クローズアップ現代

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2018年1月15日(月)
“バブル”再来?それとも… どうなる世界同時株高

“バブル”再来?それとも… どうなる世界同時株高

去年、26年ぶりの株高にわいた日本経済。今年に入ってもニューヨーク市場で史上最高値をつけるなど、景気拡大への期待がさらに高まっている。金融緩和策によって膨大なマネーがあふれる中、世界の市場が謳歌しているのは、熱すぎることも冷たすぎることもない「適温相場」。しかし、世界の名だたる投資家や専門家を直撃すると、その先に潜むリスクが見えてきた。株高はいつまで続く?バブルの懸念は?マネーの潮流を展望しながら日本経済の行方を探る。

出演者

  • 熊谷亮丸さん (大和総研 チーフエコノミスト)
  • 中空麻奈さん (BNPパリバ証券 投資調査本部長)
  • 武田真一・鎌倉千秋 (キャスター)

“バブル”再来? 世界同時株高で日本は

バブルの再来なのか?30代のこの投資家、年明けは…。

投資家
「5日間で(利益は)6,616万円。」

株取り引きを始めて12年。去年(2017年)1年間で過去最大の8億3,000万円の利益を上げました。

投資家
「株を買って持っていれば、自動的じゃないですけれど上がっていくような感覚でした。天国のような相場になっています。」

26年ぶりの株高に沸く日本経済。ニューヨーク市場でも連日史上最高値を更新するなど、世界的な景気拡大への期待が高まっています。

ANAホールディングス 社長
「世界同時好景気の年だ。」

ローソン 社長
「さらに上向くんじゃないか。」

こうした状況、投資するにはちょうどいいとして「適温経済」と呼ばれています。でも、景気のよさを実感できないという人も多いのでは?今後の行方を、世界の大物たちが読み解きます。

投資家 ジム・ロジャーズさん
「今年の秋から来年にかけて、日本で何が起きるかというと…。」

2018年、世界同時株高は私たちの暮らしにどんな影響をもたらすのでしょうか。

鎌倉:連日、歴史的な高値が続く株式市場。世界に目を向けますと、去年から今年(2018年)にかけて、アメリカ、アジア、ヨーロッパと、あらゆる所で株高となり、「適温経済」と呼ばれる状況になっています。

この適温経済とは、「景気が上向いているけれども物価はあまり上がらない」という状態なんですね。適温経済の背景にあるのは、世界的に行われている金融緩和や、好調な企業業績。景気が過熱するでもなく、冷え込むでもない、ちょうどいい状態にあるというのです。

とはいえ、個人の賃金や消費は思うように伸びておらず、適温経済の恩恵は、必ずしも広く実感されてはいません。この世界同時株高、一体どのようにしてもたらされたのでしょうか。

世界同時株高 アメリカで何が?

世界同時株高の震源地は、株価の史上最高値を更新し続けるアメリカです。恩恵を受ける投資家たちの熱狂は、こんな所でも。先月(12月)、マイアミで開かれた現代アートの展示会。作品が庶民感覚では考えられない高値で取り引きされています。日用品のポリ袋で作られた作品。ついた値段はおよそ340万円。木材を使ったこの作品には1,000万円の値がつきました。

更なる値上がりが見込めると考える投資家たちのマネーが殺到。値が定まっていないものまで投資の対象になっているのです。

投資家
「アートの資産価値が上がっているので、投資家としては今がチャンス。」

投資家
「アンディ・ウォーホルの作品を600ドルで買う機会を逃したら、それが2,000万ドル以上になった。第2のアンディ・ウォーホルを探してるんだよ。」

投資熱が高まる背景にあるのは、中央銀行が進めてきた金融緩和。リーマンショック以降、市場に出回るお金を増やすために3.6兆ドルを市場に投入。その結果、投資対象の価格が高騰しているのです。さらに追い風となったのは、トランプ政権が打ち出した大幅な法人税の引き下げでした。企業の収益増加への期待が高まり、アメリカの株価は史上空前の伸びを示しました。
その影響は日本にも。アメリカ発の世界経済の好調に支えられ、企業の業績も改善。日経平均株価は1年間で3,650円値上がりし、26年ぶりの高値をつけたのです。

“バブル”再来? 日本株好調のなぜ

日本の株を買っている多くの外国人投資家は、株価はさらに上がると見て買い進めています。日本の株に2,400億円を投じているヘッジファンドです。

英ヘッジファンド運用責任者
「今年の見通しはどう?」

英ヘッジファンド運用責任者
「企業収益も好調で需要も好調。今年もポジティブなリターンが続くと期待できます。」

海外の投資家が、今後も日本株が上がると見るのにはある理由が…。日銀が世界に例のない金融政策を続けているからです。金融緩和策の一環として、日銀はある金融商品の買い入れを進めています。ETFと呼ばれる投資信託で、多くの上場企業の株式を組み合わせたものです。2010年に始まった買い入れは増え続け、その額は去年15兆円を突破。いわば日銀が日本企業の株価を下支えする状況が生まれているのです。

このヘッジファンドは、日本でのバブルの再来を期待しています。

英ヘッジファンド運用責任者 ジョナサンン・ドブソンさん
「日銀の買いが続く可能性は大きく、私たちにとって、とてもポジティブな要素。バブルだった1989年を超えて4万円台にのってほしい。」

“バブル”再来? どうなる世界同時株高

ゲスト熊谷亮丸さん(大和総研 チーフエコノミスト)
ゲスト中空麻奈さん(BNPパリバ証券 投資調査本部長)

2018年も適温経済は続くのか。スタジオには、見方の異なる2人のアナリストに来ていただいています。

まず大和総研の熊谷さんは、「適温経済は続く」という見方ですね。

熊谷さん:景気は強すぎても弱すぎてもいけない。今はお風呂でいえば、ちょうどいい湯加減で、熱くもぬるくもない状態が続いている。今年の日本経済は、まず海外経済がアメリカを中心に拡大しますので、日本から輸出が着実に伸びていくということがある。もう1つは日本銀行ですけれども、2%物価が上昇するまでは、今の大胆な金融緩和を続けますから、これも景気を下支えをしていく。もう1つは、今、安倍政権が経済界に対して3%の賃上げを要請していますけれども、徐々に国民の懐具合もよくなってくる。これらを受けて、企業収益が拡大する中で、株価は2万7,000円程度まで上がるんじゃないかと考えています。

そしてもうひと方、BNPパリバ証券の中空さんは、年前半は?

中空さん:強く続くでしょうと。これは今、熊谷さんがご説明にあったことが全部あるわけなので、ちゃんと株も上がっていきますし、金融市場は強いですと。ただし、年後半になるとハテナかなと思っていますのは、金融政策が、例えば欧州の中央銀行の金融政策、この6月で例えば社債の購入買い入れプログラムというのをやめようかという話もあるんですね。なので中央銀行のスタンスが変わってくる可能性が出てくる。加えて、去年の年末にアメリカで税制改正がありましたが、これを受けて年前半は好景気が続きますけれども、後半には息切れする可能性もある。年後半はちょっと不透明感が出るんじゃないかということで、ハテナにしてみました。

減税効果も一段落する可能性がある?

中空さん:過剰に強くドル高になり過ぎると、その反動が出てくるということも考えなくてはいけないかなと思います。

日本の株価の下支えになっているのが日銀のETFの買い入れということでしたが、これは長続きする?

中空さん:日銀が買おうが誰が買おうが、誰かが買っていれば株価って上がるんですね。上がることはいいことだし、みんなにとって株が高いって、なんとなくハッピーな感じがしますよね。なので、いいことではあると思うんです。ところが、それ続けていいかというと、やっぱり日銀、中央銀行が株を買い続けるということは、禁じ手の1つでもあります。それをやり続けるということは、市場経済には影響が出てきてしまうんですね。
例えば、日銀が結果的に日本の上場企業の多くの大株主になっている、しかも、それに対して議決権はどうなるのか、日本はこれからコーポレートガバナンスとかやっていくのに大丈夫かとか、さまざまな問題が出てくると思います。なので、中央銀行がずっとやり続けるということに関しては、問題が出てくるんじゃないかというふうには考えています。

投資家のほうも、日銀が買ってるんだったら大丈夫と、企業の業績に関係ない投資になってしまったりということもありますよね。

中空さん:それを「モラルハザード」というんですが、それを期待して投資行動を考えるというのは、ちょっとおかしなことになりますよね。

鎌倉:では、一般の人たちの景気の実感はどうなんでしょうか。こちら、日銀が先週発表した調査です。景気が1年前と比べて「良くなった」と答えた割合と「悪くなった」と答えた割合を見ますと、景気の受け止めは改善しています。一方、暮らし向きについては、「ゆとりがなくなってきた」と答えた割合が前回よりも増えて、多くの人がまだまだ景気回復を実感できていない現状がうかがえます。

適温経済の恩恵を多くの人があまり受けてないのではという見方については、どうご覧になっていますか?

熊谷さん:今の世界的な状況は、企業の取り分がどんどん増えて、他方で個人の取り分はなかなか増えないという、そういう状況があると。ただ実は、その状況こそが、景気の拡大を長期化させるということがあるわけですね。

まずそのグローバル経済の中で非常に企業は強くなってますから、企業の取り分が増えることによって、企業収益が上がって、株高が続く。他方で、個人の取り分はなかなか大きくは増えないわけですけれども、ただむしろ裏を返して言えば、そのことによって物価が上がらず、極端なインフレにならないわけですから、むしろ緩やかな適度なペースでの息の長い景気の拡大が続くという状況ですので、こういう微妙なバランスが、少なくとも今年いっぱいは続くんじゃないかと考えています。

適温経済の恩恵、企業はもうけて個人になかなか恩恵を感じにくいという状況については?

中空さん:私自身もあまり感じたことはないので、そのとおりかなというふうに思うんです。今、熊谷さんから説明がありましたとおり、個人と企業という、その対じする姿もそうなんですが、個人間でもやはり差が出てきているんだと思うんですね。
例えば、株式公開をした若手経営者というのはたくさんお金を持っていたりしますよね。先ほどビデオにもありました、たくさんお金をもうけてますという個人の投資家の方もいらっしゃる。なので、差が出てきているんだと思います。分配政策などをきちんと実行していくことが必要になるんだろうというふうに考えます。

鎌倉:というわけで、今は適温経済が続いていますが、そこに死角はないのか。好景気から一気に金融危機に見舞われたリーマンショック。あれから10年になります。当時、引き金を引いたのは、アメリカの住宅サブプライムローンでした。サブプライムローンというのは、低所得者層向けの融資で、これを組み合わせた金融商品は、リスクがある分、利率が高く、投資家の間で人気を集め、大量に出回っていました。ところが、住宅ローンを返済できない人が相次ぎ、金融商品が焦げ付き、一気に金融危機に陥ったんです。

適温経済に、果たしてリスクの芽は潜んでいるのでしょうか。

世界同時株高 リスクの芽は

リーマンショックをいち早く予言した、シカゴ大学大学院のラグラム・ラジャン教授です。今、その発言に世界が注目しています。

シカゴ大学 大学院 ラグラム・ラジャン教授
「バブルというのは、真っただ中にいると気がつかないもの。適温経済が続けばいいのですが、潮目は変わる。問題が起きれば、マネーは一気に逆流し、全員が大やけどを負うことになる。」

潮目の変化を感じ始めた、ニューヨークのヘッジファンドの代表です。低金利が続く中でも利益を上げようと、これまでリスクが高い金融商品を買い進めてきましたが、ある状況に警戒を強めています。

米ヘッジファンド 社長 ジェームス・ダイナンさん
「私がいま警戒しているのは自動車ローン。バブルにつながりかねない大きな弱点を抱えている。」

自動車向けのサブプライムローン。貸し倒れのリスクの高い低所得の人たちに、高い金利で融資する仕組みです。リーマンショックのあとも利用が増え続け、新車の販売台数を伸ばしてきました。しかし今、ローンを返せなくなる人が急増しています。
自動車の差し押さえを行う専門の業者が、返済できなくなった人の車を次々と回収しています。最新の画像認識システムによってナンバーを瞬時に識別。滞納者リストと照合します。差し押さえる車は月に160台。その数は増え続けています。

米ヘッジファンド 社長 ジェームス・ダイナンさん
「自動車向けサブプライムローンの状況は日に日に悪化していて、目が離せない。何が引き金になるかわからない。リーマンショックの時を思い出す。」

株高に沸く日本にもリスクの芽があると指摘する人もいます。ロンドンに拠点を置くヘッジファンドです。これまで日本株などに1,200億円を投じてきましたが、今、慎重な姿勢に転じています。

英ヘッジファンド運用責任者 シャノン・マコナキーさん
「日本の株式市場は重大なリスクに直面している。特に問題なのは金融機関。」

懸念しているのは、日銀が続ける異例のマイナス金利政策。特に地方の金融機関に致命的な影響を与えかねないといいます。

英ヘッジファンド運用責任者 シャノン・マコナキーさん
「地方銀行の融資部門の多くは赤字の状態。そこにマイナス金利が追い討ちをかけている。私は日本の地方を何度も訪れたが、人口減少と高齢化で消費も減少し、貸し出し先を見つけるのは容易ではない。その影響は地方銀行だけでなく、経済全体に及ぶでしょう。」

世界的な投資家ジム・ロジャーズさん。世界中で続く大規模な金融緩和はいずれ大きな危機につながりかねないと警鐘を鳴らしています。

世界の国と民間で積み上げられた債務はリーマンショック以降の金融緩和によって急増しています。債務の総額はおよそ1京8,000兆円という天文学的な数字に上っているのです。

投資家 ジム・ロジャーズさん
「リーマンショックの原因は借金の膨張。しかし今、あの時の負債額をはるかに超えている。次に問題が起きる時は想像を絶する事態になるでしょう。」

2018 世界同時株高 リスクの芽は

VTRで専門家が指摘した、世界のあらゆる所に潜むリスクの芽。この中でお2人が特に気がかりだとお感じになったのは?

熊谷さん:私は、世界中の膨大な債務、この1京8,000兆円というのが、ここはやっぱり非常に心配ですね。とりわけ心配なのが中国。今、中国では、企業とそれから個人、この両者の借金を足すと、国内総生産、1年間で中国が稼ぐお金の2倍以上まで借金がもう積み上がっている。この2倍以上というのは、日本のバブル崩壊直前、1980年代末と大体同じぐらいの水準だということなので、ここは相当やっぱり警戒する必要があるんじゃないか。もう1つ心配なのは、例えば中国でバブルがはじけた時に、それが世界中のお金の流れを通じて、もぐらたたきのように違うところで問題が起きることがある。例えば日本は中国に巨額の直接投資を行っている。イギリスについては、中国に対して巨額の債券、この貸し付けを行っているんですね。中国でバブルがはじけると、それが巡り巡って、日本だとかイギリスで悪影響が出てくる。ここが心配です。とはいえ、中国というのはしょせんは社会主義の国ですから、少なくとも今年いっぱいぐらいで見れば、まだまだカンフル剤で問題を先送りすることが可能なので、すぐにはバブルははじけないんじゃないかと考えています。

中空さん:先ほどの専門家の方が指摘した「リスクの芽」、これはすべて言いえているなというふうに思っています。それ以外にもまだまだあって、例えばイギリスの個人信用残高ですとか、レバレッジドローンのマーケットとか、ほかのものも指摘できるんですね。要は何かというと、バブルというのはどこにいっているかというと、じゃぶじゃぶになったお金が結局どこのマーケットに入っているかが大事なんです。そういう意味では、どこに入ってるのかを見つけることが大事になってくる。先ほどの指摘の中でとりわけ気になっているのが、投機的なマネーがどこに行っているのかという、そこの動きですね。これはなぜかというと、見えないからなんです。見えないお金の動きというのは、いよいよ分からないので、少しリスクとしては気にしているというところです。

ラジャンさんもさまざまなリスクが目に見えにくくなっているという点を指摘しているんですね。世界のマネーの流れ、とりわけ「シャドーバンキング」とも呼ばれる動きに警戒が必要だということですが?

中空さん:シャドーバンクというのは、文字どおり「影の銀行」ということになりまして、例えば銀行とか生命保険というのは、銀行監督当局や生命保険の監督当局から指導を受けたり、監督を受けたりします。ところが、金融仲介をしていながら、そういった監督の力が弱いというか、緩やかな金融仲介業者というのがいるんですね。例えば、ファンドとか、ヘッジファンドとか、そんなものです。そういったところに、たくさんのお金が今、流れている。そのお金は何がいけないかというと、監察されないんです。どこに投資をされているのか、どんなものに行っているのか、それは誰がリスクを取っているのか、本当にブラックボックスなんですね。ですので、いざ何かが起きた時に、先ほどVTRでも言っていましたけれども、流動性が急速になくなることがある。こういったことが懸念材料ということになると思っています。

投資家のジム・ロジャーズさんはアメリカ経済が今年の秋にも減速する可能性を指摘していますが、アメリカのリスクはどうご覧になっていますか?

熊谷さん:景気自体は、この景気の先行きを示す指数などから見れば、少なくとも今年いっぱいは拡大が続くんじゃないかと見ています。ただ問題は、株価についてはちょっと割高なところまで来て、高値警戒感が出ている。例えばその株の時価総額が、GDP・国内総生産と比べて何倍ぐらいあるかというところで見ると、過去にいちばん割高だったのが、2000年前後のITバブル。そして2番目に割高だったのが、1929年の世界大恐慌の時。今、実は3番目なんですけれども。もう2番目に迫るぐらいのところにまで割高感が生じている。

世界恐慌の時に近い?

熊谷さん:そうですね。だからリスクとしては、例えば中東情勢が混乱をして、原油価格が急騰して、そこから悪性のインフレになって、これをきっかけにしてアメリカで急速な金融引き締めが行われて株が崩れるようなことを、ここを一定程度警戒する必要があると考えます。

2018 世界同時株高 私たちの暮らしは?

この適温経済の今、さまざまなリスクを回避しながら、私たちが経済成長を実感できるようになるためには、一体今、何が必要なのでしょうか?

中空さん:リスクを回避するためには、着目ポイントが今回あると思っていて、例えば先ほどシャドーバンクの話をしましたが、シャドーバンクが私たちの目に見えてくる、問題が出てくる時というのは、ファンドの資産凍結といったニュースが必ず出ると思うんですね。ですからそういったニュースに敏感になっておく、これが1つだと思っています。もう1つ言えることがあるとすると、やはり日本全体として稼ぐ力をつける必要があると思います。例えばAIやIoTにきちんと設備投資をする、こういったことで経済成長をよりしっかりとしたものにしていく。その結果、先ほど格差があると申し上げましたが、すべての人に富が回ってくるような形ができるんではないかなというふうに思っています。

熊谷さん:1962年にケネディ大統領が、「太陽が出ている時に屋根は修理すべきである」ということをおっしゃっている。まさに今の日本もそういう状況であって、景気は短期的に見れば、金融政策などのカンフル剤によって非常によくなっている。ただ、中長期の構造問題、例えば人口の減少の問題、財政赤字の問題、社会保障制度の抜本的な改革が遅れているということ、もしくは岩盤規制などといわれる、農業・医療・介護・労働等の既得権が強いところまで踏み込む形で、さらなる構造改革をしなくてはいけない。短期の景気回復に甘んじるのではなくて、景気のいい今こそ、中長期の成長基盤を、ここをしっかりと整えることが必要であると考えています。

景気がいい今だからこそ、先を見て、足元だけを見るのではなくて、先を見て行動するということですね。
空前の株高に沸く世界経済。一方で、リスクの芽も膨らみつつあるということが、分かってきました。リスクに備えて、緩やかな成長をどう実感あるものにしていけるのか、ささやかな変化を注意深く見ていかなければならない1年になりそうです。