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2020年1月9日(木)

ゴーン被告 海外逃亡の衝撃

ゴーン被告 海外逃亡の衝撃

ひそかに日本を出国しレバノンに渡った日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告。新幹線に乗車し移動、関西空港からプライベートジェットで出国したと見られている。民間の軍事会社が支援したともいわれている衝撃の逃亡劇の背景や、ねらいは何なのか。そして、今後はどうなるのか。緊急取材で知られざる実態に迫る。

出演者

  • 髙井康行さん (元東京地検特捜部検事)
  • ピーター・ランダースさん (ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局長)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター)

追跡“謎の協力者” その素顔とは?

昨夜、レバノンで会見を開いたゴーン被告。
逃亡の経緯について、質問が集中しました。

「逃亡の詳細については話さないんですか?」

カルロス・ゴーン被告
「迷惑がかかる人がいるので、話せません。」

「日本から脱出するのに箱まで使用したという、うわさもありますが?」

カルロス・ゴーン被告
「脱出についていろいろなうわさがあることは知っているが、話すつもりはない。」

どういう手段で逃亡したのかは、一切、語りませんでした。

逃亡の2日前、ゴーン被告は意外な場所を訪れていました。
都内にある、この焼き鳥店です。

店主 宮地淳さん
「これは10年くらい前のものです。」

合原
「10年前からいらっしゃっていた?」

宮地淳さん
「来日当初から。もう20年近いと思いますね。」

店内の至る所に、ゴーン被告の写真が…。
この日、ゴーン被告は娘とともに姿を見せていました。
いつもと変わらない様子で、客に求められれば記念撮影に応じていたといいます。

宮地淳さん
「ひと組ひと組、全部一緒にツーショット。笑顔で普通の感じ。」

それから2日後。
ゴーン被告は住居を出て、協力者のもとに向かいました。

誰が逃亡を支援していたのか。
協力者の1人は、アメリカ人のマイケル・テイラー氏とみられることがわかりました。

かつて、アメリカ軍の特殊部隊・グリーンベレーに所属。
2009年にはアフガニスタンで、武装勢力タリバンに拘束されたアメリカ人記者を救出したといわれています。

なぜゴーン被告の逃亡に関わることになったのか。
アメリカ国内にある自宅を訪ねてみると…人影はありませんでした。
自宅に出入りをしていた工事業者に、話を聞くことができました。

工事業者
「奥さんが、夫は不在で、息子と2人だけだと言っていました。」

「長く不在なんですか?」

工事業者
「分からないけど、夫はいないと。」

テイラー氏の所在がつかめないなか、かつて、ともに仕事をしたことがあるという人物に接触することができました。
民間の軍事会社を経営する、フランシスコ・キノネス氏。
10年ほど前に、中東でテイラー氏とともに危機管理の仕事をしていたといいます。

民間の軍事会社経営 フランシスコ・キノネス氏
「テイラー氏は抜群の軍歴を持っていて、自身の能力を最大限に生かすすべを知っていました。彼がどれだけ関与しているかは分からないが、今回のようなことはマイケル・テイラーこそ成し遂げられる人物だと間違いなく言えます。」

逃亡の当日、テイラー氏らは午前10時に中東ドバイから関西空港に到着。
逃亡の準備を整え、東京に向かいました。
そして、ゴーン被告と合流し、関西空港から飛び立ちました。
その間、わずか13時間。
周到に準備されていたとみられています。

フランシスコ・キノネス氏
「私の印象では、テイラー氏は時としてハイリスクな仕事にも挑む男です。今回の計画のリスクも分かっていて、だからこそ準備に長い時間をかけて実行したと思う。」

民間の軍事会社の役員を務め、業界に詳しい菅原出さんです。
軍の特殊部隊出身者は、戦地での人質解放などの高度なスキルを身につけていて、そのノウハウを生かしたのではないかとみています。

民間軍事会社 元役員 菅原出さん
「敵対勢力に見つからないように一定の人物をA地点からB地点、国外に脱出させるというのは彼らの経験の中にはある。特殊な軍の世界で能力を持った人たちが複数集まって、この日本で、ある人を国外に脱出させようということを目標にして、一定期間、時間をかければ、十分彼らの能力からすればできる。」

友人に接触!感じた“強い決意”とは

さらに取材を進めると、逃亡後のゴーン被告から、直接連絡を受けた人物に接触することができました。
かつてフランスの通信社で東京支局長を務めた、フィリップ・リエス氏です。
ゴーン被告の話しぶりからは、強い決意を感じたといいます。

仏通信社 元東京支局長 フィリップ・リエス氏
「今思い返せば、レバノンに到着した直後に私のところに連絡がきました。正確な日時は覚えていませんが、非常に攻撃的で、断固とした決意が感じられました。」

狙われた“プライベートジェット”

ゴーン被告が出国に利用したとみられる、プライベートジェット。
機内は、高級ソファーのようなシートがゆとりを持って配置され、仮眠や食事ができるエリアもあります。

こちらは、プライベートジェットへと向かう空港の専用施設。
プライバシー性が高く、ラウンジからすぐに搭乗機へと向かうことができます。
ゴーン被告は大型のケースに身を潜め、ここを通り抜けたとみられます。

世界の富裕層が使うこのプライベートジェットが、今回の逃亡劇のカギになっていました。
国は富裕層を取り込んで、日本の競争力強化や経済成長につなげようと、10年ほど前から優遇策を次々に打ち出してきました。
主要な空港には、専用設備を整備。
出入国などの手続きの簡素化や時間短縮など、利便性を高めてきました。
テイラー氏らが目をつけたとみられているのが、まさに、この利便性でした。
富裕層が多く利用するなか、保安検査は義務化されていませんでした。
今回、税関の職員は「ケースには音響機器が入っている」という説明を信じ、中まで確認することはなかったということです。

実は、プライベートジェットを使い、金塊や薬物などを密輸する事件は国内外で起きています。
今回、プライベートジェットを使った事件をよく知る人物から話を聞くことができました。
高額な料金を支払っている乗客の検査は、甘くなりがちだといいます。

プライベートジェットを使った事件をよく知る男性
「感じるのは、出国検査は甘いですよね。VIP専用のところというのは、わりと信用して緩いですよね。税関の職員とか出国審査の人も忖度(そんたく)するというか、そういうもの(悪い物)じゃないですよねって目で見ているから、開封しにくい面もある。今回も『これなんですか』って聞けなかったんだと思う。」

国の政策で、各地の空港で相次いで作られてきたプライベートジェット専用施設。
今回、狙われたとみられるのは、関西空港に2年前にできたこの施設でした。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、ゴーン被告の逃亡は半年以上前から計画されていたとされていました。
少なくとも国内10か所の空港を下見し、この施設に巨大な警備の穴を見つけたとしています。
関西空港の専用施設では、大きな荷物は検査の機械に入らないことを発見したというのです。

プライベートジェットを使った事件をよく知る男性
「関西空港は非常に評判がいいですよね。非常に使い勝手のいい空港。立派なラウンジでスムーズですよね。できたばっかりだったから取り扱う件数も少なかったし、手薄だったんじゃないですかね、全般的に。」

逃亡したゴーン被告と連絡を取り合っていた、フィリップ・リエス氏です。
ゴーン被告とともに書籍の出版の計画を進めており、そこには今回の逃亡劇の内幕も盛り込みたいと考えています。

仏通信社 元東京支局長 フィリップ・リエス氏
「決して安直なものではなく、本当の出来事と彼自身の今日までの軌跡をしっかり描いていきたいと思っています。」

知られざる逃亡の舞台裏。スタジオでさらに深く見ていきます。

会見で語られなかった「内幕」

武田:まず、昨夜のゴーン被告の会見の主なポイントです。“自分は無実”、そして日本の刑事司法制度を批判しました。さらに、“これは日産と検察の策略だ”と主張しています。
一方で、逃亡の経緯については明らかにすることはありませんでした。
取材にあたっている神津さん、現時点で逃亡の舞台裏について、どんなことが分かっているんでしょうか?

神津全孝記者(社会部):今回の逃亡は、日本の監視体制の甘さを突く、周到に準備された計画だったということが分かっています。逃亡には少なくとも2人が協力していたことが分かっていますが、海外のメディアは関係者の話として、出国計画には複数の国の10~15人が関わっていたと報じていて、また、メールではなく人がメッセンジャーになって連絡を取り合っていたとしています。また、このチームは20回以上来日して国内の港も偵察しボートで逃亡することも検討していたとしています。また、かかった費用は数億円に上るとも報じられています。

武田:ゴーン被告が保釈された際には、行動にさまざまな制限がかけられていたわけですよね。にもかかわらず、こうしたことが起きた。これはどういうことなんでしょう?

神津記者:保釈中の住居の玄関には、監視カメラが設置されていました。しかし3日以上の旅行でなければ国内の移動に制限はなく、外出先でたとえ誰かと会ったとしても、事実上、監視の目は行き届かない状態でした。テイラー氏らが日本に到着し、ゴーン氏をプライベートジェットに運び込んで出国するまでかかった時間は、僅か13時間。新幹線のチケットも事前に購入していたとみていて、監視体制が緩くなりがちな年の瀬の間隙を突いた、周到に練られた逃亡計画を実行したとみられています。

武田:ウォール・ストリート・ジャーナル紙、東京支局長のピーター・ランダースさん。今回の逃亡には民間の軍事会社出身の男が関わっていたとされていますけれども、民間の軍事会社の人とはどういう人なんでしょうか?

ゲストピーター・ランダースさん(ウォール・ストリート・ジャーナル 東京支局長)

ランダースさん:アメリカとかイスラエルに退役の軍人がいっぱいいて、退役してからまたエキサイティングな世界で活躍したい、軍隊にいたころと同じような仕事をしたいという人がいまして。

武田:どんなことをしているんですか?

ランダースさん:例えば、石油会社が危ない国で石油を掘っていると。そこには軍事組織があるかもしれない。場合によっては武器を持って守るというような任務もあるし、企業スパイ、企業の秘密を引き出すような仕事もするんですね。

武田:今回のような、いわばスパイ大作戦のような活動もしていると。

ランダースさん:そういう場合もあります。

武田:もう1つ逃亡に使われたポイント、それがプライベートジェットです。今回の事態を受け、国はプライベートジェットに持ち込む荷物の保安検査を義務化しました。神津さん、逆に言うと、なぜこれまでは義務化されていなかったのでしょうか?

神津記者:プライベートジェットは主に富裕層や企業のトップなどが利用しているため、専門家は、乗客が問題を起こすとは考えにくいという先入観があったのではないかと指摘しています。また、荷物の保安検査はテロやハイジャックを防ぐ目的がありますが、不特定多数が乗る定期便とは違って、プライベートジェットの利用者が自分に危害を与えるようなものを機内に持ち込むとは考えにくく、検査が甘くなる一因になったのではないかと指摘する専門家もいます。

武田:もうひと方、東京地検特捜部元検事の髙井さん。これだけ周到に準備された逃亡劇が起きてしまった。どこに問題があったといえるでしょうか?

ゲスト髙井康行さん (元東京地検特捜部検事)

髙井さん:まず、これだけその道のプロが複数組織だって動いている以上、これを防ぐというのはなかなか難しい。条件をいかに厳しくしても、なかなか難しかったと思うんですね。ただ、旅券を彼に持たせなかった。もう1つ、もっと監視を厳しくしていれば、こんなにやすやすと彼らの作戦が成功するということはなかったのではないかと思います。
いずれにしても彼らの行為は、日本の刑事司法を意図的に骨抜きにしようというもので、これは極めて法曹の一員としては腹立たしい。かつ、これらの行為は日本の刑事司法をないがしろにしている。ありていに言えば、なめていると。断じて許せないと思います。

武田:逃亡の末に現在はレバノンにいるゴーン被告。今後、どうなっていくのか。注目のポイントを見ていきます。

どうなる?今後の身柄 裁判の行方

カルロス・ゴーン被告
「私は公正な裁判が受けられる国ならどこでも裁判を受ける。私はレバノンの法律を信頼しています。」

ゴーン被告は、今後もレバノンに残り、潔白を訴え続ける考えを示しました。
日本との間で、容疑者などの身柄引き渡しに関する条約を結んでいないレバノン政府。
ゴーン被告の日本への身柄引き渡しに協力する見通しは、ほとんどないとみられます。

レバノン セルハン暫定法相
「ゴーン氏のレバノン入国は合法的でした。要請に応えるにしても、レバノンの法律に基づいてゴーン氏を聴取することになるでしょう。」

日本の検察は、逃亡への厳しい姿勢をアピールしています。
ゴーン被告の保釈中の住居を捜索。
ゴーン被告の国際手配をICPOに要請しました。

おととい(8日)、妻のキャロル容疑者が証人尋問でうその証言をしたとして逮捕状を請求。
海外での動きを制限する狙いがあるとみられています。
ゴーン被告の帰国のめどがたたないなか、包囲網を狭めようとしています。

検察幹部(取材メモより)
「裁判にかけるために、やれることは全部やる。」

ゴーン被告保釈を認めた裁判所。
内部で戸惑いが広がっています。

裁判所幹部(取材メモより)
「本当に参った、相当な衝撃だ。保釈の条件設定が甘かったといわれても仕方がない。結果論だが、保釈金も少なかったのかもしれない。金さえあれば逃亡でも何でも出来るのか。」

検察は、今回の保釈の判断に強い懸念を抱いていました。

検察幹部(取材メモより)
「保釈は絶対にダメだと言い続けてきた。裁判所の判断をここまで強く批判したことはない。」

15億円の保釈金を捨ててまで逃亡したゴーン被告。
会見ではメディアをみずから選別。
アラビア語やフランス語など複数の言語で訴え、国際社会へアピールしました。

カルロス・ゴーン被告
(アラビア語)「この困難な時に私の側にたってくれる国があるとすれば、それはレバノンです。」

(フランス語)「日本を脱出したとき、人生を取り戻したと実感しました。」

海外メディアは、「日本の司法制度は非人道的だ」などと、ゴーン被告の主張を引用する形で大きく報じています。

仏通信社 元東京支局長 フィリップ・リエス氏
「今回の日本の検察のやり方は、日本の評判をおとしめた。世界における日本のイメージを傷つけた。」

ゴーン被告の主張に対し、日本では法務大臣が未明に異例の会見を開き反論しました。

森法相
「国内外の向けてわが国の法制度や運用について、誤った事実をことさらにけんでんするものであって、とうてい看過できない。」

会見でゴーン被告は日産の複数の幹部の実名を挙げ、策略によって失脚させられたと主張しました。
名指しされた西川廣人前社長は、けさ…。

日産自動車 西川廣人前社長
「不正の話とは全く次元の違う話だと思います。あの程度の話なら日本ですればいい。拍子ぬけしました。」

レバノンの市民は、逃亡してきたゴーン被告をどう受け止めているのか。
レバノンでは、去年(2019年)10月から反政府デモが続いています。

「腐敗した政見よ、退陣しろ!」

汚職や不正への反発が強まるなか、ゴーン被告に対して批判的な声が聞かれるようになっています。

デモ参加者
「ゴーンはここに隠れるために戻ってきた。腐敗した政治家が受け入れてくれるからね。」

「誰でも汚職や罪を犯したならば裁かれるべきです。」

地元のジャーナリストは、レバノンでのゴーン被告の立場は必ずしも安泰ではないと指摘します。

地元ジャーナリスト ダイアナ・ムカレッド氏
「ゴーン氏は金と権力を使い、特権階級だから戻って来られた。国際的なプレッシャーが高まれば、レバノン政府も対応せざるを得ず、ゴーン氏はこの国に長くはとどまれない可能性もある。」

国際問題に発展したゴーン被告の逃亡劇。
今後の注目点を掘り下げます。

今後のポイント さらに詳しく

武田:レバノンの検察は9日、当面、ゴーン被告が国外へ渡航することを禁止しました。
では、その身柄は今後どうなっていくのでしょうか。関わってくるのが、「犯罪人引き渡し条約」です。現在、日本が締結しているのはアメリカと韓国の2か国のみです。

さらに、レバノンには自国民をほかの国に引き渡すことを禁じた国内法があるため、日本にゴーン被告を帰国させて裁判を受けさせることは難しい状況となっています。
ゴーン被告に対して今後、検察はどんな手段をとっていけるんでしょうか?

髙井さん:まず最初に、検察は地の果てまでもゴーン被告人を追いかけるという固い決意をする、それがまずもって必要だと思います。そのうえで、ICPOの協力要請を強力にする。フランスの捜査機関と協力する。場合によっては、レバノンの司法機関が関心を持つ資料をレバノンに提供するということ。国内においては、逃走経路を詳細に明らかにして犯人隠避の可能性がある人が現れれば逮捕状を取る。当面、この4つを徹底的に進めていくということが必要だと思います。

武田:ゴーン被告は昨日の会見でも、日本の司法制度を批判して国際世論を味方につけるということを狙っていたように見えたんですけれども、ランダースさん、海外ではこういった姿勢はどのように受け止められているのでしょうか?

ランダースさん:一定の効果はあったと思います。一部の論調を見るとよく潔癖を訴えた、無罪のように見えましたと評価する声はそれなりに聞いていますね。それに対して、十分説明していないじゃないか、疑惑があって起訴の内容から離れた疑惑もたくさんありまして、全部答えているわけではないという指摘もありますね。

武田:一定の評価はあるんだけれども、疑問を呈する声もあるということなんですね。
一方で、ゴーン被告は会見の中で「日産の策略だ」とも主張していますが、日産のマーケットでの評価はどう受け止められていますか?

ランダースさん:ただでさえ業績がぐっと落ちている企業なので、マイナスではあるかと思います。これから2020年、会社を立て直さないといけない。ゴーン被告の責任で拡大戦略をとって、裏目に出て、日産の業績が落ちているというゴーン責任論もありますが、いまさら言ってもしょうがないですから、日産を立て直す年にならないといけないんじゃないかなと思います。

武田:海外からは、日本の司法制度に対する疑問の声も上がっています。一方、保釈を認めていくという流れはありますね。また、その中で保釈中の被告が逃亡するという事件も相次いでいるわけですが日本のこれからの司法制度。特に保釈の制度をどう変えていったらいいのか。髙井さんはこの2点、「GPSによる監視」「保釈中に逃亡した場合、重い刑を科す」ということですね。これはどういうことでしょうか?

髙井さん:まず、保釈を認めるという傾向は今後も多分続いていくだろうし、続けていかなくてはいけない。ただし、今のままでは逃亡が増えることは間違いないので、GPSを装着させて行動を監視する。それと同時に、保釈中に逃亡した場合には、逃げなければよかったと思うくらいの重い刑期を科す、新しい罪を創設する。それによって抑止するということが必要です。ただしそのかわり、今はどんな場合でも保釈金が必要なんですが、場合によっては、GPSをつければ保釈金はいらないというような制度を考える価値はあると思います。

武田:保釈金は、こういった制度を設ければなくしてもいいと?

髙井さん:全部なくすわけにはいかないですが、要するに今の制度では罪証隠滅行為を防ぐには十分ではないんです。防ぐには保釈金は残さなければいけない。ただし軽い事件についてはなくてもいいのではないかということです。

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