クローズアップ現代

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2017年12月22日(金)
2017冬 スペシャル ~“あの疑惑”徹底追跡~

2017冬 スペシャル ~“あの疑惑”徹底追跡~

「クローズアップ現代+」が時間を拡大してお伝えする2017冬スペシャル。今年放送された166本の中から、特に反響が大きかったテーマを徹底取材。北朝鮮のスパイが、ミサイル技術を盗もうとする瞬間をとらえた衝撃の映像!番組への告発メールから、銀行の知られざる実態が明らかに!お墓に入れず、行き場を無くす遺骨が急増、その背景は?等々、身近な問題から気になるあの疑惑まで、スペシャルゲストとともに追跡します。

出演者

  • 池上彰さん (ジャーナリスト)
  • 泉ピン子さん (女優)
  • 壇蜜さん (タレント)
  • デーブ・スペクターさん (放送プロデューサー)
  • 山里亮太さん (芸人)
  • 小泉悠さん (軍事アナリスト)
  • 小谷みどりさん (第一生命経済研究所 主席研究員)
  • 武田真一・鎌倉千秋 (キャスター)

北朝鮮スパイ工作!? 銀行?遺骨? 激動2017

ゲスト 池上彰さん(ジャーナリスト)
ゲスト 泉ピン子さん(女優)
ゲスト 壇蜜さん(タレント)
ゲスト デーブ・スペクターさん(放送プロデューサー)
ゲスト 山里亮太さん(芸人)

これは、北朝鮮のスパイが、ミサイル技術を盗もうとする瞬間をとらえた衝撃の映像。旧ソビエトの兵器工場で、機密資料を物色していました。

なぜ北朝鮮は、急速に核やミサイルの技術を進展させたのか。カギを握る人物を直撃しました。

NHK記者
「日本のテレビ局ですが、話を聞かせてください。」

取材からは、北朝鮮が狙っていた、謎のミサイルの存在が…。

泉さん:ええ!?

山里さん:すごいよな〜。

今年(2017年)「クローズアップ現代+」が放送した166本から、特に反響が大きかったテーマを、池上彰さんとともに徹底追跡。
えっ?銀行が私たちに“押し売り”?行き場を失ってさまよう遺骨が増えている!?

「2017冬スペシャル」。身近な問題から、気になるあの疑惑まで、スペシャルゲストのみなさんと追跡します。

北朝鮮のミサイル開発 急速な進展はなぜ?

今年、弾道ミサイルを相次いで発射した北朝鮮。開発のスピードは、予想をはるかに超え、アメリカ全土を射程に入れようとしています。なぜ、これほど急速にミサイル開発が進展したのか?その謎を解くカギとして注目されているのが…。

朝鮮中央テレビ
「(新型)ロケット用の大出力エンジンの実験が成功した。」

北朝鮮が公開した、新型とみられるミサイルエンジンの写真。そこに、通常うかがい知ることのできない、内部の構造が映っていたのです。この写真を詳細に分析したのが、アメリカを代表するミサイル専門家の1人、マイケル・エルマン氏。今年8月、衝撃的な結果を発表しました。

ミサイル専門家 マイケル・エルマン氏
「私はロシア、ウクライナ、中国、アメリカ、フランス、そしてインドで製造されたすべてのエンジンをデータベースで調べました。すると、ウクライナ製RD250と、形が一致したのです。」

北朝鮮のミサイル開発 カギは“ウクライナ製”?

写真に映っていたエンジンは、冷戦時代に造られたウクライナ製の高性能エンジンRD250に、形や大きさだけでなく、出力などの性能まで酷似しているというのです。

池上さん:あれ見せちゃいけなかったんだよね、北朝鮮としてはね。

果たして、ウクライナのミサイル技術が、何らかの形で北朝鮮に流出したのか。冷戦時代、ソビエトの軍事都市として、立ち入りが厳しく制限されていた、ドニプロ。

「あれがユジマシ社です。ウクライナで最大級の工場です。」

かつて、RD250を造っていた、国営のロケット製造企業、ユジマシ社の工場です。

RD250の技術が、北朝鮮へ漏れたのではないか。疑惑をぶつけてみると…。

「はい、わかりました。」

「どうでした?」

「取材は断られました。」

なかなか実態をつかむことができません。

山里亮太の教えて!池上さん

山里さん:池上さん、そもそもなんでウクライナにミサイルのエンジンがあるんですか?

池上さん:それはね、東西冷戦時代、ソビエト連邦は各地に工場を分散したんですね。いわば、分業体制を取っていたんですよ。このうち、ソビエトの一部だったウクライナには、高度な技術を持った軍事工場が集まっていたんですね。

その中でユジマシ社は、RD250を、アメリカ本土を狙うICBM=大陸間弾道ミサイル用に大量生産したんですね。

山里さん:へえー。もともとアメリカを狙うためのミサイルだったんですね。

池上さん:そうなんですよ。当時の最高指導者フルシチョフは、「わが国には、アメリカに届くICBMを、ソーセージのように大量生産できる工場がある」と自慢して、世界に衝撃を与えたという有名な話もあるんですよ。

山里さん:ミサイルをソーセージに例えるとか、ちょっと趣味悪…。

池上さん:しかし、冷戦の終結でRD250の生産は終了。ウクライナ政府は、国際機関の協力を得て、設計図や部品知識を持つ技術者を、厳重に管理してきたとされてきたんです。

ミサイル技術を狙って暗躍 北朝鮮スパイ 衝撃映像

それにも関わらず、流出の疑いが浮上した、ウクライナのミサイル技術。取材を進めると、北朝鮮がここで工作活動を行っていたことが明らかになってきました。
ウクライナの情報機関から入手した映像です。そこには、暗躍する2人のスパイの姿がとらえられています。

2人は、北朝鮮政府の貿易担当を装い、ウクライナの技術者に繰り返し接触していました。賄賂をちらつかせ、北朝鮮で働かないかと誘い出し、設計図などの機密文書を入手しようと試みていたのです。2人の動きを察知したウクライナ当局が、おとり捜査でおびき出しました。

山里さん:おとり捜査か、なるほど。

差し出された偽物の機密資料を、そうとも知らず撮影する2人。

泉さん:じゃあ、ウクライナはグルってことではないんだ?

この直後に逮捕されました。
2人のスパイの最終的な狙いは何だったのか。司法当局の許可を得て、刑務所で接触を試みました。

NHK記者
「日本のテレビ局ですが、少しだけお話できませんか?」

北朝鮮のスパイ
「嫌です。あなたたちとは話したくありません。」

取材に一切応じません。そこで取材班は、2人のスパイの裁判記録を入手。2人は、あのRD250と同じ液体燃料を使ったミサイルエンジンの技術を狙っていたことが分かりました。2012年、2人のスパイは懲役8年の判決を受け、ウクライナ当局は技術の流出は防げたとしています。

北朝鮮へ技術流出させた? ウクライナか ロシアか

では一体、北朝鮮のミサイル技術はどこからきたのか。
流出させたのは、ウクライナだとする疑惑も浮上しています。その疑惑を主張する隣国、ロシア。ロシア国防省でミサイル開発に携わっていた、エフセーエフ氏です。

ウクライナで起きた社会の混乱の隙に、北朝鮮に技術が流出したと指摘します。

ロシア国防省 元技術将校 ウラジーミル・エフセーエフ氏
「ウクライナの混乱と、北朝鮮がミサイル開発を加速させた時期は、驚くほどタイミングが一致しています。この時に技術が流出した可能性があるのです。」

混乱のきっかけとなったのは、3年前に勃発した、ロシアとの紛争。ユジマシ社では、売り上げの8割を占めたロシアからの取り引きがストップし、経営が悪化。給料の未払いに抗議する従業員のデモが頻繁に起きていました。

ロシア国防省 元技術将校 ウラジーミル・エフセーエフ氏
「工場が不要となったため、多くの人たちが職を失いました。ユジマシ社の技術者は、ミサイル開発を進める国々から、ますます狙われるようになったのです。」

しかし、その疑惑をウクライナ政府は全否定しています。情報漏洩があったかどうか、技術者への調査を行った情報機関の幹部が取材に応じました。

ウクライナ情報機関 幹部
「RD250の機密情報が外部に漏れたかどうか調査を行いましたが、ありえません。技術者たちは誰一人としてウクライナから出国していませんし、ましてや北朝鮮にも行っていません。」

そして、驚くべき主張を展開しました。ロシアから、ミサイルエンジンの部品が流出した疑惑があると言うのです。

ウクライナ情報機関 幹部
「ロシアこそ北朝鮮のミサイル開発に関与した疑いがあります。北朝鮮のエンジンにはRD250の部品が使われ、さらに改造が加えられた可能性があると、技術者が証言しています。こんなことができるのは、そもそもエンジンを設計したロシア人だけです。」

新たなスパイ疑惑? 北朝鮮 亡命者を直撃

謎が謎を呼ぶ展開となった、ミサイル技術の流出疑惑。私たちは、新たな情報をウクライナの司法当局から入手。すると、北朝鮮によるスパイ疑惑が再び浮上したのです。

ウクライナ司法省 チェルヌイショフ次官
「あのスパイ事件の後も2度に渡って北朝鮮の人たちを、ミサイル技術を盗もうとした疑いで国外退去させました。」

司法当局が察知したスパイの疑いのある人物は5人。しかし、その他にも暗躍した者がいるかもしれないとみられています。
スパイ活動の実態を探るため、私たちは事情に詳しい人物に接触することにしました。北朝鮮から亡命し、今はウクライナ当局の保護下にあるという男性。過去に使っていたパスポートの写真を証拠として示しました。

男性によると、北朝鮮からの留学生やビジネスマンも、国からスパイ活動を命じられることがあると言います。

北朝鮮からの亡命者
「最近も北朝鮮の医師たちがスパイの疑いで国外退去になったと聞いています。北朝鮮の人たちは、誰もが秘密のエージェントになる可能性があります。学生であれ医師であれ技術者であれ、国から『この情報を入手せよ』と命じられれば、やらざるを得ないのです。」

北朝鮮が狙う 冷戦期“最強”の核ミサイル

今なお続く、北朝鮮のスパイ疑惑。次なる狙いはあるのか。
受刑中の2人の裁判記録からは、これまでより短時間で発射できる、破壊力の強いミサイルに関心を示していたことが明らかになっています。
冷戦期最強の核ミサイルの1つだった「スカルペル」。射程は、ニューヨークやワシントンに届く1万1,000キロ。破壊力は、広島原爆の30倍近くに達します。

そのスカルペルが配備されていた基地の跡地の取材が許されました。

ウクライナ軍 元中佐
「ここにスカルペルが配備されていました。ボタンを押してから2分足らずで発射し、25分でアメリカに届く代物でした。アメリカを悩ませた最強の核ミサイルでした。もちろんキム・ジョンウン(金正恩)も欲しがるはずです。」

ここがポイント! ミサイル技術流出疑惑

ゲスト 小泉悠さん(軍事アナリスト)

北朝鮮が、強力なミサイル技術を狙って手を尽くそうとしている実態が浮かび上がってきたが、ミサイル技術が流出しているとすれば、どこに問題がある?

池上さん:1つは、北朝鮮は歴史的にロシア、かつてソ連だった時代、非常に歴史関係が深いわけですね。ですから、北朝鮮には、ロシア語を話せる人が多い。だから意思の疎通が容易ですよね。ウクライナも今、ウクライナ語を広げようとしてますけど、基本的にロシア語を皆さんしゃべってましたから、ウクライナでは意思疎通が簡単ということです。そして、ウクライナが2014年のクーデター騒動以来、経済が混乱してしまって金に困った技術者が技術を売り渡してもおかしくないということなんですね。

ゲストの皆さんは、どう見た?

山里さん:結局、ウクライナはロシアだって言って、ロシアはウクライナだって言ってますけど、あの答えはまだ出ないですよね。

池上さん:要するに、双方が相手に責任をなすりつけてるということですよね。

山里さん:これ、だから、技術を売った悪い商人みたいなのが暗躍してるってことですか。

泉さん:だって、もうお金がないってことじゃない?賃金も払ってもらえないし、背に腹はかえられないみたいに。

VTRでも言っていたが、北朝鮮のスパイが、必ずしもスパイ専門じゃないというような説もある?

池上さん:北朝鮮の中で、もちろんスパイの養成機関もありますし、プロのスパイっていうのはいるんですけど、そういう人って、必ずしも科学技術の知識持ってないですよね。やっぱりロケットの部品を見て、すぐに判断できるのは、やっぱり技術者。そういう技術者にスパイをしろと命じている。だから簡単に捕まったりもするということだと思うんですよね。

ロシアの軍事情勢に詳しい、小泉悠さん。
ミサイル技術の流出について、ウクライナもロシアも否定しているが?

小泉さん:ここから漏れたんだってことは明らかになっていないんですね。さらに、はっきりした、ここから漏れたんだという流出元があるかどうかも分からなくって、どこかに大きな穴が開いていて、そこから重要技術がダバダバ漏れているというよりは、旧ソ連が崩壊した後に、あちこちに小さな細かい穴がたくさん開いているんじゃないかと思うんですね。そこに、いろんな工作を北朝鮮が仕掛けて、少しずつ技術を取ってきて、それに合体させて、今みたいなものを作っているんじゃないかという気がするんです。工場に残っていた部品を持ってきてるんじゃないかって話があるんですが、やっぱりこれはかなり高度な技術なので、基本的に物を動かすっていうのは、ものすごく規制が厳しいんですよ。やはりこれはちょっと難しいんじゃないかと、私は思っています。どちらかというと、技術とか、技術者に来てもらって、北朝鮮で作ってもらう。開発に協力してもらうという方が、恐らく現実的かなと思いますね。

デーブさん:北朝鮮そのものが、第3の国に核の技術を輸出するので、もちろん闇。水面下でやるっていう心配はないんですか?

小泉さん:その可能性もあると思うんですよね。例えばパキスタンとか、イランの弾道ミサイルって、相当北朝鮮と協力して作っているんじゃないかって話はあるわけですよね。さらに、そのイランの弾道ミサイルが実はイエメンに流れていて、今まさにサウジアラビア攻撃に使われているんじゃないのって話もありますし。

情報流出を止めることはできない?

小泉さん:完全に止めるということは難しいとは思うんですね。ただ、その情報流出の度合いを、ある程度コントロールするということはできると思うんです。例えばソ連が崩壊した後、アメリカは「協調的脅威削減プログラム」というのをやったんですね。つまり、旧ソ連の技術者の人々に仕事を作ってあげればいいじゃないか、アメリカのお金で。どこか危険な国に身売りをする必要もなくなるじゃないかということをやったわけですね。ですから、そういうことを考えてもいいと思いますし、当然、漏れてしまった後の管理をどうするかって、国際協力もやるべきだと思いますし、まだまだやることは多いと思います。

池上さん:つまり、ソ連が崩壊した時は、これは大変だっていうんで、特に核技術が漏れないようにと、世界が金を出し合ったんですけど、ウクライナの混乱の後にミサイル技術がっていうところで、今となってみると、ちょっとぬかちゃったかなという。やっぱり核技術が出るのは、本当に恐れて必死になって止めたんですけど、ミサイルについてまでちゃんとやっていなかった部分があるんじゃないでしょうかね。

核じゃなくて、ミサイルの方を見過ごしていたと。

泉さん:そういうことは報道全くされなかったですもんね。

田中:北朝鮮の急速なミサイル技術の進展なんですが、データからも分かるんですね。実は去年(2016年)北朝鮮のミサイル実験というのは、失敗続き。およそ20回のうち、少なくとも9回失敗したと見られています。

しかし、今年の2月からは、毎月のように新型ミサイルを発射しました。火星12型、14型、15型が登場。飛距離も大きく伸びています。

専門家の推測によりますと、火星12型は、グアムを射程に入れる5,000キロ。14型は、アメリカの西海岸に達する1万キロ。そして、先月(11月)の15型は、アメリカ全域を射程に入れる1万3,000キロに達した可能性があるんです。

泉さん:どうして13がないんですか?

小泉さん:実は、火星13型というのもどうも造ってはいたらしくて、ただ、開発は中止になったそうですね。

山里さん:シンプルにミサイルはもう完成したっていう感覚でいいんですか?

小泉さん:完成しつつあるということだと思いますね。まず、今回火星15号が成功したことによって、とりあえずアメリカを全部射程に収めるロケットそのものはどうもいいところまで来ているということですよね。でも、これはやっぱり北朝鮮の軍の人から見れば、何発か撃ってみないと、これは兵器ですねとは言えないと思います。なので、北朝鮮が、とりあえずアメリカが簡単には手出してこないだろうというところまで核戦力を充実させようと思ったら、まだもう少し、いくつか踏まなきゃいけないステップはあると思うんです。例えば同時発射数を増やすとか、1発のミサイルに複数の弾頭を載せるとか、おとりを積むとか、いろんなことをやってくるはずなんですね。

壇蜜さん:これって、世界中でミサイル撃ちましたって報道されますか?

小泉さん:されてますね。非常に大きく報道されています。

泉さん:アメリカでは、本当はどうなんですか?いや、アメリカ本当に私たちが思ってるほど、熱いのか。もし日本が攻撃されたら、本当にあなたの国は守ってくれんの?

デーブさん:そう個人的に言われてもあれなんですけど。実際にそういったミサイル、いくら開発してもアメリカに対して撃つわけがない。

泉さん:だけど、言って分かる人じゃないからね、はっきり言って。

デーブさん:でも、あの人も存続したいわけですから、そんなことしたら、一気になくなるわけですよ。

山里さん:日本は大丈夫なんでしょうか?日本に撃ってくるみたいなことは。

安倍総理大臣は、「国際社会で一致結束して圧力を最大限に高め、北朝鮮の方から対話を求めてくるような状況を作っていく」と。

田中:この北朝鮮の暴走をどう食い止めるかということなんですが、国連の安保理では、今年の8月と9月に制裁決議を採択しました。各国は、北朝鮮からの石炭の輸入を全面禁止することや、北朝鮮への石油精製品の輸出を制限することにしたんです。

泉さん:池上さん、制裁ばっかりしてたら「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ」じゃないけど、やけっぱちになって、やっちゃえっていうのもないですか?

池上さん:その可能性、全くないとは言えませんけれども、問題はですね、国際社会が一体となってということができるかというと、アメリカの国内で、トランプ大統領とティラーソン国務長官の方針がしばしば違うんですね。対話をと言ったら、トランプ政権から、いや、そうじゃないんだと言って、またティラーソン国務長官が、トランプ大統領と考え方が同じだって対話路線をすっと引っ込めたりしていますよね。アメリカの国内で方針が分かれているというのを北朝鮮が見れば、そこにつけいろうとすることもありえますよね。

壇蜜さん:私たちが一番テレビ見てて関心があるのは、何が起こるんだろうって。例えばクリスマス近辺に何か起きるとか、年明けに何か起きるのか、あの国の誕生日があるたんびに何か起きるとか、建国記念日のたびにとかっていいますけど。

小泉さん:北朝鮮が、これだけ一生懸命、世界中から非難されても必死で核とミサイルを作っているというのは、やはり攻撃の懸念が常にあるからなんだろうと思うんですね。ということを考えると、北朝鮮から積極的に撃ってくるということは、理性的に考えると考えにくいです。ただ、北朝鮮がどういう計算をするかってことは、われわれから見るとブラックボックスなんですよね。例えば、もしかして、もう攻撃が差し迫っているというふうにキム・ジョンウンさんが何か誤解するかもしれませんよね。あるいは、アメリカとロシアの場合ですと、宇宙空間まで見えるレーダーを持っていて、あっ、弾道ミサイル飛んできたっていうのはすぐ分かるわけですけど、北朝鮮は持ってないわけですよね。ということは、実はなんかの拍子に、もうミサイル向かってんじゃないかって誤解をする可能性もありますよね。そこが危険だと思うんですね。

池上さん:北朝鮮が交渉相手としたいのは、アメリカということですね。私たちは、いたずらに不安を募らせることなく、ミサイルをどう撃たせないで済むのかという外交努力が一段と必要になってくるんだと思います。

ミサイル技術の進展には、北朝鮮によるスパイ活動、そして、それに手を貸す者の存在が浮かび上がってきました。国際社会の足並みがそろうかどうかがカギです。

166本から厳選! 2017年を徹底追跡

「クローズアップ現代+」は、さまざまなテーマを取材し、今年166本を放送しました。将棋の藤井四段の活躍、トランプ大統領就任の波紋など、記憶に残る事件、災害、出来事の数々から、今夜は視聴者の皆さんの反響が大きかったものを、さらに取材してお送りしています。
続いては、4月に放送した「銀行カードローン」です。

“多重債務”再び!? 銀行カードローン

テレビやインターネットなどの広告で目にすることが多い、銀行カードローン。低金利が続き、利ざやを稼げなくなった銀行が、新たに力を入れ始めたビジネスです。「手続きは30分」「銀行だから安心」。そうしたうたい文句で利用者が急増。貸出残高は、この5年で一気に拡大し、5兆円を超えました。しかし、安心なはずの銀行カードローンの金利は、高いもので14%を超えています。返済能力を超えて貸し付ける“過剰融資”も続出し、多重債務や自己破産に陥る人も出ていました。

「返済が、終わりが全く見えない。」

自殺者も出た、かつての“多重債務問題を再燃させるおそれがある”と批判された銀行。その姿勢を、番組は追及しました。

山里さん:消費者金融はこういう問題あるのは見てたけど、まさか銀行がこれになるとはな。

放送後、金融庁は、“過剰融資”の実態を把握するため、銀行への立ち入り検査を実施しました。一部の銀行では、年収の3分の1までしか貸さないようにするなど、自主規制を始めています。しかし、その後、番組に寄せられた一通のメールから、また新たな疑惑が浮かび上がったんです。まさか、銀行が…。“過剰融資”の次は、金融商品の“押し売り”!?

田中:こちらが、そのメールなんですが、「80代・難聴で認知機能が低下している義理の母が、銀行のセールスの方に外貨建ての保険と投資信託に入らされ、損害を受けました。銀行に取り消しを申し出ているのですが、相手にされず困っています」という訴えでした。一体どういうことなのか、このメールの男性を訪ねました。

まさか銀行が 金融商品“押し売り”!?

メールをくれた、中部地方に住む、山本武さんです。2月に、義理の母親が、ある銀行からオーストラリアドル建ての生命保険を購入させられたといいます。

山本武さん(仮名・64)
「これがそうです。」

義母はもともと、山本さんが選んだ投資信託を持っていて、順調に利益を出していました。ところが、義母はなぜか、その投資信託を解約。戻ってきたお金で外貨建て保険500万円と、さらに別の投資信託120万円を、銀行マンからの営業を受け、購入していました。

この保険は、支払った額をオーストラリアドルに変えて運用し、死亡時にその運用益が上乗せされて戻ってくる商品です。しかし、為替レートなどによっては元本割れするリスクもあるなど、複雑な仕組みでした。

山里さん:お年寄り、分からないだろう。

「どういうふうにして買うことになったんですか?」

山本さんの義母(83)
「『こんなお金を持っていても、しかたねえで、へえりゃあ(入りましょう)』って言うんよ。『僕(銀行員)が世話するで』。」

「この保険の仕組みは、どういうものと理解されてますか?」

山本さんの義母(83)
「わたし保険っていうのはね、まあ掛けていくと、もし病気になるとするやろ、そうすると、その保険からお金がもらえて、払えて、そういうことしか知らんのよ、違うの?」

「でも、これはちょっと違いますよね。」

山本さんの義母(83)
「違うんかね?分からへんで、銀行の子が『ええよ』って言うから入ったんやで。」

義母は、同時に購入した投資信託の内容も理解できていなかったと言います。

山本武さん(仮名・64)
「だいたい(義母は)為替自体が分かりませんから。だって、いま豪ドルがいくらか知らないんですから。知らない人に、こんなの売っていいんですかねっていうことですよ。」

山本さんは、すぐに保険を解約しようとしましたが、その時点で、38万円のマイナスになっていることが分かりました。その主な理由は、高額な手数料です。契約時に発生する販売手数料をはじめ、さまざまな費用が差し引かれるのです。マイナス分を取り戻すためには、何年も運用し続けなければなりません。「80を過ぎた義母にふさわしい商品とは言えない」。「せっかくもうけを出している投資信託を、なぜ解約することになったのか」。山本さんは憤りを感じていました。

「見て下さい『お客様のご意向』。こんなのありえないだろうと思うんですけどね。」

山里亮太の教えて!池上さん

山里さん:池上さん、オーストラリアドル建て保険。なんか難しそうですけど、なんで銀行が高齢者に売っているんですか?

池上さん:実はこれ、「手数料ビジネス」なんですよ。保険会社が作った商品を銀行が窓口で販売するんですね。それによって、販売手数料が銀行の懐に入る仕組みなんです。今、マイナス金利で銀行は大変。そこで、カードローンや手数料ビジネスの収益に頼っているんです。

山里さん:なるほど。でも、普通の保険を売るのでは、だめなんですか?

池上さん:オーストラリアドルなどの外貨建て保険の方が、手数料が高くて、銀行の収益も大きいんです。だから、銀行は外貨建て保険の販売に力を入れているんです。

山里さん:それって、お客さんの都合はあんまり考えてませんよね。

まさか銀行が 金融商品“押し売り”!?

銀行の姿勢に憤りを感じていた山本さんは、義母と妻とともに銀行に出向き、この契約の取り消しを申し入れました。「義母は、商品の仕組みを理解しておらず、十分に説明を受けたとは到底言えない」として、この契約は不当だと主張しました。銀行との話し合いを録音した音声記録を、番組に提供してくれました。

山本武さん(仮名・64)
「お義母さんが納得したと、あなたは判断したわけやね。どういうふうに判断したんですか?」

銀行員
「説明させてもらって、まぁ『そうや、そうや』っていうふうに言っていただいたんで、僕は理解しておるもんやと思っております。署名と印鑑を押していただいたと。」

銀行側は、「義母が商品の内容を理解した上で契約を結んだ」と反論。話し合いは平行線をたどりました。

山本武さん(仮名・64)
「どうやって証明する?理解しているかどうか。」

銀行員
「当時いろいろとお話させていただいた記録。会話の記録は銀行には残っています。」

山本武さん(仮名・64)
「だけど作文が入っているじゃない。いいように書いているんだから。」

銀行員
「こたつまで行って話をして、『分かっています』と。」

山本武さん(仮名・64)
「『分かる』って言ったの?」

銀行員
「言いました。」

山本武さん(仮名・64)
「言うわけないじゃん。」

その後、外貨建て生命保険については、販売元の保険会社が契約の取り消しに応じました。しかし銀行は、義母が署名した意向確認書などを理由に、あくまでも正当な契約だったと主張。もう1つの商品、投資信託の契約取り消しには応じなかったと言います。

銀行員
「ご契約について、確認、ご自分の意思でやられたことを確認させていただいているので。」

山本武さん(仮名・64)
「あのね、おたく意思って、その意思は何言われているわけ。署名があるの?」

銀行員
「ご自分で、ご契約されたっていうことを認識されていました。それが全てです。」

まさか銀行が 金融商品“押し売り”!?

「銀行が高齢者にもうけを出している商品を解約させて、複雑で手数料の高い商品を押し売りされた」と、家族は怒っていて、一方で銀行は、「本人の同意は得た」と、家族に説明している。これには、問題はないのか?

池上さん:お客さんに説明を尽くして内容を理解してもらったのかどうかですよね。そして、その商品は果たしてお客さんにふさわしいものだったのかどうか。この2つのポイントです。

銀行員のお兄さんがやって来て「へえりゃあ(入りましょう)」と言われて、入ってしまったということだが?

泉さん:だって銀行ですよ。それは信じますよ。

池上さん:ただ、銀行はやはり手続きがありましてね、1つ1つの説明を始めるんですよ。「これを全部説明を聞いてください。そうじゃないと売ることができません」って言って一つ一つやるんですね。そうすると高齢者は、「分かりました、分かりました、もういいですから」って。

泉さん:それね、聞いてないですよ。聞いていない。

池上さん:でもそれは、銀行にしてみれば、「『いいですよ』とおっしゃいましたよね」ってことになるんですよ。

山里さん:親なんか心配ですよね。そういう話とか来て、銀行の方が大丈夫って言ったら、その大丈夫って思った以上に信用するんですよ。うちの親の世代とか。

銀行による高齢者へのセールス。私たちは実態を探るため、「オープンジャーナリズム」という手法で調査を行いました。取材の過程をネットで先行公開することで、思いもよらない人たちからの声も集まってきたんです。

田中:それは、20代を中心とした銀行員たちからの“内部告発”だったんですね。全国の大手都市銀行、地方銀行信用金庫などに勤める人たちから、顧客の利益を無視した金融商品を勧め、販売してしまったという“告発”が次々と届いたんです。投稿を寄せた銀行員たちのもとを訪ると、驚くべき実態が明らかになってきました。

銀行が“押し売り”!? 若手行員たちの訴え

最近まで、ある地方銀行で働いていた20代の女性です。銀行で働いていたころは、金融商品の販売で厳しいノルマを課せられていたといいます。

今年地方銀行を退職した女性
「『あなたが(契約を)取らなかったら、支店の目標は絶対達成しない』。それで結構、追い詰められる。営業会議で、支店の行員がいる前で名指しで言われたりとか、すごいけんまくで言われるので、女子行員とかは泣く人もいましたね。」

今、低金利の影響で、全国の地方銀行の過半数が本業で赤字に陥っています。この女性が務めていた銀行も、手数料ビジネスに生き残りをかけていたといいます。何とかノルマを達成しようと、多くの銀行員が行っていたというのが「お願いセールス」。高齢者の自宅に何度も通いつめ、世間話などで信頼を得た後に、上司から追い詰められている窮状を告白し、情に訴えて契約してもらうやり方だといいます。

今年地方銀行を退職した女性
「最終的には『お願いします』って言葉が出てしまいますよね。『今月(ノルマの達成が)苦しいんで』とか。最終的にはお客さんが折れるみたいな感じですよね。(契約)してあげようかみたいな。お客さんのニーズではない、こっちの銀行都合のお願いですよね。ノルマから逃げたいということしか考えていなかったですね。」

山里さん:それぐらい追いつめられてるんだ。

「お願いセールス」以外にも、銀行員たちが問題だと指摘する営業手法が明らかになりました。「回転売買」と呼ばれるその手法を、関東の地方銀行を今年退職した30代の男性が説明してくれました。

今年地方銀行を退職した男性
「Aさんが1千万円、投資信託を購入いたしました。これを2か月後、3か月後に解約をしていただきます。その解約金を持って、投資信託B、新しい投資信託を買っていただくと。」

「回転売買」とは、客に投資信託の契約と解約を、短期間のうちに繰り返させること。その都度、銀行に手数料が入るため、現場で奨励されているといいます。この男性は、回転売買で多額の手数料を稼ぎ、何度も行内で表彰されました。しかし、客の利益をないがしろにする姿勢に嫌気がさし、退職を決めました。

山里さん:これ、すごい。銀行って、今こんなことになっているんだ。

今年地方銀行を退職した男性
「異常な世界だと思うんですよね。(銀行の)中は中で競い合っているし、中のことばっかり見ていて、お客さんの方向を向いていない提案は横行していますし。」

若手銀行員たちからの訴えは相次ぎました。さらに驚くべき実態が浮かび上がってきたのです。
証言してくれたのは、三大メガバンクの1つに今も勤めている、20代の現役銀行員です。銀行内の実情を知って欲しいと、外部には決して見せないという、タブレット端末を取り出しました。この表は、販売した金融商品によって、銀行員がどのように評価されるかを示したものだといいます。

メガバンク現役銀行員 20代
「これで一律で評価しているっていうことになるので、円建て(保険)だったら、全部何やっても0.5パーセント。」

一般的な保険を売ると、その金額の0.5%分が銀行員の成績としてカウントされます。一方、外貨建て保険を売ると、なんと7倍、3.5%分もカウントされるというのです。

メガバンク現役銀行員 20代
「こっちの外貨建て保険が一番収益が上がって、表彰されやすくなるっていうことで、やっぱり皆こっちにどうしてもシフトしていくっていう、そういうことになっちゃいますよね。」

この銀行は、人事評価と結びつけることで、客の意向を顧みず、手数料の高い商品の販売に力を入れるよう、若手を仕向けていたというのです。

メガバンク現役銀行員 20代
「銀行に入ってやりたかったのは、お客さんのための提案だったのに、結局、それを否定されて、会社の考えをお客さんに押しつけているっていう自分に、すごい腹立たしさとか、悔しさ、もう感情は押し殺して、いかに売るかしか考えられなくなっていくのかな。」

金融庁も問題視 銀行の販売姿勢

田中:こうした銀行業界の在り方なんですけれども、監督官庁である金融庁も問題視しているんです。VTRに出てきた回転売買については、「相当程度行われている」と推測。その上で、「顧客の資産形成に資する商品としては、十分活用されていない」と指摘しています。また、日本とアメリカの投資信託の状況を比較し、日本はアメリカに比べて販売手数料が高く、運用結果に大きな差が出ていると指摘。ご覧のとおり、なんとマイナスになっているんですね。

元銀行員が 販売の実態を赤裸々に語る

“内部告発”してくれた元銀行員の方にスタジオに来ていただきました。プライバシー保護のため、顔をお見せすることはできません。
よろしくお願いします。

元銀行員:よろしくお願いします。

山里さん:あぁ、この人たぶん内容理解してないな。でも、「いいよ」取れましたっていう感じで、契約を進めちゃうってことは、やっぱりあったんですか?

元銀行員:正直、ございました。売った瞬間は、正直売れてほっとしたというのが。

泉さん:ノルマですか?

元銀行員:はい。

壇蜜さん:ノルマは達成できないと、やっぱりどうにかなってしまうというのはありますか?

元銀行員:個人攻撃と言いますか、支店長から非常にどなられるといいますかね。私も何回も支店長の前で直立不動で泣いたこともありますし。

山里さん:回転売買ですか?投資って、すぐに解約させてったら、得することは少ないじゃないですか。

元銀行員:そうですね。そのときは言い方なんですけど、いわゆる「損切り」という形で、まだこれから下がると思うから、今のうちに一回解約しましょうと。

泉さん:それ、なんかさ聞き方によったら親切に聞こえますもんね。

山里さん:うそじゃないわけですもんね。

元銀行員:うそではないんです。1回、回転売買をしていただくと、銀行への手数料というのも2回入ってくるというような計算になりますので、いわゆる1粒で2度おいしいといいますか。

デーブさん:これだけコンプライアンスがうるさいのに、どうして引っ掛からないんですか?社内的に。

元銀行員:非常に難しいところではあるのですけれども、「うそはつかない、ただ、売ってこい」といったところでございますので。例えばお願いをして、それに対して「いいよ」と言っていただいたので、詐欺ではないと思っているんです。最後はお願いをしないと取れないぐらいのノルマがあったので、みんな同じようにまひをしていったんじゃないのかなと。

デーブさん:外貨建て保険が収益になるのは分かりましたけれども、平均的に1件あたりいくらぐらいになるんですか?銀行にとって。

元銀行員:商品にはよりますけれども、例えば投資信託を1,000万円ご成約いただきますと、大体20万円が銀行の手数料になります。また、外貨建ての保険ですね、こちらを1,000万円売ると、最近は手数料も変わってはきているものの、一時期高いときは大体60万〜70万円。

泉さん:えー!それと、信用ですよね。そのお客様との。なんか裏切ってるって感じたことございませんか?

元銀行員:すごくそれはあります。一番つらかったのは、やはりお客さんにとって、この商品は、正直必要ないなと思いながらも、いわゆる期末、銀行は3月、9月に利益を押し込まきゃいけない。その中で、80歳超のお客様にお願いしますといって、外貨建ての保険を販売したというときが、やっぱり一番つらかったですね。

泉さん:なんかね、若くて希望を持って、そこへ、職場へ倍率高いとこへ入って、なんかね、すごいなんか気の毒になった。夢もなんにもないじゃない、それじゃあ。やっぱりね、なんか若い人たちのこれでいいんだって染まってっちゃうことも怖いしね。それと、年寄りだましちゃいけません、本当に。約款なんて読まないんだから。「はい」「いいえ」も「はい」ばっかり書いちゃうんだから。

デーブさん:あとですね、自分自身の祖母、祖父には絶対売らないでしょ?自分のだったら。やっぱりモラルが問われますよね。

壇蜜さん:みんな今、苦しい状況で糸口が見えないっていうののちょっとでも糸口が見えるようになればいいなとは思うのですが、誰も今、いい目にあっていない状況っていうのが、銀行と利用者の間にあるっていうのは悲しいことだと思います。

池上さん:金融庁は銀行に対して、顧客本位の姿勢を促してはいるんですけれども、アベノミクスで低金利政策、あるいはマイナス金利という状態の中で、銀行の収益を揺るがしているという現実があるわけですね。この強引な販売実態を決して擁護することはできないんですが、銀行もまた犠牲になっているという側面もあるんです。

私たちも、多様化する金融商品にはリスクがあるということをしっかり理解し、あらかじめ家族で話し合っておくことが必要だと思います。

クロ現+ショート動画 ネット・SNSの関心は?

2017年、SNSではどんな話題が関心を集めたんでしょうか。「クローズアップ現代+」では、1分程度で紹介するショート動画を作っています。今年公開した動画は168本。その中で100万回以上再生されたものが、今年7月に亡くなった医師の日野原重明さんの生きざま。スマートフォンから知らぬ間に私たちの個人情報が盗まれるリスクに迫った映り過ぎ社会。延命治療を中止するという、新たな選択をした人々の思い。そして、32歳で亡くなった後も、広がり続けるAV女優、紅音ほたるさんのメッセージ。そして、125万回再生された動画が、行き場を失った遺骨の実態を描いたショート動画です。これは、高齢者だけではなくて30代、40代の女性からも大きな反響があったんですね。

鎌倉:この取材のきっかけなんですけれども、全国各地で遺骨が捨てられる事態が相次いだからなんですね。NHKが全国の警察に調査をしたところ、この5年間で警察に届けられた遺骨は411件あったんです。その置き去りにされた場所なんですが、例えば東京駅のコインロッカーだとか、オートレース場のごみ箱、さらにはリサイクルショップの軒先というのもあったんですね。

泉さん:でもこれ、年なんでしょうかね。私70ですけど、考えられませんよね。遺骨をこういうとこ置いていくっていうことは。

リサイクルショップの軒先にというのもあるが?

泉さん:そんなもん誰が買うんですか。

山里さん:店の中までは行ってませんからね、まだ。

鎌倉:どういう事情なのか分かりませんけれども、さまざまな事情で遺骨をお墓に納められない人たち今、増えているんですね。特にこの年末になりますと、さらに多くの遺骨が手放されるそうなんですが、一体それ、どういうことなんでしょうか。

“お墓に入れない” 遺骨がたどり着いた先は…

全国から届く遺骨の数々。お墓に納められることなく、ここに送られて来ました。

特殊な機械に入れられた遺骨は、粉々に。

そして、東京湾に散骨されます。この会社が行っているのは、家族からの依頼による「散骨代行サービス」です。年末は、申し込みが殺到するといいます。

デーブさん:なんか寂しいね、これも。

散骨代行会社 舘山文成代表
「12月は大掃除の時期なので、皆さん年内に何とかしたいという方が多いですから、12月は特に多いですね。」

山里さん:うわー、大掃除。いらない物の1つとして?

料金は、1人につき2万5,000円。サービスを初めて2年で、利用者は1,000人を超えています。

“お墓を買えない” 親の遺骨 手放す事情は

遺骨を手放す人たちは、どんな事情を抱えているのか。散骨代行サービスに申し込んだ、九州に暮らす40代の女性です。

墓に納めず、手元に置いておいた父親の遺骨をまいてもらうことにしました。

“父親の遺骨を散骨” 40代女性
「なかなかお墓も建てられないから。かわいがってもらいましたけどね、子煩悩だったかな。」

女性は、3人の子供を育てながら、住宅ローンの返済に追われています。墓を建てるには100万円以上かかると言われ、諦めざるを得ませんでした。

“父親の遺骨を散骨” 40代女性
「すいません。これお願いしたいんですけど。」

山里さん:いや、こんな感じで?普通の荷物として。

後日、遺骨をまいた海の写真が送られてくることになっています。

“父親の遺骨を散骨” 40代女性
「行っちゃったなという感じです。」

“子に迷惑かけたくない” 増える散骨 その理由

金銭的な理由ではなく、子どもに迷惑をかけたくないから散骨を選ぶという人もいます。古原敏之さん、78歳。

妻を亡くした後、ひとり酒をたしなむのが、唯一の楽しみです。

古原敏之さん(78)
「これが生きがい。あとは何も楽しみもない。」

古原さんには、離れて暮らす50代の息子がいますが、いつも仕事に追われ、忙しい毎日を送っています。「子どもに墓を維持する負担をかけたくない」という古原さん。自分の遺骨は、海にまいてもらえばいいと考えています。

古原敏之さん(78)
「一応電話したんですよ、息子には。『何も心配せんでよかけんね』って言ったら、『はい、はい』ということで、口には出さないけど、良かったと思ってるんじゃないですか。そんなふうに思えた。」

古原さんは、両親の位牌に毎日手を合わせてきました。こうした追悼も自分の代で終わりです。

古原敏之さん(78)
「父親がいつも朝晩あげてたから、線香とろうそくは朝晩。」

「日本酒とビールは、お父さん、お母さんが好きだった?」

古原敏之さん(78)
「そうです。」

「ご自身は散骨されたら、こうやって手を合わせてもらうことも…。」

古原敏之さん(78)
「私が亡くなって、手を合わせてもらわんでも。そんな気持ちもないし。」

依頼が殺到! “遺骨を仏像の一部に”

一方、散骨ではしのびないという人たちが遺骨を持ち込む場所が…。
大阪のこの寺では、毎週末、遺骨を抱えた人々が列をなします。

遺骨は引き取られた後、意外なものに姿を変えます。遺骨をセメントで固めた、お骨佛(こつぶつ)。この仏像、一体になんと22万人分の遺骨が使われています。

父親の遺骨を納骨
「今後お墓を維持していくのも難しいかなと思いまして。」

夫の遺骨を納骨
「先のこと考えたら、もういいわという感じで。このごろ、そういう人増えるかわからんね。」


「仏さんの一部になってくれたら、それで成仏してくれたらいいかな。」

しかし、寺は今、新たな悩みに直面しています。持ち込まれる遺骨があまりにも多く、対応しきれなくなっているというのです。一体、何が…。

山里亮太の教えて!池上さん

池上さん:山ちゃん、なぜ、持ち込まれる遺骨が増えているのか分かります?それはね、「墓じまい」が増えているからなんですよ。

山里さん:「墓じまい」ってなんですか?

池上さん:「お墓が遠くてお参りが大変」とか「墓を引き継ぐ子どもがいない」とか、そんな理由で墓をさら地に戻すのが「墓じまい」。最近、相次いでいるんですよ。

山里さん:墓に入っていた先祖代々の遺骨はどうなっちゃうんですか?

池上さん:そう、それがあのお寺に持ち込まれているということなんです。中には、一家族で20人分もの遺骨を持ち込む人もいるらしいですよ。

山里さん:それは大変だ!

“墓じまい”で遺骨急増 受け入れは限界に!?

相次ぐ墓じまいのあおりを受ける、このお寺。遺骨の受け入れの制限も検討し始めています。

大阪 一心寺 高口恭典住職
「できるだけ納骨をお受けしたいというのもあるんですが、そこは人的、あるいは場所的な限界がありますので、我々も悩んでいますし、どうしようか困っています。」

あなたはどうする? お墓・遺骨の悩み

ゲスト 小谷みどりさん(第一生命経済研究所 主席研究員)

去年、ある雑誌が行った調査では、お墓について、悩みや心配事があると答えた人が81%に上った。これは、今の日本社会の一面を表していると思うが?

池上さん:やはり核家族化、あるいは少子高齢化など、家族の在り方が大きく変化しているというのが1つですよね。それから、日本人の死生観。死についての考え方そのものが変わってきているということもポイントだと思います。

皆さんは、どう思う?

泉さん:お墓はあるんです。私が父のために建てたお墓があるんですよね。でも、そこへ入るには、私は嫁に行ってますから名前違いますし、だからといって主人のお墓に入るのは正直嫌なんです。
(どうして?)
だって知らない人ばっかりで、どうもはじめましてっていうのも嫌だし、だって肩身狭いじゃないですか。お骨になってまで気遣いたくないですもん。だから入りたくないんですよ。主人は散骨してくれって言うんですよ、海へ。だけど、そこでもしまいたにしても、海流の流れでどこ行っちゃうか分かんないし、そこで拝んでてもほかかもしれないし。

デーブさん:僕はお墓がなくてもいいけど、追悼番組だけやってほしいなっていう。

泉さん:あんたのやることないじゃない、ダジャレばっかり言ってて。

山里さん:受けたダジャレだけをね、最後に放送しますよ。

泉さん:代表作のない人って、そう言うの。私みたいに代表作があると、やんなくていいって言うんだから。

山里さん:両親なんかがそろそろそういうことを言い出す年なんで、お墓がね、ちょっと鹿児島の遠い所にあると、そうなると息子たちも参りづらいだろうから、都内とかで参りやすい所に墓を作ろうかって思うけども、まず何より墓がないと。入る場所がない。どうしようかっていうところで止まってる感じですね。

壇蜜さん:私はどんな方法でもいいかなとは思うのですが、やはり自然に散骨だったり、まいてしまうっていうことをすると、やはり手の合わせどころが分からなくなるので、できることなら分骨をしてでも、自分の手元にあるという感覚、近くにいるという感覚を保てる環境があればいいなと、いつも思います。

お墓や遺骨の問題に詳しい、小谷みどりさん。
遺骨は、お墓に入れないといけない?

小谷さん:納骨するなら墓地でお願いしますと言われているだけですから、ご自宅に安置していてもいいですし、そもそもお墓に入れなきゃいけないっていうルールはありません。

山里さん:じゃあ、散骨って今よくあるじゃないですか。あれって、別に個人的に、例えば死んだら、うちの庭にまいてくれっていって、ぱっとまくとかは別にやっても?

小谷さん:埋めたらだめって言ってるだけですから、まくのはだめとはいってないです。へ理屈ですけどね。ですから、庭に埋めたらだめですけど、庭にまくのは大丈夫です。

山里さん:そのまま普通に遺骨のまま、ぱーっと?

小谷さん:ただ、遺骨ってごろごろしてますから、これをまくと、見た人が気持ちが悪い。

泉さん:さっきのあの粉みたいにしてもらったら。

小谷さん:だから骨と分からないように粉にする。

泉さん:ああいう業者もあるわけ。

小谷さん:ありますし、ご自分でもできますよ。

泉さん:え?だって自分は死んじゃったらいないじゃない。

小谷さん:家族がです。

泉さん:ミキサーでやんですか?

小谷さん:ミルでやれば。

山里さん:例えば、ふだん使ってるミルではさすがにやらないと思いますけども。これ、法律とかで定められてることはないんですか、別に。

小谷さん:何もないんです。それが問題なんですね。外国では、例えば海岸からどのくらい離れた所でやりなさいとか、ここならやっていいですよっていうルールがあるんですけど、日本の場合には、散骨に関して何のルールもないんですね。

鎌倉:個人で弔うことができない場合、最後の頼りになるのは公的機関です。5月に放送した番組では、行き場のない遺骨を引き取っている、神奈川県横須賀市の事例をご紹介しました。先月、再び横須賀市を取材しますと、なんと市の納骨堂が閉鎖に追い込まれていたんです。

その理由は、老朽化して建て替える予算を確保できなかったからということなんですが、遺骨を引き受けきれずに悩んでいる自治体というのは、今、全国に広がっているんですね。こういった日本の状況とは対照的に、自治体が無料で葬儀から埋葬まで積極的に行うようになったのが、お隣の台湾です。

“墓じまい”で遺骨急増 受け入れは限界に!?

台北市が運営する葬儀場です。この日、8人の死者を弔う、合同葬儀が行われていました。

この葬儀、なんと無料。祭壇を飾る花や、お供え物。そして、お坊さんも市が手配してくれます。

台北市 担当者
「この合同葬儀にはお金の負担がありませんし、どんな人でも参加できます。」

葬儀だけではありません。遺骨の埋葬にも、行政の支援があります。遺族が向かった墓地には、あれ?墓石がありません。

これは、遺骨を土に埋める「自然葬」。1年程度で土に帰っていきます。

「お母さん、安らかにお眠りください。」

鎌倉:白い筒のあるところが、一人の方が眠る場所になるんですね。だからご覧のように、この一列だけで、10名近くの方が同じ場所に埋葬されることになります。

行政は、この自然葬を普及させようと、PR動画まで作っています。土地が限られた台湾で、これ以上、墓地を作るのが難しいためです。自然葬は、家族だけで墓を維持することに限界を感じていた市民のニーズにも合致。急速に広まっています。

市営墓地 担当者
「ここには13,000人が眠っています。」

「増え続けている?」

市営墓地 担当者
「これから増えてくると思います。」

今や、亡くなった人の5人に1人が、自然葬で弔われているという台北市。
3年前、肺炎で亡くなった母親を自然葬で弔った姉妹です。

お墓に納める伝統的な形だけが弔いではないと、意識の変化を感じています。

妹 湯宜家さん
「母は土に帰り、墓地のある山にいるのだと思います。父は母を思うとき、いつも山にいっていますよ。」

姉 湯宜之さん
「(行政の支援は)私たち遺族には、本当に大きな助けになりました。」

鎌倉:自然葬はどう思いますか?

妹 湯宜家さん
「自分自身も将来、自然葬にしてもらいたいです。」

弔いにお墓は必要!? 日本で普及するか“自然葬”

鎌倉:そもそも台湾は、日本と同じように、亡くなった家族の葬儀を執り行って、先祖代々の墓を維持していく。これは家族の役割とされてきたんですね。それは、日本と変わらない文化があるんですけれども、ところが、少子高齢化が進んだことや墓地のスペースが足りなくなったことから、2003年に台湾当局が法律を新しく作って、行政が主体となって自然葬を推進することにしたんです。

台湾と日本、状況が似ているが?

池上さん:似てますし、ここまでやってるんだなということですね。

泉さん:ああいうのあったらいいですね。土で、こういうふうになっちゃって。知らない人も花あれしてくれるだろうし。私、身内がいないですから、本当に誰かのついででもいいから1本でも花くれたらうれしいわ。

デーブさん:えなりかずきさんがやってくれるんじゃないですか?

泉さん:だから死んだら終わりだって言ってるじゃないの、あなた。

壇蜜さんは、どう思った?

壇蜜さん:やはり、そばにいるっていう感覚の、“そば”っていうのが、台湾の方々にとっては山なのかなって。山は常に自分の近くにいて、家族もそばにいるならさみしくないねっていう気持ちがあるのだったら、この事例はすごく成功してると思いますね。

山里さんは、どう思った?

山里さん:同じ悩みなんだったら、日本でもあのシステムはね、行われるんじゃないかなと思ってるんですけど、日本ではまだないんですか?今みたいな台湾のシステムは。

小谷さん:横須賀のように市単体でやっているケースというのはありますけれども、お金がそんなにたくさんない方とか、それからご家族がいらっしゃらない方というような条件があるんですね。
(誰でもというわけではない?)
誰でもじゃないです。台湾の場合には、お金のあるなし、子どものあるなし全く関係がないんですね。市民権がなくたって、誰でも希望すれば。

泉さん:市民権なくてもいいんだって。あら、じゃあいいじゃない。

うちも実は去年、母がお墓を新しくしたんです。おばあちゃんが誰で、ひいおばちゃんが誰でと書いてあるじゃないですか。自分はここから来たんだなということを感じられるんですよね。うちの子どもたちがどうするか分かりませんし、僕も年に何回かしか行けないんですけれども、大事にしたいなという気持ちはあるんですよね。

泉さん:どういう方法が一番よろしいんでしょうね。

小谷さん:お墓って、のこされた人のものだと思うんですね。だから、自分が死んだ後、どこに入るかって考えるから話がややこしいだけで、のこされた人のためにお墓ってあるんだと思うんです。だから、お参りするとすがすがしい気持ちになるとか、自分の先祖のルーツが分かるきっかけになるっていうのは、みんな子孫のため、のこされた人のためにあるわけですよね。問題はやっぱり、のこされた人がしのぶ死者がいない。つまり、親子であっても、親に対して追慕の念がない親子関係というのが出てきているとか、あるいは子孫がいらっしゃらない方って、じゃあ、お墓ってなんのためにあるのかっていう新しい問題が出てきてるってことだと思うんですね。

1人1人、価値観が違いますので、結論はなかなか出ない問題なんですけれども、少子化や家族のつながりが希薄になっているという状況を考えますと、社会全体で弔う仕組みを考えてもいいのかもしれません。

池上さん:時代が変われば、また弔い方も変わってくる。結局、どのように死者を弔うのかということは、結局は私たちがどう生きていくのかということを考えるきっかけになると思います。

激動の1年が終わり… どうなる2018年!?

今日(22日)は、2017年スペシャルと題して、世界にまつわること、お金にまつわること、そして家族にまつわることをお伝えしてまいりました。皆さん、今日の感想と来年(2018年)どんな年にしたいか、ひと言ずつお願いします。

壇蜜さん:平和で当たり前、銀行が信用できて当たり前、お墓があって当たり前っていう世界がどんどん変わってきていて、新しい価値観が生まれる今、過渡期なんだと思うんですね。来年、再来年、毎日日々変わっていくことを、ちゃんと遅れないようにキャッチしていけたらいいなと思います。

デーブさん:今の完璧でしたね。この3人いらないですね。

泉さん:何言ってるのよ。違う、若いから先のこと語れるの!明日がない、来年のことしかないのよ、私は。何を言っているの。若いから淡々と言えるの。これからは感謝をして生きていきたいと。感謝なんかどうでもいい。自分が元気ならいい。

山里さん:切実ですね。

池上さん:来年、今もうそれこそアメリカファーストはじめ、世界各国が自分の国さえよければいいという状態になってしまっている。そうなると、これまでなんとなく日本はどうすればいいのかってことを考えないできたということがあると思うんですね。激変する東アジア情勢の中で、日本はどの道を進めばいいのかということを、私たちはやっぱり一段と考えていかなければいけない。そういう2018年になると思います。

さまざまな話題をお伝えした2017年。来年も「クローズアップ現代+」は、今という激動の時代を追い、視聴者の皆様の情報の羅針盤となることを目指していきます。
どうぞ、よいお年を。