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2019年6月6日(木)

人生100年時代 “脱おっさん”で生き残れ

人生100年時代 “脱おっさん”で生き残れ

人生100年時代、“おっさん”がもう一度“会社で輝こう”という動きが広がっている。これまでの「定年まで我慢」が通用しない時代になったというのだ。“脱おっさん”に必要な5つの力、そして、ちょっとしたことで変身できる秘策…。会社で輝き、プライベートも充実させる。人生100年時代、新たな生き残りの道を探る。

出演者

  • 石山恒貴さん (法政大学教授)
  • 木下紫乃さん (スナックひきだし・人材開発コンサルタント)
  • 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)

“会社の鎧”脱ぎ捨てることがスタート

おじさんサラリーマンから抜け出す“脱おっさん”。まず大切なのが、長く勤めた会社という鎧(よろい)を脱ぎ捨てること。今、それに挑んでいる大手自動車部品メーカーのエンジニア、根津幹夫さん、48歳です。

商品開発に長年携わり、今は企画開発のリーダーを任されています。しかし、50代を目前に控え、仕事のやりがいを維持できるのか不安を抱くようになりました。

根津幹夫さん
「キャリアプランて何?を全然考えてもいなかったので、役職定年になったらどこへ行くの。仕事もやりたいことができるのか。給料下がってモチベーションが続けられるのか。いろいろありますよね。ネガティブな要素ばっかり出てくる。」

根津さんが始めたのは、「他社留学」と呼ばれる研修です。主に大企業に勤める人が対象で、元の企業で働きながら、週に1回ほどベンチャー企業でも働くというものです。少ない人数で新規事業に取り組むベンチャー企業では、個人の能力や主体性がより問われます。その経験が、人生の後半戦を切り開く力になるというのです。

しかし根津さんは、会社人生で染みついた自分の現実を思い知らされます。研修先は、人材紹介のサービスなどで急成長しているIT企業。社員は31名、平均年齢は33歳です。

社長との面接で…。

IT企業 加藤健太社長
「うちみたいな会社に来て、根津さんが得ようとしているものは?」

根津さん
「私自身プロパーの社員だったので、経験値というのはどうなんだろう。自分が通用するのか、生かせるのか。もう本当にいろいろあって、正直どれというのは何とも言えない。」

加藤社長
「プロアクティブ(積極的)に自分が動かないと、たぶん、ぽっと入っても『おじさんが来た』みたいな感じで、根津さん自身が、どの辺をどういうふうに関わってみたい、学びたい。そこを、ご自身で考えてもらったほうがいいと思うんですよね。」

自分は何がしたいのか。根津さん、うまく答えられませんでした。翌週、根津さんは研修を仲介している会社へ相談に訪れました。

人材紹介会社
「大企業の皆様って、どちらかというと会社の事情があって、そこに自分を合わせていく。」

根津さん
「それはありますね。」

人材紹介会社
「自分だったら何ができるかわからないけど参加したいと思えるか。『私』をどう出すか、ということだと思うんですけど。」

これまでの根津さんの会社人生には、なかった考え方でした。

根津さん
「ちょっと弱いところが出ましたね。自分で言うのもなんですけど『あっやべえな』。今までは『会社の中でどうしたい』『何ができる』『何がやりたい』と考えていたのが、その会社という枠を外された途端に『あれ?』って感じになりました。」

3週間後、根津さんは再び、研修先のIT企業を訪れました。面談の場で、根津さんは…。

根津さん
「とにかく全部受け入れます。いい悪いはかかわらず、それによって化学変化が自分の中で起きるのか起こすのか両方あると思う。おっちゃんパワーで頑張りますよ。」

根津さん
「よろしくお願いします。」

加藤社長
「期待してます。」

根津さんの“脱おっさん”計画がスタートしました。

“まずやってみる” “仕事の意味を問い直す”

専門家によると、“脱おっさん”のためのキーワードは、こちらの5つ。

「まずやってみる」。そして、「仕事の意味を問い直す」。まずは、この2つを詳しく見ていきます。

合原:東京・日本橋です。こちらのオフィスに“脱おっさん”に成功した方がいらっしゃるそうです。

仕事への向き合い方が劇的に変化したという、久武悟朗さん、49歳です。

大手電機メーカーの社員ですが、去年(2018年)10月から研修として、1年の期間限定で、ベンチャー企業で働いています。元の会社で新規事業の開発リーダーを務めていた久武さん。液晶などを使った新製品の開発を担ってきましたが、どれも発売には至りませんでした。

組織の中で評価されず、期待通りの昇進も望めないのではないか。働く意欲を失いかけていたといいます。

久武悟朗さん
「“おっさん”そのものだったと思います。酒飲んだら愚痴が多かったし。『なんで認めてくれないんだ』みたいな発想になりがちでした。」

“脱おっさん”のキーワード「まずやってみる」。久武さんが研修先で取り組んだのは、経験のない弁当事業でした。出社は、毎日午前7時。新メニューの開発や販路拡大を任されています。スタッフが少なく、調理も自分で行わなければなりません。

久武さん
「家事ほとんどやってないから。衝撃ですね。180度変わりました。」

過去の自分にとらわれず、新しいことに挑戦しなければならない環境。その中で、働く意欲を取り戻していったのです。

久武さん
「自分たちが作ったやつが、本当にお金払って買ってくれるのが、すごい。一般消費者と直接話したり売ったりは初めてだったので、すごい面白いです。」

もう1つ、“脱おっさん”のキーワード「仕事の意味を問い直す」。久武さんは、自ら考え、行動する中で、その意味に気づきました。

「栄養価が一番高いのはピンクの部分。これがスープに全部溶け出す。」

久武さん
「あっ、この部分ね。」

地元の商店街の人たちと知り合う中で、捨てられていた牛の骨がスープに使えることを知った久武さん。アイディア次第で食品ロスを減らすことができ、社会に役立つ仕事になると気づきました。

久武さん
「うまい!」
「腐っていた自分とは違って、新規事業を、新しいことをチャレンジする。やっぱりもう1回やってみたいです。乗り越えたいなと思います。元の自分には戻りたくないです。」

久武さんの変化は、家族にも影響を与えています。妻と3人の子どもと暮らす久武さん。瞳さんは、最大の変化は愚痴が減ったことだと言います。

合原:「すごく変わった」とおっしゃっている。

妻 瞳さん
「新しいことワクワクしながら仕事しているほうが、それはいいですね。腐っていない。腐らずに何とか前にどんどん進んでいこうとしている。それはいいなと思っています。」

合原:応援の気持ち?

妻 瞳さん
「もちろんそれは応援したいです。この1年の経験をもって、新しく何を仕掛けるのかなと、すごい不安ですけど、楽しみですね。」

“脱おっさん”のための5つの力。どうすればよいか、具体的に見ていきます。

会社人生が激変!5つの具体策とは?

ゲスト 石山恒貴さん(法政大学教授)
ゲスト 木下紫乃さん(スナックひきだし・人材開発コンサルタント)

武田:“脱おっさん”して、イキイキと働くためのポイントを、40代以上の会社員4,700人を対象に行った調査で見えてきたのが、こちらの5つです。VTRでは、このうちの上2つをご覧いただきました。

この調査を行った石山さん、「まずやってみる」と言われても、一体何をやればいいんでしょうか?

石山さん:ホームとアウェイを行ったり来たりするということだと思うんですけれども、アウェイというのは、あんまり自分が慣れ親しんでいなくて、以心伝心でもなく、ちょっと居心地の悪い、新しい価値観のある場所です。そこを行ったり来たりすると、思いつかなかった、ふとした情報が「あれ?これをホームでつなげてみたらうまくいくかな」ということが思い浮かんだり、「こんなこともできるかな」と思ったりすると思うんですよね。

武田:違う体験さえできれば、ほかの会社に無理やり行ったり、転職したりしなくてもいいということなんですね。

石山さん:全くその通りです。PTAで役員をやってみる、ということでも全然OKなんですね。

武田:私、子どもの学校のおやじの会をやっていましたけれど…。

石山さん:例えば、おやじの会みたいなところだと、誰かが命じて「この役割をやってください」というわけではなくて、自分で「これをやりましょうか」とか「お互いにどうしましょうか」ということが発生したりするじゃないですか。そういうところが、実は一番学びになるんです。

武田:もう1人、ゲストをご紹介したいと思います。人材開発コンサルタントの木下さんです。

普段はコンサルタントの仕事をしている木下さん。実は週に1回、昼間はスナックのママとして、おじさんたちの人生相談に乗っています。

来店客
「やっぱりチャレンジじゃなくて、安定のほうに引っ張られる人はいる。」

木下さん:楽しいかどうかで判断すれば、絶対、楽しいことをやるほうが楽しいと私は思う。

2年半で700人の相談に乗ってきたそうです。

武田:皆さん、どんなモヤモヤを抱えているんですか?

木下さん:今の大きな会社さんだと、役職定年が50代の中盤ぐらいにあって、定年が60、もしかしたら65になったり、ひょっとしたら70になるかもしれないんですけれども、その中で、役職はなくなるし、仕事もイキイキできるとも思えないというような漠然とした不安ですよね。しかも、それを相談する人がいないんですね。同じ組織だと、例えば「あいつは同期だけれども部長だ」とか「こいつは同期だけれど何が」とかっていう序列が、昇格の部分でついてしまっているから、やっぱりそういう人にそういう弱みを見せるのは、とても難しいことだと思います。もう1つは、どうしていいか分かんないんだけれど、「自分は何者でもない」と皆さん思っていて、「自分には何もできない」というふうに言う方がいらっしゃいます。

武田:分かります。アナウンサーをやっていても、30年これしかやっていませんし、アナウンサーなんて仕事はほかの会社にないじゃないですか。「ここにしがみつくしかない」と思ってしまいますね。

木下さん:そういう悩みを抱えている方が多いんです。

石山さん:私は、これからは会社の中でも弱みをどんどん言うべきだと思っていまして、実際、今、リーダーシップ理論って変わってきているんですね。「オーセンティック リーダーシップ」という理論があって、「等身大の自分を見せる」「自分の弱みを見せる」これがいいリーダーシップだというふうに変わってきているんです。そういった弱みをリーダーが見せると、“しくじり効果”って言うんですけれども、みんなの共感が上がるという研究結果もありまして、そうすると、そのリーダーのために自分はもっとそれを補って、「私はこんなことをやろう」ということで、今度は周りの方たちの自発性が上がっていく効果もあったりするんです。

武田:“脱おっさん”を図るためには、まず等身大であることも大事なんですね。

人生を激変させる“目標”とは?

合原:「まずやってみる」とか「仕事の意味を見い出す」これができないんですという方にぴったりの方法があるんです。それが「目標を立てること」。しかも1か月ごとの目標です。

武田:短くないですか?

合原:短いんです。簡単そうに見えるんですけれど、難しくて、私も実際やってみたんですが、“おっさん化”が進んでいると言われてしまいました。

武田:えっ、合原ちゃんが?

“1か月ごとに目標” 立て方にポイントが

合原:おっさんから抜け出そうというプロジェクトが進んでいます。お邪魔します。

こちらの建設会社。自発的な社員を育てるため、毎月、目標設定のセミナーを開いています。

セミナー講師 北川賢司さん
「古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する。これが身についた方が“おっさん”です。」

毎月、目標を立てるメリット。それは、すぐに結果がわかり、実現できた喜びから翌月、新たな挑戦につながることです。次々と、短い期間で新しいことを達成していく中で、仕事に留まらず、人生全体に前向きな好循環が生まれるというのです。

セミナー 参加者
「目標設定はすごい大事。今回、目標を設定して、ちょっとずつ何か変えていかないと。」

セミナー講師 北川賢司さん
「人は外部から変化を強いられると変わりたくない。大事なのは、自分で変わりたいという、自分で変わりたいと思える気づき、そういう場作り、そこだと思います。」

さらに、目標の書き方にもポイントがあるそうです。私も実際に書いてみて、目標設定の達人、北川賢司さんに指導を受けました。

合原:スペイン語圏でのロケでスムーズにインタビューができるように、大学時代に学んだスペイン語のレベルを戻す努力をする。日常会話ができるレベル。

武田:でも、これは1か月で無理じゃない。

木下さん:確かに。

そうなんですけど、北川さんからは…。

北川さん
「腹決めができていない。」

合原:できていない。

北川さん
「ここがよく分からない。」

まず、指摘されたのは具体性の無さです。

ロケをいつ行うのか書かれていないこと。さらに「努力をする」という書き方もダメだと言います。

木下さん:達成する気が無いから具体的じゃないんだ。

そうなんです。「逃げの姿勢が表れている」と言われてしまいました。

合原:けっこう後ろ向きだったかもしれません。“おっさん化”しているみたい。ちょっと怖くなりました。

“脱おっさん”の第一歩、目標をどう立てれば良いのか。さらに詳しく見ていきます。

目標の立て方にポイントが “タニモク”も

合原:目標を立てる上で大切なポイントが、「期限を決める」とか「言い切る」以外にも、「少し背伸びする」到達可能な目標を立ててしまうと意味がないと。そして、「自分がわくわくする目標にする」自分がその目標を達成して、どういうふうになっていたいかという姿を一緒に書き加えることで、よりリアルに想像できて前向きになれるということでした。

私の場合は、スペイン語でインタビューする姿を具体的に書き込むということだったんですけれども、そうすると、ちょっと変わるんですね。驚きました。

武田:今やっているんですか?

合原:やっているんです。やっぱり1か月という期間だと短いので、1年先だと忘れてしまう目標も、頭の中にあって「やろう」と思えるので、前向きに勉強できるようになったのが結構驚きでした。

武田:でも、目標と言われても、今の仕事をこなすので精いっぱいで、これ以上どうすればいいんだと、やる気も、現状維持するだけでも難しいじゃないですか、このぐらいの年代になると。

木下さん:それは逃げだと思いますよ、武田さん。仕事って、いくらでも自分で時間のコントロールができると思うんですね、これぐらいの世代になると。目の前にある仕事があるから、そこに逃げているんだと思います。

武田:痛いなぁ。

合原:さらにお勧めな方法がありまして、自分では目標を立てられないという武田さんのような方にもお勧めなのが、“タニモク”=他人に目標を立ててもらうという方法です。

会社の外の人に悩みを打ち明けて、共有をして、「じゃあ、こうしたら?」というふうに目標を立ててもらうと。他人の目線が入ることで、新しい発想が出るという取り組みなんです。

木下さん:私が今やっているスナック、これは「昼スナ」って、昼間にやっているスナックなんですけれども、これを始めたきっかけも実は“タニモク”で、ほかの人から、「あなたがやりたいことがこうなんだったらスナックをやってみるというのどう?」って教えてもらったというか、「あなただったらこうやればいいじゃん」と目標を立ててもらったんです。その時は、バカバカしいって半分思っていたんだけれども、それが何かずっと残って、その話をほかの人にしたら「ありじゃない?やったら?」っていうような話から、結果的に2年半ぐらいやっているんですけれども。「こういうことをやればいいじゃん」と投げかけをしてもらうことで、自分が考えている自分がバッと広がるんですよね。

武田:“脱おっさん”して、イキイキと働くためのポイント。次は、「年下とうまくやる」「居場所をつくる」。どういうことでしょうか。

“年下とうまくやる” “居場所を作る”

「年下とうまくやる」、そして「居場所をつくる」。この2つに成功した人がいます。大手飲料メーカーに勤める、宮澤敏行さん。7年前に役職定年を迎えました。

その後、「TOO」=となりの・おせっかいな・おじさん(おばさん)という取り組みをしています。その役割は、新入社員からベテラン幹部まで、役職に関係なく相談に乗ることです。

宮澤敏行さん
「2年生はどう?」

2年目の社員
「2年生ですか。急に忙しくなりました、1年目に比べて。」

この「TOO」、実は宮澤さんが同時期に役職定年を迎えた仲間と話す中でアイデアが生まれました。入社して35年で部長職まで務めあげた宮澤さん。役職定年を迎えた後は、部下のいない立場で会社に残ることになりました。経験が豊富な一方で、部下を評価する立場ではなくなった宮澤さん。それを活かし、社員の悩みを聞いて職場環境を良くする取り組みの中に、社内での居場所を作り出しました。

宮澤さん
「困ったことは?」

6年目の社員
「最近困っていることですか。ある程度の年次にきているので、求められることや業務の重さを感じていて。」

社員全員との面談は、守秘義務を徹底しながら、若手と幹部とのパイプ役になっています。

4年目の社員
「評価の権限を持っているわけではないので、何でも相談しやすい。ちょうどいい距離感の存在。」

さらに、若い社員と接する中で、会社の外での生き方も変わり始めていると言います。最近、コンサートや演劇の鑑賞などに足を運ぶようになった宮澤さん。人生100年時代、まだまだ楽しめることがあると気づき始めています。

宮澤さん
「TOOをやって人と接することで(自分に)刺激を与えて、いろんなことをやってみたい気持ちになった。」

いまや「TOO」は、会社が人事発令を行うまでになり、全国で11人が活動しています。

19年目の社員
「全員が全員、管理職になれるわけではない。私たち若い世代にとっても(TOOの)役割は、非常に目的意識を再度認識できる。さらにモチベーションが高まる。」

「年下とうまくやる」、そして「居場所をつくる」。その秘訣を、この後お伝えします。

会社人生が激変!5つの具体策とは?

石山さん:1回、年下という意識を外してしまって、同じ立場として、平たくいろいろ話せるようになると、かえって、いろいろ情報も集まるし、みんなから頼りにされるようになるし、そうするとやりたいことができる幅が広がっていくんじゃないかと思うんですよね。

武田:こっちは親しくしたいと思っていても、若い人からすると、そういうおっさんって、どう思われるんでしょうか?

木下さん:ここは、そういうふうにシャイにならないで、若い人は力が欲しい、助けを求めている人が結構多いんです。ただ、大事なのは、上から目線でアドバイスしてやるとか、俺が評価してやるという態度は絶対ダメ。一緒に足を動かして、手を動かしてくれる人だったら、むしろ大歓迎で、ベテランの方のほうが、例えば人脈があったり、経験もたくさん持っていらっしゃるので。

武田:もう1つのポイント「学びを生かす」とありますけれども、これはどういうことでしょうか?

石山さん:実はこれが一番大きくて、例えば研修を受けて活躍している人は、どんな機会でも、何かしら自分で学び取っているというか、「使えることがあった」と言っているんですけれども、残念ながら活躍できていない方たちは、「研修は役に立たなかった」とか「これは役に立たなかった」とかっていうアンケートがどうしても多くなるので、いかにそこから振り返るかが「学びを生かす」という意味なんですよね。

武田:それは研修だけじゃなくて、例えば自分が今まで学んできたあらゆる経験。

石山さん:おっしゃる通りです。

武田も実感!アナウンサー人生が自分の武器に…

実は今回、私も社外研修を体験してみました。そして、「学びを活かす」ことの大切さを実感しました。NHKに勤めて30年近く。自分は何を学んできたのだろうと思っていました。

武田:アナウンサーは一番つぶしがきかない仕事と思っている。ものすごく不安。

人材紹介会社 米田瑛紀さん
「それはやはり当事者(武田アナ自身)の視点ですから、いろんな可能性があると思ったりする。」

武田:ひとつひとつのニュースを、とにかく間違えずにやる。

米田さん
「いいところありました。」

研修先として紹介されたのは、ドローンのソフトウェアを開発している会社。これまでの災害報道の経験や蓄積を元に、新しいサービスを開発するという目標を立ててもらいました。

米田さん
「留学中にいろんな“修羅場体験”をして学ぶ。」

武田:いま“修羅場”と言いました?汗が出てきちゃった。

とはいっても、ドローンについて何も知らないので、必死に聞いて回りました。

武田:本当だ。くるくる回ってますね。すごい頭いい。

「空飛ぶテレビカメラと言ってもいい。」

武田:これなんですか?スピーカー?マイク?

「スピーカーなんです。」

武田:訓練です。今すぐ逃げてください。

ドローンのスピーカー
「訓練です。今すぐ逃げてください。」

「人を助ける必要があれば、雨でも風でも飛ばしていく。」

そして私が考えたのは、災害現場での避難の呼びかけや調査など、ドローンのより効果的な活用です。

武田:日本には大体2,000の活断層があるといわれてまして、もっとドローンを活用すれば(調査を)機動的にできる。

「意外とマーケットあるかもしれない。じゃあ、その線で進めてみますか、これは。」

武田:本当ですか?取材ということを除いて。

「差し引いて。」

武田:なんか僕、ここに残って、この仕事やりたいです。

この提案を考えることは、これまで関わった数々の災害報道を振り返るきっかけになりました。自分にも学んできたことがたくさんあると再認識し、それを活かしていきたいと決意を新たにしました。

武田:全く以前は道が見えていなかった。こうやって一歩一歩やっていけば、なんとかなると思えるようになった。

「“脱おっさん”、大成功!」

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