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2020年6月18日(木)

プロ野球 前例なきシーズン開幕へ
~“ウィズコロナ”の模索~

プロ野球 前例なきシーズン開幕へ ~“ウィズコロナ”の模索~

新型コロナ禍の中、ようやく開幕を迎えることになった日本プロ野球。無観客、感染症対策などで、そのスタイルも戦略も大きく様変わりする。シーズンの短縮で日程も変則となり、投手起用法にも新戦略が施されるなど、新たな見所が生まれる可能性も。一方、運営側は徹底した感染症対策や厳しい収支の問題を突きつけられる。様々な課題を乗り越え、コロナと共存する時代にスポーツをどうやって楽しめば良いのか考えていく。

出演者

  • 谷繁元信さん (元中日ドラゴンズ監督・解説者)
  • 池田純さん (前横浜DeNAベイスターズ社長・Bリーグ 埼玉ブロンコスオーナー)
  • 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)

潜入!“感染対策”の舞台裏

開幕に備える舞台裏はどうなっているのか。ロッテの元エース・黒木知宏さんと、練習試合を訪ねました。

受付では、サーモグラフィーを使った検温。選手と球団関係者の動線はアクリル板で仕切られていました。

細い通路の奥に入っていくと、場内アナウンスを行う部屋ではスタッフがフェイスシールドを装着しています。

そして、試合前のベンチ。選手たちはこまめに手の消毒を行っていました。

選手には、アプリを使った毎日の体調管理が義務づけられています。チェックする項目は、体温、体のだるさ、のどや嗅覚・味覚の状態、さらに同居人の行動記録まで、10項目にわたります。

ロッテ球団広報室 梶原紀章室長
「みんなが意識高くやっているので。手洗い、うがいは頻繁にやっているし、いまから一歩一歩、コツコツというのが大事かな。」

感染のリスクがゼロではない中での開幕。選手たちの不安な思いと向き合ってきた選手会は、感染対策に万全を期す構えです。

日本プロ野球選手会 森忠仁事務局長
「何人かの選手から『このまま開幕してもいいでしょうかね』というメールが来ました。ガイドラインに書かれていることをしっかり守ることに尽きると思います。」

こんな注目点が!“無観客”でどう変わる?

現役時代、“ジョニー”の愛称でファンから慕われた黒木さん。歓声を力に変えることで、みずからを奮い立たせるタイプのピッチャーでした。しかし、観客席は無人。

練習試合、ロッテの先発は小島和哉投手。今シーズン、ローテーションの一角を担うと期待される若手です。
1回、先頭バッターをフォアボールで歩かせた直後。巧みなけん制球でランナーを誘い出し、アウトにします。試合開始早々、好プレーでしたが…。

ロッテ 元投手 黒木知宏さん
「通常、お客さんがワーと言っているので、すごく盛り上がるプレーになるんですよ。それが盛り上がる感じがない。球場の反応がないというのは経験がないことですから、そこを自分のバロメーターにしている選手はちょっと苦しむ可能性もあるのかな。」

この日は開幕前、1軍での最後の登板だった小島投手。相手をヒット2本、無失点に抑えていましたが、4回で早くもマウンドを降りました。ことし(2020年)は実戦形式で調整できる期間が例年の半分以下。まだ体が仕上がっていないのです。

黒木知宏さん
「本当はもう少しイニング投げたい?」

ロッテ 小島和哉投手
「もう少し投げた方が自分は安心感をもってシーズンに入っていけると思うんですけど、その準備が短かったので。オーバーワークになりすぎても、けがしたら元も子もないと思うので。」

先発投手が長いイニングを投げられない見込みの中、負担が重くのしかかるのが、後をつなぐリリーフピッチャーです。
過去10年間、リリーフの防御率が1位だったチームの一覧です。

このうちリーグ優勝したのはセ・リーグが5回。パ・リーグが6回。リリーフの頑張りが優勝を大きくたぐり寄せることが分かります。
過密日程で行われる今シーズン。負担が増えるリリーフピッチャーのパフォーマンスをいかに保つか。今シーズンの特例としてベンチ入りできるメンバーが1人増えますが、黒木さんはまだ足りないと感じています。

黒木知宏さん
「選手を守るなら、あと2人くらい増やした方が現場で預かる身とすれば助かる。」



無観客は、開幕から当面続く見込みです。選手たちは神経をすり減らす戦いを強いられる。そう指摘するのは、西武と中日で通算2,000本安打を達成した和田一浩さんです。

あの松坂大輔投手とバッテリーを組んだこともある和田さん。この日、西武のキャッチャー岡田選手の足の運び方が、いつもと違うことに気付きました。

和田一浩さん
「すらないようにはしていると思いますね。キャッチャーの足の運びをサッサッと、すらないように。するとどうしても音が鳴るので。踏めば音は出にくいので。そういう所も意識しているのではないかと思う。
バッターが構えているじゃないですか。ピッチャーを見ているけど、その時にキャッチャーの音の気配を感じる。体の近くで音が鳴ったらインコースに構えたんじゃないかとか。なるべくバッターに分からないように静かに動きたい。」

静寂の中での試合。バッターとキャッチャーの細かな駆け引きが増えると和田さんは見ています。

和田一浩さん
「いまフェイント入れた。キャッチャー的に、心理的にフェイント入れたくなる。」

日本を代表するキャッチャー、ソフトバンクの甲斐拓也選手。静けさを逆手にとることができると明かしてくれました。

ソフトバンク 甲斐拓也選手
「わざと音を鳴らしたりという利用もあるのかなと思いますし、聞こえる音で打者も感じることもあると思うので。無観客になって改めて音を感じることになった。」

球場が静かすぎることで、選手が思わぬ影響を受けることもあります。
ランナーが走ったことを味方に伝える声。

「おい!おい!」

しかしピッチャーが驚いてしまい、ボークをとられました。声で情報を伝える際は、ボリュームの調整が必要のようです。
無観客ならではの音の楽しみ方もあると、和田さんは言います。

和田一浩さん
「バットの芯に当たった時の音は、乾いた高い音がしやすい。ちょっと詰まったり差し込まれたりすると鈍い音がしますよね。」

山川選手が打ち損じた時の音。一方、ホームランを打った時の音。音の違いで打球の行方が分かるかもしれません。



音にはプロの技の神髄が宿ることがあると、黒木さんは言います。練習試合での、ロッテのショート・藤岡裕大選手のプレー。はっきりと音が聞こえる捕り方が、素早い送球につながったと言うのです。

黒木知宏さん
「ちゃんとグローブの芯でボールを捕っている。グラブの音がするじゃないですか。だから送球もいい。しっかりボールを握れるので、送球が難しい体勢でもきれいに投げられる。そういうところは、なるほどなって見られるので味方として面白い。」

ふだんなら応援でかき消されるさまざまな野球の音。プレーする選手たちも、観戦する私たちも、これまで経験したことがない異例のシーズンが始まります。

黒木知宏さん
「制限がある中で戦っていかないといけないというところに対応していく。たくましさが出てくると思う。新しい野球の歴史というのが始まるという位置づけで、僕はいいと思う。」

“感染対策”変わる勝負

武田:何だか楽しみになってきましたね。現役時代はキャッチャー、監督としても活躍された谷繁さん。東日本大震災の直後に無観客試合を経験されたそうですけれども、いかがでしたか?

ゲスト谷繁元信さん(元中日ドラゴンズ監督・解説者)

谷繁さん:最初はどこか集中力が欠けるというか、いつもお客さんの前でやっているのと無観客でやるのとでは、やっぱり集中力の入り方が。ファンがいるとどうしても自然に集中力が入るんですけど、それがなかなか入ってこない。でも、数試合やっているうちに自分の集中力を高めるスイッチというか、そういうものがすごく自分でできるようになりましたよね。

武田:音というのは、やっぱり選手も感じ方は違うものですか。

谷繁さん:そうですね。僕はキャッチャーですから、芯で捕ると自分でほれぼれするような音が出るんですよ。あとは打ったときも、芯で捉えたときと詰まったとき、バットの先に当たったとき、全部音が違うんですよね。そういうものが感じられるというかね。

武田:音によって選手もテンションが上がったりすることもある?

谷繁さん:はい。ナイスキャッチングをしたときは、自分に酔ってました(笑)。

武田:そして、DeNAの前球団社長で、現在バスケットボールBリーグ 埼玉ブロンコスオーナーの池田さん。さまざまなプロスポーツの先駆けとしてプロ野球が開幕するわけですけれども、そのことの意味はどういうふうに捉えてらっしゃいますか?

ゲスト池田純さん(前横浜DeNAベイスターズ社長・Bリーグ 埼玉ブロンコスオーナー)

池田さん:やはりプロ野球はスポーツ、エンタメのベンチマーク。高校野球も一時期、右往左往していた時期もありますけど、やはりプロ野球が開幕できたからこそ何がしかの形で始めることができた。

武田:交流試合ですね。

池田さん:なので、プロ野球がいかにこれから切り開いていくか。いかにスポーツビジネスに挑戦して切り開いていけるか。それが日本のスポーツ界を左右するといっても過言じゃないと思います。

武田:そういう意味でも意義が大きいわけですね。

合原:前例のない今シーズン、結果に影響を与えるとされるのが、過密でイレギュラーな日程です。
特にパ・リーグは顕著でして、例えば去年(2019年)優勝の西武は本来なら3試合して1日休み。そして2戦して1日休み。ところが今シーズンは、最初こそ3連戦なんですが、その後は6連戦が続くんです。しかも同じ相手との6連戦です。

こうした選手の疲労などを考慮し、1軍の登録選手やベンチ入りの選手外国人枠をそれぞれ増やす措置がとられます。戦い方が変わると指摘されています。

武田:その6連戦の戦い方、例えばバッテリーとしてはどんなふうに変わるんでしょう?

谷繁さん:バッテリーは通常3連戦の場合ですと、1戦目にある程度極端な攻めをして、2戦目3戦目に生かすような攻めをするんですけれども、それが6連戦にもなると、それがどうしても4戦目5戦目6戦目になると、どうしても利かなくなってくるんですよね。

武田:例えば1人の選手に内角を攻め続けるとか。

谷繁さん:1試合目に思いきり内角を攻めて形を崩すんですけれども、相手もプロですから、ある程度慣れてくるんですよね。それが3連戦だとちょっと利くんですよ。それが6連戦になると、やっぱり相手も考えてもとの調子に戻す可能性がある。

武田:もう1回どっかでまた仕掛けないといけないと。先発選手の起用法も大分変わりますか?

谷繁さん:やっぱりパ・リーグの場合6連戦ですから、1戦目2戦目にエース級を投げさせて、3~5戦目にに2~5番手という選手が投げると、ピッチャーで行くと最初の2ゲームで負けた場合に6連敗という可能性も出てくるんです。それはお互いに出てくるんですけれども、だからその先発ピッチャーの分け方というのも、パ・リーグはすごく難しくなると思います。

武田:流れを変えるのも難しくなってくるんですね。
厳しい日程で精神面、体調面のコンディションの維持も難しいと思うんですが、これはどうご覧になりますか?

谷繁さん:これはもうこういう状況ですから、とにかく自己管理、これに限ると思いますね。

武田:開幕決定から短期間で本番を迎えるわけですけれども、この影響はどうでしょう?

谷繁さん:これは正直、僕の考え、思いなんですけれども、100%仕上げている選手はほぼゼロだと思うんですね。よく仕上げた選手で80%ぐらい。だからあした(19日)開幕しますけども、開幕して試合を重ねるごとに状態を上げていく選手がもう100%だと僕は思います。だから、少しでも早くいい状態に持っていった選手というのが、いい成績を残していくと思います。

武田:選手たちは試合後の息抜きもままならないと思うんですけれども、池田さんなら選手にどんなことをお願いしますか?

池田さん:やはり球団は選手のマネジメントも問われてくると思うので、確かに6連戦とかで息が詰まったりとかモチベーションの維持とかも分かるんですけど、夜の街に出るのはちょっと、ことしは避けてくれと。ことしだけは、お願いしたいと。そのかわり、特にアウェーに行ったときはホテルに本当においしいものを用意したり、ご当地の物を用意したり、それこそおいしいワインを用意するから、もうホテルの中でお願いします!と。

武田:という球団側の努力も必要になるということですね。
改めて感染対策と最高のプレーを両立する難しさを実感しますけれども、各球団も開幕に向けて新しい形の応援や経営の模索を始めています。

“ウィズコロナ”球団の模索

先週水曜、楽天の球団職員たちが開幕に向けた準備を進めていました。

「GO!カズキ!」

テストしているのは、無観客のホームゲームで実施する「オンライン応援」。

「打て!銀次!勝利のために!」

「茂木栄五郎!」

応援団とチアリーダーが距離をとりながら、選手たちの応援歌を熱唱します。その様子は球場の大型ビジョンに表示され、応援するファンを選手も見ることができます。

「(応援歌の)新曲とか、歌詞が映るとありがたいですね。ちょっと考えましょうか、歌詞の表示。」

球団創設当初から、誰もが球場で楽しめる「ボールパーク構想」を打ち出してきた楽天。観客席のそばに観覧車やメリーゴーラウンドを設置するなど、毎年改修を重ねてきました。家族のリピーターも増え、去年は過去最多の180万人あまりが来場。チケット収入が売り上げ全体で最も多い32%を占めました。

しかし、ことしはホームゲームおよそ70試合のうち、すでに20試合以上の中止や無観客が決まり大幅な減収が見込まれています。さらに…。

「こちらがことしの楽天の選手弁当の包材になるんですけれども、だいたい10万食ぐらい印刷して、そのうちのまだ9万食以上が使われずに残っているという状態ですね。」

監督や選手がプロデュースした人気の特製弁当は販売できず、見込まれていた6,000万円の売り上げが無くなりました。
そうした中、球団は弁当販売会社と協力して、ファンに向けた新たなサービスを始めました。

ファン
「浅村選手の(弁当)。」

自宅で雰囲気だけでも味わってもらおうと、球場でしか買えなかった弁当を配達することにしたのです。ファンの間で人気を呼び1日およそ100件の注文が寄せられています。

ファン
「これもありだよね。今の時期に弁当屋さん努力してくれるもんね。ありがたいもんですよ。」

楽天 エンターテインメント部 加茂功太郎部長
「楽しんでいただけるようなことを、とにかく発信していきたいと思っているので、後ろ向きにならないように前を向いて、いろいろなことにチャレンジしていきたい。」

無観客に対応するための球団の模索。観客を入れるようになればさらに難しい運営が求められると、プロ野球の感染症対策を提言してきた専門家は指摘しています。

東北医科薬科大学 賀来満夫特任教授
「スポーツで感染対策って、今までほとんど例がなかったんじゃないかと思うんですね。スタジアムで非常に多い中で密集して、密接して、そういうリスクは観客の方は背負うことになりますね。これを私たちみんなが協力して考えて行動していく、非常に重要な時期なのではないか。」



日本より2か月早く開幕し、観客を入れ始めている台湾。

観客
「臨場感があって、みんなと一緒に応援するのはとても楽しい!」

しかし、感染リスクを恐れる人もいて、入場者数は伸び悩んでいます。
そうした中、リーグは新たなビジネスに踏み切りました。英語の実況を織り交ぜた中継を世界に配信。これまでは主にアメリカから配信を受ける立場だった台湾。大リーグの開幕が大幅に遅れている事に目をつけ、野球に飢えたファンに試合を届けようと考えました。
ねらいは的中。時差で朝食の時間帯にも関わらず、ツイッターの配信では1試合およそ60万人が視聴していたと言います。「ブレックファスト・ベースボール」という新たな習慣に。

リーグは収益の拡大につなげようと、現地の放送局と放映権の交渉も進めています。

台湾プロ野球リーグ 馮勝賢秘書長
「ぜひ海外のプロ野球ファンに見てもらいたい。アメリカや世界で試合がない今こそ、台湾プロ野球の価値はかつてなく高まっています。」

今シーズンから台湾のリーグに参戦している楽天。人気のチアリーダーをSNSなどで積極的に発信し、世界各国でファンを増やし始めています。

観客
「チアリーダーがいたら絶対に盛り上がるよ!」

台湾での成果は日本の球団と共有。新たな経営のヒントにしようとしています。

楽天モンキーズ 川田喜則さん
「今回のコロナによってお客様の感染行動が変わってくるかなとは思っておりますので、いまお客様の球場の中での様子を見ながら、また新たな打ち手をこれから考えていきたいとは思っております。」




武田:池田さん、台湾が始めた海外への中継配信、日本のプロ野球もやってみたらどうかと思うんですけど、どうでしょう?

池田さん:すぐ始めるべきですし、始めるんじゃないでしょうかね。
あらゆる新しい収益の機会に挑戦していかないといけないので、どういうふうに「きっかけ」を、その国との接点を作るかだと私は思います。例えばアメリカなんかは今、生のスポーツをほとんどやっていない。それは大きなきっかけになりますし、例えばアジアでやるのであれば、その国の言語対応とか、あらゆるきっかけを作れば見てもらえるんじゃないかと。

合原:無観客が続くと各球団の経営はどの程度ひっ迫するのか。池田さんがみずからの経験をもとに大まかに試算した結果、球団によってばらつきはあるものの、これまでの年間収入を100億円とした場合、今シーズンはチケットの売り上げやグッズ販売を合わせた60億円を失います。つまり6割の減収なんです。
一方の支出ですが、選手の年報総額30億円と必要経費20億円を合わせて50億円ほど出ていくため、トータルで10億から20億円ほどは赤字ではないかと見ているということですが、池田さん、相当厳しい数字のようにも見えるんですけれどもどのように受け止めていますか?

池田さん:厳しい数字ですよね。ただ、この四半世紀、6年間ぐらいプロ野球ってすごく人気で、球団は潤っていた部分がありますので、多分1年は大丈夫。2年は多分…多分大丈夫。3年は厳しい。早くに新たな収益源を作っていくということにチャレンジしないといけないです。

武田:例えば新しい収益源やファンサービス、具体的にはどんなことが考えられますか。

池田さん:例えば、今ですとリモートになってくる。みんな騒ぎたい。みんないろんなものがたまっている。そういう中で、例えば家で、阪神の場合は「六甲おろし」をみんなカラオケで歌うと。それをおのおのがユーチューブに上げる。それをユーチューバーの方とかに評価してもらって、優勝した人が球場で無観客のときにその映像と歌が流れる。その中で最後に優勝決定戦をやって、優勝した人が無観客の後の最初のチケットをもらえて、最初に招待されるお客さんになるとか。

武田:集客についての新しい考え方を図にまとめていただいたんですが。

池田さん:今までは、例えば1席5,000円で売っていて10席ありました。球団の収益は5万円でした。それをこれから3密を避けていくために、無観客から早くお客さんを入れられる状態にするために、その席を10席を3人ないしは4人の家族に売る。それでも同じ5万円の収益というのは球団のほうに入ってくるわけです。そういう形で、売り方を変えていくということにもチャレンジしなきゃいけないんじゃないかなと。

武田:映像でも、ファンの皆さんの歌声が球場に響くというのはうれしいものですよね。

谷繁さん:やっぱりいいですよね。

“ウィズコロナ”変わるスポーツへの期待

武田:プロスポーツ再開の先駆けとして、あしたからプロ野球が始まりますけれども、その新たな挑戦にどんな事を期待されていますか?

谷繁さん:現場としては、やっぱり最高のプレーをやり続けるということですね。提供するということですね。僕もユニホームを脱いで何年かたちますけれども、本当に野球選手のスピード、力強さ、迫力というのはやっぱりいいですよね、生で見ると。あしたから楽しみです。

池田さん:あしたからのプロ野球が、これからどういうふうに世界やスポーツビジネスを切り開いてくれるか。やはりベンチマークなので、日本のスポーツ、強いては来年(2021年)の東京オリンピックへの道が開けていくんじゃないかなと思います。
やはりチャレンジできるものしか見られない景色が、私は必ずあると思うんですよ。プロ野球はある意味そこに挑戦できる立場にいるので、日本のスポーツエンタメ業界の先を切り開いていってほしいなと思います。