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2020年9月3日(木)

PCR検査は?医療は? “第2波”で見えた課題

PCR検査は?医療は? “第2波”で見えた課題

「ピークを越えた」とされるものの、今なお増えている新型コロナ“第2波”の感染者。“第1波”と異なり、全国各地で感染が発生しているのが特徴だ。濃厚接触者かもしれないのに検査の対象外なのはなぜか?命を守るために重要な病院間の連携、人工心肺装置「ECMO」での連携など、最前線の現場はどう対応しているのか?感染者が増える中で見えてきた課題を深掘りし、インフルエンザの流行と重なったとき、どう対応したらいいのか考える。

出演者

  • 髙山義浩さん (沖縄県立中部病院感染症内科 医師)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター)

なお ひっ迫?PCR検査 どこに課題が

全国で感染者が急増していた先月(8月)。名古屋市にある美容整形クリニックに、PCR検査を希望する問い合わせが相次いでいました。

「症状がないから(保健所で)PCR検査受けられないって言われて。」

H&Nホールディングス 高野政則代表
「19日に知り合いの方が陽性で出たと。検査はする?」

このクリニックが行うのは、保険が適用されない、全額自己負担のいわゆる「自費検査」。検査開始から1か月で、300件以上の相談が寄せられていました。

高野政則代表
「もし検査をするのであれば、ご自宅まで(検体を)とりにいきます。」

「行ってきます。」

利用者に発熱などの症状がある場合、希望があれば、検体採取のため自宅に向かいます。感染リスクを避けるため、直接の面会を避けることもあります。

「検体の容器、確認できますかね。唾液をメモリの2までおとりいただければ。」

採取した検体は、検査機関に送って分析。1回の検査にかかる費用は、およそ3万円です。

「ただでさえ特別な8月ですけど、濃い8月ですね。」

このクリニックを頼る利用者の多くは、「感染者と接触したのではないか」と不安を抱える人たちです。
この日、訪ねてきたのは、介護施設を回る訪問マッサージ会社の社長。PCR検査を受けるため、社員9名分の唾液の検体を届けにきました。

訪問マッサージ会社 社長
「我々みたいに高齢者がいる場所を転々と訪問して仕事をしているってことは、絶対に感染しない注意が必要で。」

愛知県内8か所の介護施設を回り、マッサージを行っているこの会社。高齢者と接するため、感染対策を徹底しながら業務に当たってきましたが、不安は拭えずにいました。“第2波”の感染拡大がピークを迎えていた時期、ある出来事を経験していたからです。
7月下旬、訪問先の介護施設でその施設の職員の感染が判明。そこに出入りする社員が接触していたら、他の施設に感染を広げてしまうのではないか…。会社は保健所に相談し、PCR検査を希望しました。保健所が検査の対象とする基準は、現状では「発熱などの症状があり、感染が疑われる人」。そして「症状がなくても濃厚接触者と認定した人」などに限られます。感染者と接触したという不安があっても、濃厚接触だと認められなければ検査は受けられません。

高齢者に感染を広げる不安を訴えてきたこの会社が、行政検査につながることはありませんでした。その後も同じようなケースに直面。自費検査の費用は、総額40万円近くに上ります。
この日、検査結果が伝えられました。結果は、全員陰性でした。

訪問マッサージ会社 社長
「助かりました、本当に安心しました。」
「『これをいつまでやるんだろう』というのは本当にありますね。リスクがある状態になっているのに、そのリスクを排除しようという動きをとってくれない。それは本当に残念だなという思いでした。」

もし、自分たちが感染していた場合、取引先に感染を広げてしまうのではないか。クリニックには、建設業や流通業の営業職などから検査の依頼が相次ぎました。

H&Nホールディングス 高野政則代表
「やってみて思ったのが、いかに検査されずに不安のもとに生きている人が多いか。検査ができないことで仕事ができずにいる人たちが、こんなにいるんだと。」

感染者が急増しているさなか、濃厚接触したと認められたのに、すぐに検査を受けられなかったと訴える人もいました。当事者の女性に話を聞くことができました。

女性(電話)
「濃厚接触者だと検査を受けられるものだと思っていたのが、本当に毎日が苦しくて不安で。」

8月上旬、熱を出していた夫が保健所の検査で陽性と判明した、この女性。「自分と幼い子どもは大丈夫か」、不安を抱える中、保健所から連絡を受けました。伝えられたのは、「家族は濃厚接触者にあたる」という内容。しかし保健所からは、症状がないことを理由に、すぐに検査を受けるのではなく自宅にいることを勧められたといいます。

結局、自費検査を頼った女性。子どもに陽性反応が出ました。

女性
「心配で心配でしかたなかった。すごく対応にがく然とした。」

「その理由は言ってました?」

女性
「いや、ひたすらというとおかしいですけど、なんせ『症状が出ていないので』という、一点張りというとおかしいですけど、私個人は“冷たいな”という印象を受けました。」

保健所の検査対象の基準に含まれているにもかかわらず、なぜ、すぐに検査を受けることができなかったのか。名古屋市に問いました。

名古屋市 健康福祉局健康部 西口淳主幹
「7月から8月の上旬にかけて患者が急増していました。そういったところで、キャパシティ的に検査が対応しきれないことが発生しました。そうした場合に、感染拡大を防ぐといった観点から優先順位をつけて検査を行ったことが、ひとつの原因かと考えております。」

次なる感染拡大に向け、行政も動き出しています。
名古屋市は、保健所や医師会の協力を得て設置された検査所に加えて、新たに地域の診療所でもPCR検査を受けられるよう、体制の拡充に取り組んでいます。

感染者が急増したとき、今の体制のままで対応できるのか。名古屋市内で最も感染者が多い、中保健センターです。

「誰を濃厚接触とするか、確認していきたいと思っております。」

「濃厚接触と考えるのが、マスクなしで15分、1メートル範囲内で話をすることが条件になってきて。」

中保健センター 保健予防課 日髙橘子課長
「最高が7月の下旬ぐらい。」

感染者が急増した“第2波”のピーク。保健所はその対応に追われました。

日髙橘子課長
「電話が鳴りっぱなしで、どの電話も誰もとれないような感じで。この職場自体がパニックの状態になっていました。」

名古屋最大の繁華街がある地域を受け持つこの保健所は、“第2波”のピークに合わせて独自に検査所を作り、検査体制の拡充を図ってきました。最大9人の応援を受け、何とか乗り切ってきたこの保健所。さらなる感染拡大が起きた場合、今の人員では対応に限界があると不安の声が上がっています。

「すごい勢いできたじゃないですか。応援態勢が整うまですごい時間がかかった。」

日髙橘子課長
「今回は予想外だったしね。いきなりきちゃったからね。」

「僕たちは“第2波”の反省を通じて“第3波”に備えないといけない。これが一番の優先順位。」

日髙橘子課長
「今回、“第2波”でもかなり限界を感じていて、“第3波”が来る前に、人も急に増えない中でどうやってやっていくか。人の確保も含めて、市全体の方向性・計画性を示してほしい。」

名古屋市は…。

名古屋市 健康福祉局健康部 西口淳主幹
「今後、冬場に向けて患者数が増えるであろうというところで、次の波に向けて解決できるように整備を進めている。」

感染の疑いがある人が確実に検査を受けられるためには、どんな課題があるのか。さらに考えていきます。

インフルエンザ流行を前に検査体制は?

武田:検査を巡っては、いまだに多くの人が不安を抱えています。国はさらに検査数を増やすなど、新型コロナウイルスへの運用を大幅に見直すとしていますが、検査について、これまでに何がうまくいっていて、何が課題として浮かび上がっているのでしょうか?

小林さやか記者(社会部):検査を希望する人の中には、「症状がある人」「症状がない人」、また「不安だ」という人などさまざまいますが、“第1波”のときには、ほとんどが保健所にまず相談し、検査の可否が判断されていました。そのため、ここで目詰まりが起きていました。これを解消しようと、国や自治体は、この保健所以外のルートとして医師会などによる検査センターを整備しました。さらに、この検査能力も今では1日6万件以上のPCR検査が可能となりました。ただ、肝心の保健所の体制は、“第2波”までには十分に拡充し切れなかったんです。
保健所は電話相談や入院調整など、多くの業務を担っています。自治体も応援体制を整えるなど、一定程度の対策は打ってきましたが、“第1波”以上に感染者が増える中で、地域によっては再び目詰まりが起きてしまったわけです。

武田:さらにこれからインフルエンザの流行が始まってくるとしますと、この今のままの体制では対応し切れなくなるんじゃないかという不安も感じるんですけれども、国はどうしようとしているんでしょうか?

小林記者:インフルエンザが流行すると、コロナに似た症状の発熱の患者が増えるので、検査の希望者も急増するおそれがあります。そこで国はさらに、別のルートとして地域の診療所などで、診察から検査までを一括して行うルートを整備する計画です。この場合、30分で結果が出る抗原検査の簡易キットを活用する予定で、国は10月中に1日20万件分のキットを調達する予定です。

こうして保健所の負担を減らすことで、国は検査の対象も拡大する計画です。例えば、医療や介護のスタッフはこれまで以上に検査が受けられるようにします。ただ、地域の診療所で検査を行うためには十分な感染対策が必要なので、協力してくれるところをどこまで増やしていけるかが課題になります。

武田:そしてもう一方、沖縄県立中部病院の医師で国の感染症対策にも関わっている髙山さん。“第2波”が直撃した沖縄の医療現場で、このPCR検査を巡る状況をどう感じていらっしゃいますか?

ゲスト髙山義浩さん(沖縄県立中部病院 感染症内科)

髙山さん:PCR検査は多くできれば多いほど、住民の皆さんの安心の提供になります。ですから、多くの住民の皆さんが検査を求めているんだと思います。そして検査数を増やせば増やすほど、効率的に感染者を発見することができますから、検査が多いほうがよいというのは間違いありません。ただし、検査を実施するリソースというのは無尽蔵ではなくて、限られた中で最適解を見つけていくしかありません。特に地方ではそうです。キャパシティがどれぐらいあるのか、流行状況がどのようになっているのかということを確認しながら、優先順位をどうするかを常に考えてやっていくしかないと思います。

武田:優先順位を考えていくということですけれども、沖縄は今、県独自の緊急事態宣言が再延長され、今も不安を抱えている方が多いと思います。今後もその保健所などがひっ迫する可能性は否めないと思うんですが、これについてはどんな解決策がありますか?

髙山さん:やはり、検査を受けたいという住民の要望に応えていく必要があります。さらに流行規模が大きくなれば、不安で検査をしてほしいという人が増加しますので、もはや、その人たちに対する検査を行うというのは、医療というよりは住民サービスに近い検診じゃないかと私は考えています。ですから臨床医の仕事というよりは、むしろやるならやるで行政が方針を示して、予算と人材を確保し、救急外来を阻害しないように行政が検診体制を整えていくことが求められています。

武田:感染者が急激に増えたこの“第2波”。感染した人をどうケアするのか、医療現場にも新たな課題が浮かび上がっていました。

医療スタッフ不足 求められる“広域連携”

人口10万人当たりの感染者数が、全国で最も多い沖縄県。県の対策本部が次の感染拡大を見据える中、直面しているのが看護師の不足です。

「(看護師が)出せるかどうか調整しておいたほうがいい。」

「調整してみましょう。」

沖縄県はこれまで、全国各地の自治体やNPO自衛隊などに看護師の応援を要請。いわゆる“広域連携”で、およそ50人の看護師が応援に来ました。
しかし、受け入れ先では課題も出ています。国際医療NGOから応援に来た、看護師の小林裕未さんは、新型コロナウイルスの患者が入院している“レッドゾーン”と呼ばれる区域で治療に当たってきました。ところが派遣された看護師の中には、所属する病院からレッドゾーンでの作業を禁じられる人もいたといいます。

NPO法人ジャパンハート 小林裕未看護師
「やっぱりコロナを持ち帰ってほしくない気持ちがどこもあると思うので、募集をして来てくださるけれど、レッドゾーンに入れる看護師が少ない。そこは課題。」

沖縄県 保健医療部 大城玲子部長
「レッドゾーンに入れるのか、そうではなくて、それ以外の後方支援としてコロナ以外の病棟に入るのか。マッチングの態勢を整えたうえで支援を受けることが大切だと思った。」

看護師の派遣以外の支援も必要だという医療現場もあります。
新型コロナウイルスの重症患者を受け入れている病院です。先月下旬、栃木県から医師が訪れました。人工心肺装置ECMO(エクモ)を使った治療を行う医療者らの団体、ECMOnetの統括、小倉崇以医師です。

病院には、治療の最後のとりでとされるECMOが3台備え付けられています。しかし、すべての医療スタッフがECMOを扱えるわけではありません。病院側は小倉さんに対し、医療スタッフへの講習会や、万が一の場合に備えた体制作りに力を貸してほしいと訴えました。

浦添総合病院 那須道高医師
「僕らがみている重症患者の数が増えてきて、これ以上増えたらECMOができない患者が出てくるかもしれない。」

ECMOnet 統括ECMOコーディネーター 小倉崇以医師
「ECMOを技術提供すること、場合によってはECMOをつけながらでも九州とか関東に向けて安全に搬送すること。ここらへんが多分できることかな。」

緊急時には、再び広域連携に頼ることも検討している沖縄県。しかし今後、複数の自治体がそれぞれ応援を要請した場合、人繰りや機材の確保に混乱が起きてしまう可能性があります。各自治体の要望を一元的に取りまとめる、新たな仕組みが必要だといいます。

沖縄県災害医療コーディネーター 米盛輝武医師
「同じようなことが山陰でも起きた、北海道でも起きたときだったら、トータルでマネージメントをすることが必要になる。九州・沖縄の本部を作って国に(要請)するとか、もしくは国に直接とか、とにかく真ん中でちゃんとコントロールするところがないと、全体は回らないだろうなと。」

重症者の病床確保へ 現場の模索

病床確保のため、関係機関が連携し、危機を打開する取り組みも始まっています。
重症者の数が一時70人を超えた大阪。多くの医療機関で病床はひっ迫しています。大阪府では、行政が中心となり、病床確保に向けた取り組みを進めてきました。患者の情報を一括管理し、病状に合わせて入院先を調整してきました。しかし、感染者の増加で受け入れ先の確保に時間がかかるケースも出てきました。

「自宅待機中の患者さまで、入院をお願いできないかと思ってお電話させていただきました。」

大阪府入院フォローアップセンター 浅田留美子センター長
「医療機関にどれくらいお願いしたらよいか、感染拡大が始まってスピードが増してくると、私たちも慌てながら、あと数時間待ってもらわないと病院がなかなか受け入れが難しいことはある。」

こうした中、病院間の独自の連携で病床を確保しようという動きも出てきています。東大阪の医療機関に勤める山村仁医師です。重症患者を受け入れるこの病院では、8月以降、病床はほぼ埋まっています。ベッドを確保するため、山村医師は近隣の医療機関との連携を強めています。この日は中等症と軽症を受け入れる病院と患者の情報を共有しました。

大阪府立中河内救命救急センター 山村仁所長
「現在入院している患者の数と、酸素を投与している人がいれば年齢の情報をいただきたい。」

山村医師らが作り上げた仕組みです。中等症の患者が重症化した場合は、すぐに引き受けます。逆に、重症患者が回復した場合は隣の病院へと速やかに搬送し、病床を確保することにしたのです。

山村仁所長
「うちが満床で、次のもう1例を受けなければならない状態になったときに、転院を素早くやってもらうのは非常にありがたい。」

連携を進めたことで、治療方法も共有できるようになりました。例えば、重症の患者に使ってきたステロイドなどの薬。これまでの経験から、山村医師は中等症の段階から投与することを提案。重症化を防げたケースも出てきたのです。

山村仁所長
「診療を含めた連携をすることによって救える命というか、長い目で見れば社会復帰までの期間を短くすることが可能。」

インフルエンザ流行を前に何が必要か?

武田:この連携についてですが、まず沖縄で行われた県をまたいだ人材確保。髙山さんはこれをどう評価されていますか?

髙山さん:まず最初に支援に来ていただいた方々、またその方々を送り出してくださった所属施設の皆さまに、心から御礼申し上げたいと思います。本当に助かりました。ありがとうございました。
広域連携で支え合うというのは、間違いなく有効な手段だと思います。自分の地域が大きな流行に直面していたら、外からの応援を積極的に受け入れる。ほかの地域が困っていたら、積極的に支援に出ていければよいのではないかと思います。例えば、この冬、流行する可能性が高いと思われますけれども、特に閉め切った環境で拡大しやすいということを考えると、温暖な冬を迎える沖縄は大きな流行には至らないということも期待されます。その場合は、沖縄が恩返しをしなければならないときだと思っています。

武田:一方で、どんな課題を感じてらっしゃいますでしょうか?

髙山さん:沖縄県では、外から応援で来てもらえるとはいえ、実は県内の潜在看護師であるとか、病床の効果的な利用、今、大阪の事例もありましたけども、そういう地域資源を引き出すという努力がもう少しできたんじゃないか。その努力があってこそ、次に広域連携をお願いするという順番だと思っています。

武田:それは各地域でも同じように考えるべきということですね。

髙山さん:おっしゃるとおりです。

武田:小林さん、国は“第1波”の段階からこの連携のあり方というのは模索してきたと思うんですけれども、次の流行に向けて、ここはどう考えているんでしょうか。

小林記者:国も広域連携は進めなければならないと考えているんですが、実際は簡単ではありません。広域連携は、先ほどの沖縄のような人材の派遣のほかに、患者の搬送や受け入れもあります。これは人材のやりくり以上に難しい調整が迫られます。受け入れる側からすると、自分のところでもいつ患者が増えるか分からず、ベッドを空けておきたい。そういう考えから、抵抗感を持つ自治体もあるといいます。さらに、近隣の地域でも同じように感染が広がっていて、受け入れる余裕がないという場合もあります。

このため国は都道府県に対して、広域連携の担当者を置いて、そこでほかの県と調整を進めるように求めてきたのですが、実際にはあまり進んでいないということなんです。広域連携を進めるためには、協議を進めるということももちろんですが、国が強いリーダーシップで調整する必要もあると思います。

武田:髙山さん、この秋以降インフルエンザが流行してきますと、ますます現場はひっ迫してくると思うんですね。この“第1波”と“第2波”の経験から、何を最優先に考えて、どんな備えが必要になってくるのか、そして私たちは何をすべきなんでしょうか?

髙山さん:必要なのは知識だと思います。少なからず医療機関がウイルスの正体が見えていなくて、必要以上の感染対策を取ろうとします。また住民の方々も、感染対策についての知識はついてきてはいるんですけれども、この病気に感染した場合のリスクについて、適度な知識がついているとはいえず、正しく恐れているとは言えない状況があると思います。その流行で、少しずつ私たちは知識がついてきました。治療技術も向上しました。こうした知識の共有が一番大事だと思っています。
もっと多くの診療所が発熱患者の診療に当たって、一般病院が疑い患者の入院を受け入れれば、この感染症と闘えないはずがないと私は思っています。そのためにも、医療現場にいる技術者たちが知識を共有して、市民がリスクを正しく認識することが求められていると思います。

武田:どこまで怖がればいいのか、私たちの責任も大きいと思いますが、リスクコミュニケーションというのが一つ大きな鍵になりそうですね。