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2018年6月21日(木)
日本金星!めざせ決勝T 岡田×トルシエが次を占う

日本金星!めざせ決勝T 岡田×トルシエが次を占う

6月19日の日本vsコロンビア戦。その戦いぶりを、元日本代表監督たちはどう見たか。同じグループHのセネガルやポーランドに対して、日本代表はどう戦うべきか、そしてキーマンは誰か。1998年のフランス大会初出場、2010年の南アフリカ大会でベスト16へと導いた岡田武史さん。2002年の日韓大会で決勝トーナメントに導いたフィリップ・トルシエさん。日本を世界レベルに引き揚げた2人と武田キャスターが徹底トーク。名将たちだからこそ話せる、日本の秘策とは。

出演者

  • 岡田武史さん (元日本代表監督、FC今治オーナー)
  • フィリップ・トルシエさん (元日本代表監督)
  • 武田真一・鎌倉千秋 (キャスター)

日本金星! めざせ決勝T 岡田×トルシエが次を占う

ゲスト岡田武史さん (元日本代表監督・FC今治オーナー)
ゲストフィリップ・トルシエさん (元日本代表監督)

武田:下馬評を覆して初戦に勝利したサッカー日本代表。1次リーグ突破の期待が高まります。今日(21日)は、元日本代表監督の岡田武史さん、フィリップ・トルシエさんと徹底分析します。初戦の解説も担当された岡田さん、試合後には「日本は強くなった」と話されていましたけれども、ずばり1次リーグ突破の可能性は、何%ぐらいでしょうか?

岡田さん:難しいですが、確率論で言うとまだまだ勝ち点3じゃ低いんでしょうけれど。第1戦を日本が取ったということ、それから今のチームのムード、それとやっぱり、いろいろなことにチャレンジしているので、予想もしないことが起こってますよね。そういう意味で僕は、60%~63.5%ぐらいまで。

武田:そしてトルシエさん。試合前は厳しい戦いになると予想されていましたけれども、コロンビアに勝利した今、1次リーグ突破の可能性は何%ぐらいでしょうか?

トルシエさん:私は、63.6%と言いましょうか。というのも、やはり希望はまだあるわけですし、この初戦を戦ったあと、もちろん日本の方々も自信をつけたと思います。そしてチーム自体も自信がついている。ですから、夢みてもいいわけでして。でも、まだ2試合、大変重要な試合が残っていますし、簡単に勝てるものではない。60%以上はやはり突破できるという希望はあると思います、日本には。

鎌倉:そしてもう1人、NHKの電話取材にこの方も応じてくださいました。「考えて走るサッカー」を掲げ、日本独自のサッカースタイルを目指した、元代表監督のイビチャ・オシムさんです。
“予期していなかった勝利だが、うれしい。おめでとう。みなさんと喜びを分かち合いたい。だが、喜ぶのもほどほどに。陶酔感はいったん戸棚にしまって、冷静になってほしい”と話しています。

武田:日本代表は1次リーグ突破に向けてどんな戦略を取るのか。まずは一昨日(19日)行われたコロンビア戦から、そのヒントを探ります。

岡田×トルシエ コロンビア戦 徹底分析

コロンビアとの初戦に臨んだ日本。試合は開始早々に大きく動きます。
前半3分、トップ下で先発出場した香川のシュート。相手のハンドを誘い、一発退場。ペナルティキックを獲得します。キッカーは、その香川。

実況
「香川が決めた!日本先制!」

自身のワールドカップ初得点となる、貴重な先制点を挙げます。しかし、その後1人少ないコロンビア相手に押し込まれる場面が続きます。
前半39分。

実況
「キンテロが狙ってきた、グラウンダー!」

フリーキックを直接決められ、同点に。試合の主導権を握れないまま、前半を終えます。
しかし後半、見違える動きを見せる日本。積極的な仕掛けから、立て続けにチャンスを作ります。

実況
「シュートきた!」

「右サイド酒井が来た、クロス上げてきた、落とした大迫。酒井のシュート!」

そして後半28分。途中出場の本田のコーナーキック。フォワードの大迫が決めました。

諦めないコロンビアも、途中出場のハメス・ロドリゲス。

実況
「ハメスが来た!シュートだ!」

しかし、相手のエースに決定的な仕事をさせません。
最後まで集中を切らさず守り切った日本。2大会ぶりの1次リーグ突破に向け、大きな勝利をつかみました。

武田:まずは、この試合から見えてきた日本のキーマンについて聞いていきたいと思いますが、ゴールを決めた香川選手や大迫選手の活躍が目立ちましたけれども、お2人が誰に注目しているのか書いていただきました。

岡田さん:僕はやっぱり大迫ですね。やはり1点目のPKに関しても、彼が裏へ抜けていったところから始まっていますし、もうほとんどチャンスが彼絡みだったと思うんですよね。僕は大会前から彼の活躍、また、乾が突然すごいヒーローになっていくような、そういうようなものがないとなかなか難しいと言っている中で、大迫は確実に役割を果たしてくれていますね。

武田:そしてトルシエさんは、誰ということではなくて、「1つにまとまったこと」というお答えですね。

トルシエさん:というのも、グループとしての勝利だと思うからです。やはり連帯感があった、そしてその気でやった。そして、勝ちにいった。日本が大切にしているボールキープ、そしてどうやってボールを使うか。そして、必ずチャンスを作る。そうしたものが全部報われたと思います。ですから、この試合というのは、日本が全員で一緒になって攻撃した、守った。ゴールというのが連帯感から出てきたものでして、一丸となったチームがあったからこそ、今回の3つの勝ち点を取ったんだと思います。

武田:課題についてもお伺いしたいのですが、日本は11人対10人になったにもかかわらず、前半はちょっと積極的に攻めることができなかったかなという気もしました。この試合から見えた課題、岡田さんはどうお考えでしょうか?

岡田さん:チームがいいときに課題を探してそれを修正すると、かえって悪くなるときがあるんですよね。サッカーというのは「複雑系のスポーツ」といって、原因と結果が直結していないんですよ。そうすると、1つの原因を結果を直そうとしてよくしたと思っても、全体が狂ってくることがあって、そういう意味からも、僕はあまり大きな課題ということを見つけて動かないほうがいいと思っているんですよね。ただあえて言うなら、やはりイージーなパスミスがちょっと多かったので、そこは今度の相手を考えると、イージーなパスミスからのカウンターというのは怖いですからね。そのへんは修正したいところかなと思いますね。

武田:トルシエさんはいかがでしょうか?相手は1人少なく、また、エースのハメス・ロドリゲス選手もちょっと調子が悪いように見えました。日本はラッキーだったという面もあったのかなと思いますが、課題はどうお考えでしょうか?

トルシエさん:最初の問題として解決すべきは、まずは前半だったんですけれども、まずはリードして、そしてまた同点になったということで、パスをミスしたりなどがありました。特に、本当だったらゴールを決めていたチャンスもあったのに、できなかった。だから、日本は勝つのが怖かったんじゃないのかな。本当だったら、もう前半で相手を打倒できたにもかかわらず、それができなかった。
それから、もうちょっと効率のいいことをやるべきだったと思います。ゴールチャンスがいっぱいあったんだから、せっかくだからこういったものを、うまくチャンスをゴールにつなげておくべきだったと思う。だから、そういう意味ではもっともっと頑張らなきゃいけないと思っています。

鎌倉:そして元日本代表監督のイビチャ・オシムさんはコロンビア戦のポイントこのように話しています。
“破綻をきたさない程度に最低限クレバーにプレーできていた。特に後半は、攻めるべき時は攻め、ボールを保持すべき時には保持する。テンポの使い分けができていた。もっと堂々とプレーしたらよい。自信を持つことだ”。

武田:岡田さんも、「後半はチャレンジするべきだ」というふうにおっしゃっていました。まさにそのとおりになったわけですけれども、今のオシムさんの「自信を持つべきだ」という言葉、どうお聞きになりますか?

岡田さん:前のワールドカップのときに、ギリシャが1人少なくなって、引いて守られて崩せなかったと。ちょっと状況は違いますけれど、そういう経験値から、かなり試合運びはうまくなったなと。行くときと、行かないとき。ただ、同点にされたあと、ちょっとやっぱり自信をなくしたというか、またおどおどしたようなところがあったので、心配したんですよね。でも後半、本当に最初のプレーで裏を狙うスルーパスにチャレンジしていたし、これはいけるなという感触を持ったので、自信というか、もう次の試合に向けても、われわれはある程度できるという、堂々とした勇気を持ってプレーしてもらいたいですね。

鎌倉:ではここで、1次リーグ第1戦を終えての順位をご覧いただきましょう。日本は勝ち点3。セネガルも勝ち点で並んでいますが、警告数が少ない日本が1位となっています。上位2チームが決勝トーナメントに進むことができます。

日本にとって期待できるデータがあるんです。これまで日本は、初戦で勝ち点を取ると1次リーグ突破する確率、なんと100%なんです。日本のこれまでの初戦の結果なんですが、トルシエ監督が率いた日韓大会では、ベルギーと引き分けて勝ち点1。初めて1次リーグを突破しました。そして、岡田監督が2度目の指揮を執った南アフリカ大会では、カメルーンに勝って勝ち点3。1次リーグを突破しました。
ちなみに日本は、敗退、突破と交互にきていまして、この順番でいくと、今回は突破を期待したいところなんですよね。

しかし、一方で安心できないデータもありまして、過去5大会の1次リーグで勝ち点3だったチームの突破した確率は4.3%。つまり、日本が次の試合で引き分けると、勝ち点4。1次リーグ突破できない可能性も十分にあるんですね。そう考えますと、次もなんとか勝利して、勝ち点3を上乗せしたいところなんです。

武田:さあ、その次に戦うのはアフリカの強豪、セネガルです。勝つためのポイントを、昨日(20日)のポーランド戦から探ります。

岡田×トルシエ セネガル戦対策

昨日行われた、セネガルとポーランドの一戦。身体能力の高さが特徴のセネガル。しかしこの試合では、組織的な守備が光りました。相手を複数の選手で囲い込み、ボールを奪います。ポーランドのエース、レバンドフスキにも隙を与えません。攻撃でも、組織的なプレーで得点を奪います。
そして、身体能力の高さも見せます。フォワード、23歳のニアン。驚異的なスピードでボールを奪い、そのままゴール。

実況
「日本の我々は、このプレーヤーを覚えておかなければいけません。」

一方、セットプレーでは、守備のほころびも見えました。マークを外され、失点。それでもセネガルは、世界ランキング8位の強豪・ポーランドに勝利しました。
この試合では得点を挙げられなかったものの、最も注意すべきは、この男。イングランドの強豪・リバプールでプレーする、サディオ・マネ。持ち味は、どんな体勢からも得点できる高い身体能力。強烈な「個」の力で、ゴールをこじ開けます。

そのマネに、大会直前の取材で、日本について聞くと…。

サディオ・マネ選手
「僕のスピードに、吉田麻也はついて来られないでしょう。ゴールを決めてみせますよ。」

武田:なかなかの自信ですね。どう戦うのか、まずは岡田さん、セネガルの印象について、オシムさんも「やっかいなチームだ。大柄で強く、しかも速い」というふうに言っていますけれども、どういう印象をお持ちですか?

岡田さん:セネガルはかなり強いチームで、アフリカ独特の身体能力の高さ、これはすごいですよね。日本としても安易なミスパスからのカウンターとか受けたくないですし、ディフェンスラインの裏に大きなスペースは与えたくないですよね。
そのへんを考えるとともに、やっぱりセネガルのスピードに対して、ちょっとメンバーを入れ替えるとか、戦い方を大きくは変えないけれど、微調整はしてくる可能性はありますね。例えば、昌子のところにスピードのある槙野とか、また岡崎をかき回すためにもぜひ使いたいなと思うんですけど、大迫を外すわけにはちょっといかないと。そうすると、乾のところに岡崎を入れるとか、そういう微調整はあるかもしれないですね。
しかし、セネガルはシュートがあんまりうまくないんですよ。だから粘り強くついていけば、なんとか対応できてリズムを崩してくるんじゃないか。またディフェンスに関しても、アフリカの中では組織立ったディフェンスはするんですけれど、バイタルエリア、ディフェンスラインの前のエリアにぽかっとスペースが空くことがあるので、レバンドフスキも潰されたぐらいですから、大迫もそう自由にはできないと思うんですけれど、その前のスペースで香川真司とか2列目の選手が生きて、最後にショートラストパスを出すと。長い走りっこするとちょっとかなわないので、一瞬にして裏を取るようなプレーでチャンスを作れるんじゃないかなと、そういうふうに思いますね。

武田:トルシエさんは、日韓大会ではいわゆるフラット3を用いて強豪と渡り合いました。日本、直前の強化試合では3バックも試していましたけれども、トルシエさんが考える、対セネガルのフォーメーション・戦い方、いかがでしょうか?

トルシエさん:まず私が考えますのは、この試合では、あまり開かないほうがいいと思います。開き過ぎないほうがいい。3点があるんですし。セネガルの人々は本当にストレートにパワフルで、そしてカウンターがすごいんです。それからスピードで、スペースをすぐ空ける。となると、日本は待ちに入ったほうがいい。そうすれば、日本からカウンターが仕掛けられるから。となると、ディフェンスがすばらしいので、それをしっかりやる。柴崎を入れたいですね。柴崎の代わりに山口を入れて、そうすれば、中盤をよりディフェンシブにできる。それから、乾の代わりに宇佐美を入れる。乾はいい試合をしましたけれども、宇佐美を入れることによって、ここにフレッシュな力を入れることができる。
あとは、せっかく自信があるチームなので、あまりいじりたくないですね。あとは本田を試合の最後に交代で入れる。例えば、交代枠でコロンビアのときに入れたのは、本当にこのあたりは、日本の後半のベンチワークはすごくよかったです。

武田:トルシエさんは、鍵となる選手は、この中では誰だというふうに見てらっしゃるんですか?

トルシエさん:ここでも言いますけれども、やはりキーマンというよりは、一丸となったチームです。それに加えて、西野監督のお話が出てませんけれども、やはりコロンビア戦の勝利というのは攻撃的なプランで、とても攻撃的なシステムをやったということは、西野さんの賭けが勝ったということでして。彼こそが、まさに全体の一丸となるものを作り出した人でもあります。やはり日本の力というのは、一緒になってプレーをするということで連帯感があるということ。チームが一丸となるということが、この試合を勝つためには必要だと思っています。

武田:岡田さん、先ほどキーマンは大迫選手というふうにおっしゃいましたけれども、そのほか注目されている選手はどなたがいるんですか?

岡田さん:攻撃に関して最初にトルシエさんがおっしゃったように、日本は1人で打開して、クリスティアーノ・ロナウドのように点を取ってくるというのは難しいと思うんですよね。だからコンビネーション全体で取るんですけど、その中でも、先ほど言いましたようにバイタルエリアでボールを持ったショートパスを出す選手、それが柴崎だったり、香川真司だったりすると思いますね。そして、最初に注目として挙げた大迫が、前でどれだけ頑張れるか。そして彼が点を取ることによってチームが勢いづくと、そういうふうに思っていますね。

岡田×トルシエ 1次リーグ突破の秘策

鎌倉:1次リーグ突破に向けてはあと2試合なんですけれども、仮に次のセネガル戦で引き分けたり負けたりした場合は、第3戦のポーランド戦の重要性がぐっと高まります。ポーランドの世界ランキングはこのグループトップの8位なんですが、世界屈指のゴールハンターとして知られるレバンドフスキ選手、初戦は不発だったんですね。

武田:トルシエさんと岡田さんに、残り2試合、1次リーグ突破に必要なことを書いていただきました。

まずトルシエさんは、先ほどと同じですね、「1つにまとまれ」。その心を、ひと言お願いします。

トルシエさん:ここでも私が申し上げたいことは、日本は勝つためには、やはり一緒になってプレーすること、そしていい試合をすること。もちろん日本の選手というのは抜きん出たものがありますが、しっかりとディフェンスラインを引くこと。それからセネガルに対しましては、あちらはパワーがあって経験も豊富、能力もあるし、それから資質もあるということで、やはり日本としてはゴールを一丸となって守る。そして4人、5人で攻撃をするということになると思います。一丸となったチームで、連帯感をもって、一緒になって努力をする。そしてとにかく勝ちにいく。けれども、負けてはいけない。そうすれば突破するということに至って、今度はポーランド戦というものが見えてくると思います。

武田:そして、岡田さんは「勇気!!」。その心は?

岡田さん:最初にも言いましたように、試合が始まったところからチャレンジすることを恐れない。そして戦う気持ち、そういうものを最初から持っていく勇気。最初はセーフティーにとか、そういう試合の入り方が多いんですけれど、90分通して勇気を持ってチャレンジすれば必ずいい結果が出るし、チャレンジした者だけが得られるものがあるんですよ。それは思ってもしなかったハプニング、例えば退場になるとか、そういうようなことが起こるんですよ。それはチャレンジする勇気を持ってるから起こると。そういう意味で、勇気を持って戦ってもらいたいと思っています。

武田:オシムさんは、“美しいゴールよりも結果が大切だ。みっともなくてもゴールを挙げることが重要だ”というふうに語っています。その注目のセネガル戦、25日月曜日の午前0時、キックオフです。念ずれば花開く。目指せ決勝トーナメント!頑張れ日本!