき以外は野党の提案を、メディアも大きく取り上げることはできないと私も理解しています。したがって、それぞれの地域で議員や候補予定者が地道な活動を展開していく以外には、われわれの主張を十分に届けていくことはできない。どう改善するのか、どう転換するのかをしっかり示して、それに国民の賛同を得ていく、これを国会の内外で進めていくことだと思っています。」

政党支持率で、自民党に大きく差をつけられている立憲民主党。政府の対策では必要な支援が抜け落ちているとして、独自の対案を提示しようとしています。

立憲民主党 逢坂誠二衆院議員
「困っている方を少しでも掘り起こして、言えない人もいる、でもそこをなんとかして、そこへ総合的な対応をしていく。」

立憲民主党 川内博史衆院議員
「われわれが政府をリードするという(予算の)組み替え案を、国民にしっかり示せればいいのではないか。」

泉健太政務調査会長は政策を取りまとめる責任者として、菅総理との論戦に臨もうとしています。この日、現場の声を聞くために、子どもの貧困問題に取り組むNPOを訪ねました。コロナ禍で生活に苦しむ子育て世帯が増え、生活用品や食料の支援を求める声が高まっているといいます。

「こういうの(ペン)もあるとすごくいい。『受験に使います』とか。」

「お米を送っただけで、すごく喜ばれたりとか。」

NPOの代表は今、子育て世帯にはコロナに伴う負担が、何重にものしかかっていると訴えました。

NPO理事長
「“子育て罰”と言っています。今回のコロナでは休校になる、仕事に行けない、収入が減るけど手当もない。食費が増える、働き先からは『子どもがいるなら来なくていいよ』と言われるとか、道を歩いていると『外で遊ぶな』と言われるとか。こんなことをしていたら、誰も子どもを育てようと思わないから。」

そして、きのう(18日)の菅総理大臣の施政方針演説。泉氏は演説の中身を精査しながら、論戦に向けた準備を進めていました。子育て罰と指摘された問題を解消する具体策などを示し、政府与党との違いを打ち出したいと考えています。

立憲民主党 泉健太政務調査会長
「よりダイナミックに大きな政策を実現する意味では、政権与党に取って代わりたいという思いはあります。今はこつこつと国民に訴えていく。今の支持率以上に各地域で立憲民主党の仲間たちが動くことによって、徐々に信頼も得られてきていると思いますので、そういう個人の政治家の積み重ねと、最終的な解散総選挙のタイミングが一致したとき、支持率は上がっていくのかなと思います。」

武田
「感染を抑えて命を守る。経済を回して、仕事や暮らしを守る。非常に難しいかじ取りが求められると思いますが、枝野さんはどうバランスをとられますか?」

枝野幸男代表
「そのバランスという考え方が間違っているということです。経済を活発にすれば感染は広がるという相互関係にあるわけですから、まずは感染をゼロに限りなく近づける。まずは徹底して感染を抑えること、それが最大の経済対策です。私は一貫して、これは災害だと。したがって生活できない方、事業ができない方は災害と同じように支える。このことでつなぎながら、感染を抑止することだと思っています。」

武田
「さまざまな提案をしながらも実現できない。まさに野党の立場だからということだと思いますが、野党に政治が機能するために今、求められていることは?」

枝野幸男代表
「国会の動きと国民の声がうまくつながっていけば、政治を動かすことができます。実際、昨年検察庁法の改悪問題であるとか、大学入試の問題など、国会では少数派であるわれわれの提案が国民の世論に押されて実現することができた。成功例をわれわれは経験しています。これをうまく生かして、さらに今、直面している緊急事態に対応していかなければならない。」

あすから本格化する国会論戦。コロナ禍で政治はどう役割を果たすのか。

あすから国会論戦 コロナ禍で与野党は?

武田:国民からは政治に対して厳しい声が出ているわけですが、こうした声を受けて与野党はどう事態を収拾しようとしているんでしょうか。

徳橋達也記者(政治部):与野党の新型コロナ対策には、力点の置き方に違いがあるということなんですね。与党側はこれまで感染防止を図りながらも、経済の落ち込みを最小限に食い止めるためにできるだけ経済を回し続けよう、というスタンスで政策の実現を目指してきました。

一方、野党側はまずは感染の収束が先決で、一時的な経済の停滞は事業者への支援を手厚くすることで乗り切るべきだ、という姿勢をとってきました。

この年末年始にかけて感染が急速に拡大しまして、菅政権も感染防止を最優先にする、という方向にかじを切ったわけですが、野党側は政府の対応は後手に回っていると批判を強めているということなんですね。

武田:そうすると、この国会では与野党はどう新型コロナ対策を進めようとしているんでしょうか。

徳橋記者:焦点となるのが、新型コロナ対策の実効性を高めるための特別措置法と、感染症法の改正案です。政府与党は、特別措置法では営業時間の短縮などに応じる事業者への支援を明確に位置づけるとする一方で、応じない事業者には50万円以下の過料を科すなどと、支援と罰則をセットで盛り込むとしています。また感染症法では、入院の勧告に応じない感染者に懲役を含む刑事罰を盛り込むという方針なんです。
これに対して立憲民主党は、この特別措置法については事業者への十分な財政支援が担保されなければ、罰則を設けても実効性は上がらないとしています。さらに感染症法についても、懲役は重すぎるなどとして慎重な姿勢を示しています。今後、与野党で協議が行われる見通しです。

武田:菅総理大臣は、今月7日に緊急事態宣言を発出する際、1か月後には必ず事態を改善させると言っていましたが、これは可能なんでしょうか。

徳橋記者:今後の状況というのは見通せないのですが、実はこの2月というのは重要な月になります。与党側は、特別措置法と感染症法の改正案など、2月の始めに成立させて直ちに実効性のある対策につなげたいとしています。

また、政府与党が感染対策の決め手と位置づけているのがワクチンです。菅総理がきのう、全体の調整役に河野規制改革担当大臣を充てたのも、ワクチンを重視する姿勢の表れと言えます。この感染が収束に至るかどうかというのは、衆議院の解散・総選挙など今後の政局にも絡んでくるものと見られます。

武田:新型コロナの収束が今後の政局の鍵を握るということですが、ことしの秋までに行われる衆議院選挙をにらんで、与野党はどう動こうとしているのか。二階幹事長と枝野代表に聞きました。

二階氏・枝野氏に問う 決戦の年 どう臨む?

武田
「ことしは衆議院選挙の年となります。菅総理大臣は『まずはコロナ対策だ』と言っていますが、二階幹事長ご自身は、いつが解散・総選挙のタイミングとして望ましいと。」

自民党 二階俊博幹事長
「総理が決断したとき、いつ解散と言われてもいいように準備をしておく。政治の戦場に身を置いている者は、毎日戦場に立っているわけです。それが立ち遅れているわけではないんです。寝ている人は別ですよ。」

武田
「多少支持率が下がっていても、選挙には勝てる?」

二階俊博幹事長
「もちろんですよ。」

武田
「安倍前総理大臣の桜を見る会、前日夜の懇親会の問題、吉川元農林水産大臣が業者から現金を受け取っていた疑いが持たれていること、政治とカネをめぐって国民から政権に対して、非常に厳しい目も注がれています。」

二階俊博幹事長
「政治のほうで足らざる点、反省すべき点があったら謙虚に反省を続けながら政治を進めていくというのは民主政治の一番の根幹ですよね。自由民主党が国民の皆さんの期待を背負って、この難関を突破していく。」

武田
「政権交代への覚悟、気迫が問われると思いますが、その本気度が国民に伝わっているとお考えですか?」

立憲民主党 枝野幸男代表
「今の国会の議席数の中であまり声高に言っても、残念ながら説得力はないと思っています。私は政権交代そのものよりも、総選挙までに政権交代の選択肢になると申し上げています。そこを目標として実現できれば、必ず選んでいただけるという自信を持っています。」

武田
「いざ選挙になったら、政権交代は当然目指していかれる。」

枝野幸男代表
「野党第一党の党首が総理大臣を目指さなければ、日本の民主主義は成り立ちません。私は野党第一党の党首選挙に立候補するときには、総理になる準備ができているから立候補している。10年前の東日本大震災と原発事故を、政権の中心に近いところで仕事をさせていただきました。まさにその経験を今、生かさなければならないし、生かすことが期待されている。そして生かす自信はあります。」

決戦の年 コロナ禍で与野党は?

武田:感染者数が高止まりしている中で、衆議院の解散はいつあるのか。政府与党は、今後のスケジュールをどう描いているんでしょうか。

徳橋記者:こちらをご覧いただきたいんですが、与党内で取り沙汰されているのがおおむね4つの案があります。

まずは、この3月末と見込まれる新年度予算案が成立した後に解散をして、4月に予定される衆参両院の補欠選挙にあわせて衆議院の選挙を行うという案です。
2つ目が、6月になりますけれど通常国会の会期末近くに解散して、7月に任期満了を迎える都議会議員選挙にあわせて行うという案です。
3つ目は、東京オリンピック・パラリンピックを成功させたうえで、このパラリンピックが閉幕する9月初めに解散するという案です。
そして最後、菅総理の自民党総裁としての任期はことしの9月末なのですが、これを踏まえて総裁選挙を行った後に解散するという案なんですね。
どのタイミングになるかというのは予断をもって言えませんが、いずれにしても新型コロナの収束というのが大前提になります。

武田:二階さんは、選挙にも強気な姿勢を示していました。内閣支持率が下落傾向にある中で、菅総理大臣は求心力を保っていけるのか。党内の空気はどうなんでしょうか。

徳橋記者:こちら、菅内閣の支持率です。ご覧のようにこのところ低下傾向にあるのですが、自民党内には、自民党の政党支持率はほとんど変わっていないということで、選挙に打って出ても大敗はしないという強気の声があります。

一方で、仮に内閣支持率が30%を切るようなことになれば、菅総理以外の総裁を立てて選挙に臨むべきだという、いわゆる菅おろしの動きが出かねないという見方も出ています。ただ実際、ポスト菅として具体的な名前が出ている状況ではないんですね。去年、菅総理と総裁選挙を争った岸田前政調会長は、次の総裁選にも意欲を示していまして地方を回るなど活動をしてきたのですが、感染の拡大を受けてこのところは思うように動けていないという状況です。また石破元幹事長も派閥の会長を辞任したうえで、このところは政権に対する批判的な発言は控えているということです。4月の補欠選挙をはじめとして、都議会議員選挙ですとか、各地の知事選挙などで党の推す候補の苦戦が仮に続くようなことになりますと、党内世論に影響してくるという可能性もあります。

武田:コロナ禍が長引く中で、政治の役割がまさに問われていると思います。徳橋さんはどう感じていますか。

徳橋記者:感染拡大の防止と、経済の立て直し。いわば二律背反する課題を両立させることがいかに難しいかというのは、この1年の経過によって証明されたと言えると思います。だからこそ収束までの道筋と、その後の展望を示すということが政治には求められます。与野党が批判合戦を繰り返しているだけでは国民の不安はふっしょくされませんので、分かりやすい形で建設的な政策論争が行われるということを期待したいと思います。

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